-
[ コラム ]
【事例付き】新入社員研修の内容例!成功のカギを深掘り解説
- 社会人としての土台を築き、活躍人材へと育成するための最初のステップである新入社員研修。本コラムでは、新入社員研修で取り入れるべき内容例や効果を高めるためのカギ、そして事例を詳しく紹介します。本コラムを参考に新入社員研修の内容を選定し、新入社
- 詳細を見る
新入社員研修後の動きが変わる。「仕事への動機付け」を劇的に向上させる施策
「新入社員のやる気がなく、育成にかかる負担が大きい…」
多くの組織がこの悩みを抱えていることと思います。実際に「指示待ちが多い」「もっと自分から動いてほしい」といった声が寄せられることは少なくありません。
新入社員が主体的に仕事に取り組めない原因は、多くの場合、仕事に対する動機が「給与」などの外部要因に留まっているためです。
動機が外部要因のままでは、与えられた仕事を最低限こなすだけで、さらなる成長や積極性にはつながりません。
仕事へのやりがいや成長意欲を持ち、自発的に行動する姿になってもらうには自身の内側から湧いてくる内発的な動機付けが欠かせません。
本コラムでは、内発的動機付けに必要な要素を解説した上で、新入社員研修で仕事に対する動機付けを促すための具体的な方法をお伝えします。
新入社員の内発的動機付けを促すことで、新入社員が主体性を発揮し、仕事にやりがいや達成感を見出せる状態を目指しましょう。
【参考】内発的動機付けと外発的動機付けについて
内発的動機付けと外発的動機付けには以下のような違いがあります。
内発的動機付け | 外発的動機付け | |
---|---|---|
定義 | 行動そのものが楽しく、本心で満足感を得られるために行動する状態 | 報酬や罰則など、外部から与えられる要因によって行動する状態 |
動機の源泉 | 自分自身の内面(興味、やりがい、達成感) | 外部環境(給与、昇進、罰則、評価) |
結果の影響 | 自発的・主体的な行動が増え、生産性や創造性が高まる | 外的要因がなくなると行動が減少しやすい |
動機の持続性 | 長続きしやすい | 短期的になりやすい |
例 | 「この仕事が楽しいから頑張りたい」「自分の成長を感じられるから続けたい」 | 「ボーナスがもらえるから頑張る」「評価が下がるのが嫌だからやる」 |
短期的な目標達成や行動を促したい場合は、外発的動機付けで対応できますが、長期的な成果を求める場面では内発的動機付けが適しています。
youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
目次
1)新入社員研修で「仕事への動機付け」を促すために必要な3つの要素
内発的動機付けを促すために必要な要素は、次の3つです。
・自律性(Autonomy)
・有能感(Competence)
・関係性(Relatedness)
※心理学者エドワード・L・デシ(Edward L. Deci)とリチャード・M・ライアン(Richard M. Ryan)によって提唱された自己決定理論(Self-Determination Theory; SDT)を基に作成
これら3つの要素について具体的に説明します。
自律性(Autonomy)
自分の行動が他者に強制されたものではなく、自ら選び取ったものであると感じることです。
例えば、複数のタスクを依頼する際、「この3つの仕事のうち、どれから始めるかは自分で決めて良いよ。」と仕事を進める順番を自分で選択できるようにすると、新入社員は「自分で決めた」と感じます。
有能感(Competence)
自分のスキルや能力を十分に発揮し、それが成果として評価されてると感じられることです。
例えば、新入社員が小さなタスクを成功させた際、上司が「この部分、とてもよくできていたよ」とフィードバックすると、本人は達成感を得て「自分は貢献できる」と感じます。
関係性(Relatedness)
他者とのつながりや支えを感じられることです。
例えば、「困ったときはすぐに相談してね」と声をかけたり、定期的にフォローアップの時間を設けて新入社員が気軽に話せる場を作ると、孤独感を感じることなく安心して行動できます。
これら自律性、有能感、関係性の3つの心理的欲求を満たすことで、内発的動機付けができ、主体的でやる気を持って仕事に取り組めるようになります。
2)新入社員研修で「仕事への動機づけ」を高める具体的な方法
新入社員研修で新入社員の内発的動機付けを高めるためには、自律性、有能感、関係性を促す施策を実施することが大切です。
要素 | 具体的な施策 |
自律性 | ・ワールドカフェ ・アクションプランの策定 |
有能感 | ・演習形式(シミュレーションワーク) ・多角的な振り返り(リフレクション) ・メンバー同士でのポジティブなフィードバック |
関係性 | ・演習形式(シミュレーションワーク) ・トレーナーと新入社員での合研修 ・先輩社員へのインタビュー |
自律性:「自分自身が選ぶ」経験を増やす
新入社員研修で自律性を促すには、新入社員が「自分で選んで行動をしている」と実感できる内容を整えることが重要です。
人は「やらされている」と感じる状況よりも、「自分の意思で進めている」と感じる状況のほうが内発的動機付けが高まり、行動につながります。
新入社員研修で自律性を促すための具体的な方法を2つ紹介します。
ワールド・カフェ
ワールド・カフェとは、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、少人数に分かれたテーブルで自由な対話を行う対話手法の一つです。講師はテーマを提示するだけで、その後の進行は新入社員に任せるため、参加者一人ひとりが自分の意思を持って対話に参加することになります
新入社員研修に取り入れることで、新入社員が自分の考えを言語化し、他者の意見を聞きながら、自分なりの気づきを得る時間を作れます。
例えば、当社のフォロー研修では、ワールド・カフェを取り入れ、3つの問いを出しています。
問い
・round1
1 年目が終わる頃、みなさんが心から望む成長の姿を考えてみましょう。
・round2
心から望む成長を得るためには、周りとどのような良好な関係を築くと良いでしょうか?
・round3
私たちが「新たに考えてみたいこと」「新たに話し合いたいこと」「取り組んでみたいこと」とは?
これらの問いに基づいて対話を進めることで、新入社員は「自分の得たい成長のためには、自分から動いていくことが大切だ」と「自分で必要だと感じて実践する」状態に近づき、自ら行動できるようになります。
このように自ら大切さや重要性に気づくきっかけとしてワールド・カフェは効果的です。
マナー以外の研修でも、コミュニケーションや報連相など必要性を自らの言葉で納得できると、行動への動機付けが促され、主体的に行動できるようになります。
アクションプランの策定
アクションプランの策定も自律性を促す効果的な方法です。新入社員が自分の目標や行動計画を主体的に考え、選び、決めるプロセスを通じて、「自分で行動を選び取っている」という感覚を得られるためです。
アーティエンスの研修では、OST(オープン・スペース・テクノロジー)の手法を取り入れる場合が多くあります。
※OSTとは、数人から数百人全員が一堂に会して話し合い、人々のコミットメントを引き出し、主体的な話し合いを通して垣根を超えた問題解決への取り組みを促すファシリテーションのプロセスです。ハリソン・オーエン(Harrison Owen)氏によって1985年に提唱されました。
研修で扱うOSTは、本来のベーシックなやり方ではなく、次のような簡易版で実施しています。
簡易版の実施方法の流れ
自分が扱いたいテーマを紙に書く
↓
紙を持って立ちあがり、他の人に見えるようにしながら同じテーマの人を探す
↓
テーマが同じ人が2人以上になったらグループとなる
↓
グループごとにテーマについて話し合い、アクションプランを策定する
例えば、当社の関係性構築力研修で「上司・トレーナーと素晴らしい関係性を創るため」のアクションプランを策定した際は、次のようなアウトプットが出てきました。
OSTでは、新入社員が自分の興味のあるテーマを選び、主体的に議論に参加します。その結果、「やらされている感」ではなく、「自分で選んで進めている」感覚を持つようになります。また、議論の結果をもとに自分たちで計画を立てることで、「自分が決めたことをやる」という責任感が生まれ、現場での行動変容が促進されます。
今回紹介した2つの方法のように、新入社員研修で新入社員が「自分で選んで行動している」と思える取り組みを行うことで、自律性が促されて内発的動機のもと行動できるようになります。
有能感:「自分にもできそう」を育む
新入社員研修で有能感を促すためには、新入社員が「自分にもできる」と自信を持つ機会を提供することが必要です。
新入社員が研修でスキルや知識を学び、「自分にもできる」と実感を持てる研修を実施することで、現場でも自信を持って新しい業務や挑戦に取り組む意欲が高まります。
新入社員研修で有能感を促すための具体的な方法を3つ紹介します。
シミュレーションワーク
現実的な課題解決を体験させるシミュレーションワークを通じて、新入社員が自分にもできると思えるようにします。
特に入社時期は、新入社員研修で学んだスキルや知識を、実践に近い形で「できそうだ」と感じてもらうことが重要です。
シミュレーションワークは、現実に近い状況で課題に取り組むため、新入社員は「自分が直面するかもしれない問題」を疑似体験できます。そしてその課題を達成する経験をすることで、自分にもできると思えるようになります。
例えば、当社の上司との協働体感研修では、「自社の日報提出率改善プランを作成する」ことを目指して、約2時間の時間を受講生に預け、リーダー役の講師に報連相を繰り返しながら、アウトプットを完成させるシミュレーションワークを実施しています。
このシミュレーションワークには、時間管理や課題理解、講師への報連相など、実務で起こり得る様々なやるべきことがあります。
これらのプロセスを経験し、最終的なアウトプットを完成させることで、新入社員は達成感を得ると同時に、自身の成長を実感します。「スキルの具体的な使い方がわかった。自分にもできそう。」という感覚は、現場での積極的な活用に繋がります。
多角的な振り返り(リフレクション)
入社後半年や1年のタイミングでリフレクションの時間を設けることで、研修で得たスキルや知識が仕事で役立っていることに気づき、自身の成長を実感できます。これにより、今後の成長への期待が高まり、仕事への主体性が促されます。
有能感を促すリフレクションを行うために、アーティエンスの1年目フォロー研修では、オリジナルのリフレクションシートを用いて以下のステップで研修を実施しています。
研修前に、自分のこれまでの仕事の経験を具体的に記入
↓
研修中に、グループメンバーにその内容をストーリー立てて共有
↓
他のメンバーと共に、経験を振り返る
改めて自身の経験を振り返ることで、「自分の成長した部分」に気付くことができます。
更に、他者と共に多角的な視点で振り返ることで、新たな気づきも生まれます。自分の成長に気づけます。成長していることに自覚的になれると、未来への自信と意欲が生まれるため、仕事への動機も自然と促されます。
メンバー同士でのポジティブフィードバック
他者からのポジティブなフィードバックを受けることで、自分では気づけなかった「できること」に気づき、有能感を向上させる機会を提供します。
人は自分の強みや成長を自覚しにくいものですが、他者からの具体的なフィードバックを受けることで、自分の「できている点」や「強み」に気づけます。これが自信や有能感の向上につながります。
アーティエンスの新入社員研修では、シミュレーションワークなどのグループワーク後に、メンバー1人につき1枚の付箋に、ポジティブフィードバックと改善点を書いて、ギフトとして相手に送り合う時間を設けています。
その際に例えば、「みんなの意見を整理してくれて助かった」とのフィードバックをもらうと、新入社員は「自分にはまとめる力があるんだ」と認識できるようになります。
このようにポジティブなフィードバックを通じて「自分にもできる」感覚を得ることで、新入社員の自信が育ち、現場でもその点を活かして主体的に仕事へ取り組む動機につながります。
今回紹介した3つのような方法を新入社員研修に取り入れることで、新入社員が「自分にもできる」と感じられる有能感を得られ、現場でもその自信を持って仕事に主体的に取り組めるようになります。
関係性:「つながり・支え」を実感する
新入社員研修で関係性を促すためには、新入社員が良好な人間関係を築くための意識と気づきを持つこと、そして実際に関係性を促す機会を作ることが重要です。
関係性がしっかりしていると、仕事に対するモチベーションが上がり、協力的な姿勢やチームワークも向上します。
新入社員研修で関係性を促すための具体的な方法を3つ紹介します。
巻き込む意義を理解する
シミュレーションワークを通して、新入社員に周囲を巻き込む意義を伝えます。
新入社員は、入社直後は周囲からの評価を気にしたり、フィードバックを恐れる傾向があります。しかし、研修によって自分から主体的に働きかけることが成果や成長につながることに気付くと、仕事でも周囲との関係性を築きやすくなります。
実際にアーティエンスの巻き込み力向上研修では、周囲を巻き込むことが自身の成果・成長につながることをシミュレーション形式で伝えています。
トレーナーとの合同研修
実際に関係性を促す機会を作るための方法としては、新入社員とトレーナーが合同で研修する機会を作ることがおすすめです。
双方の価値観や本音に触れることで理解が深まり、信頼関係が深まります。
アーティエンスの新入社員・OJTトレーナー合同研修では、今後の成長に向けた対話や相互インタビューを通じて、関係構築を行います。研修の最後には新入社員とトレーナーがお互いに手紙を書くワークを行います。
これらのワークを通して、普段伝えられない感謝や本音を伝え合うことができ、信頼関係がさらに深まります。
新入社員からは「トレーナーが自分を温かく見守ってくれていたことに気づいた」「新入社員の成長を見守るトレーナーの思いを知った」などの声が多く聞かれます。このような機会を通じて、日常業務では得られない関係性が形成されます。
日常の中で本音や感謝を伝えることは難しいですが、研修という日常とは異なる機会を設けることで、お互いの想いを伝え合い、信頼関係を築くきっかけを作れます。
先輩社員へのインタビュー
実際に関係性を促す機会を作るための方法としては、新入社員が先輩や上司にインタビューを行う方法もあります。
インタビューを行うことで直接的なコミュニケーションが生まれ、双方向の理解が深まるためです。上下関係や人間関係の距離を縮め、つながりを実感できます。
アーティエンスの1年目フォロー研修では、研修前に先輩社員へのオリジナルのインタビューシートを活用し、直属の上司や先輩へのインタビューしてもらいます。
インタビューを行うと「自分の思っていた以上に、上司は自分を見てくれていた」などのポジティブな反応を得られることが多くあります。
自分の先輩や上司への印象が変化したり、感謝の気持ちが芽生えたりする新入社員も多いです。
今回紹介した3つの取り組みを行うことで上司・先輩、同期との関係性を深められ、信頼や安心感を感じられると、「新入社員は関わっている人のためにも頑張りたい」という想いが醸成され、意欲的に仕事や学びに取り組むようになります。
3)新入社員研修で動機付けをしたいならアーティエンスがおすすめ
本コラムでは、内発的動機付けに必要な要素を解説した上で、新入社員研修で仕事に対する動機付けを促すための具体的な方法をお伝えしました。
内発的動機付けを促すために必要な要素は次の3つです。
・自律性(Autonomy)
・有能感(Competence)
・関係性(Relatedness)
これら自律性、有能感、関係性の3つの心理的欲求を満たすことで、内発的動機付けができ、主体的でやる気を持って仕事に取り組めるようになります。
アーティエンスの新入社員研修は上記の方法を取り入れて、新入社員の内発的動機付けを促し、現場で主体的な言動を発揮できる状態にしています。自社での取り組むには、リソース的に難しい場合は、ぜひご相談ください。
新入社員の内発的動機付けを促すことで、新入社員が主体性を発揮し、仕事にやりがいや達成感を見出せる状態を目指しましょう。