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[ コラム ]
もう失敗しない!ファシリテーション4つの必須スキル
- どんなに技術が進化しても、最終的に人間同士のコミュニケーションがプロジェクトの成功を左右します。その中心にあるのが、ファシリテーションのスキルです。 ファシリテーションスキルは、参加者間の関係性を向上させ、会議のアウトプットの質を高めること
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レベルアップのために知っておきたい!ファシリテーションの4つのコツ
更新日:
「ファシリテーターとして、さらに力を発揮したいけれど、何をすれば良いのか分からない…」
こうした思いをもって本コラムにたどり着いたのではないでしょうか。
ファシリテーターとして、フレームワークや手法を用いて進めることに慣れてきた一方、もう一歩踏み込んだ場をつくりたい、という気持ちがあるのかもしれません。
本コラムでは、ファシリテーターとして場の質を今一歩上げる際に押さえるべきコツを
・思考
・感情
・関係性
の4つに分けて、具体例を用いながらお伝えします。
ファシリテーションのコツを掴み、日々の会議やワークショップをさらに良くしていきましょう。
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目次
1)ファシリテーションのコツは、「言動・行動」「思考」「感情」「関係性」を扱うこと
会議やワークショップといった、人が集まる場では、個々の認知から生まれる「感情」「思考」「言動・行動」、そして、その場の参加者同士の「関係性」が存在しています。
ファシリテーターはこれらをみながら、適宜必要な支援を行う必要があります。
2)「言動・行動」「思考」「感情」「関係性」を観る時に押さえるべきファシリテーションのコツ
ファシリテーターとして、「言動・行動」「思考」「感情」「関係性」をみる時に押さえるべきコツをお伝えします
・思考は、プロセスをみる
・感情は、【態度や立ち振る舞い】と【言動との一致と不一致】をみる
・関係は、相互作用をみる
それぞれ説明していきます。
言動と行動は、フラットにみる
言動・行動は、具体的な事実をフラットに拾っていくことが必要です。
自身の色眼鏡(認知)を排除し、起きていることをありのままに、まずは受け止めていきます。
例えば、貧乏ゆすりをしている人がいたら、ただ貧乏ゆすりをしている人とだけ捉えます。このとき、「イライラしているのではないか?」など、自身の認知を入れてはいけません。自身の認知が歪んでいると、参加者の認知を把握することはできません。
「言動・行動をみる」には、具体的な事実をフラットに拾っていくことで、参加者の思考・感情・関係を把握することができます。
思考は、プロセスをみる
思考は、プロセスを丁寧に見に行くことが必要です。
言動・行動と違い、思考が分かりやすく出てくることは稀です。具体的には下記のように「思考」を観に行くことが可能です。
・アウトプットを出すまでの言動・行動をみる
・言動・行動の背景を聴く
それぞれ詳しく説明していきます。
アウトプットを出すまでの言動・行動をみる
グループワークを行った時の発言や立ち振る舞いや、個人ワークで書いているメモなどをみると分かるでしょう。
例えば、「○○事業から撤退する」という考えを持った参加者がいたとします。この時に、その参加者のメモがさまざまなフレームワークを使って考えいることが分かれば、思考プロセスは明確になります。
その思考プロセスに、どのような感情や関係があるのかを紐解いていくことが可能です。
言動・行動の背景を聴く
起きたことや事実ベースを伝えて、何が背景にあるのかを聞くといいでしょう。
「(行動に対して)みなさん、グループワークのアウトプットの量が少ないようですが、どのように時間を使いましたか?」
※ 思考が深まり、アウトプットが追いつかないケースもありますし、「研修だし、適当でいいだろう」という認知で取り組んでいる場合もあります。
などです。
この時に、「なぜですか?」、「理由は?」などと聴くのではなく、話しやすいような聴き方をしたほうがいいでしょう。
感情は、【態度や立ち振る舞い】と【言動との一致と不一致】をみる
感情は、参加者の状態を丁寧にみることが必要です。
感情は、思考よりも捉えどころが難しいため、参加者の状態を丁寧に観ていきます。
ファシリテーターとして、具体的には下記のように「感情」を観に行くことが可能です。
・表情・姿勢・声のトーンなど態度・立ち振る舞いをみる
・言動・行動と表情・姿勢・声のトーンの一致・不一致をみる
それぞれ詳しく説明していきます。
表情・姿勢・声のトーンなど態度・立ち振る舞いをみる
どのような感情を抱いているかの見立てが可能になります。
例えば、表情が明るければ、前向きに議論・対話の場に参加しているかもしれませんし、ずっと下を見ているのであれば、議論・対話の場に対して、居心地が悪いのかもしれません。
言動・行動と表情・姿勢・声のトーンの一致・不一致をみる
どのような感情を抱いているかの見立てが可能になります。
とても明るい表情で前向きな発言をしている方がいたとします。ただし、ボールペンのボタンをカチカチと常に押し続けたり、明らかに椅子の座り方が横柄な場合は、言動・行動と感情の不一致があるので、本音が出るような働きかけが必要です。
※ 椅子の座り方は、腰痛持ちの方は姿勢が悪かったりするケースもあるので、注意が必要です。
このように感情は、思考よりも捉えどころが難しいため、参加者の状態を丁寧に観て行くことが必要です。
関係は、相互作用をみる
関係は、参加者の相互作用を丁寧にみることが必要です。
関係は、最も捉えどころが難しいため、参加者の相互作用(※)を丁寧に観ていきます。
ファシリテーターとして、具体的には下記のように「関係」を観に行くことが可能です。
・参加者同士のコミュニケーションにおける表情・姿勢・声のトーンなど態度・立ち振る舞いをみる
・参加者同士のコミュニケーションにおける言動・行動と表情・姿勢・声のトーンの一致・不一致をみる
・参加者同士のコミュニケーションを観ている他の参加者の表情・姿勢など態度・立ち振る舞いをみる
それぞれ詳しく説明していきます。
参加者同士のコミュニケーションにおける表情・姿勢・声のトーンなど態度・立ち振る舞いをみる
「参加者同士のコミュニケーションにおける表情・姿勢・声のトーンなど態度・立ち振る舞いをみる」では、どのような関係なのかの見立てが可能になります。
例えば、「経営陣が話しているときには前のめりに聞き、若手社員が話しているときは椅子に深く腰掛けて話を聞く」という状態であれば、上意下達が強い関係性かもしれません。
参加者同士のコミュニケーションにおける言動・行動と表情・姿勢・声のトーンの一致・不一致をみる
「参加者同士のコミュニケーションにおける言動・行動と表情・姿勢・声のトーンの一致・不一致をみる」では、どのような関係なのかの見立てが可能になります。
分かりやすい事例をお伝えします。
経営者と幹部社員の対話の際に、常務取締役の方が「もっと○○すべきだと思う」と話したときに、部下のAさんは「確かにそうですよね」とニコニコしながら話を聴いていますが、開いていた足が急に閉まりました。姿勢から緊張状態を感じました。お話を聴くと、長い間徒弟制度のような関係が続いているようでした。
参加者同士のコミュニケーションを観ている他の参加者の表情・姿勢など態度・立ち振る舞いをみる
「参加者同士のコミュニケーションを観ている他の参加者の表情・姿勢など態度・立ち振る舞いをみる」では、どのような関係なのかの見立てが可能になります。
例えば、AさんとBさんが話しているときにCさんが、その話を観ているという構図です。Aさん・Bさんの話をCさんが前向きに聞いているのであれば、チームとして良い関係性かもしれません。ただし、Cさんが無関心だったり、斜に構えていた場合は、チームとして機能していない可能性もあります。
このように感情は、関係も最も捉えどころが難しいため、参加者の相互作用を丁寧観て行くことが必要です。
互いに働きかけ、影響を与え合うものです。とても複雑性が増します。可視化したものを、当社ファシリテーション研修のテキストからご紹介します。
※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより抜粋
3)ファシリテーションの4つのコツを扱う際のポイント
「ファシリテーションのコツを扱う際のポイント」としては、下記6つをお伝えします
・参加者の認知の言語化を焦らない
・参加者一人の認知に引っ張られない
・複数の目でみる
・構造(システム)をみる
・議論・対話の場に介入する
それぞれ説明していきます。
ファシリテーター自身の状態を整える
ファシリテーター自身の状態を整えることが、とても重要です。状態が悪いと、余裕がなく自身の思考が固まり、視野狭窄に陥り、フラットに物事をみることができなくなります。
例えば、会議・ワークショップの前に、顧客からのクレーム対応をしており、余裕がない状態だと、ファシリテーションのコツを扱う4つの観察は機能しなくなることが多いです。可能であれば、30分前に状態を整える時間があるとよいでしょう。難しければ、5分間でも深呼吸をし、温かいお茶を飲むだけでもかまいません。そして、自身の状態が悪いときは、自身の状態が悪いと認知するだけでもかまいません。状態を整えようという意識が働くので、状態が整っていきます。
このように、ファシリテーター自身の状態を整えることが、とても重要です。
参加者の認知の言語化を焦らない
参加者の認知の言語化を焦らないことが、とても重要です。強引に言語化を進めると、参加者の探求が浅くなったり、正解探しになります。
例えば、よくあるケースとして、ファシリテーターから「○○ということでよろしいですか?」と伝え、強引に言語化するケースです。参加者は無意識でも、ファシリテーターが言っているのだから、そうなのだろうと考えてしまいます。このような時は、下記のように言語化の手伝いをすると、より適切な働きかけになります。
「私からは○○と見えますが、いかがですか?全く違うかもしれないので、よければ言葉になっていなくてもコメントをいただけますか?」
このように参加者の認知の言語化を焦らないことが、とても重要です。
参加者一人の認知に引っ張られない
参加者一人の認知に引っ張られないことが、とても重要です。参加者一人の認知が全てではないためです。
例えば、役職の高い人や声の大きい人の発言に、会議もワークショップも引っ張られがちです。このような時は、ファシリテーターとして下記のような働きかけをするとよいでしょう。
「○○さんから見ると、そう見えるのですね。他の方はいかがですか?」
「御社や業界の常識は、そうなんですね。例えば、他業界では○○のような状況が生まれていますが、このような観点はありませんか?」
上記のような働きかけをすると、参加者の認知が広がっていきます。
このように参加者一人の認知に引っ張られないことが、とても重要です。
複数の目でみる
複数の目でみることが、とても重要です。ファシリテーターの見立てを絶対にすると、とても危険です。そのため、他者の認知を決めつけることはNGです。
例えば、ファシリテーターが参加者の認知を決めつけてしまうと、抵抗感を覚え本音が出なくなり、参加者は言われたとおりに進めるという状況が生まれる場合もあります。そのため、常に自身の認知を疑い、他者の力を借りながら、ファシリテーションのコツを扱う4つの観察を行います。具体的には、ファシリテーターを2名体制で行ってもいいですし、アテンドスタッフや事務局の方と都度確認を取ってもいいでしょう。
このようにファシリテーター一人で見るのではなく、複数の目でみることが、とても重要です。
構造(システム)(※)をみる
構造(システム)をみることが、とても重要です。構造(システム)を紐解いていくと、認知が明らかになっていくことが多かったりします。構造(システム)を見るための方法としては、「学習する組織」のシステム思考や氷山モデル(メンタルモデル)を用いるといいでしょう。
システム思考や氷山モデル(メンタルモデル)に関して、下記事例をご紹介します。下記は、当社のお客様との対話の際に、作成したシステム図です。
簡単に説明をすると、上司からの否定があり、想いが弱まり、当事者意識が無くなるため、課題意識も持たなくなり、思考の量も少なくなり、思考の質も無く行動の制限が強くなるので、結果が出ずに、自身が無くなり想いがさらに弱くなり、さらに上から否定があるという悪循環を生んでいる構造です。
ただし、経営陣や上司は、否定ではなく期待という認知を持っています。ここに、現場と経営陣や上司の認知のずれが起きています。
次に、氷山モデル(メンタルモデル)を、当社のファシリテーション研修のテキストよりご紹介します。
※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより抜粋
上記のように紐解いていくと、構造(システム)が見えてくることで、 このようにシステム図や氷山モデルを用いて構造(システム)をみることで、とても重要です。
ここでの構造(システム)とは、システム思考におけるシステムのことを指します。
「多くの要素(モノ、エネルギー、情報)がつながり、相互に作用し合うもの」を指します。
詳細を知りたい方は、下記コラムをご覧ください。
眼前にそびえる「複雑な課題」に向き合える思考法─「システム思考」
議論・対話の場に介入する
議論・対話の場に介入することが、とても重要です。
議論・対話の場に介入しないと、認知が見えてこないこともあります。介入方法(※)は、さまざまありますが、最も直接的なものは、「問いや見えているもの」の提示です。
具体例として、下記をご紹介します。
「心から、思っていますか?」
「私から見ると、みなさん、綺麗な言葉で片付けているように見えます」
「それは、みなさんの意見ですか?それとも会社の考えですか?それは本当に一致していますか?」
シンプルですが、とても強い働きかけです。ここで抵抗や反発などが起きることもあります。
例えば、筆者の経験ですが、一部上場企業のIT企業さまの次世代リーダー開発ワークショップのワンシーンをご紹介します。
自組織の強み・可能性というテーマで対話を行いました。対話は盛り上がっていましたが、ファシリテーターとして見えているものを提示しました。
「みなさんの対話からは、お金の話しか出てきません。みなさんの組織の強み・可能性は、お金なんですか?」
そうすると、一瞬沈黙が起きたあと、下記のような発言が出てきました。
「あなたが話せと言われたから、話しただけだ」
「そもそもこんな研修に意味があるのか。まったく実務と関係ない」
その後に一人の方が、話始めました。
「私も、今日一日ずっと気持ちが悪かった。私は、もっと世の中の役に立つ製品を創りたい」
長い沈黙が流れ、そしてそのワークショップの一日目は終わります。ただし、二日目のフォローセッションでは、「売上・利益を上げるのは当たり前で、より素晴らしい製品を世の中に提供していくにはどうしたらいいか」という対話になっていました。
このように、時には、議論・対話の場に強く介入することで、認知が見えて変化もしていきます。
※ ファシリテーターからの強い介入は、タイミングがとても重要ですので、多用は控えたほうがいいでしょう。難易度も高いため、経験も必要になります。
代表的な介入方法は下記になります。 ※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより抜粋
「レイアウト・グループサイズの変更」とは、サークル形式からバズ形式にして、話しやすくするなどです。
プログラムの変更とは、予定していたプログラムではなく、その時に必要なプログラムに変更します。例えば、グループダイアログよりも全体ダイアログのほうがいいと考えれば、変更します。
備品の活用とは、その名の通り備品を活用します。発言があまり出なければ、付箋に一度書いてもらってから、発言を促してもいいでしょう。
※ 「問い・見えているものの提示」は、先ほど事例をお伝えしているので、ここでの説明は控えます。
4)【参考】オンラインにおけるファシリテーションのコツ
オンラインの際にファシリテーションのコツを扱う4つの観察は、難易度が上がります。ファシリテーターが、全体が見えなかったり、参加者の上半身しか見えないということが起きるためです。ただしオンラインでもできることはあります。
具体的には、下記3点が特に活用できます。
・複数の目でみる
・議論・対話の場に介入する
それぞれ説明していきます。
参加者にアウトプットを多く出してもらう
通常のプログラムに加えて、チャットなどで、発言を促すといいでしょう。 アウトプットの内容だけではなく、アウトプットを出すスピード感まで観て、その背景に何があるんだろう考えていくといいでしょう。参加者にアウトプットを多く出してもらうことで、「ファシリテーションのコツを扱う4つの観察」が可能になります。
複数の目でみる
アテンドスタッフなどに参加者の表情・態度や、ブレイクアウトルームでの発言や表情・態度を観てもらうといいでしょう。
例えば、参加者が画面の近くにいるか、遠くにいるかでも、参加度合いが分かるかもしれません。ミュートにしながら、仕事の電話をしていることもありますし、スマートフォンを操作しているような仕草などもみることができます。
アテンドスタッフに事実を拾ってもらい、複数の目でみることで、「ファシリテーションのコツを扱う4つの観察」が可能になります。
議論・対話の場に介入する
リアルよりも、積極的に介入するといいでしょう。ただし、強い介入というより、ブレイクアウトルームでの対話・議論を多めにしたり、問いを投げることを意識するといいでしょう。筆者が多く行うのは、プログラムの変更として、参加者に内省の時間をこまめに取るということです。内省することで、発言の量や質に変化が起きることが多いです。反応的な対応をしないためです。
このように、リアルよりも積極的に介入することで、「ファシリテーションのコツを扱う4つの観察」が可能になります。
4)まとめ
本コラムでは、ファシリテーターとして今一歩力を発揮するための4つのコツをお伝えしました。
・思考は、プロセスをみる
・感情は、【態度や立ち振る舞い】と【言動との一致と不一致】をみる
・関係は、相互作用をみる
そして、「ファシリテーションのコツを扱う際のポイント」として、下記6つのポイントと、オンラインにおけるファシリテーションのコツもお伝えしました。
・参加者の認知の言語化を焦らない
・参加者一人の認知に引っ張られない
・複数の目でみる
・構造(システム)をみる
・議論・対話の場に介入する
・【参考】オンラインにおけるファシリテーションのコツ
本コラムを通して、「ファシリテーションのコツとは何か」を理解し、「ファシリテーションのコツをどのように扱っていけばいいか」を分かっていただけたかと思います。
ファシリテーションのコツを身に付けていくには経験も必要ですが、「ファシリテーションのコツとは何か」を理解したことで、みなさんのファシリテーションの経験がより質の高いものになっていきます。
アーティエンスでは、ファシリテーション研修も実施しているので、ご興味がある方はぜひご連絡ください。
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