新入社員研修で「会社の仕組み」を伝えるには?目的別に効果的な学び方をご紹介

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 新入社員研修 外部委託

「新入社員研修で会社の仕組みを伝えるためにどうしたらいいだろう?」
このようなお悩みをお持ちの方が多いのではないかと思います。

会社がどのように成り立っているのかを本質的に理解しきれている新入社員は少ないです。しかし会社の仕組みを知らないと、社員の一員であるという責任感を持ったり、目標達成意識を持って仕事に取り組む状況を生み出せません。

そこで、本コラムでは、新入社員研修で会社の仕組みを伝えることが大切な理由と、研修で実施するときの具体的な伝え方や内容をお伝えします。会社の仕組みを理解してもらうことで自分の役割を理解し、役割を全うしてもらえるようにしましょう。

▼”会社の仕組み”を学ぶ研修として「目標達成・コスト意識研修」を提供しています。
「目標達成・コスト意識研修」

このコラムで分かること

  • 新入社員研修で会社の仕組みを伝えることが大切な理由
  • 新入社員研修で会社の目的を理解してもらうための学び方
  • 新入社員研修で会社の構成理解やお金の流れを理解してもらう学び方
執筆者プロフィール
近藤 ゆみ
アーティエンス(株)にて、研修講師、組織開発・人材育成のコンサルタント、コラムの監修・執筆などに従事。前職の大手人材紹介会社では、転職希望者のキャリアカウンセリングから転職サポートまでを一貫して担当。

専門性:新入社員・若手社員、採用・育成


新入社員研修成功事例集

1)新入社員研修で会社の仕組みを伝えることが大切な4つの理由

新入社員研修で会社の仕組みを伝えることが大切な理由として4つのことが挙げられます。

社員の一員であるという責任感を持ちやすくなる

新入社員研修で会社の仕組みを伝えることで、社員の一員であるという責任感を持ちやすくなります。会社が信用によって成り立っていることを知ると、社員の一人として無責任な発言や言動を行わないようにしなければという意識を持ちやすくなるためです。

近年はネットが身近になったため特に個人が持つ影響力が強くなりました。個人のSNSで所属会社がわかるような愚痴や内密事項を出してしまうと一気に多くの人に知れ渡り、トラブルが起きて会社の信用が失われてしまいます。ネット上で投稿者のことを知った人は、投稿者のことを〇〇会社の人、というように所属会社で認識するためです。トラブルを起こした人を雇用しているのは会社で、その人の育成が足りていないのは会社に責任があると思われます。

一人の人によって会社の信用にネガティブな影響を与えられるようになった現在は、特に社員の一員であるという責任感を持って日々過ごしてもらう必要があります。そのことを深く理解してもらうためにも、新入社員研修で会社が信頼によって成り立っていることを伝える必要があります

共創意識が生まれる

新入社員研修で会社の仕組みを伝えることで、共創意識が生まれやすくなります。会社はさまざまな人が関わることで成り立っていて、自分はそのメンバーの一人であることを自覚するためです。

会社の仕組みを知ると、様々な部署の人が自身の役割の仕事をしていることや外部の委託業者などの協力によって商品やサービスが作られ、販売されて会社が成り立っていることを知ります。そして個々の業務が組織全体の目的や戦略にどのように貢献するのかを理解できます。
一方、会社の仕組みを知らないと、自分と他の人がどのようにつながり合っているのかを想像できないため、自分の仕事さえが終われば良いという考え方になりやすいです。

会社の仕組みを知って自分が同じ目標を目指すメンバーの一人であることを自覚できると、自分さえよければいいという身勝手な考えをするのではなく、関わる人と協力しながらより良いものを作っていく必要があると感じてそのための言動を行うようになります

目標達成・コスト意識が醸成される

目標達成意識とコスト意識が醸成されることも新入社員研修で会社の仕組みを伝える大切な理由です。会社は売り上げがないと存続し続けられないという現実を知り、自らの仕事がその売上に直結していることを認識するためです。

会社には売り上げがあるから存続できるという仕組みがあります。これは当たり前のことですが、新入社員の多くはそのことを理解しきれていないことが多いです。

そのことがよく分かるのが「働いている時間に対して給与が低い」という新入社員の主張です。このような愚痴は新入社員からよく聞きますが、この意見は新入社員が「報酬は働いている時間に対して払われている」という認識をしていると考えられます。
アルバイトでは時給に対して給与が発生していたため、そのように考えてしまうのは当然かもしれません。しかし、本来給与は売上に対する貢献度合いによって支払われるものです。

そのような勘違いが起こらないようにするためにも、会社の仕組みとして会社は売り上げがないと存続できず、その売上につながる仕事をするのが自分の役割である、ということを自覚してもらうことで、売上などの目標達成意識やコスト意識が促されます

会社が目指している方向性と同じ方向を向けるようになる

新入社員研修で会社の仕組みを伝えることで、会社が目指している方向性と同じ方向を新入社員も向けるようになります。社会に必要なことをやっている自覚を持てると、仕事に対して前向きに向き合えるようになるためです。

会社というのは社会に何らかのポジティブな影響をもらたすために存在しています。そして会社が社会に対して与えようとしているポジティブな影響は社員によってもたらされます。このことをよく理解して、新入社員は自分が社会的に意義のある仕事に携わっているという自覚を持てると、仕事に対するモチベーションや満足度が高まり、前向きに取り組む姿勢が醸成されます。

新入社員研修で会社の仕組みを伝えることで、会社の目的に共感しやすくなり、社会にとってポジティブな影響を与えようとしている組織の一員であることに誇りを持って、前向きに仕事に取り組みむことを期待できます

このように会社の仕組みを伝えることで、会社の一員としての責任を持って、会社が目指している目的を達成するために主体的に仕事に向き合う姿勢を醸成できるため、新入社員研修で伝えることが大切です。

2)【目的別】新入社員研修での会社の仕組みの学び方

新入社員研修での会社の仕組みに関する学び方について目的別に紹介します。

目的①:会社の存在意義を理解する

何のためにこの会社が存在しているのか、自社の商品やサービスによって誰にどのようなポジティブな影響を与えられているのか、などについて伝える方法を具体的に2つ紹介します。

創業者・経営者によるストーリーテリング

1つ目は、創業者・経営者から会社の歴史や会社が目指していることを物語のように話してもらう方法です。何のためにこの会社を作り、今社会に対してどのようなポジティブな影響を与えようとしているのかについて、当事者から話をしてもらうことで、そのメッセージが新入社員に強く響きます

話をしてもらうときは、ストーリーテリングの方法を用いてもらうとよりメッセージが強く伝わりやすくなります。
ストーリーテリングとは、自身の経験や想いをオープンに、且つ人間味を持ってストーリーとして伝える方法です。聞き手が映像をイメージできるくらい鮮明に話します。この方法を用いることで抽象的な単語や情報を羅列するよりも相手の記憶に残りやすく、得られる理解や共感が深くなります。スタンフォード大学 Jennifer Aaker教授によると、ストーリーで話す方法と論理的・数値的に話を伝える方法とでは、人の記憶の残りやすさに最大22倍差が生じるとの研究結果もあります。

当時の経験を具体的で鮮明に伝え、感情を乗せて話してもらうことで、過去にどのような道のりを経て今この会社があるのかを知るため、会社が目指す方向に共感しやすくなります。

会社が社会の中で大きな役割を果たしていると感じて共感できると、新入社員もその目的を達成するための力になりたいと、エンゲージメントとモチベーション高く、仕事に主体的に向き合ってもらえるようになります。

会社がある意味を考える時間の設置

2つ目は新入社員自身に会社がある意味を考えてもらう時間を作る方法です。自組織は何のためにあるのかを自分なりに考え、それぞれの考えをシェアすることで、会社が社会にとって必要であることを実感しやすくなります
会社がある意味を自分なりの言葉で説明できるようになると、新入社員はその意識を持って働きやすくなります。

これらの会社の目的を理解するための方法を実施して、組織に対するエンゲージメントとモチベーションが高い状態で仕事をしてもらえるようにしましょう。

目的②:会社の構成を理解する

会社の構造や成り立ちを理解してもらうための内容として次の3つの内容があります。

会社の部署や全体像を理解する

会社にどのような部署があって、それぞれどのような役割や仕事をしているのかを伝えましょう。会社を維持するためにそれぞれが自分の役割を持って仕事をしていることがわかると、会社の中での自分の役割もわかりやすくなります
また、各部署について理解していると、キャリアプランもイメージしやすくなります。

なお、各部署については、シンプルに説明するだけでなく、シミュレーションワークを行う方法もあります。例えば、アーティエンスの社会人の自覚研修では、部署との連携の大切さを知るシミュレーションワークを実施しています。1クラスを6グループに分け、それぞれに異なる部署の役割を担ってもらい、それぞれの部署とやりとりをしながらCS向上という課題解決をしてもらう、という内容です。

このワークを行うと、「CS向上のためにあなたの部署はこうしてくれない?」というような要望が出やすく、それぞれの部署とうまく協力し合えない状態になることがあります。このような経験をすることで、自分の部署の言い分や要望を伝えるだけでなく、課題を解決するためにどのように協力し合えばいいのか、ということを意識する大切さを身にしみて感じています。各部署が協力することで会社が成り立っていると知ることで、共創意識が強くなります。

自社と関連会社の関係を理解する

関連会社との関わりも多い会社は、その関係性も伝えましょう。どのような仕事を行なってもらっているのかを知ることで、自分たちの会社だけでは実現できないことを手伝ってくれている関連会社に感謝を感じやすくなります。すると一緒に仕事を行う機会を持った際に、相手がやりやすい仕事を心掛けるなど相手に配慮した関わり方を自分なりに考えられるようになるでしょう。

経営方針の決まり方を理解する

自社の経営方針がどのように決まるかについても伝えることをおすすめします。会社の方針は社員の仕事に大きく影響する部分のためです。株式会社の場合は必要に応じて株主総会、取締役会、監査役会などに触れるのも良いでしょう。経営がオープンでクリアな状態で行われていることが分かると、組織に対する信頼感が高まります

これらの内容を伝えることで会社の構成を理解し、共創意識を持って仕事に取り組んでもらえるようにしましょう。

目的③:会社とお金の関係を理解する

会社とお金の関係を理解してもらうための内容として次の3つの内容があります。

お金の流れを理解する

会社でどのようなお金の流れがあるのかを理解してもらいましょう。どこからお金が入って、何にお金が使われているのかを知ることで、新入社員は自分が会社の中でどのような存在なのかを理解し、売上を出すために仕事をすることが求められることを実感します

売上・費用(コスト)・利益の仕組みを理解する

売上・費用・利益など仕事をするにあたって身近な単語を理解してもらうことも重要です。経理を専門に行う会社でない場合は、大枠を理解してもらうために「利益=売上ーコスト」というような単純化した式で伝えることも効果的です。

なお、会社のお金の流れを知ることと、売上などについて知ることについては、ビジネスゲームで教える方法もあります。例えば、アーティエンスの目標達成・コスト意識研修では、会社の利益構造や組織活動におけるコストについて学ぶビジネスゲームを行なっています。

※研修資料の一部抜粋

ゲームを通じて、組織運営におけるお金の流れや新入社員自身にかかっているコストについて学び、「自分は会社にとってはコストなのだ」「自分にコストがかかっているのだから組織の目標を達成する必要があるんだ」ということを実感する新入社員が多いです。
このようにビジネスゲームをすることで、新入社員が今の自分の立場を客観的に見れるようになり、自分の立場や役割を認識しやすくなります。

財務諸表の読み方を理解する

財務諸表の基本を学んでもらうことも効果的です。財務諸表が読めるようになると、会社の財政状況や経営成績を自分で確認できるようになるためです。自組織の現状を数字の視点から確認することで、組織の一員として自分がやるべきことを考えたり、目標のためにすべきことを自ら考えられる状態を作れます
実際の財務諸表を使って講義とワークを交互に行うと初めて触れる人でも理解しやすいです。

これらの内容を伝えることで、会社とお金の関係を理解し、目標達成・コスト意識を持って仕事に取り組んでもらえるようにしましょう。

新入社員研修で目的に応じた会社の仕組みを伝える際に参考にしてみてください。

3)まとめ〜アーティエンスの新入社員研修で「会社の仕組み」を学びませんか?〜

本コラムでは、新入社員研修で会社の仕組みを伝えることが大切な理由と、研修で実施するときの具体的な伝え方や内容をお伝えしました。

新入社員研修で会社の仕組みを伝えることが大切な理由は4つあります。

・社員の一員であるという責任感を持ちやすくなる
・共創意識が生まれる
・目標達成・コスト意識が醸成される
・会社が目指している方向性と同じ方向を向けるようになる

会社の仕組みを伝えることで、会社の一員としての責任を持って、会社が目指している目的を達成するために主体的に仕事に向き合う姿勢を醸成できるため、新入社員研修で伝えることが大切です。

新入社員研修での会社の仕組みに関する学び方について目的別に紹介すると次のようになります。

目的①:会社の存在意義を理解する
・創業者・経営者によるストーリーテリング
・会社がある意味を考える時間の設置

目的②:会社の構造を理解する
・会社の部署について理解する
・会社と関連会社の関係について理解する
・経営方針の決まり方について理解する

目的③:会社とお金の関係を理解する
・会社のお金の流れについて理解する
・売上・費用(コスト)・利益について理解する
・財務諸表について理解する

新入社員研修で目的に応じた会社の仕組みを伝える際に参考にしてみてください。
なおアーティエンスでは会社の仕組みを伝えることに関する新入社員研修を実施しています。

社会人の自覚研修

目的

社会人になることを前向きに捉え、活躍・成長するための意識変革を促す

学びのポイント

社会人としての意識改革と、必要な3つの視点を学ぶ
「与えられる立場」から「与える立場」へと立場が変わることを改めて理解します。また、社会人として必要な「顧客満足の担保」「モラルの遵守」「周囲への貢献意識」の3つの観点を学びます。

社会人になることへの期待を持つ
社会人としての大変さや心構えを理解しながらも、楽しさややりがいといった一面も知り、社会人になることに対してワクワク感やポジティブな意識を醸成します。

リーダーシップ発揮の意識を持つ
自身の特性 (強み・可能性) を活かすことで、小さくても周囲へポジティブな影響を与えていけることを知り、主体性と当事者意識を高めます。

詳細はこちら

目標達成・コスト意識研修

目的

組織運営や自身にかかるコストを知り、目的達成意識を醸成する

学びのポイント

日々の活動において「コスト意識」を持つ
会社における自分自身の活動が、売上やコスト・利益にどうつながるかイメージを持ち、最小のインプット(投入)で最大のアウトプットやリターン(利益・メリット)を生みだそうという意識を持って行動します。

ビジネスパーソンとして必須な「数値の捉え方」を理解する
ビジネスパーソンとして持つべき「数値の捉え方」を身に付けます。「なんとなく」ではなく、数字に基づいた判断ができるよう、数値への感度を高めます。

「目標達成意識」を醸成する
組織として利益を生み出していくためには、共通の目標を持ち、一人ひとりの達成に向けた意識付けが重要であると理解します。

詳細はこちら

具体的な研修内容を知りたい方や、自組織の課題を解決できる内容なのかについて相談したい場合は、お気軽にお問い合わせください

会社の仕組みを理解してもらうことで新入社員が自分の役割を理解し、役割を全うしてもらえるようにしましょう。

研修でお悩みの方へ

研修は、内容次第で成果が大きく変わります。もしも現在、自社の課題を解決できる最適な研修を探しているのであれば、アーティエンスまでご相談ください。

新入社員研修から管理職研修、組織開発まで、お客様の課題解決にこだわり、多くの実績を生み出してきたプロフェッショナルが、貴社の課題にあわせた最適なプランをご提案させていただきます。

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