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[ コラム ]
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今の若手社員に『権利と義務』は通じない!『利用と貢献』で成長を促進
更新日:
「最近の若手社員は、権利ばかり主張して義務を果たそうとしない」
「『権利と義務』という言葉が、もはや通じなくなっている気がする」
そんな悩みをお持ちの人事や経営者の方も多いのではないでしょうか。
若手社員のキャリア観や価値観は、ここ数年で大きく変化しています。
SNSやさまざまな情報に触れる中で、「自分の生きたいように生きる」「合わなければ転職すればいい」という選択肢は、今や当たり前です。
昔のように「我慢してでも会社に尽くす」という考え方は響かなくなっています。
こうした背景から、かつて有効だった『権利と義務』というメッセージは、今の若手社員には響きづらくなっているのが現実です。
一方で、「好きにやればいい」というスタンスだけでは、若手社員はわがままに振る舞い、組織としても弱体化してしまいます。結果的に、本人自身の成長の機会も失われてしまうかもしれません。
今の若手社員に響くのは『権利と義務』ではなく、『利用と貢献』 という新しいコミュニケーションのあり方です。
「会社をどんどん利用して、成長してほしい。そのうえで、あなたはどんな形で組織に貢献できますか?」—— そんなメッセージが、若手社員の心を動かします。
この考え方は、社員と組織が対等な立場であり、お互いの成長と価値創出を目指す、これからの時代にふさわしいアプローチです。
本コラムでは、『権利と義務』の考え方を理解した上で『利用と貢献』をどう伝え、若手社員の成長とエンゲージメントを高めていくのか、具体的な方法を解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、若手社員一人ひとりが「この組織で成長できる」「ここで貢献したい」と感じる関係づくりのヒントを掴んでいただければと思います。
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。
目次
▼【解説動画】9分で分かる|【経営者・管理職必見】権利ばかり主張する社員には『○○と○○』を伝えて!
1. 社員の『権利と義務』は何か?
社員にとっての基本的な「権利と義務」とは、労働契約における賃金請求権と労働義務(労働力の提供)です。
労働契約法6条において労働契約とは、
「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」
と規定されています。この関係性が、労働者と会社との基本的な約束事です。
また、労働者には会社からの業務命令や人事権、懲戒権などを受け入れる義務や、信頼関係を保つための誠実義務(秘密保持義務や競業避止義務など)も求められます。
一方、会社側は安全配慮義務を負い、労働者はその配慮を受ける権利を持っています。
このように、「賃金を受け取る代わりに労働力を提供する」というのが、労働契約における社員の基本的な権利と義務です。
2. 今の若手社員に『権利と義務』は通用しない
今の若手社員には、従来の「権利と義務」という考え方だけでは響きません。
彼らは「自分のやりたいこと」や「ありたい姿」を重視しているためです。
昔と違い、今は「自分らしく生きる」「自分のキャリアを自分で選ぶ」という価値観が強く、転職やフリーランスといった選択肢も多く存在します。
そのため、「義務だから我慢する」「権利をもらったから働く」という関係性では、若手社員は納得せず、すぐに離れてしまうリスクがあります。
例えば「終身雇用」や「丁稚奉公」が一般的だった時代なら、『権利と義務』というメッセージでも社員は受け入れていました。しかし今は、SNSなどを通じて情報が溢れ、選択肢が増えたことで、若手は「いやなら他へ行く」という行動を取ることが当たり前になっています。
だからこそ、今の若手社員と信頼関係を築き、組織に貢献してもらうためには、『権利と義務』ではなく、『利用と貢献』という視点で伝えることが必要です。
3. 今の若手社員に響く新しい伝え方は『権利と義務』ではなく『利用と貢献』
今の若手社員には、『権利と義務』ではなく、『利用と貢献』という言葉でコミュニケーションを取ることが効果的です。
若手社員は「自分がどうありたいか」「何を実現したいか」を大切にしています。だからこそ、「自分の成長のために会社を利用してもいい」というメッセージは響きます。
一方で、貢献を問うことで、一方的な要求ではなく対等な関係性を築くことができます。
例えば、若手社員に対して
「あなたの成長のために、会社をどんどん利用してください。ただし、あなたは何で会社に貢献できますか?」
と伝えることで、社員は「会社に利用される側」ではなく、「自分も主体的に関わる存在」だと認識できます。
この考え方は、従来の「組織が強く、個人が弱い」という関係性から脱却し、組織と個人が対等なパートナーとして歩んでいくことを目指しています。
実際、最新の人材開発・組織開発の考え方でも、「カンパニーセンタード(企業中心)」から「ピープルセンタード(従業員中心)」 へのシフトが重要だと言われています。
カンパニーセンタード(企業中心) とは、
「会社の方針や目標に、社員が合わせるべき」という考え方です。
社員は「企業の一部」として、決められた役割をこなすことが重視されます。
一方、ピープルセンタード(従業員中心) は、
「一人ひとりの想いや強みを活かし、会社と個人が対等なパートナーとして成長する」という考え方です。
社員がどうありたいか、どんなキャリアを歩みたいかを尊重し、それを企業側もサポートしていきます。
欧米の企業ではすでに、このピープルセンタードの考え方が取り入れられ、個々人が「自分らしく働く」ことを前提としたマネジメントへと変わりつつあります。
この背景を踏まえると、『利用と貢献』という考え方は、今の若手社員だけに限らず、これからの時代に必要な関わり方だと言えるでしょう。
『利用と貢献』を伝えることは、決してドライな関係を生むものではありません。
むしろ、組織と個人が対等な関係であり、互いに選び合う時代であることを示す大切なメッセージです。
そしてそのためには、「言葉を変えるだけ」で終わらず、組織側も意識と行動を変えていく必要があります。
次の章では、『利用と貢献』を伝えながらも、若手社員のエンゲージメントを高めていく具体的な方法をご紹介します。
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4. 若手社員に響く『利用と貢献』とエンゲージメント設計のコツ
『利用と貢献』という考え方を伝えながら、若手社員のエンゲージメントを高めるには、エンプロイー・エクスペリエンス(従業員の経験価値)の質を高めることが大切です。
エンプロイー・エクスペリエンスとは、従業員が企業や組織の中で体験するすべての経験価値のことを指します。
単に「利用していい」「貢献してほしい」と言うだけでは、ドライな関係に終わってしまい、早期離職のリスクも高まります。
だからこそ、組織側が「ここで働き続けたい」と思えるような良質な経験の場を提供する必要があります。
質の高いエンプロイー・エクスペリエンスとは、以下のような経験を指します。
・仕事を通じた成長実感
・顧客や社会へのインパクトを感じる挑戦機会
・顧客から感謝され、自身の存在意義を感じる瞬間
・仲間とともに困難を乗り越える体験 など
こうした経験を積み重ねることで、社員は「自分がこの組織にいる意味」を見出し、エンゲージメントが自然と高まっていきます。
『利用と貢献』を伝えつつ、若手社員が「この組織で働き続けたい」と自ら選ぶ状態をつくるには、エンプロイー・エクスペリエンスの質を高めることが不可欠です。
結果として、仮に退職があった場合でも、良好な関係が続き、OB・OGの出戻り採用や紹介といった好循環も生まれやすいです。
5. まとめ~これからの時代に必要な「利用と貢献」の関係づくり~
本コラムでは、若手社員への向き合い方として、従来の『権利と義務』という考え方から、『利用と貢献』という新しいアプローチへの転換が必要であることをお伝えしました。
働き方も生き方も多様化が進む今、組織側も変わっていくことが求められています。
一方的に『義務』を課すのではなく、若手社員が「自分らしく成長できる場所」と感じられる関係性を築くことが重要です。
そのためにカギとなるのが、エンプロイー・エクスペリエンス(従業員の経験価値) の質を高めることです。
日々の仕事を通じて「成長できる」「誰かの役に立っている」と実感できる機会を増やすことで、若手社員は「この組織にいたい」と自ら選び、貢献し続けてくれるようになります。
エンプロイー・エクスペリエンスが良質であれば、たとえ一時的に離職があっても、OB・OGとして良好な関係が続き、再び戻ってくる“出戻り採用”の可能性も高まります。
これからの時代は、社員と組織が対等な立場で、お互いにとって価値ある関係を築くことが大切です。
ぜひ、『利用と貢献』の考え方を取り入れ、より良い組織づくりを進めていきましょう。
アーティエンスでは、こうした若手社員の意識変容と行動変容を促すために、「自身がどうありたいか」を明確にし、組織の中でその想いを活かすために2年目フォロー研修や若手社員(3~6年目)フォロー研修を提供しています。
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