2023/1/18作成ー
「ファシリテーターとして、実力を上げるには、何を勉強したらいいのか?」と考えて、本コラムにたどり着いたのではないでしょうか。
具体的にファシリテーターからお聞きする声としては、
などがあります。
ファシリテーターとしての活動を始めた方から、ある程度の経験を積まれている方まで、多くの方がファシリテーターとしての勉強方法に悩んでいます。
素晴らしいファシリテーターは学び続けていますが、彼ら彼女たちが何を学び、どのように実力をつけていったのか、そして今も何を学び続けているのかを、本コラムでお伝えしていきます。本コラムを最後までお読みいただくと、ファシリテーターとしての基礎的な力を身に付けるための勉強方法と、素晴らしいファシリテーターを目指すための勉強方法が分かります。
目次
ファシリテーターとして、勉強する必要があるものは、下記の3つです。
それぞれ詳しく説明していきます。
当たり前ですが、ファシリテーションスキルを学んでいく必要があります。何となく見よう見まねでファシリテーションを行っても、ファシリテートする場の目的・目標は達成できません。
例えば、会社の会議で発言数が少なく、このままでは新しいアイディアも出ず、対応策が分からないということが起きたとします。その時に、ファシリテーションスキルを知っていれば、場に応じた対応ができます。
具体的には
などさまざまな方法があります。そしてその場に適したものを選択することができます。 そのため、ファシリテーションスキルを学ぶ必要があります。
目的・目標などを決め、対話や議論が行える場創り
関係の質を高め、相互作用が起きるためのスキル
ロジカルシンキング等を用いて、可視化して構造化するスキル
コミットの高い意思決定を促すスキル
※ 当社資料より一部抜粋
自身がファシリテーターとして活躍するフィールドの専門知識を学んでいく必要があります。ファシリテーターは、専門知識がなくてもできるものでもあります。ただし、参加者が知識不足に陥ったときに、情報提供をすることで、場を促進することができるため、専門スキルは持っていたほうがいいでしょう。
例えば、人材開発・組織変革を扱うファシリテーターであれば、学習する組織・U理論・ティール組織の知識・哲学から、アプリシエティブインクワイアリー・オープンスペーステクノロジー・ワールドカフェのテクノロジーなどを学ぶ必要があります。
これらを学ぶことによって、人材開発・組織変革が上手くいっていない場合などは、学術的な情報を提示することで、対話・議論が活性化したり、探求・内省が進みます。自身の専門領域の知識を学ぶことで、より高い価値を発揮できるファシリテーターになることができます。
自身の専門知識も学んでいく必要があります。ファシリテーターの認知は、ファシリテーションする場にとても影響を与えます。だからこそ、ファシリテーターは、知的好奇心を持って、さまざまなことにアンテナを高めていくとよいでしょう。そうすると、自身が見えている世界が拡がり、よりファシリテーションする場に貢献ができます。
例えば、筆者は経営会議にもファシリテーターとして入ることがあります。その際、事前に会議で扱う内容を聴き、インプットしておいたほうがいい情報は積極的に収集します。先方の前提が分かったり、その場で渡せる問いなどの質も上がってくるためです。また、クライアントから情報提供がなくても、場に貢献できるための情報を、自ら収集しておきます。
普段から、自身の専門外のことでも、インプットする機会を作るといいでしょう。新聞や本などからの知識を得ることでもいいですが、外に出て専門家の話を聴く機会などを設けてもいいでしょう。自身の専門外の知識を学ぶことで、よりファシリテーションする場への貢献度合いは高くなります。
ファシリテーターとしての勉強方法は、下記の3つです。
それぞれ詳しく説明していきます。
自己学習でおすすめな方法は、「ファシリテーション・専門領域の本を読む(インプット)」を行い、「ファシリテーターとして実践し、内省する(アウトプット)」を行い、学んでいきます。
本は、先人の知恵が多くありますので、とても学ぶことが多いですが、実践しなければファシリテーターとして成長しません。また、ファシリテーションの難しさは、体験で学ぶものが多いです。自転車の乗り方を知っていても、実践しなければ乗れるようにならないのと同じです。
具体的な方法としては、本に関してはまずは基本的な本を読むとよいでしょう。数多く手を出すよりも、まずは一冊しっかり読み込み、実践するとよいでしょう。
実践からの内省に関しては、プロセスごとに振り返りをするとよいでしょう。
具体的には、下記のように進めるといいです。 ※ 下記は、一例になります。
この時に、KPTや「Good Point(良かった点)・Needimprove Point(改善点)」を使ってもよいでしょう。「ファシリテーション・専門領域の本を読む(インプット)」を行い、「ファシリテーターとして実践し、内省する(アウトプット)」を行い、学んでいくことで、自己学習の品質は上がっていきます。
下記図のように
です。 ※ 当社資料より一部抜粋
研修・勉強会の参加でおすすめな方法は、外部研修や勉強会を利用することです。
ファシリテーションスキルは、専門スキルになるため、専門家から学ぶほうが、より質の高い学習方法になります。また、自身の専門知識に関しても、最新のトレンドは社内だけで収集するには限界があります。専門機関に学びに行くことが必要です。
勉強会に関しても、外部コミュニティに参加することで、自身が所属している組織の常識では知ることのなかった情報に触れることが可能です。認知が広がる体験が、自組織にいるよりも高い可能性で発生し、知的好奇心に刺激を受けることができます。そして、学習効果は高まります。
具体的な方法としては、ファシリテーションスキルを習得するための公開講座に参加するとよいでしょう。自身の専門知識に関しては、ぜひご自身の周りの詳しい方に聞いてみるといいでしょう。可能であれば、紹介していただいた方に、紹介理由を聞いてください。その理由によって、参加するとよいでしょう。
・Be- Nature School : 夜間に数時間のコース等がある
⇒お試しで受講するには、お勧めの公開講座です。
・日本ファシリテーション協会 : 1日で簡単な体験を通しながら知識をインプットするコース等がある
⇒ベーシックスキルを知識として、インプットするには適している公開講座です。
・アーティエンス株式会社 : 一年かけて、基礎から応用まで学ぶコース
⇒ファシリテーターとして、実践で活用できるスキルを身に付けることを目的としている公開講座です。
実践でのチーム学習でおすすめな方法は、同じ組織に所属するメンバーと、ファシリテーションを行った場の振り返りや、定期的な内省の場を設けることです。
なぜなら、社内の状況も分かっていることから、具体的なアドバイスやフォローが可能になります。同じ会議やワークショップに参加しているメンバーがいると、より振り返りの質が高まります。
この振り返りの際には、会議やワークショップが終わった後に、KPT(Keep・Problem・Try)や「Good Point(良かった点)・Needimprove Point(改善点)」を使うとよいでしょう。定期的な内省の場では、数カ月に一度ファシリテーターとしての活動を内省し、今後のアクションを考えるとよいでしょう。
数カ月の振り返りの際の一例をご紹介します。
このように、同じ組織に所属するメンバーと、ファシリテーションを行った場の振り返りをすることで、より実践レベルで必要なスキルや、ファシリテーターとしてのあり方を学ぶことができます。
本コラムでは、ファシリテーターとしての基礎的な力を身に付けるための勉強方法と、素晴らしいファシリテーターを目指すための勉強方法を学んでいただきました。
具体的には
です。
「ファシリテーターは、何を勉強したらいいのか?」では、下記3点を学びました。
「ファシリテーターは、どのように勉強したらいいのか?」では、下記3点を学びました。
今回ご紹介したファシリテーターとしての勉強方法ですが、ファシリテーターの活動を始めた方であっても、経験が豊かなファシリテーターでもあっても、必要なアプローチです。
素晴らしいファシリテーターは、学び続けます。ファシリテーターは、促進者と言われるように、物事を前に進めるお手伝いをする存在です。
「前に進む」ということは、時には大きなチャレンジが必要になったり、自己否定などが起きることもあります。その時に、ファシリテーターの存在はとても重要です。そのファシリテーターが学びを止めて、現状に満足しているようでは、クライアントからの信用・信頼は得られません。そして、周囲にポジティブな影響を与えることはできないでしょう。
本コラムを通して、ファシリテーターとしての勉強方法だけではなく、学び続ける重要性も知っていただければ嬉しく思います。ファシリテーターの勉強方法に関して、何かあればお気軽にご連絡ください。
・1年間かけて、ファシリテーションのベーシックスキルを学び、身に付ける
・経験豊富な講師や他の仲間と共に、ファシリテーターとは何かを、1年間学び続ける
それぞれ詳しく説明していきます。
ファシリテーションスキルは、簡単には習得できません。ファシリテーションスキルが身に付いていなければ、ファシリテーターになったとは言えないでしょう。そのため、1年間かけて、研修と実践を通して学んでいきます。さらに、サーベイを行うことで、より学びを深めていきます。アーティエンスでは、具体的に下記内容を学んでいきます。
研修名 | 目的 | 対象層 | 日程 |
---|---|---|---|
ファシリテーター育成コース ファシリテーターとは何者か? | ファシリテーターとして、必要なあり方と、ベーシックなスキルを学ぶ | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 7/18(火)9:00~18:00 |
ファシリテーター育成コース 会議体・勉強会のデザインを学ぶ | 会議体・勉強会の具体的なデザイン・進め方を学ぶ | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 8/22(火)13:00~17:00 |
ファシリテーター育成コース 自身のファシリテーターの特性を知る | 自身のファシリテーターとしての強み・弱みを知る | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 9/19(火)13:00~17:00 |
ファシリテーター育成コース 場のホールドの仕方を学ぶ | 場の創り方、観察の方法、介入方法を学ぶ | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 10/17(火)13:00~17:00 |
ファシリテーター育成コース 相互作用の創り方を学ぶ | 共創・協働を育む方法を学ぶ | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 11/21(火)13:00~17:00 |
ファシリテーター育成コース リフレクション・アンラーニングを学ぶ | 自身のファシリテーションを振り返り、意味づけを行う | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 12/19(火)13:00~17:00 |
ファシリテーター育成コース 議論を構造化する方法を学ぶ | ロジカルシンキングを通して、議論を構造化する方法を学ぶ | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 24/1/23(火)13:00~17:00 |
ファシリテーター育成コース 意思決定の扱い方を学ぶ | 合意形成のプロセスを知り、意思決定の方法を学ぶ | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 24/2/20(火)13:00~17:00 |
ファシリテーター育成コース 自身の課題と向き合う | 自身の適応課題を知り、ファシリテーターとしてどう扱うかを探求する | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 24/3/19(火)13:00~17:00 |
ファシリテーター育成コース 自身の内的システムを捉える | 自身の内的システムと、世界がつながっていることを知り、さらにファシリテーター・人としての変容を促進する | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 24/5/21(火)13:00~17:00 |
ファシリテーター育成コース ファシリテーターとしてのリビジョンを行う | 1年間の自身の成長を実感し、ファシリテーターとしての新しい旅に出る | 人事 管理職 組織変革に携わる方 | 24/6/18(火)9:00~18:00 |
※ アーティエンス株式会社 ファシリテーター育成コースのスケジュール
研修を学んで終わりではなく、現場で実践していくために計3回のサーベイを行い、自身のファシリテーションスキルを内省します。
(サーベイイメージ)
※ 当社資料より一部抜粋
サーベイの問いは、下記システムより設定しています。
※ 当社資料より一部抜粋
ファシリテーターは、促進者と訳されるとおり、ファシリテーター本人は何も決めませんし、目立つ存在ではありません。最も素晴らしいファシリテーターは、「何もしない」ファシリテーターと言われるくらい自身の存在を小さくしていく必要があります。そのため、時にはとても孤独になります。
そして、ファシリテーター本人がファシリテーションを行った場にどれだけ貢献できたかは、独りでのリフレクション(振り返り)では限界があります。そのため、仲間と共に内省・学習することで、ファシリテーションスキルの習得度合いが高くなります。
また、その時に、経験豊富なファシリテーターがいることによって、現場で起きたことに対して適切なフィードバックも可能になります。
2023年度のファシリテーター育成コース公開講座の講師は、組織変革ファシリテーターとして経験豊かな当社代表の迫間が登壇する予定です。
下記コラムに、迫間が登壇した事例を記載しています。場が荒れた際の事例もありますので、よければこちらもご覧ください。
アーティエンスの公開講座で、経験豊富な講師や他の仲間と共にファシリテーションスキルやファシリテーターとは何かを学び続けませんか?