研修・セミナーレポート

2025年8月26日 若手社員フォロー研修1日目ー公開講座研修レポート

本内容は、2025年8月26日に開催した「若手社員フォロー研修 1日目」の公開講座研修レポートです。
受講内容や、受講前と後の変化をまとめています。

1)研修概要

全2回の若手社員フォロー研修の1日目として、導入セッションを行いました。

若手社員フォロー研修の目的

視座を高め、後輩やチーム全体へのポジティブな影響を増やすことを目的に実施しています。

若手社員は、中堅社員になるために視座を高めて一皮むける成長が望まれます。自身の存在がポジティブにもネガティブにも、組織の今と未来に影響を与えているということ、認知することが必要です。
認知をしたうえで、自身のありたい姿と、組織のビジョンを統合・融合し、自身と組織の未来が明るくなるために、どのような存在になっていくかを探求します。

若手社員フォロー研修での学びのポイント

メタ認知するための内省

直近3年間の振り返りを、「世の中・自組織・自分自身」の軸で振り返ります。フラットに世の中を見た上で、その後自分自身の振り返りをチームメンバーと共に行うことで、良質な内省を行っていきます。

適応課題への対応

サーベイ結果を通して、自身の適応課題(技術や他者のサポートがあっても、自分が変わらないと解決しない課題)を探求し、対応方法を考えていきます。

精神的成長を促すためのアクションプラン

人としての成熟度を高めることへの意識が高まります。その上で「自身がどう変わっていくか、そのことが周りにポジティブな影響を与えるか」を考えて、アクションプランを考えます。

若手社員フォロー研修のアジェンダ

  • チェックイン
  • 事前ワークのインタビューのシェア
  • 素晴らしい3年目社員/そうでない3年目社員の考察
  • 3年間の振り返り①
  • 3年間の振り返り② ストーリーテーリング
  • 目を背けたい課題を見る(技術的問題と、適応課題)
  • OST : 適応課題を乗り越えていくための探求
  • チェックアウト

2)受講者の研修の始めと終わりでの変化

 

イントロダクション : 研修開始時のコメント

研修開始時、受講生からは下記のようなコメントがあがっていました。

・最近、仕事がひと段落しましたが、これからは大きな挑戦が待つ3年目に入るので、気を引き締めたいと思っています

・久しぶりに研修で顔を合わせる方もいて、「またこの時期が来たな」と実感しました

・研修そのものが久しぶりで、どんな雰囲気だったか少し感覚を忘れてしまっているところもあります

・最近は新しい部署に異動し、新入社員と一緒に学ぶ機会も増えました。仕事内容や学ぶ内容は同じでも、3年目としての心構えを意識しながら取り組んでいきたいです

振り返り : 研修終了時のコメント

研修終了時の受講生の発言や終了後のアンケートでは、下記コメントがありました。

・過去に経験した壁を振り返った際に、その経験が少なからず自分の糧になっているということに気がつきました

自分が感じていた不満は全て現状のせいというわけではないことに気がつきました。自分にも解決できる一端があり、現状が変わるかはわからないが、少なくとも自身の不満が少し解消されるという気づきと期待を持っています

・仕事へのモチベーションについて悩むこともありますが、今日話をする中で、楽しんで仕事ができていることを再実感し、前向きな気持ちになれました

・自分自身の成功体験や大きな壁について普段あまり考えてこなかった為、自分を見つめなおす良い機会になりました

研修を通じて「過去の経験が自分の糧になっている」「仕事に前向きに取り組める」といった気づきや成長実感が得られたようで、仕事への前向きな姿勢を感じられました。

3)研修での受講生の動き

事前ワークのインタビューのシェア

事前ワークとして実施した、上司・先輩・お客様へのインタビューワークの内容を振り返り、受講生同士でシェアしました。

グループ内では以下のようなコメントがありました。

【参加者コメントの一部】

・時間が経つにつれて、業務範囲が広がっているのを実感している。周りの先輩がよく見てくれていて、本当にありがたいなと思うし、自分も先輩たちの役に立っていきたいと感じている。

・年次として求められるレベルには到達していると言われたけど、仕事の振り方やコミュニケーションには課題あり。裁量を持って一人で進めるのはできるけど、誰かと一緒に進めるときに前提を共有せずに話してしまって雑になることがある。ここは訓練が必要だと思う。

・自分から話を聞いて要件をまとめたり、質問にしっかり答えてコミュニケーションを増やした点は「いいね」と言ってもらえた。意識して取り組んでいたところだったから、ちゃんと見てくれているんだなと感じられて嬉しかった。

先輩方への感謝と、自分の課題に真摯に向き合おうとする姿勢が伝わってきました。

素晴らしい3年目社員/そうでない3年目社員の考察

「素晴らしい3年目社員/そうでない3年目社員ってどんな感じなんだろう?」を考えて、グループで対話を行いました。

※アウトプットの一部

ワーク中や対話の中では、次のようなコメントがありました。

【参加者コメントの一部】

・当事者意識や責任感を強く持つことが必要かなと思う

・後輩という言葉が結構多くなってきたと感じた

・素晴らしい状態になれたらいいけど、すごい人すぎて自分には難しい感じもする

・3年目ってもっと仕事ができていると思っていた。会社の製品も、知れば知るほど難しくて、まだまだだなと思う

理想と現実の差や、実現可能性などリアルな視点を持って対話していた様子が印象的でした。

3年間の振り返り①

入社した年から現在までの3年間に起きた出来事を客観的に振り返りました。

※アウトプットの一例

 

ワークや対話を通じて、下記のコメントがありました。

【参加者コメントの一部】

・業務面での大きな出来事があまり思いつかなかったので、自分のアクションが足りないのかなと思った

・過去のことを結構忘れているなと思った

・2年目くらいから会社の出来事が増えていっていたので、忙しくなっていたんじゃないかなと思った

・思い出したくないことも結構あった

・先輩社員と関係性構築ができていたために、先輩の退職が自分にとって重大だったと感じた

今の自分から一歩離れ、高い視点で自分を見つめ直せていました。

3年間の振り返り② ストーリーテーリング

自らの強み・可能性を探求するために、振り返りシートをもとに、入社してから3年間の中で最も大きな壁を乗り越えた瞬間を思い出しながら振り返りました。

シートを作成後、ご自身のストーリーをグループにシェアしフィードバックし合いました。

【振り返りワークシェアの様子】

【個人へのフィードバック(一部抜粋)】

自身の経験を改めて振り返ることで新たな気づきを得たり、他者からのフィードバックを通じて学びを深めたりしていました。

目を背けたい課題を見る(技術的問題と、適応課題)

次に「成人発達理論」の枠組みを基に、技術的問題と適応課題について自身と向き合う時間を設けました。個人ワークで自身の課題と向き合った後に、グループで対話を行います。

【テキストの一部抜粋】

その後、適応課題を乗り越えていくために、何を探求したらいいのだろう?私たちが、今できることは何だろう?について自身と組織に対して持っている課題意識を考え、全体でシェアしました。
これらの課題について、次のOSTでアクションプランを考えます。

OST : 適応課題を乗り越えていくための探求

これまでのワークを通して得た気づきをもとに、最後はOST(Open Space Technology)という手法を用いて、適応課題をいかに乗り越えるのかを探求し、アクションプランを考えていきました

※今回のOSTは簡易版であり、本来の基本的な形式とは異なる形で実施しています。

※OSTとは、数人から数百人が一堂に会し、参加者全員が主体的に話し合うことで、組織や立場を超えた問題解決を促すファシリテーションの手法です。1985年にハリソン・オーエン氏によって提唱されました。

参加者が今自分が心から話し合いたいことをテーマとして持ち寄り、最終的に3つのグループに分かれて対話をし、以下のアウトプットが出てきました。

1.あふれる業務量をこなしていくために

【講師コメント】
リアルな課題に対して、具体的な提案を出してくれている点がとても良いと思います。

方法の一つとして「タスクを拒否する」とありましたが、業務そのものを拒否するのではなく、自分の状況を正しく伝えるアサーティブ・コミュニケーションを意識しましょう。相手にただ助けを求めるのではなく、一緒に解決策を探す姿勢を持つことが大切です。

また、「使えるものはなんでも使う」という対策も、これからの時代を生き抜くうえで必要な考え方です。ただし、すべてをAIに任せてしまうと、自身の思考力が低下する可能性があります。自分で考える部分とAIに頼る部分を切り分ける工夫をすることで、より健全に活用できるでしょう。

2.人に頼る、教えることの難しさ

【講師コメント】
新人の前で上司が自然に頼る姿を見せることは、心理的安全性を高め、「相談しやすい雰囲気」をつくる点でとても有効です。
ただし、単に頼るのではなく、一緒に解決していこうとする相談のスタンス(アサーティブ・コミュニケーション)が重要です。

また、「相手が自ら気づけるように促す姿勢」を持っている点は素晴らしいです。
さらに「個人の大変さ」と「チームの成長」を統合して考えている点も非常に優れています。

ここからさらに一歩進めるなら、視野を「チームをつくる」から「組織をつくる」へと広げてみてください。より大きな枠組みで自分の言動を捉え直すことで、日々の関わり方や発言の意識がさらに変化し、影響力が一段と高まっていくはずです。

3.仕事との適切な距離感

【講師コメント】
人の欲求は大きく、欲求・達成・人間関係・没頭・意義の5つに分けられると言われています。
自分がどの欲求を強く持っているかを理解していると、力を入れるべきポイントが見えやすくなります。これは、仕事を「与えられるもの」として受けるのではなく、自分でコントロールするものとして捉えるための大切な視点です。

あわせて、人生において仕事とは何か?という意味づけも考えてみてほしいと思います。

その答えを意識することで、仕事への向き合い方や楽しみ方、時に苦労の受け止め方まで、より前向きに変わっていくはずです。

参加者の皆さんがリアルな課題を真剣に持ち寄り、互いの経験や視点を重ねながら具体的な解決策を模索していた姿がとても印象的でした。

今回作成したアクションプランを小さくても実際に試してみることで、新しい学びや次の成長につながります。ぜひ現場で実践し、手応えを積み重ねていってほしいと思います。

4)講師・アテンド所感

今回の研修では、入社してからこれまでの経験を深く振り返り、自身の成長を自覚するとともに、自分の強みや弱み、そして自分の中にある価値観にフォーカスを当てていきました。

この3年間の中では、大変なことも数多くあったと思います。しかし、その一つひとつの積み重ねこそが、今の皆さんの素晴らしさを形づくっているのだと感じます。

成長には大きく「技術的成長」と「精神的成長」の2つがあります。

技術的成長は成果やスキルとして目に見えやすい一方で、精神的成長は外からは見えにくく、評価もしづらいものです。ですが、若いうちから精神的成長に意識を向けておくことは、将来において大きなインパクトをもたらします。

自分が人として組織にどんな影響を与えるのかを考え続けることで、その影響はやがて自分に大きな形で返ってくるでしょう。

次回、約半年後の2日目の研修で、さらに成長した皆さんの素晴らしい姿を拝見できることを、心から楽しみにしています。