自分も部下も守る!ハラスメント研修べき8つの内容

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「ハラスメントの研修の実施を検討しているけど、具体的な内容がイメージしきれず上司に提案ができない…」
このようなお悩みをお持ちの方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

ハラスメントは近年大きくなった問題であり、人事や経営層がハラスメント研修を受けたことがない場合も多いでしょう。
そのため、ハラスメント研修でどのようなことを行うのかをイメージしきれず、ハラスメント研修を実施する意味を理解しきれない方もいらっしゃいます。

しかし、ハラスメントの問題は日々の仕事の中で誰にでも起きる身近な問題になっており、ハラスメントに関する知識が少しあるだけでも問題を防げたり、助けを求められるようになります。

また、職場におけるパワーハラスメントについては、大企業は令和2年6月1日から、中小企業は令和4年4月1日から防止措置を講じることが義務付けられています。(労働施策総合推進法)

そこで本コラムではハラスメント研修の目的や扱う内容について具体的に紹介します。ハラスメント研修の重要性を理解し、防止措置に向けて動き出せるようにしましょう。

アーティエンスで実施しているハラスメントに関する研修

ハラスメント研修
リーダーのためのアンコンシャスバイアス・トレーニング

執筆者プロフィール
森川 友晴
チェリッシュグロウ(株)代表。業界歴15年以上。大手外食チェーンにて店舗業務、人事部、教育部などを経験した後、アルー(株)に転職。研修教材やコンテンツ開発のマネジメントを行う。 現在は、研修講師、中学高校や企業のカウンセラーとして企業と個人の支援を行っている。

専門性:インタラクショナルデザインコーチング、キャリア開発、メンタルヘルス/レジリエンス

1)ハラスメント研修の目的

ハラスメント研修の目的は、ハラスメントが起きないことで、社員が安心して仕事に取り組める環境を作ることです。社員が仕事に取り組み、成果を出すためには、安心して仕事をできる環境が不可欠だからです。

ハラスメントの加害者となる人はハラスメントをしている自覚を持っていない人もいるため、基本的なハラスメントの知識や、ハラスメントによって起こるネガティブな影響を知ってもらうことで、自分の言動を改めてもらうことが必要です。
また、昔の時代であれば普通だったことが、今の時代はハラスメントとして扱われることもあるため、価値観の違いを知ることも必要です。

ハラスメント研修によってハラスメントの知識を得て、自分の言動を見直してみたり、相手の気持ちを考える意識を持つことで、ハラスメントを予防し、社員が安心して仕事に取り組める環境を作れるようになります

2)ハラスメント研修で扱う内容例

ハラスメント研修で具体的にどのような内容を扱うのかを紹介します。

2-1.ハラスメントの現状を理解する

ハラスメントの現状について理解します。現状を理解することで、ハラスメント問題を客観的に理解できるようになるためです。

ハラスメントの現状については「令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、パワハラ、セクハラおよび顧客等からの著しい迷惑行為について、過去3年間での勤務先での経験有無・頻度を聞いたところ、各ハラスメントを一度以上経験した者の割合は、パワハラが31.4%、顧客等からの著しい迷惑行為が15.0%、セクハラが10.2%となっています。

令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査より引用

過去5年間に就業中に妊娠/出産した女性労働者の中で、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、26.3%でした。

令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査より引用

また、過去5年間の妊娠に至る前に、勤務先で妊娠・出産等に関する否定的な言動(いわゆるプレマタハラ)を経験したと回答した者の割合は17.1%でした。

令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査より引用

そして、過去5年間に勤務先で育児に関わる制度を利用しようとした男性労働者の中で、育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、26.2%でした。

令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査より引用

なお、ハラスメントを受けた後の行動として、顧客等からの著しい迷惑行為では「社内の上司に相談した」の割合が最も高かったですが、パワハラ、セクハラに対しては「何もしなかった」の割合が最も高く約40%となっています。

令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査より引用
これは日本組織全体の数字ですが、組織として提示できる数字(ハラスメントの相談件数など)があれば、その情報も伝えると良いでしょう。事実としてハラスメント問題が起きていることを自覚し、ハラスメント問題を学ぶ意欲が強まります

2-2.ハラスメントの定義とブラックとグレーゾーンを理解する

ハラスメントの定義を理解しておくことが必要です。定義の認識が合っていないと、ハラスメントが起きていてもハラスメントだという認識ができなくなるためです。

ハラスメントを翻訳すると、人を困らせること、嫌がらせ、という意味になります。つまり、ハラスメントとは、ある人やグループに対して不快や不利益を与えるような言動をとることを指します。

例えば、上司が仕事を依頼しやすい部下ばかりに仕事を与えて、他の部下へはあまり仕事を依頼しない状態があるとします。その際に、上司は意地悪しているつもりではなくとも、そのことで部下が差別されているような不快さを感じたらハラスメントになるということです。

このように意図せずともハラスメントになってしまっている可能性も多々あります。不快や不利益を感じるボーダーラインは個人によって異なり、ハラスメントとなる言動を明確にしきれないところがハラスメント問題の難しい点です。

ただ、ハラスメントには「処分対象」と「そうでないが不快であるもの」というブラックとグレーゾーンがあります

受け手が不快を感じたら全て処分対象になるわけではなく、処分対象のハラスメントか否かは一定の客観性も求められます。この客観性でポイントとなるのが「業務範囲」か否かです。客観的に見て業務範囲を超えた行為は処分対象でブラックとなる場合が多いです。

例えば、仕事上のミスを指摘することは業務上必要です。一方で、その時に「若いやつは」「母子家庭が」などと業務と関係がない要素を指摘に持ち込むのは業務範囲内とはいえません。
また、工場などで大声を出す・身体を抑える行為は、事故を防ぐための緊急対応として必要な場合もあります。一方で、通常の指導の際に大声を出すとか、暴力的な行為は業務範囲内とは言えません。

このように、ハラスメントには「処分対象」と「そうでないが不快であるもの」というブラックとグレーゾーンがあります。これらを判断する際には業務範囲を超えた行為か否かの客観性が必要となります。

社員の中には、不満や嫌いという感情を持った際にハラスメントを受けたと訴える人もいます。しかし、客観的に見たときに違和感がなく、また業務範囲に問題ない内容であれば、ハラスメントとは言えません。ハラスメント研修を実施する際は、自分が嫌な気分になったというだけでハラスメントにはならないことも伝えて理解してもらいましょう。

業務範囲内かどうかは、様々な要因を鑑みて判断されます。詳しくは判例などを読み、自社の状況に照らし合わせたり、専門家と話し合うことをお勧めします。

【参考】ハラスメントの裁判例の参考サイト
裁判例を見てみよう|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト

2-3.ハラスメントの種類を知る

ハラスメントにどのような種類があるのかを知っておくことも必要です。対策を考えやすくなるためです。

今回は職場で起こりやすいハラスメントを16個紹介します。

ハラスメントの種類 概要
パワーハラスメント(パワハラ) 上司や同僚が権力を濫用し、他者に対して不当な圧力や攻撃を行うこと
モラルハラスメント(モラハラ) 道徳的な価値観に基づく嫌がらせや不当な圧力を与えること
テクノロジーハラスメント(テクハラ) ITスキルに弱い相手に不快や不当な影響を与えること
リモートハラスメント(リモハラ) 電子メール、ビデオ会議、チャットなどで相手に不快や不当な影響を与えること
リストラハラスメント(リスハラ) 企業の再編などの理由で、従業員を退職に追い込むこと
カスタマーハラスメント 顧客が従業員に対して行う不適切な行動や言動のこと
就活ハラスメント 就職活動中に受ける不当な扱いや圧力のこと
ジェンダーハラスメント(ジェンハラ) 性別に基づく差別や不当な扱いをすること
セクシュアルハラスメント(セクハラ) 性的な言動や行動により、相手に不快や不当な影響を与えること
マタニティハラスメント(マタハラ) 妊娠や出産、育休によって、差別や不当な扱いが行われること
パタニティハラスメント(パタハラ) 男性が産休や育休をとることによって、差別や不当な扱いが行われること
エイジハラスメント(エイハラ) 年齢に基づいて差別や不当な扱いを受けること
ケアハラスメント(ケアハラ) 家族の介護で早退したり休むことに対して不当な圧力や嫌がらせが行われること
アルコールハラスメント(アルハラ) アルコール飲料を無理やり飲ませるなどの嫌がらせや問題行動をすること
カラオケハラスメント(カラハラ) カラオケで無理やり歌わせるなどの嫌がらせや問題行動をすること
ソーシャルハラスメント(ソーハラ) SNS上でいいね!を強要するなどの嫌がらせや問題行動をすること

これらのハラスメントは職場でよく起きるハラスメントです。組織としてはこれらのことが起きていないか注意深く意識しておく必要があります。

また、ハラスメントの中でもよく起きるものはこのように種別化されていますが、これに当てはまらなければ問題ない、というわけではありません。あくまでも受け手が不快を感じたらそれは少なくともグレーゾーンのハラスメントには該当しています。今回紹介したハラスメントには当てはまらないからハラスメントではない、という誤解が起きないようにしましょう。

2-4.ハラスメントによる影響やリスクを知る

ハラスメントによる影響やリスクを知ることも重要です。ハラスメントによってどのようなネガティブな影響があるのかを知ると、防ぐことの大切さを実感するためです。

ハラスメントによる影響とリスクとして次の6つのことが挙げられます。

①組織に対する法的責任

ハラスメントが職場で起きた場合、加害者を雇用していた企業も、安全配慮義務違反(労働契約法5条)や使用者責任(民法715条1項)に基づき、被害者に対する損害賠償責任を負う可能性があります。ハラスメントが刑法上の犯罪に該当する場合は、企業や管理者が刑事罰を受ける可能性もあります。

②世間からのイメージダウン

世間から社会的責任を果たせていない組織だと見なされて組織のイメージが低下し、このことが将来の成長や存続にも影響することとなります。

③組織への不信感の向上

安全で健全な労働環境を提供できない組織に対する信頼感がなくなり、組織への不信感から転職する人が増え、今後の人材獲得が難しくなります。

④離職率の向上

ハラスメントの被害者はもちろん、従業員も組織に対する不安や不信感を感じ、他社への転職を検討するようになります。

⑤社員の被害

ハラスメントを受けた社員は心身の体調を崩し休職せざるを得ない場合があります。また、精神疾患を発症してしまうこともあります。
周囲の社員は被害者の休みによって急な職務変更が起きたり、仕事の分量が増えることがあります。

⑥生産性の低下

ハラスメントによるストレスや不安が業務に影響を与え、パフォーマンスが落ちます。また、職場の雰囲気が悪化し、協力やチームワークが崩れることもあります。

ハラスメントによってこのようなネガティブな影響を組織や社員に与えることがわかると、ハラスメントを起こさないように意識する必要があることがわかります

2-5.ハラスメントが起きる原因を知る

ハラスメントが起きる原因を知ることも重要です。原因がわからないと対策をしきれないためです。
ハラスメントが起きる原因として次の6つのことが考えられます。

①権力構造

組織内で特定の個人やグループが支配的な地位にある場合、その権力を濫用し、弱者を対象にハラスメントが発生する可能性が高まります。

②ハラスメントについての教育不足

従業員や管理職がハラスメントについて正確な理解を持っていない場合、自身の言動がハラスメント視点で問題がないかを考えた言動をできないためハラスメントが起きやすくなります。また、ハラスメントに対する適切な対応方法を知らないと、ハラスメントへの対処も遅れてしまいます。

③コミュニケーション不足

コミュニケーションがない職場では誤解や不満が蓄積し、お互いにストレスや不満を抱えやすくなったり、認識の違いが起こりやすくなるため、ハラスメントとして表面化します。

④個人の価値観の理解不足

個人の異なる価値観に理解を示さず、自身の価値観の押し付け合いをになると、ハラスメントが起きる原因となります。

⑤アンコンシャス・バイアス

アンコンシャス・バイアスとは無意識の偏見のことで、特定のグループに対して偏見的な態度を持つことを指します。無意識に偏見的な態度をとってしまうため、ハラスメントの原因となりやすいです。

⑥社員へのフォロー制度不足

社員への十分なサポートやフォローアップがない状況では、自分にとって嫌なことが起きていることを伝える機会がないため我慢し続けてしまい、ハラスメントとして現れるようになります。

これらの要因が同時に存在する場合、ハラスメントが起きる可能性が高まります。これらの状態が生まれていないかを確認し、片鱗が見えている場合は問題に対する予防策を検討しましょう。

2-6.自分と自分の部下が加害者にならないための方法を知る

自分と自分の部下が加害者にならないための方法を知ることも大切です。具体的な方法を知ることでハラスメントを未然に防ぐための対策をしやすくなるためです。

アーティエンスのハラスメント研修では、自分と自分の部下が加害者にならないための方法として次の5つのことをお伝えしています。

①適正な業務範囲を知る

自分の業務範囲を改めて確認することが大切です。業務範囲を超えた言動をしていないかについてあたらめて確認し、自分の言動を見直すきっかけとなるためです。

特に部下育成については業務範囲の言動をとっていないか改めて自身を見直してみると良いでしょう。部下育成は、部下の成長を促すことを業務として求められていますが、だんだんと自分の手下のような存在という認識になっている場合もあります。このような認識になると、言動にも現れやすく、相手に不快感を与えている可能性があります。
また、部下へ指導の際に、自分のイライラによって怒鳴るというのも、適正な業務範囲を超えています。

このように自分の業務範囲をあたらめて確認することで、自分がそれ以上のことをしてしまっていないか気づくきっかけとなります

②自分のマネジメントを開示し、お互いにフィードバックする環境を作る

自分のマネジメントを開示し、お互いにフィードバックする環境を作ることも一つの方法です。部下に対してどのようなコミュニケーションスタイルや期待を持っているのかを明確に伝えることで、部下が適切な行動を取りやすくなるためです。また、互いにフィードバックを伝え合うことでお互いに改善し合えるようになります。
フィードバックとしてこまめにお互いの要望を伝え合えると、ハラスメントにつながるトラブルをなくしていけます。

このように自分のマネジメントを開示し、お互いにフィードバックを行える環境を作ることで、オープンなコミュニケーションを促進でき、トラブルの元をなくせるようになります。

③価値観の違いを認識する

価値観の違いを認識することも大切です。自分の言動に対して相手はどのように感じるかを考えきれていないことによってハラスメントが生まれるためです。

価値観の違いを認識するためには、自分が大切にしている価値観を考えて、その内容をシェアするワークを実施するのも一つの方法です。シェアすることで自分と他者が大切にしている価値観が異なることに気づけます。MBTIのような性格検査を含めたワークを行い、性格の違いによる「モノの見方」の違いや、お互いの葛藤の起きやすい場面を知るのも方法の一つです。

他にも、お互いの価値観を知るためにインタビューする機会を作ることも一つの方法です。普段の会話の中で価値観に触れる話をするのが難しいためです。
例えば、アーティエンスではお互いに大切にしている想いや背景を理解し合うことを目的として相互インタビューを行っています。価値観を知るための質問をあらかじめ用意しておいて、インタビュー者はその内容をそのまま尋ねます。そのようなルールにしておくことで、個人的には聞けないような質問もしやすくなります。

相手と会話するのが難しい状況であれば、その年代の社員が育ってきた環境と特徴を考えることも方法の一つです。価値観は育ってきた環境によってつくられることが多いためです。もちろん人それぞれ持っている価値観は異なりますが、相手を知る手掛かりになります。

このように価値観の違いを認識することで、自分と他者がそれぞれ異なる考え方を持っていることに気づき、相手の立場に立って考えようと意識できるようになります

④周りから見られていると思うこと、周りから見られる状況を作る

周りから見られていると思うことや、周りから見られる状況を作ることも方法の一つです。周りから見られていると感じることで、自分の行き過ぎた言動を止めやすくなるためです。

例えば、部下にミスを注意する際には、周囲から全く見られない個室で行うのではなく、周囲の人が見えるけど周囲の人からは少し離れた場所で行うようにすると、少し冷静になって伝えられるかもしれません。(なお、大勢の前で叱るという言動は、ハラスメントとなりかねないため注意が必要です。)

自分で感情的になると強く言い過ぎてしまう、と自覚をしている場合は、周りからの視線を感じる場所でミスの注意をするように意識すると良いでしょう

⑤すぐに相談する

誰かと話しているときに辛そうにしている社員を見つけたら、その状況を周囲に相談することも一つの方法です。相談することで、ハラスメントを未然に防げる可能性があるためです。

例えば、上司のAさんとその部下のBさんが話しているときに、Bさんが他の人にはしないような不快な表情をしていることに気付いたとします。そうしたら、その時点でBさんに声をかけて事情を聞いたり、相談してみるように促したり、代わりに相談したりすると、現状確認やフォローをしやすくなります。
相談先としては、自分が信頼できる人か、会社が開設している相談窓口が良いでしょう。

このようにすぐに相談をすることもハラスメントを起こさないようにするための方法です

このような方法を知ってもらうことで、自覚がないうちにハラスメントの加害者になることを防げます。

2-7.ハラスメントにならないコミュニケーションの取り方を考える

ハラスメントにならないコミュニケーションの取り方を考えることも必要です。ハラスメントを起こさないようにできるためです。

ハラスメントにならにコミュニケーションとは、相手に不快を与えないコミュニケーションです。考えるための方法として例えば次の2つの方法があります。

①ロールプレイングして対話

お互いに自分以外の誰かになりきってロールプレイングを行うことで、会話を客観視しやすくなり、改善点を意識できるようになります。
例えば、「こうやって言われると怖いかも…」とか「これは言い過ぎだよね」などの感想が出てくると同時に、自分も同じようなことを言っていたかもしれないと気づくこともあります。
一度自分から離れて別の人としてコミュニケーションをとることで、会話の内容を客観視でき、自分のコミュニケーションについて見直せるようになります

②アサーションを学ぶ

アサーションを学ぶのも一つの方法です。アサーションとは、相手を傷つけずに自分の主張を行うコミュニケーション方法です。
アサーティブなコミュニケーションを身に付けることで、伝えにくい事をきちんと相手に伝えられるなど、対等なコミュニケーションを取れるようになります。対等なコミュニケーションを行えるようになると、ハラスメントは起きづらくなります。

このようにコミュニケーションを意識することで、ハラスメントが起きない状態を作れます。

2-8.ハラスメントを受けた時・見かけた時の対応を知る

ハラスメントを受けた時・見かけた時の対応を知ることも重要です。早期に問題を解決することで、被害が拡大するのを防げるためです。
対応方法としては次の2つの方法があります。

①会社の相談窓口に連絡

会社に相談窓口がある場合は、まずはそこに連絡して見ましょう。その後の対応について一緒に考えてくれるでしょう。
会社としては、困ったときにどのに連絡したらいいのかを社員が認識できるように周知しておくことが必要です。

②社外の人に相談

会社に相談窓口がなかったり、会社の人に相談するのは少し不安がある場合は、社外の人に相談して見ましょう。社外では、下記がおすすめです。

なお、相談する際は次のことを整理しておくとスムーズです。

・ハラスメントだと感じたことが起こった日時
・どこで起こったのか
・どのようなことを言われたのか、強要されたのか
・誰に言われたのか、強要されたのか
・そのとき、誰か見ていたか

相談したいと思ったときにすぐに相談できるようにできる状態にすることも、ハラスメントの被害を増やさないために必要です。

ハラスメント研修でこのような内容を扱うことで、ハラスメントを予防し、社員が安心して仕事に取り組める環境を作れるようになります。

3)ハラスメント研修に関するQ&A

ハラスメント研修を検討している方からよくいただく質問に回答していきます。

Q1:ハラスメント研修を受けるべき対象者は?

ハラスメントの基本的な知識は社員全員が持っておいた方が良いため社員全員が対象者になります。

ハラスメントの問題について管理職のみ対策をしている組織が多いですが、社員一人一人がハラスメントについて理解し、ハラスメントを起こさない意識を持つことが大切です。

Q2:ハラスメント研修で気をつけるべきことはありますか?

研修の目的をはっきりと設定し、参加者にその目的を理解させることが重要です。なぜハラスメント研修が必要なのか、どのような効果を期待しているのかを明示しましょう。

受講者の中には、自分はハラスメントは関係ないというスタンスの人もいますが、そのような人でも自覚がないだけで誰かに不快な思いをさせてしまっている可能性があります。

誰でもハラスメントの加害者になり得ることを伝え、適度な緊張感を持って参加してもらう準備をしておきましょう。

Q3:ハラスメントの研修は何回行えばいいですか?

年に1回、ハラスメント研修を実施することをおすすめします。1度受講しただけでその後思い出す機会がないと、記憶が薄れてしまうためです。
また、ハラスメント問題は時代の変化に合わせて新たな問題が加わることも多いため、年に1回実施し、常にハラスメント問題の知識をアップデートしてもらうことが重要です。

Q4:どのような人に講師をしてもらうのがいいですか?

できれば人事などの社員ではなく、ハラスメントの知識や事例に精通した人に講師を依頼することをおすすめします。専門家はさまざまな事例を見ており、ハラスメントの重要性をよく理解しているためです。

また、受講者からは具体的な例を提示されることもあるため、それに応えられるような人の方が受講者の理解度が高まります。

アーティエンスではハラスメントを専門にしている講師もいますので、お気軽にお問い合わせください

Q5:ハラスメント研修は義務ですか?

組織はハラスメントの防止措置を行うことが義務付けられています。2019年の法改正により、職場におけるパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント及び妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するために、職場におけるハラスメントの防止のために、法及び指針において、事業主や労働者に対して、主に以下の事項について努めることとする責務規定が定められました。

【事業主の責務】

1) 職場におけるハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する自社の労働者の関心と理解を深めること

2) 自社の労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修その他の必要な配慮をすること

3) 事業主自身(法人の場合はその役員)が、ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと

【労働者の責務】

1) ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと

2) 事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること

※ 取引先等の他の事業主が雇用する労働者や、求職者も含まれます。

厚生労働省 「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」より引用

対策は限定されていないため研修でなくても大丈夫ですが、適切な知識を持ってもらうために研修を実施することをことをおすすめします。
なお、以下にも法によって定められています。

■2019年に改正された労働施策総合推進法において、職場におけるパワーハラスメントについて事業主に防止措置を講じることを義務付けています。併せて、事業主に相談したこと等を理由とする不利益取扱いも禁止されています。

■男女雇用機会均等法第11条では、職場におけるセクシュアルハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。

■男女雇用機会均等法第11条の3及び育児・介護休業法第25条では、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。

厚生労働省 「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」より引用

事業主としての義務を果たし、従業員が安心して働ける環境を用意できるように対策しましょう。

4)まとめ〜ハラスメント研修についてはアーティエンスがサポート〜

本コラムではハラスメント研修の目的や扱う内容について具体的に紹介しました。

ハラスメント研修の目的は、ハラスメントが起きないことで、社員が安心して仕事に取り組める環境を作ることです。ハラスメント研修によってハラスメントの知識を得て、自分の言動を見直してみたり、相手の気持ちを考える意識をしてもらうようになることで、ハラスメントを予防し、社員が安心して仕事に取り組める環境を作れるようになります。

ハラスメント研修では次のような内容が扱われます。
■ハラスメントの現状を理解する
■ハラスメントの定義とブラックとグレーゾーンを理解する
■ハラスメントの種類を知る
■ハラスメントによる影響やリスクを知る
■ハラスメントが起きる原因を知る
■自分と自分の部下が加害者にならないための方法を知る
■ハラスメントにならないようなコミュニケーションの取り方を考える
■ハラスメントを受けた時・見かけた時の対応を知る

ハラスメント研修でこのような内容を扱うことで、ハラスメントを予防し、社員が安心して仕事に取り組める環境を作れるようになります。

なおアーティエンスでもハラスメントに関連するサービスを実施しています。

アーティエンスで実施しているハラスメントに関する研修

ハラスメント研修
リーダーのためのアンコンシャスバイアス・トレーニング

貴社のお悩みに合わせて適切な対応・対策を行えるようにサポートしますので、お気軽にお問い合わせください

ハラスメント研修の重要性を理解し、防止措置に向けて動き出せるようにしましょう。

研修でお悩みの方へ

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