研修レポート|人材開発の成果を最大化するための書き方のポイントとは?

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研修レポート 書き方

「研修レポートをどうやって書けばいいのか分からない…」
「研修レポートは何を意識して作成したら良いのだろうか…」

このようなお悩みをお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
研修レポートには大きく2種類に分けられます。

・受講生側が作成するもの
・人事側が作成するもの

それぞれ、学びの定着化や研修品質の向上につながり、個人と組織の成長を促すための大切な資料です。

そこで本記事では、より効果的に研修レポートを作成するための書き方のポイントをお伝えします。ポイントを意識して研修レポートを作成することで、社員に対して良い育成を行えるようにしましょう。

監修者プロフィール

山下 絢加

2013年にアーティエンスに入社。組織開発・人材育成のコンサルタントとして、大手企業から中小企業まで、幅広く研修プログラムの企画・開発・運営を実施。現在は主にマーケティングプランニングを担当。
youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル

1)受講生側が作成する研修レポートの書き方

受講生が人事に提出する研修レポートとして、研修で何を学んだのか、そして学んだことを現場でどう活かすのかを書いてもらう必要があります。
受講生が人事に提出する研修レポートの目的は、学びの確認だからです。人事は受講生の研修レポートによって受講生が学びのポイントを得られているのか確認できます。そしてその内容を踏まえて研修をアップデートします。

研修レポートの基本項目

受講生の学びを確認できるためには以下の内容について書いてもらうことが必要です。

・研修で学んだこと
・研修の学びの現場での活かし方
・感想

研修で学んだこと

受講生として研修で何を学んだのかを記載してもらいます。研修で一番伝えたいと思っていたことを受講生が受け取ってくれているのかを確認するためです。

アーティエンスが用意しているテンプレートでは、次の2つの質問確認しています。

設問内容

①本日の研修での学び・気づき・発見を振り返ってください。その中で、あなたが社会人として活躍するために大切にしたい気づきや新たな学びは、どのようなことでしょうか。

②研修の学び・気づきから、あたなにはどのような変化がうまれましたか?それは、気持ちや考え方の変化かもしれません。今の気持ち・感想を教えてください。

この内容が、研修の目的と同じ内容であれば、意味のある研修ができたと考えることができます。研修の目的と学んだことに記載されている内容にズレがある場合は、研修の内容や設計を見直す必要があるということです。

研修の学びの現場での活かし方

受講生が研修で学んだことをどのように現場で活かそうとしているのかを記載してもらいます。そうすることで、研修で学んで終わりではなく現場で活かせるようにするべきだということを意識できるようになるためです。

アーティエンスが用意しているテンプレートでは、次の2つの質問で確認しています。

設問内容

③研修の学び・気づきを、どのように現場につなげるか考えてみましょう。どのような場面で、何を意識し行動しますか?その意識・行動から、起きる変化・結果を考えてみましょう。

④本日の学びを行動に移す上で、感じる難しさや、阻害要因として思い浮かぶことはありますか?また、阻害要因を乗り越えるために、意識・行動していきたいことはありますか。

研修後の現場での活かし方を考えることで、研修で学んだことを活かしやすくなり、研修の効果を高めることができます。

感想

研修に対する感想を記載してもらいます。本人や組織、チームの状態を確認するためです。必須回答ではないため、研修を受けての率直な感想や想いを伝えてくれることが多いです。

アーティエンスが用意しているテンプレートでは、次の質問で確認しています。

設問内容

⑤そのほか、どんなことでも結構ですので、共に過ごした仲間たちやアーティエンスのスタッフ、そしてこの場に協力いただいた会社の経営者・上司・仲間たちにお伝えしたいことがありましたら、ご自由にお書きいただけますでしょうか。

感想の内容がポジティブだと組織に対してポジティブな状態にあることが多く、逆にネガティブコメントや空白の状態だと、組織に対してネガティブな状態にあることが多いです。

とても些細なことですが、この回答内容によって本人や組織、チームの状態について組織の状態を確認できます。

実際に新入社員が記載した内容をご紹介します。

研修で学んで終わりではなく、この学びを現場での仕事でどう活かすかを言葉にすることで、一歩を踏み出せるように促しています。

このようなテンプレートを用意して、研修レポートを書いてもらうことで、学びを言語化することができ、研修での学びを確認することが可能になります。

【参考コラム】
新入社員研修のアンケートテンプレート例|研修効果を高めるポイント
【事例あり】管理職研修のレポート|目的と内容

研修レポートの書き方のポイント

受講生が研修レポートを書く際のポイントは以下の3つです。

・結論から書く
・自分の言葉で書く
・時間を決めて書く

結論から書く

研修レポートだけでなく全ての資料に言えることですが、結論から書くようにしましょう。そうすることで、読み手の理解がスムーズになります。

自分の言葉で書く

研修テキストの言葉を抜き出すのではなく、自分の言葉で伝えるようにしましょう。自分の言葉で書いてもらうと、自分がどこまで理解できているのかが分かりやすくなります。

時間を決めて書く

研修レポートを書く時間を決めるようにしましょう。時間が長過ぎると学んだことを全て記載しようとしてしまうからです。時間を決めることで、要点をまとめ、学んだことを明確にできます。

受講生が研修で何を学んだのかを確認し、研修のアップデートに使用するためにも、テンプレートを用意することが大切です。そうすることで、研修レポートの内容に求めていることを書いてもらうことができます。

2)人事側が作成する研修レポートの書き方

人事などの研修担当者側も、研修レポートを作成し、経営陣へ提出します。
人事側の研修レポートの目的は、研修内容と成果の報告です。経営層はその報告書を見て、時間と金額を投資した価値があったのかを確認します。そのため研修レポートの内容によっては、来年以降、研修の予算が減らされてしまう可能性があります。社員への適切な研修機会を失わないように、研修効果を事実に基づいて伝えられるようにしましょう。

研修レポートの基本項目

経営層が研修の効果を正しく判断できるようにするために、以下の内容について書いてもらうことが必要です。

・概要
・研修の目的
・研修の目標
・研修を実施する理由
・研修の内容
・受講生の研修レポートまとめ
・講師の所感
・人事の振り返り・今後の対応

それぞれ説明します。

概要

今回の研修がどの研修に対してのレポートなのかがわかるように、作成日、作成者、日時、実施方法、費用などを記載します。

研修の目的

研修の目的を記載します。目的が明確になっていないと、その目的を研修によって達成できた/できそうなのかを判断できないためです。

例えば、アーティエンスがITシステム会社様へ業務遂行力シミュレーション研修を実施したときに設定した研修目的は以下の内容でした。

研修を実施する理由

研修を実施する理由を記載します。研修を実施する理由に対する研修内容として適切だったかを確認するためです。当社がITシステム会社様へ業務遂行力シミュレーション研修を実施した際は、下記の課題を持っていたことが理由でした。

研修の目標

研修の目標を記載します。研修の効果は本来、学んだことを受講生が身につけ、現場に活かせる状態になってから見え始めます。しかし、それにはある程度の時間がかかるため、研修レポートの提出に間に合わない場合も多いでしょう。そのため、研修後に受講生がどのような状態になっていることを目標にするのかも定めておき、研修レポートに記載できると説得力を増すことができます。

当社がITシステム会社様へ業務遂行力シミュレーション研修を実施した際は、下記の内容を研修の目標として設定しました。

研修の内容

研修の内容を記載します。どのような内容・進め方で研修が行われたのかをイメージしてもらうようにするためです。その際に、実際に使用した研修テキストや、研修内で作成したアウトプットを添付すると、研修を受講していない人にも理解してもらいやすくなります。

アーティエンスで作成している研修レポートには、研修で使用したテキストの情報や研修の様子の写真、アウトプットの資料を使用して、理解をしやすくしています。

※当社が作成した研修レポートの一部

受講生の研修レポートまとめ

受講生に記載してもらった研修レポートの情報をまとめて記載します。受講生がどのような学びを受け取ったのかをリアルな言葉で伝えられるようにするためです。

受講生の研修レポートの内容と、研修の目的としていることに共通点が多いほど、目的を達成できた状態と考えることができます。

講師の所感

研修を実施した講師からの所感を記載します。講師は様々な企業を見ているため、自組織の受講生の状態を客観的にみることができるためです。

例えば、「他のIT企業と比較すると、真面目で素直に学んでくれる人が多いため、その資質を潰さないようにしながらも、適切なタイミングで学びを与えることで成長を促すことができると思う」などのコメントが出てくると、自組織の育成の方向性を考える上で参考にできます。

人事の振り返り・今後の対応

最後に人事として研修を実施した振り返りと今後の対応を記載します。研修レポートは次にどう活かすかを定めることも目的の一つとしてあるためです。

研修の目的と学びがズレてしまっていた場合は、講師とのすり合わせを大切にしたり、研修内容の見直しが必要になるかもしれません。来年度以降も研修を実施したい場合は、改善策を提示と必要性を伝えることがポイントです。

このように、経営層に研修の意味を理解してもらえるようにするために、各項目についてわかりやすく伝えるようにしましょう。育成によって組織の成長を促すことができることを伝えることができると、育成の予算を減らされることなく、人事としては育成がやりやすくなります。

研修レポートの書き方のポイント

人事が研修レポートを書く際のポイントは事実を細かく記載することです。
研修後の効果として数値で変化を伝えることが難しいためです。数値の変化の情報がない分、研修前と後の受講生の変化を事実ベースで伝えることが大切になります。

アーティエンスでは、研修のはじめにチェックイン、研修の最後にチェックアウトの時間を設けており、そこでの発言をメモしています。

※チェックインとは、研修やワークショップの始めに「その場に入る」ために用いられる導入ワークのことです。今出しておきたいことを伝えます。チェックアウトとは、研修の最後に研修での気づきや感想を伝えあうワークのことです。

研修の始めと終わりの発言を記録しておくことで、受講生の変化が見えやすくなります。

数値を用いた変化を伝えられないからこそ、具体的な事実の情報を研修中にたくさん記録しておき、そこから変化を見つけることがポイントです。

【参考】研修での変化を数値で表すことの難しさ

研修で学んだからといって、すぐに成果を出せるようになったり成果が上がることはありません。そのため、研修後すぐに数値で研修効果を伝えることはとても困難です。

上層部から数値での報告を求められて、研修の満足度を受講生に点数をつけてもらう場合もありますが、アーティエンスでは推奨していません。研修の満足度と研修での学びは別物だからです。

研修の目主な的は、学びを理解し現場で活かすことができるようにするためです。しかし、研修に満足したかどうかは、研修の場が受講生にとって面白かったか退屈だったかで判断されやすく、本質的な目的からズレてしまうことが往々にしてあります。

そのため、研修では様子の記録として、どのような発言をしていたのか、どのような進め方をしていたのかなど事実をたくさん拾い、目的の学びを得られているのかを確認することをおすすめします。

3)まとめ〜アーティエンスでは、振り返りにも活かせる研修レポートを提供〜

本記事では、意味のある研修レポートを作成するための書き方をお伝えしました。


受講生が人事に提出する研修レポートの目的は、学びの確認です。研修で何を学んだのか、そして学んだことを現場でどう活かすのかを書いてもらう必要があります。受講生の学びを確認できるためには以下の内容について書いてもらうことが必要です。

・研修で学んだこと
・研修の学びの現場での活かし方
・感想

アーティエンスで使用しているようなテンプレートを用意して、研修レポートを書いてもらうことで、学びを言語化することができ、研修での学びを確認することが可能になります。

人事が組織に提出する研修レポートの目的は研修内容と成果の報告です。研修内容の概要や研修の学びによって期待できることを書いてもらう必要があります。経営層が研修の効果を正しく判断できるようにするために、以下の内容について書いてもらうことが必要です。

・概要
・研修の目的
・研修の目標
・研修を実施する理由
・研修の内容
・受講生の研修レポートまとめ
・講師の所感
・人事の振り返り・今後の対応

経営層に研修の意味を理解してもらえるようにするために、各項目についてわかりやすく伝えるようにしましょう。また、人事が研修レポートを書く際のポイントは事実を細かく記載することが大切です。研修後の効果として数値で変化を伝えることが難しいためです。

アーティエンスでは、振り返りにも活かせる研修レポートを提供しています。

経営層に対しての研修レポートの書き方に難しさを感じている場合は、是非、お気軽にお問い合わせください。

なお、アーティエンスでは、公開講座の研修レポートをWEB上で公開しています。書き方のご参考にもなるかと思いますので、併せてご覧ください。



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参考:働きがいを応援するメディア「ピポラボ」|人材育成のための研修レポートの書き方|作成ポイントや例文を紹介