【チェックシート付】見返したくなる!新入社員研修の資料作成の7ステップ

更新日:

作成日:2023.1.15

資料を読む男性社員
・新入社員にとって使いやすい研修資料を作成したい
・わかりやすい研修資料作成のコツを知りたい

とお悩みの人事担当者は多いものです。
本コラムでは、わかりやすい新入社員研修の資料構成や作成方法についてお伝えします。
本内容をご参考にいただき、新入社員が研修後も何度も読み返して、学びの定着を促せるような資料を作成していきましょう。

このコラムで分かること

  • 新入社員にとってわかりやすい研修資料の構成
  • 新入社員研修の資料作成のための7ステップ
  • 新入社員研修の資料作成で意識すべきポイント
執筆者プロフィール
迫間 智彦
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

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新入社員研修成功事例集

1)良い新入社員研修の資料とは、研修後に見直したくなる資料

良い新入社員研修の資料とは、研修テーマが明確でわかりやすい内容になっており、研修後も見直したくなる資料と考えます。

研修資料のテーマが不明確だと、何についての資料なのかが分かりづらく、研修資料を通じた研修の振り返りがしづらくなってしまいます。また、日々の仕事の中で振り返りがしやすい内容になっていることも重要なポイントです。研修で学んだことは、研修の中だけで身につけることは難しく、日々の仕事の中で使い続けるうちに身についていくものだからです。

例えば、当社の研修資料は、研修のテーマ・目的を明確にして、何度か繰り返して資料に入れています。  ビジネスマナー研修 ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

また、振り返るときに理解しやすいように、必要な箇所は単語だけではなく文章で記載したりしています。

 ビジネスマナー研修 ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

このように、研修内容のテーマが明確になっており、研修後も見直したくなる資料が、良い新入社員研修の資料ということができます。  

2)研修後も見直したくなる研修資料の構成

研修後も見直したくなる研修資料の構成は次の流れになっています。

 研修資料の構成
資料がこの順番になっていると、抽象から具体になり、最後にまとめがあるため、研修を受ける際に理解しやすいです。また、一般的な資料や本の構成と似ているため、後から見直す時にどの辺りの何が記載されているかも予想しやすく、振り返りがしやすいためです。

例えば、研修から2ヶ月がたった頃に、先輩とお客様先に訪問することになった新入社員がいるとします。それまでは、基本的に社内業務だったため、お客様と会うことはありませんでした。お客さんに対して、失礼のない対応をしなければいけないと思い、はじめにやることが、マナーに関する研修資料を見直す、ということです。研修の中で訪問の挨拶や席、名刺交換について学んだという記憶から、資料を改めて見て振り返り、学び直すことができます。

このように、人によっては学んだ後、しばらくしてから実際に活用する場面に出会う新入社員もいるため、振り返りがしやすいような新入社員研修の資料になっていることが大切なのです。

ここからは、当社のビジネスマナー研修の資料を基に、研修資料の構成について説明します。

研修の目的・目次

研修の目的を明確にし、次に目次を記載します。
はじめに、目的と目次を確認することで、研修では新入社員が学ぶ準備をすることができます。また、研修後には、資料の冒頭にある目的と目次を確認することで、この資料が何を学んだ研修だったのかを思い出しやすくなります。  ビジネスマナー研修  ビジネスマナー研修 ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

問いかけ

続いて、研修の目的にあった問いかけのページを入れます。例えば、ビジネスマナー研修の場合は、次のような問いをします。  ビジネスマナー研修 ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

なぜ、この段階で問いを投げるのかというと、新入社員のインサイドアウト(内発的動機)を促すためです。インサイドアウトとは、新入社員自身から生まれる動機のことで、前向きで力強いエネルギーが生まれます。
新入社員によっては、なぜこのテーマについて学ばなければいけないのかを理解しきれていない場合もあります。その状態のまま、研修が進んでいっても、自分が学ぶ意味を理解しきれていないと学びが弱くなってしまいます。そうならないためにも、はじめに問いを投げて自身の言葉で研修で学ぶ目的を言語化することで、インサイドアウトを促し、前向きに学べるようにしているのです。

解説

続いて解説を入れます。特に、キーワードとなる言葉の定義が、講師と新入社員の間でズレが起きていると、その後の話も噛み合わなくなってくるため、言葉の定義の確認は、早い段階で行う必要があります。言葉の定義が様々ある場合でも、一旦この研修の中での定義を決めておくと、その後の理解がスムーズになります。  ビジネスマナー研修 ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

言葉の定義が明確になったら、テーマに関する解説を記載して学びを深めていきます。  ビジネスマナー研修 ビジネスパーソンに必要な言葉づかいとは ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

ここでポイントになるのが、研修で気付いたことなどをメモする余白を用意しておくことです。自分で書き留めたメモは、記憶を思い出しやすいためリフレクションに効果的です。

また、研修後に日々の業務の中で活用してみた気付きやアイディアを書き加えることもできると、より活用できる資料となります。余白がなく、狭いスペースに文字が詰まっていると、どうしても見づらくなってしまうため、あらかじめメモを取れるスペースをあけておきましょう。

ワーク・解説

そして、ワークと解説を繰り返します。ワークの解説は、研修の時間によっては、細かく解説しきれないこともあると思いますが、その場合も資料に具体的に記載しておくと、後から確認することができます。振り返りで活用されることを意識して、ワークの解説も丁寧に記載しましょう。

当社のマナー研修では、動画を活用して、間違い探しのワークを行いながら解説する設計にしています。間違い探しはゲーム感覚で行えるため、研修への積極的な姿勢が見られるようになります。また、良くない例を通してマナーができていない状態を客観的に見ることで、マナーを守って対応した方が素敵だな、かっこいいなという感情にもなります。

ビジネスマナーは、鬱陶しいものと認識されてしまいやすいですが、このような工夫をすることで、新入社員がマナーの大切さを理解し、学びを深められるようにしています。
 ビジネスマナー研修 ビジネスマナー動画 ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

ポイントまとめ

最後に研修のポイントをまとめた資料を入れて終了です。  ビジネスマナー研修  ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

新入社員研修成功事例集

3)新入社員研修の資料を作るための7ステップ

本章では、新入社員研修の資料を作成するための7つのステップを詳しく解説していきます。

■ステップ1:紙に資料の構成を下書きする
■ステップ2:レイアウト、使用する色、フォントを決める
■ステップ3:各ページに記載したい要素を入れる
■ステップ4:各ページのレイアウトを整える
■ステップ5:見直す
■ステップ6:他の人に見てもらいフィードバックをもらう
■ステップ7:アップデートして完成

ステップ1:紙に資料の構成を下書きする

まずは、手書きでどんな内容を記載するか、タイトルや概要を作成します。
はじめから、パワーポイントなどで作成しても良いですが、パワーポイントで作成すると、各ページの要素を決める前に、細かいレイアウトにこだわってしまうことがあるため、そうならないためにも紙で下書きを作成することをおすすめします。

ステップ2:レイアウト、使用する色、フォントを決める

ここからパワーポイントなど、資料を作成するツールを使って作成していきます。
レイアウトとメインで使用する色、そしてフォントは、意図的に変化を促したい箇所以外は統一している方が見やすくなるため、基本的には全ページ統一します。これらに関しては、後から変更すると修正が大変になりますので、この段階で確定しておくことをおすすめします。

ステップ3:各ページに記載したい要素を入れる

上の段階で決めたレイアウト、色、フォントを使用して内容を作成していきます。
ポイントとしては、要素を入れすぎないことです。基本的には、1スライド1メッセージを意識して作成します。  ビジネスマナー研修 ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

要素を詰め込んで文字や内容が小さくなると読みにくくなりますし、後から振り返りをする際も、どこに何が書いてあるのかを一目で認識することが難しいためです。

ステップ4:各ページのレイアウトを整える

各ページに入れたい要素がまとまったら、より見やすく、理解してもらいやすいようにレイアウトを整えます。
例えば、文字が羅列しているとパッと見て何が書かれているのかがわからず、振り返りもしづらくなるため、図やイラスト、余白をうまく活用できないか検討してみてください。  ビジネスマナー研修 ※ 当社 ビジネスマナー研修テキストより一部抜粋

細かいところですが、文字の中心や先頭が揃っているか、フォントサイズや図形のサイズは同じか、なども意識しましょう。ここが、振り返りをしやすい資料になるかの大事なポイントとなります。

ステップ5:見直す

全てのページが完成したら、新入社員が見るツールで始めからスライドを確認し、気になる箇所を修正します。
新入社員が印刷物を見る場合は印刷して、パソコン上で見る場合は、研修を受けながら資料を開くことを意識したサイズ感で確認します。そうすることで、実際の見やすさを確認することができます。用語の書き方が統一されていないということはよくあるため、注意して見直します。

ステップ6:他の人に見てもらいフィードバックをもらう

完成した新入社員研修の資料を初見の人にみてもらい、フィードバックしてもらいます。
新入社員が初めてみたときに分かりやすく理解できそうか、振り返りしやすいか、ということを軸に確認してもらうと、相手もフィードバックしやすく、また具体的な内容を伝えてくれると思います。できれば3名程度には見てもらえると良いかと思います。

ステップ7:アップデートして完成

フィードバックでもらった箇所を修正し、アップデートしていきます。
この資料が、新入社員研修で使用され、日々の業務の中でも繰り返し活用されることを意識して、より良くしていけると新入社員の学びも深まることでしょう。

このように7つのステップの手順で、振り返りしやすい新入社員研修の資料を作成しましょう。

新入社員研修成功事例集

また「新入社員研修の担当者向け|研修設計の基本や効果を高めるポイントを解説」の記事では、新入社員研修の担当者になった方向けに、研修内容を決めるためのポイントを解説しています。
同時に、どのようなポイントを意識すれば研修効果を高められるかを解説していますので、ぜひ参考にしてください。

4)【チェックシート】より良い新入社員研修資料を作るためのポイント

見直したくなる新入社員研修の資料にするためには、細部にも拘ることが重要です。
「神は細部に宿る」というように、細かいデザインや表現によって、「資料を見返したいという気持ち」や、「(困ったときに)新入社員研修の資料を見返そう」となるためです。
以下のチェックシートにまとめましたので、新入社員研修の資料を作成する際に活用していただき、良い研修資料にしましょう。

良い新入社員研修 資料のためのチェック事項 ワンポイント解説 チェック欄
研修内容のがテーマが明確で分かりやすい 振り返りをする際に、何について書いてある資料かがわかるようにしましょう
1スライド1メッセージになっている 1スライドにいくつもの要素が記載されていると、話の要点が分かりづらくなります
専門用語の説明が入っている 専門用語の認識がズレていると、その後の話の理解度にも影響するため、専門用語には、必ず説明を入れましょう
用語の書き方が統一されている 同じ意味で使っているのに用語が異なると混乱を招きかねないため、用語は統一しましょう
レイアウトが統一されている PowerPointを活用する場合は、スライドマスターを使用すると統一されます
使用するメインの色が統一されている 色を使用しすぎると見づらくなるため、基本的には1ページに3色以上は使用しないことをお勧めします
フォントが統一されている 硬いフォントだと、勉強感が強くなり、拒絶感が出ることもあるため、柔らかいフォントを使用することをお勧めします
※1
図やイラストも活用している 文字の羅列だけでは情報処理に時間がかかることがあります。図やイラストを用いることで、わかりやすい資料になります
文字や図形、画像の中心や先頭が整っている 少しでもズレていると無意識的に気持ち悪さを感じることがあります
フォントサイズや図形のサイズが整っている 少しでもズレていると無意識的に気持ち悪さを感じることがあります
メモできる余白がある メモを取ることで学びをより深めることができますし、資料を見直す際に思い出しやすくなります
参考情報を提供している 推奨書籍や、コラムの紹介などがあると、振り返りの際に自発的な学習を生み出すことができます
まとめページがある このページだけみたら要点を思い出すことができるようなページにしましょう
※1
当社では、教室型の場合は、メイリオ・游ゴシックを使用し、オンライン用の教材は、視覚障がい者への配慮のため「BIZ UDP明朝 Medium」を採用しています

5)まとめ

今回は、新入社員研修の研修資料について、良い新入社員研修の資料を作るための構成や、大切な要素についてお伝えしました。良い新入社員研修の資料とは、研修内容のテーマが明確でわかりやすく、研修後も見直したくなる資料と考えています。

研修資料のテーマを明確にしていないと、何についての資料かがわかりづらくなってしまいます。研修資料を通して、振り返りがしづらくなるため、テーマが明確でわかりやすくなっていることが大切です。また、日々の仕事の中で振り返りがしやすいように見やすくなっていることも必要です。研修で学んだことは、研修の中だけで身につけることは難しく、日々の仕事の中で使い続けるうちに身についていくものだからです。研修後も見直したくなる研修資料の構成は次のようになります。  ビジネスマナー研修 ※ 当社 資料より一部抜粋

資料がこの順番になっていると、抽象から具体になり最後にまとめがあるため研修を受ける際に理解しやすいです。また、一般的な資料や本の構成と似ているため、後から見直す時にどの辺りの何が記載されているかも予想しやすく、振り返りがしやすいためです。

■ステップ1:紙に資料の構成を下書きする
■ステップ2:レイアウト、使用する色、フォントを決める
■ステップ3:各ページに記載したい要素を入れる
■ステップ4:各ページのレイアウトを整える
■ステップ5:見直す
■ステップ6:他の人に見てもらいフィードバックをもらう
■ステップ7:アップデートして完成

この7つのステップで作成したのち、4章でお伝えしたチェック表を活用いただいて、より良い新入社員研修の資料にするためにアップデートすることをお勧めします。

このコラムを見て、振り返りのしやすい新入社員研修の資料を作れたことで、新入社員が日常業務の中で度々資料を見返し、研修での学びを仕事に役立てて成長を促せるようにしましょう。
なお、アーティエンスでは、本コラムでお伝えしたポイントを意識した資料を使用した新入社員研修を行っています。新入社員研修をご検討の中の方は、ぜひ、下記をご覧ください。

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