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[ コラム ]
【チームビルディング研修】協働・共創を生み、成果につなげるための研修
- 2023/8/1更新ー2023/2/28作成ー「チームビルディング研修って何をすればいいのか?」「チームビルディング研修ってどんなものがあるのか?」「おすすめのチームビルディング研修とは?」など、チームビルディング研修を行うにあたり、お
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2023/7/25更新ー2021/5/11作成ー
あるIT企業の管理職研修で、管理職の方に今抱えている課題を出していただきました。
特に多かったのがテレワークでのマネジメント。
今までもあった課題かもしれませんが、テレワークにより強まった課題といえます。
これらの課題を解決していくために、新しいITツールを入れただけでは変わらない可能性が高いとアーティエンスは考えます。
例えば、上記事例のIT企業さまでは、Slackを導入しても、Slackは活性化しませんでした。
テレワーク下でのコミュニケーション量の課題は本質的な課題を捉えなければ、改善されない可能性が高いです。もちろんSlackなどのビジネスチャットはとても有効なツールですが、ただ入れて終わりになっていることが問題ということです。
今回のコラムでは、これらの課題を解決していくために「心理的安全性」の概念理解とテレワーク下で「心理的安全性」を高めるための方法を考えていきたいと思います。
目次
ハーバード大学エイミー教授によると、心理的安全性とは「チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だというチームメンバーに共有される信念のこと」と定義されています。
少し、分かりづらいですね。簡単に「心理的安全性」の説明をしていきたいと思います。
まずはじめに心理的安全性がない状態だと、現場ではどのようなことが起きるでしょうか。
具体的には・・・
結果的に誰も発言しなくなる・活発な意見交換がされなくなる、という事態が起こります。
活発な意見交換ができる場を生み出すため、また、問題に対してチームで解決していこうという意識を育むためにも、心理的安全性を創っていく必要があります。
そのためには「メンバー同士が自然体で、恐れることなく意見を伝えあい、よりよくするための意識行動ができる状態」が求められます。
この状態が創られているチームが、心理的安全性が高いチームです。
心理的安全性は、ぬるま湯のような状態を目指すものではありません。心理的安全性を創ると共に目標への意識を高めることでで、チーム学習を高めパフォーマンスを上げていくことが重要です。
そのためには「学習(Learning Zone)」(下記マトリックス参照)を目指しましょう。
※通常横軸は '責任' という表現をされますが、分かりづらさもあることから、アーティエンスでは'目標への意識'としています。
(参考)「『チームが機能するとはどういうことか』エイミー・C・エドモンドソン」を参考に、アーティエンスが作成(チームビルディングワークショップから抜粋)
簡単に、各マトリックスの項目の説明をしていきます。
学習(learning Zone)にいなければ、挑戦しないことから発展性がないだけではなく、ナレッジもたまりません。
今までのやり方が通用しない今の世界では、挑戦をしてナレッジをためていき、自分たちで正解を創っていく必要があります。
心理的安全性の難しさはすぐに目に見えてパフォーマンスが上がったり、成果が出るわけではないことです。
心理的安全性の高まりに伴ってチーム学習が促進され、業績に繋がっていきます。
そのため、どうしてもタイムラグが起きます。
「(経営者・管理職が)心理的安全性を大切にしよう!」と伝え施策を打っても、短期的に成果が出ず、諦めて「不安(Anxiety Zone)」に戻ってしまうことはよくあります。
心理的安全性と、パフォーマンスの関係がよく理解できる図をご紹介いたします。
(出典) 心理的安全性のつくりかた ~ 石井 遼介 (著)~
(※) タスクコンフリクトとは、仕事での意見の衝突になります。この衝突を乗り越えると、より素晴らしいアイディアが出てくると言われています。
アーティエンスでは、テレワークによって生じるチームの心理的安全性の課題は、以下の3点があげられると考えています。
●関係の質の低下 : コミュニケーションの量が少なくなり、質も下がっている
●モチベーションの低下 : メンバーを見てフォローができない状況、また孤独感の増大している
●チーム力の低下 : 指示命令が強くなり、今まで以上に受け身になり、チームとして機能しない
チームの心理的安全性に必要な要素は、「話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎」と言われています。
(参考)日本におけるチームの心理的安全性の4つの因子を、株式会社ZENTechと慶応義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授によって開発
4つの要素が、テレワークにおいてすべてストップしてしまう構造になっていると考えています。
# テレワークの課題により、特に大きく悪影響するであろう部分に「×」をつけています。
上記図からも分かるように、テレワークにより、チームの心理的安全性を創っていくことの難易度は高くなっています。
そのため、これまで以上に心理的安全性を意図して創っていくことが大切です。
それでは、テレワークでチームの心理的安全性の創り方を、説明していきます。
テレワークでは、心理的安全性が創ることはとても難しいです。
だからこそ、現場の管理職に頼り切るのではなく、組織としてチームの心理的安全性をデザインしていくことが重要です。
ビジネスチャットなどのツールをまず導入する前に、3つの課題(関係の質、モチベーション管理、チーム力)に関して、4つの要素(話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎)をどのように強めていくかが重要です。
関係の質を高めていくためには、「話しやすさ」と「新奇歓迎」にフォーカスしていくことが重要です。
まずはじめにチームメンバーの相互理解を深めましょう。相互理解をすることで、話しやすさが生まれ、また多様性(新奇歓迎)も受け入れやすくなります。
具体例として、ストーリーテリングをお勧めいたします。
お互いのストーリーを伝えあうことで、相互理解が進むだけではなく、メンバーの強みや可能性を知ることもできます。
アーティエンスがワークショップでよく実施する内容をご紹介します。ビジネスパーソンとして今まで最も大きな壁を乗り越えたシーンについて、ありありと語っていただきます。
<イメージ>コンテンツビジネスを展開している会社の物流部門の責任者
一人15分程度で語っていただき、他のメンバーがその人の素晴らしさや質問を伝えます。
新入社員の場合は、ビジネスシーンではなく、人生における最も大きな壁を乗り越えたストーリーを話してもらうことをお勧めいたします。
また新しいメンバーが配属された場合は、自身のストーリーを語る機会に加えて、他のメンバーへのインタビューする機会を作るといいでしょう。
インタビューは、「インタビュー時間20分、感想・質問10分」の合計30分程度取ることをお勧めいたします。一人一人時間を取ってもらいます。
下記点を抑えておくとよいでしょう。
●オープニング : 入社日の状況、その当時の想い
●ハイポイント : 自組織において、最高の瞬間
●ポジティブコア : 自身の成功を支えている要因
●共創・協働 : お互いのリクエスト
インタビューシートは、下記よりダウンロードできますので、よろしければご活用くださいませ。
関係の質を高め、継続していくには、コミュニケーション量と質を担保していくことが重要です。
1. においては、空いているスケジュールは、他のメンバーが予定を入れてもいいというルールにするといいでしょう。スケジュールに予定を入れたら、メールで一声かけると、ミスコミュニケーションも発生しません。
2. においては、Slackなどビジネスチャットで気兼ねなく相談することは一つの方法です。またアーティエンスでは、バーチャルオフィスとして、oViceというツールを導入しました。PCの画面上で気軽に声がけできるツールになります。
# アーティエンスのoViceの風景
最後に、オンラインでのコミュニケーションの質を高めるには、対面のコミュニケーション以上に、シグナルを丁寧に行っていく必要があります。
シグナルとは…
# 当社「チームビルディングワークショップ」より抜粋のため、テレワークにはそぐわない内容もあります。
また要件定義や、報連相の際には、5W2Hを使い、お互いの認識をすり合わせていくのもよいでしょう。
# 当社「ビジネススキル研修」より抜粋
テレワークでは、「モチベーション管理が難しい」や、「メンバーが孤独を訴えてくる」という話もお聞きします。最悪、メンタルヘルスの悪化や離職も起きます。
モチベーション管理では、「話しやすさ」と「助け合い」にフォーカスしていくことが重要です。
まずは、メンバーの状況を把握できる状態を創ること、そして助け合いが起きる対話の場を創っていくことです。
大前提として、「管理する・つめる」文化ではなく、「当事者意識と主体性を育んでいく」文化を意識してデザインしていくことが重要です。
アーティエンスの場合では、下記のようにデザインしています。
1. 日報
2. 週次会議
3. 月に一回の1on1
4. 四半期ごとの成果報告会
下記項目で提出しています。
進捗管理も行いながら、相談が行いやすい環境を創ります。
なお当社では、日報は管理職など関係なく全員が送るようにします。
管理職であっても、状況がオープンになり、話しやすさが作られていきます。
進捗を報告しながらも、相談をしやすい会議にしていきます。
アーティエンスでは、下記のような目的・目標・Agendaで、週次会議を進めています。
目的
情報共有を丁寧に行うことで、共創・協働を行う場が活性化する
目標
各自、相談ができ、ネクストアクション(考察ポイント)などが明確になること
月に一度、30分程度の時間を取って1on1を行っています一番の目的はメンバーの成長です。
その目的を踏まえて、落としどころを事前に決めるのではなく、丁寧に対話を行います。
アーティエンスでは、下記のように進めていきます。
目的
自身の成長にフォーカスして、アーティエンスが支援できることを探求する
目標
一カ月間の振り返りが丁寧にでき、これから意識・行動するポイントや相談・支援してほしいポイントが明確になる
なお新入社員は入社後一カ月間、毎日行うようにしています。その際は、上司一人が行うのではなく、チームメンバーが日替わりで行います。
目的
セルフマネジメント力・リーダーシップの強化、およびメンバーとの関係の質の向上
目標
一日を振り返り、価値発揮・貢献度合いを高める
期間
入社一カ月間
対象者
新入社員、中途入社社員
既存社員(トレーナー2日間、他メンバー持ち回り)
持っておいてほしい観点
・支援してほしいこと
・聴いてみたいこと
・伝えたいこと
一人30分程度の時間を取り、自身の目標に対して進捗報告を行います。
アーティエンスでは、下記のシートを用いて、成果報告をしています。
成果報告会では、下記のように進めていきます。
目的
自身・アーティエンスと向き合い、幸福度を上げながら、自他非分離を高める
目標
チームで内省を行うことで、貢献・成長実感を育み、さらに次へのチャレンジを深めることができること
毎日、週一、月一、四半期に一度という風に、モチベーション管理を行うための「話しやすさや、助け合い」をデザインしていくとよいでしょう。
なおアーティエンスでは、新入社員・若手社員向けにGrowthというパルスサーベイも提供しています。
テレワークにおける若年層教育は、本当に悩ましい部分が多いです。
ぜひこちらもご検討いただければ幸いです。
詳細資料は、下記からダウンロードが可能です。
チーム力を高めていくためには、「助け合い」と「挑戦」にフォーカスしていくことが重要です。
「助け合い」と「挑戦」を実践する場としては、チームで挑戦する機会を創っていことが必要です。
挑戦を促すためには、まず目標設定を見直しましょう。
まずは、意義目標を自分事にしていくことが重要です。
そのためには、会社から意義目標を落とされる場合は、紐解き、当事者意識を持つための機会を持つことが重要です。
チームで意義目標を設定すると、よりパワフルになります。自分たちで、自分たちのビジョンを創っていきます。アーティエンスでは、チームビルディングを行う際にアプリシエティブインクワイアリという手法をお勧めしています。参加者全員で、共有ビジョン(意義目標)を創ります。
そうすれば、成果目標・行動目標は自ずと促進されます。
実業務内では、「意義目標・成果目標・行動目標をどのように達成するか?」を考えるための新しいアイディアが出てきます。
その際に、チームで挑戦する状況を創っていく必要があります。
「言ったもん負け」の文化にしてはいけません。そのために、相談しやすい場をデザインしていくことが重要です。「モチベーション管理を行うには?」を参考にしていただけるといいと思います。
また挑戦には失敗がつきものです。日本では「失敗は悪」と捉えがちです。そのために、失敗を下記のように定義し、発信していくことが重要です。
出典:「チームが機能するとはどういうことか」 エイミー・C・エドモンドソン
挑戦は、「探査実験や、仮説検証、不確実性」になるのではないでしょうか。また失敗から何が学べたかを、振り返り、ナレッジ化していくことが重要です。チーム学習がより強化されていきます。
# 当社「チームビルディングワークショップ」より抜粋
チームの心理的安全性に関する事例を、2つお伝えします。
冒頭にお話した「Slackが活性化していない」というお客様ですが、管理職研修を1年に渡ってご一緒したところ、管理職のSlackが活性化されていきました
研修前の状況は、
・M&Aにより部門間の壁が高く、管理職の関係性はよくなかった
・マネジメント力にばらつきがあった。
研修実施後には、下記のような変化が起きています。
・気付き・発見などのシェアがあった(自部署の施策の成功例・失敗例、書籍の紹介)
・他の管理職から相談があった際に、まったく関係のない部署の管理職からアドバイスがあった
・新規事業の開発責任者からの相談が発端となり、管理職間で多くの意見交換が発生した
本事例の新入社員はテレワークや内省機会の少なさにより、自身が成長しているかどうかわからない状況でした。改めてパルスサーベイと1on1で振り返ることにより、自身が成長していること、また周りに対して好影響を与えていたことを認知でき、自身の今後の成長に希望が持てたとのことでした。
人事や上司から見たら成長していると思っていても、新入社員自身は成長実感を持てていなかったという顕著な事例です。
こちらは、「チームの心理的安全性に必要な要素の話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎」よりも、心理的安全性を阻む要因として、「無知、無能、邪魔、否定的」への対応が行えたといっていいでしょう。
# 対人リスクとして、「無知、無能、邪魔、否定的」があると言われている。
テレワークにおいても、心理的安全性を生むデザインをしっかりすることで、効果は生まれてきます。
心理的安全性は、チームのパフォーマンス・組織の成長のためにも必要です。ただし、成果が出るまでには時間がかかり、諦めてしまうチーム・組織も少なくありません。結果が出るまでには遅れがあるために諦めてしまう、もしくは、目標への意識が低くぬるま湯で終わってしまうことも多いです。
そうならないためにも…
アーティエンスでは、心理的安全性を高めていく内容も含めた半年間にわたる管理職研修を提供しております。
テレワークであっても、心理的安全性を高め、未来を切り拓く新しい管理職像のあり方・スキルをご一緒に学んでいければと思います。
ご興味がある方は、ぜひお問い合わせいただければと思います。
また、管理職に関する人事・経営者向けの無料セミナーも開催しております。
ぜひお申し込みください。