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テレワークだからこそ求められる管理職の”チームの心理的安全性”の創り方

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あるIT企業の管理職研修でのこと、

管理職の役割の講義をした後に、管理職の方に今抱えている課題を出していただきました。

特に多かったのがテレワークでのマネジメント。

●「管理職自身が気軽な声掛けができない。またメンバーからも気軽な報連相ができない。お互いが状況が見えないからかな。。。」
●「今まで以上に受け身になっている気がする。さぼっていないかも心配」
●「オンラインだと、チームでの議論が活性化しない。会議での発言数が減った。横の連携も弱くなっているのではないか?」

今までもあった課題かもしれませんが、テレワークにより強まった課題といえます。

これらの課題を解決していくために、新しいITツールを入れただけでは変わらない可能性が高いとアーティエンスは考えます。

例えば、上記事例のIT企業さまでは、Slackの活用を推奨していましたが、Slackは活性化しませんでした。

本質的な課題を捉えなければ、ツールに振り回されるだけです。もちろんSlackなどのビジネスチャットはとても有効なツールですが、ただ入れて終わりになっていることが問題ということです。

今回のコラムでは、これらの課題を解決していくために大前提になるための「心理的安全性」について、考えていきたいと思います。

1)テレワークで起きた心理的安全性の問題

チームの心理的安全性とは、何でしょうか?

ハーバード大学エイミー教授によると、「チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だというチームメンバーに共有される信念のこと」と定義されています。

少し、分かりづらいですね。簡単に「心理的安全性」の説明をしていきたいと思います。

まずはじめに心理的安全性がない状態だと、現場ではどのようなことが起きるでしょうか。

具体的には・・・

●チームのために良かれと思って発言したことが、無視をされたり、否定されて終わる
●チームのことを思った提案でも、自分一人に対応を押し付けられ、言ったもの負けになる
●現場の声が、経営陣・管理職に上がらなくなる。またトラブルが起きたときに隠ぺいする

結果的に誰も発言しなくなる・活発な意見交換がされなくなる、という事態が起こります。
活発な意見交換ができる場を生み出すため、また、問題に対してチームで解決していこうという意識を育むためにも、心理的安全性を創っていく必要があります。

そのためには「メンバー同士が自然体で、恐れることなく意見を伝えあい、よりよくするための意識行動ができる状態」が求められます。

この状態が創られているチームが、心理的安全性が高いチームです。

心理的安全性と目標への意識の関係

心理的安全性は、ぬるま湯のような状態を目指すものではありません。
心理的安全性を創ると共に目標への意識を高めることでで、チーム学習を高めパフォーマンスを上げていくことが重要です。

そのためには「学習(Learning Zone)」(下記マトリックス参照)を目指しましょう。
※通常横軸は ”責任” という表現をされますが、分かりづらさもあることから、アーティエンスでは”目標への意識”としています。

(参考)「『チームが機能するとはどういうことか』エイミー・C・エドモンドソン」を参考に、アーティエンスが作成(チームビルディングワークショップから抜粋)

簡単に、各マトリックスの項目の説明をしていきます。

●学習(Learning Zone)・・・チームが一枚岩になって目標への意識を持ち、達成に向けてよりよくしていく意見交換などが活発化している状態です
●快適(Comfort Zone)・・・ぬるま湯でありチャレンジする環境ではありません。一見楽しそうですが、成長する機会は少ないため、発展性は少ないです
●不安(Anxiety Zone)・・・目標達成への意識が高いので、士気が高く見えるように見えますが、恐怖や罰で士気を上げています。そのため助け合いなどは起きにくく、また不正なども起きやすいです
●無関心(Apathy Zone)・・・負け癖がついているか、もしくは市場を独占していて頑張る必要がないという状況です。無気力で必要最低限の仕事しかしない状態です

学習(learning Zone)にいなければ、挑戦しないことから発展性がないだけではなく、ナレッジもたまりません。
with コロナのように今までのやり方が通用しない世界では、挑戦をしてナレッジをためていき、自分たちで正解を創っていく必要があります。

心理的安全性とパフォーマンスとの関係

心理的安全性の難しさはすぐに目に見えてパフォーマンスが上がったり、成果が出るわけではないことです。

心理的安全性の高まりに伴ってチーム学習が促進され、業績に繋がっていきます。
そのため、どうしてもタイムラグが起きます。
「(経営者・管理職が)心理的安全性を大切にしよう!」と伝え施策を打っても、短期的に成果が出ず、諦めて「不安(Anxiety Zone)」に戻ってしまうことはよくあります。

心理的安全性と、パフォーマンスの関係がよく理解できる図をご紹介いたします。

②心理的安全性のチャートオレンジ

(出典) 心理的安全性のつくりかた ~ 石井 遼介 (著)~
(※) タスクコンフリクトとは、仕事での意見の衝突になります。この衝突を乗り越えると、より素晴らしいアイディアが出てくると言われています。

テレワークで起きた心理的安全性の問題

アーティエンスでは、テレワークによって生じるチームの心理的安全性の課題は、以下の3点があげられると考えています。

関係の質の低下 : コミュニケーションの量が少なくなり、質も下がっている
モチベーションの低下 : メンバーを見てフォローができない状況、また孤独感の増大している
チーム力の低下 : 指示命令が強くなり、今まで以上に受け身になり、チームとして機能しない

チームの心理的安全性に必要な要素は、「話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎」と言われています。

(参考)日本におけるチームの心理的安全性の4つの因子を、株式会社ZENTechと慶応義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授によって開発

4つの要素が、テレワークにおいてすべてストップしてしまう構造になっていると考えています。

③低下のマトリックスオレンジ

# テレワークの課題により、特に大きく悪影響するであろう部分に「×」をつけています。

上記図からも分かるように、テレワークにより、チームの心理的安全性を創っていくことの難易度は高くなっています。
そのため、これまで以上に心理的安全性を意図して創っていくことが大切です。
それでは、テレワークでチームの心理的安全性の創り方を、説明していきます。

2)テレワークでチームの心理的安全性を作るには?

テレワークでは、心理的安全性が創ることはとても難しいです。
だからこそ、現場の管理職に頼り切るのではなく、組織としてチームの心理的安全性をデザインしていくことが重要です。

ビジネスチャットなどのツールをまず導入する前に、3つの課題(関係の質、モチベーション管理、チーム力)に関して、4つの要素(話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎)をどのように強めていくかが重要です。

関係の質を高めるには?

関係の質を高めていくためには、「話しやすさ」と「新奇歓迎」にフォーカスしていくことが重要です。

④関係の質

まずはじめにチームメンバーの相互理解を深めましょう。相互理解をすることで、話しやすさが生まれ、また多様性(新奇歓迎)も受け入れやすくなります。

具体例として、ストーリーテリングをお勧めいたします。

ストーリーテリングとは
自身の経験や想いをオープンに、かつ、人間味を持ってストーリーとして伝える方法。
ストーリーで話す方法と論理的・数値的に話を伝える方法とでは、人の記憶の残りやすさに最大22倍差がでるといわれている(スタンフォード大学 Jennifer Aaker教授)

お互いのストーリーを伝えあうことで、相互理解が進むだけではなく、メンバーの強みや可能性を知ることもできます。

アーティエンスがワークショップでよく実施する内容をご紹介します。ビジネスパーソンとして今まで最も大きな壁を乗り越えたシーンについて、ありありと語っていただきます。

<イメージ>コンテンツビジネスを展開している会社の物流部門の責任者

⑤サンプル山田太郎の物語

一人15分程度で語っていただき、他のメンバーがその人の素晴らしさや質問を伝えます。

新入社員の場合は、ビジネスシーンではなく、人生における最も大きな壁を乗り越えたストーリーを話してもらうことをお勧めいたします。

また新しいメンバーが配属された場合は、自身のストーリーを語る機会に加えて、他のメンバーへのインタビューする機会を作るといいでしょう。

インタビューは、「インタビュー時間20分、感想・質問10分」の合計30分程度取ることをお勧めいたします。一人一人時間を取ってもらいます。

下記点を抑えておくとよいでしょう。

●オープニング : 入社日の状況、その当時の想い
●ハイポイント : 自組織において、最高の瞬間
●ポジティブコア : 自身の成功を支えている要因
●共創・協働 : お互いのリクエスト

インタビューシートは、下記よりダウンロードできますので、よろしければご活用くださいませ。
#【オンボーディング】インタビューシートシート(一人30分程度)

関係の質を高め、継続していくには、コミュニケーション量と質を担保していくことが重要です。

コミュニケーション量を担保するために重要なポイント

1. スケジュールをオープンにし、お互い事前にスケジュールを抑えに行く習慣を作る
2. 突発的な声掛けや、報連相を歓迎する

1. においては、空いているスケジュールは、他のメンバーが予定を入れてもいいというルールにするといいでしょう。スケジュールに予定を入れたら、メールで一声かけると、ミスコミュニケーションも発生しません。

2. においては、Slackなどビジネスチャットで気兼ねなく相談することは一つの方法です。またアーティエンスでは、バーチャルオフィスとして、oViceというツールを導入しました。PCの画面上で気軽に声がけできるツールになります。

⑥OVISの庭

# アーティエンスのoViceの風景

最後に、オンラインでのコミュニケーションの質を高めるには、対面のコミュニケーション以上に、シグナルを丁寧に行っていく必要があります。

シグナルとは…

⑦シグナルとは
# 当社「チームビルディングワークショップ」より抜粋のため、テレワークにはそぐわない内容もあります。

また要件定義や、報連相の際には、5W2Hを使い、お互いの認識をすり合わせていくのもよいでしょう。
⑧5w2h
# 当社「ビジネススキル研修」より抜粋

モチベーション管理を行うには?

テレワークでは、「モチベーション管理が難しい」や、「メンバーが孤独を訴えてくる」という話もお聞きします。最悪、メンタルヘルスの悪化や離職も起きます。

モチベーション管理では、「話しやすさ」と「助け合い」にフォーカスしていくことが重要です。
⑨モチベーションの低下

まずは、メンバーの状況を把握できる状態を創ること、そして助け合いが起きる対話の場を創っていくことです。

大前提として、「管理する・つめる」文化ではなく、「当事者意識と主体性を育んでいく」文化を意識してデザインしていくことが重要です。

アーティエンスの場合では、下記のようにデザインしています。

1. 日報
2. 週次会議
3. 月に一回の1on1
4. 四半期ごとの成果報告会

1.日報

下記項目で提出しています。

●一日の仕事内容
●本日の振り返り(相談含む)
●明日の仕事内容
●今手元にある仕事

進捗管理も行いながら、相談が行いやすい環境を創ります。
なお当社では、日報は管理職など関係なく全員が送るようにします。
管理職であっても、状況がオープンになり、話しやすさが作られていきます。

2. 週次会議

進捗を報告しながらも、相談をしやすい会議にしていきます。

アーティエンスでは、下記のような目的・目標・Agendaで、週次会議を進めています。

目的
情報共有を丁寧に行うことで、共創・協働を行う場が活性化する

目標
各自、相談ができ、ネクストアクション(考察ポイント)などが明確になること

Agenda
・ 年間スケジュール確認
・ 売上報告・財務報告
・ 営業
・ マーケティング
・ 納品
・ 開発
・ コーポレート

3. 月に一回の1on1

月に一度、30分程度の時間を取って1on1を行っています一番の目的はメンバーの成長です。
その目的を踏まえて、落としどころを事前に決めるのではなく、丁寧に対話を行います。
アーティエンスでは、下記のように進めていきます。

目的
自身の成長にフォーカスして、アーティエンスが支援できることを探求する

目標
一カ月間の振り返りが丁寧にでき、これから意識・行動するポイントや相談・支援してほしいポイントが明確になる

Agenda
・チェックイン
・1カ月を振り返っての率直な感想や、気付き・発見
・これから大切にしていきたいことや、アーティエンスへのリクエスト
・チェックアウト

なお新入社員は入社後一カ月間、毎日行うようにしています。その際は、上司一人が行うのではなく、チームメンバーが日替わりで行います。

目的
セルフマネジメント力・リーダーシップの強化、およびメンバーとの関係の質の向上

目標
一日を振り返り、価値発揮・貢献度合いを高める

期間
入社一カ月間

対象者
新入社員、中途入社社員
既存社員(トレーナー2日間、他メンバー持ち回り)

Agenda
・チェックイン
・一日を終えての率直な感想
・本日のアウトプットと、貢献
・自由に対話
・明日の予定と、相談
・チェックアウト

持っておいてほしい観点
・支援してほしいこと
・聴いてみたいこと
・伝えたいこと

「4.四半期ごとの成果報告会」

一人30分程度の時間を取り、自身の目標に対して進捗報告を行います。

アーティエンスでは、下記のシートを用いて、成果報告をしています。

⑩成果報告シート

成果報告会では、下記のように進めていきます。

目的
自身・アーティエンスと向き合い、幸福度を上げながら、自他非分離を高める
目標
チームで内省を行うことで、貢献・成長実感を育み、さらに次へのチャレンジを深めることができること

Agenda
チェックイン
セルフマネジメントシートシェアと、フィードバック
チェックアウト

毎日、週一、月一、四半期に一度という風に、モチベーション管理を行うための「話しやすさや、助け合い」をデザインしていくとよいでしょう。

なおアーティエンスでは、新入社員・若手社員向けにGrowthというパルスサーベイも提供しています。

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ぜひこちらもご検討いただければ幸いです。
詳細資料は、下記からダウンロードが可能です。

・Growthご説明資料

チーム力を高めていくには?

チーム力を高めていくためには、「助け合い」と「挑戦」にフォーカスしていくことが重要です。
⑫チーム力の低下

「助け合い」と「挑戦」を実践する場としては、チームで挑戦する機会を創っていことが必要です。

挑戦を促すためには、まず目標設定を見直しましょう。

意義目標

まずは、意義目標を自分事にしていくことが重要です。
そのためには、会社から意義目標を落とされる場合は、紐解き、当事者意識を持つための機会を持つことが重要です。
チームで意義目標を設定すると、よりパワフルになります。自分たちで、自分たちのビジョンを創っていきます。アーティエンスでは、チームビルディングを行う際にアプリシエティブインクワイアリという手法をお勧めしています。参加者全員で、共有ビジョン(意義目標)を創ります。

そうすれば、成果目標・行動目標は自ずと促進されます。

実業務内では、「意義目標・成果目標・行動目標をどのように達成するか?」を考えるための新しいアイディアが出てきます。

その際に、チームで挑戦する状況を創っていく必要があります。
「言ったもん負け」の文化にしてはいけません。そのために、相談しやすい場をデザインしていくことが重要です。「モチベーション管理を行うには?」を参考にしていただけるといいと思います。

また挑戦には失敗がつきものです。日本では「失敗は悪」と捉えがちです。そのために、失敗を下記のように定義し、発信していくことが重要です。

⑬失敗をどのように捉えるか

出典:「チームが機能するとはどういうことか」 エイミー・C・エドモンドソン

挑戦は、「探査実験や、仮説検証、不確実性」になるのではないでしょうか。また失敗から何が学べたかを、振り返り、ナレッジ化していくことが重要です。チーム学習がより強化されていきます。

⑭振り返りの重要性

# 当社「チームビルディングワークショップ」より抜粋

3)他社事例

チームの心理的安全性に関する事例を、2つお伝えします。

チーム学習が促進された事例

冒頭にお話した「Slackが活性化していない」というお客様ですが、管理職研修を1年に渡ってご一緒したところ、管理職のSlackが活性化されていきました

研修前の状況は

・M&Aにより部門間の壁が高く、管理職の関係性はよくなかった
・マネジメント力にばらつきがあった。

研修実施後には、下記のような変化が起きています。

・気付き・発見などのシェアがあった(自部署の施策の成功例・失敗例、書籍の紹介)
・他の管理職から相談があった際に、まったく関係のない部署の管理職からアドバイスがあった
・新規事業の開発責任者からの相談が発端となり、管理職間で多くの意見交換が発生した

⑭研修前後

当社のGrowth(パルスサーベイ)を導入&1on1実施で新入社員のモチベーションが向上した事例

本事例の新入社員はテレワークや内省機会の少なさにより、自身が成長しているかどうかわからない状況でした。改めてパルスサーベイと1on1で振り返ることにより、自身が成長していること、また周りに対して好影響を与えていたことを認知でき、自身の今後の成長に希望が持てたとのことでした。
人事や上司から見たら成長していると思っていても、新入社員自身は成長実感を持てていなかったという顕著な事例です。
こちらは、「チームの心理的安全性に必要な要素の話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎」よりも、心理的安全性を阻む要因として、「無知、無能、邪魔、否定的」への対応が行えたといっていいでしょう。
# 対人リスクとして、「無知、無能、邪魔、否定的」があると言われている。

⑮ワンワン前後

テレワークにおいても、心理的安全性を生むデザインをしっかりすることで、効果は生まれてきます。

4)まとめ

心理的安全性は、チームのパフォーマンス・組織の成長のためにも必要です。ただし、成果が出るまでには時間がかかり、諦めてしまうチーム・組織も少なくありません。結果が出るまでには遅れがあるために諦めてしまう、もしくは、目標への意識が低くぬるま湯で終わってしまうことも多いです。

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