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[ コラム ]
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部下のモチベーションとは?部下のモチベーションを上げるために上司が知っておきたいこと
更新日: ー
作成日:2018.11.21
若くして上司になると、年齢に差がない部下を持つことになります。立場が同じ時には人間関係が円滑だったとしても、上司と部下になることでコミュニケーションがうまくいかなくなるケースも多いです。
その際、部下のモチベーションが下がることで、業務遂行に支障が出るケースも少なくありません。
そこで今回は、部下のモチベーションはどこにあるのか、それを上げるために上司としてできることは何かについて、お話ししたいと思います。
目次
1)そもそも、部下のモチベーションはどこにあるのか
若くして上司になる人の多くは、仕事に対するモチベーションが高いものです。 そのため、モチベーションが低い20代や30代前半の部下を理解できず、どうコミュニケーションを図ったらよいのかがわからないと悩む人も多いといいます。
そこで、なぜ若い部下のモチベーションが下がっているのか、その原因や改善のきっかけについて、一緒に考えてきたいと思います。
部下のモチベーションについて悩む人が増えている
仕事をするうえで、モチベーションを維持するのは重要なことです。どんな仕事であっても、目標が設定されているものですし、それを達成するためにはモチベーションが不可欠だからです。
しかし上司が20代から30代の若い部下のモチベーションが下がっていると感じて不満を抱えたり、部下は上司が悪いからモチベーションが上がらないと主張するケースが少なくありません。上司が部下に対して持つ悩みとしては、
・部下の意欲を感じられない
・部下自身が自らのモチベーションを上げない
・ステップアップしようという姿勢が見えない
ことがあげられます。一方の部下の立場に立つと
・上司に自分とは違う価値観を押し付けられる
・上司自身に余裕がなく、それを目指そうと思えない
・部下のモチベーションを上げる方法を考えてくれない
という不満が生まれているのです。モチベーションを上げることに関する考えにギャップがあるのですから、その溝を埋めたうえで対処方法を考える必要があります。
「モチベーションが湧くきっかけ」は人によって様々
まず、モチベーションとは何かについて、考えてみましょう。
一般的にモチベーションは、「動機付け」あるいは「やる気」と考えられています。
しかし、20代から30代前半の若い部下にとって、仕事で業績を上げ評価されることが、働くことへの動機付けややる気につながっているかというと、疑問が残ります。
ワークライフバランスが多様化する現代においては、モチベーションを「幸せを求める気持ち」と定義する方が現実味があるからです。仕事に対するやる気があり、業績アップや昇給や昇格という結果を得ることが動機付けになる上司と、仕事に限らず幸せを求める部下との間で、モチベーションに対する認識がそもそも違っているのです。
そのため、上司が部下のモチベーションを理解するにあたって、部下が考える幸せとは何かを知ることが大切です。アメリカの心理学者であるマーティン・セリグマン氏は、人が感じる幸せは「快楽」「没頭」「良好な人間関係」「意味合い」「達成b>」の5つだと提唱しました。
こうした若い部下が考えるモチベーションとは何かを踏まえて、一人ひとりが何を求めているかを把握したうえで、コミュニケーションを図ることが大切です。
2)部下のモチベーションを引き出す方法とは?
上司が自分の責任下にある部署に課せられた目標を達成するためには、部下にモチベーション高く仕事をしてもらう必要があります。
そう考えると、部下のモチベーションを引き出すことも、上司として必要な仕事です。
そこで、部下のモチベーションを上げるために、上司として何を大切にすべきなのか、そのための手法について、一緒に考えていきたいと思います。
モチベーションを引き出すには「理解と手助け」が重要
昇進が必ずしも昇給と結びつかない現代の若者は、ポストの少ない出世レースに参加したいと思わなかったり、将来に備えて老後資金を準備するための預金ができれば満足という、欲を感じない日常を贈っている人が多いものです。
つまり、努力して報われた経験が少ない若手社員にとっては、欲に絡む動機付けややる気は感じにくいということです。
そのため、上司に自分のモチベーションを上げてほしいと考えがちですが、他者からの影響で一時的に改善されることがあっても、それを維持できるとは限りません。そう考えると、上司が一人ひとり違う部下のモチベーションのありかに気づき、本人にそれを理解し深めていけるようにサポートするのが、マネジメントのポイントになりそうです。
かつてのマネジメントは、昇進や昇給といったアメをちらつかせ、時折ムチをふるうことで、部下のモチベーションを上げることができました。ですが、昇進や昇給に興味がなく、厳しくされることに慣れていない若い部下は、アメとムチでは動きません。
まず、部下のモチベーションをアップさせるためには、本人に
・価値ある仕事をしている
・職場に自分の存在価値がある
・自分が成長している
ことを実感してもらうことが大切です。
上司として、そのためのサポート方法を考え、実践する必要があります。
部下の「視界」を捉えることがモチベーションを引き出す第一歩になる
部下のモチベーションを上げるためには、まず若手社員と上司である自分の仕事に対する認識やスタンス、求めるものの違いを認識することから始めるのがセオリーです。
特に年齢の高い上司の場合は、生育あるいは就労の環境が若手社員とは違います。欲しいものはそれほど我慢せずに手に入り、ゆとり教育を受け、会って話すより携帯メールでコミュニケーションを図ることが多く、自分探しを重視するところが、現在の若手社員が成長の過程で経験してきたことです。
そうした若手社員に、自分より会社を優先した仕事をしたり、対話でコミュニケーションを図ろうとしても、うまくいかないのは仕方がないことです。
若手社員が見てきたもの、見ている視界を知り、それを踏まえて、モチベーションを上げる方法を考えることが、第一歩といえるのではないでしょうか。
部下のモチベーションを引き出すには、“コーチング”が効果的
年齢の高い上司は、会社を成長させたり発展させることが自分の成長につながるため、権力を手にして大きな仕事をすることが、モチベーション維持に役立ちました。
しかし若手社員は、自己実現の手段として会社の仕事があり、そのため成果が見えて、すぐに評価してもらえることを重視しています。ですが、それが昇進や昇給につながっているとは限りません。
若手社員のなかには、上司になって重い責任を背負わされるのが嫌だと考える人も多いからです。とはいえ、会社での仕事が自分のためになると思えれば、そこにモチベーションを感じることができます。
そこで、相手を理解し、部下のモチベーションを上げるために、「コーチング」というマネジメント手法を用いることをおすすめします。部下に対して説得や依頼を主とする従来型のマネジメントを行うより、相手に共感し必要な気付きを与え、実践をサポートするコーチングの方がモチベーションを引き出しやすいのです。
3)モチベーションを引き出すコーチングってどんなもの?
コーチングとは、企業あるいはチーム、個人がより簡単に、効率的に、スピーディーに現状から希望する成功や目標を達成するサポートをすることと定義されています。
ここで大切なのは、実現が難しいと考えられる目標やゴールにも、きちんと到達させることです。
そこで、モチベーションを引き出すためのコーチングの方法について、お話ししたいと思います。
ポイントは意識と責任感を育てること
上司が部下をマネジメントする際にコーチングを用いる際に、心がけてほしいことがあります。
まず、人の潜在能力を引き出すことで個人のパフォーマンスを向上させるために、自分で考えるサポートをして結果を出すことがコーチングであると理解してください。それを実現するためには、部下自身の「意識」と「責任感」を育てることが重要です。
従来のマネジメントでは、部下の能力や意欲の有無に関わらず、指示や命令を行うものでした。それは上司が説得や依頼をすることにほかならず、部下の立場から見ると、上司から指示されただけで自分に責任はないと考えるケースが多いです。
一方のコーチングは、上司と部下の話し合いからのスタートです。部下自身が仕事に対して前向きな意識や責任感を持てれば、上司の指示や命令に従って行うのではなく、主体的に取り組むようになります。
それこそが、モチベーションを引き出すことなのです。
モチベーションアップのためにコーチングで重要なポイント4つ
ここでは、コーチングを実践するにあたり、基本となる4つのスキルについて、お話しします。
正しく4つのスキルを実践すれば、部下のパフォーマンスを最大限に発揮するうえで大切なモチベーションを引き出すきっかけをつかめるはずです。
1.質問する
コーチングスキルの一つめは、質問することです。
ここでいう質問とは、上司が聞きたいことの回答を得るためのものではありません。部下のモチベーションを引き出すきっかけをつくるために、質問するのです。
その手法として、「クローズド」と「オープン」という、2つの質問方法を使い分けます。クローズドの質問とは、YESまたはNOで回答できるもので、事実確認や情報収集の際に活用します。一方のオープンの質問は、言葉での回答が必要なもので、事実に気づいたり、考えを広げるきっかけをつかませたい時に役立ちます。部下の状況や課題に合わせて、2つの質問方法を用い、解決策を見出すきっかけをつかみましょう。
2.傾聴する(聴く)
傾聴とは、相手の話をじっくりと聴くことです。
部下の話を聴くための時間を設けても、対話の過程で自分の考えや意見を押し付ける上司が少なくありません。傾聴の目的は、部下の気持ちや考えを知ることですから、上司が求める結論に誘導したり、表面的な意味をとらえるのでは意味がありません。
上司がきちんと部下の話を傾聴すれば、自分を理解しようとしてくれているという満足度につながり、それが良好な人間関係を築く期待感を得られ、モチベーションアップにつながるのです。まずは、部下の考えや価値観を知り受け止めるために、傾聴する時間を設けましょう。
3.観る
上司が部下を観るというのは、「承認する」「評価する」と同義語とここではとらえます。
コーチングは長期的に行うことなので、上司と部下との対話のなかで、短期・中期・長期的な目標を設定します。 そして、コーチングの成果があらわれているかどうかを、その後の対話のなかで確かめていきます。
そのため、部下の努力や成長を観て、できていることがあれば言葉にしてほめることが大切なのです。
自分がきちんと観られていると知り、評価されていると感じれば、部下は上司に信頼を置くようになります 。信頼関係が深まれば、日々の対話や行動でよりお互いを理解できるようになり、それがモチベーションを維持する力になります。
4.伝える
最後のスキルは、伝えることです。
上司がコーチングしていて、部下の成長が停滞していると感じることもあるものです。そんな時、部下に対して指示するのではなく、フィードバックという形でステップアップの提案をするのが望ましい形です。
その際には、部下に合わせた「ペーシング」という技術を用いるのがおすすめです。ペーシングとは、相手によって話し方や声音、姿勢、リズムを変えることをいいます。言葉の選び方や相手との距離など、心地よいと思うポイントには個人差があります。
短期間で部下との信頼関係を築くためには、上司が適切にペーシングを用いることも重要です。さらに、定期的なコーチングの際に、上司が部下を支援していることをくり返し伝えることも、大事なポイントになります。
まとめ 部下のモチベーションをアップできる上司を目指そう!
今回は、部下のモチベーションはどこにあるのか、それを上げるために上司としてできることは何かについて、お話ししました。
この記事のポイントは、
・上司と部下ではモチベーションを感じるポイントが違う
・部下のモチベーションを引き出すにはコーチングが有効である
・コーチングには4つのスキルがあり、それを続けることが重要である
の3つです。
価値観が違う若手社員でも、アプローチ方法を変えればモチベーションは引き出せます。 この記事が、そのきっかけをつかむ一助になれば幸いです。