【成功事例あり】管理職の“横の連携不足”を生む6つの構造問題と解決法

更新日:

「他部門の管理職と、もっとスムーズに連携してほしい…」
「管理職同士が協力しないせいで、プロジェクトが前に進まない…」
「部署同士が、どこか刺々しくなっている…」

こうした悩みを抱えながら、打ち手が見えずに困っている人事・経営層の方も多いのではないでしょうか。

管理職の“横の連携”が不足すると、現場では小さな行き違いが増え、やがて意思決定の遅れや責任の押し付け合い、士気の低下といった形で組織全体に影響が広がります。

ただ、管理職の横の連携不足の原因の多くは個人の意識や努力ではなく、評価制度や情報共有の仕組み、心理的な分断といった「組織構造」にある場合が多いです。

本記事では、管理職の横の連携を阻んでいる6つの構造問題を整理し、解決に向けた施策を短期・中長期の視点で解説します。
あわせて、横の連携不足を乗り越え、組織の成長につなげた事例も紹介します。

管理職同士の横の連携を機能させ、組織全体の柔軟性と生産性は高めて持続可能な企業へと成長を促しましょう。

執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

目次

1)管理職の横の連携を阻む6つの構造問題

管理職同士の横の連携がうまくいかない背景には、以下のような要因があります。

具体的にどのような課題が連携を阻んでいるのかを解説します。

1-1. 評価制度の弊害:部門間の協力が評価されない

組織の評価制度が「部門単位の成果」を重視しすぎると、管理職は自部門の成果ばかりに意識が向き、他部門との協力が後回しになります。

例えば、営業部は売上、製造部は生産効率、マーケティング部はリード獲得といった個別のKPIを持っていると、各部門の管理職は「自部門の目標を達成すること」が最優先になってしまいます。その結果、「他部門との連携を深めること」にインセンティブがなくなり、連携を取る必要性を感じにくくなるのです。

この状態が続くと、たとえば営業部が無理な納期を約束しても製造部が対応できず、納期遅れやクレームにつながるといった問題が発生します。

このように、評価制度が部門単位で設計されていると、管理職は自部門の目標達成に集中せざるを得ず、部門間の協力は後回しにされがちになります。

1-2. 情報共有の壁:必要な情報が適切に届かない

管理職同士がうまく連携できない大きな原因のひとつに、必要な情報が適切に共有されていないことがあります。
部門ごとに使用しているツールやデータ、意思決定の基準が異なると、「どこにどんな情報があるのか分からない」「報告が必要な情報が共有されていない」などの問題が発生し、連携しづらくなります

例えば、営業部が「新商品が売りにくい」と感じていても、その背景や顧客の声が開発部に十分に共有されなければ、開発部は現場の課題を把握できません。結果として、現場ニーズとズレた商品開発が続いてしまうことがあります。

このような情報の断絶が続くと、「他部門が何をしているのか分からない」「こちらの苦労を理解してもらえない」といった不信感が生まれ、管理職同士の関係性も悪化します。
その結果、連携しようとする意欲自体が下がり、ますます協力が難しくなります

1-3. 心理的要因(対立・不信感):他部門への誤解や固定観念がある

組織の中で、「あの部門はこういう考え方だから仕方ない」といった固定観念が生まれやすく、それが管理職間の対立や不信感につながることがあります。

例えば、営業部は「製造は融通が利かない」、製造部は「営業は無理ばかり言う」、マーケティング部は「現場を理解していない」といった見方を、無意識のうちに持ってしまいがちです。

このような固定観念があると、本来は協力できる場面でも、「話してもムダだろう」「どうせ分かってもらえない」といった思い込みが先に立ち、意見交換の機会が減っていきます

さらに、過去に起きた小さな対立やすれ違いが解消されないまま積み重なると、「あの部門とはうまくやれない」という認識が管理職の間に定着してしまうこともあります。

こうした状況を経営層が放置すると、部門間の心理的な壁はより強固になります。
その結果、必要な意思決定が遅れたり、全社視点での判断ができなくなったりと、企業全体のパフォーマンス低下を招く原因にもなります。

1-4. 経営層が横の連携を軽視:縦のつながりが優先される

多くの企業では、経営層や上層部が「縦」のつながりを重視し、部門間の「横の連携」に関心を持たないケースがあります。

経営層が管理職に対して「まずは部門の成果を最優先しろ」というメッセージを発していると、管理職は自ずと自部門の数字を上げることに意識が集中します。その結果、他部門と時間をかけて調整したり、協力関係を築いたりすることは後回しになりがちです。

さらに、経営層が部門間の連携そのものを評価していない場合、管理職は「横の関係を強化しても評価されない」「連携しても自分の成果にはならない」と感じるようになり、協力する意味を見出しにくくなります

こうした状況を防ぐためには、経営層自らが「部門横断の取り組みを評価・可視化する」「管理職同士の連携を意識的に促すメッセージを発信する」といった姿勢を示すことが重要です。
経営のスタンスが変わらなければ、現場の連携も変わりません

1-5. 物理的な距離・接点不足:関係構築の機会がない

部門間の物理的な距離が離れていると、管理職同士が日常的に接点を持つ機会は自然と少なくなります
その結果、「他部門の管理職と話すきっかけがない」という状態が生まれやすくなります。

例えば、製造部は工場、営業部は本社といったように拠点が分かれている場合、やり取りはメールやチャットが中心になりがちです。
最低限の情報共有はできても、背景や意図まで踏み込んだコミュニケーションは生まれにくくなります

また、たとえ同じ拠点にいたとしても、日々の業務に追われている中では、意図的に場を設けない限り、部門を越えた交流はほとんど生まれません。

このように、物理的な距離や接点不足が続くと、管理職同士が関係性を築く機会がないまま時間が過ぎていきます。その結果、問題が起きたときにも「相談してみよう」という意識が生まれにくくなり、連携が取りづらくなってしまいます

1-6. 部署ごとの力関係の固定化:特定の部門が優位に立ち、連携が阻害される

企業によっては、営業やマーケティングなどの部門が「花形」とされ、バックオフィスや製造部門が補助的な存在として扱われることがあります。こうした認識が長年にわたって続くと、特定の部門の発言力が強まり、他部門の意見が軽視される構造が生まれます。

例えば、経営層との距離が近いマーケティング部門が意思決定に強い影響力を持ち、現場に近い他部門の意見が十分に反映されないケースがあります。また、営業部が「売上を生み出す部門」として優遇される一方で、製造部門からの要望や懸念が後回しにされるといった場面も少なくありません。

このような力関係の偏りが続くと、部門間の関係は対等ではなくなります
その結果、本来は協力すべき場面であっても、「自部門の利益を守ることが最優先」という意識が強まり、率直な意見交換や建設的なコミュニケーションが難しくなります


これらの課題を解決するためには、具体的な施策が必要です。次の章では、「管理職の横の連携を強化するための具体的なアクション」を紹介します。

◆筆者が【動画】でじっくり解説
※クリックで動画が流れます。音量にご注意ください。

2)管理職の横連携を機能させる6つの施策

管理職の横の連携を強化する具体的な施策をすぐに実施できる短期施策と、組織に定着させるための中長期施策を、管理職の連携を阻む要因ごとに提案します。

短期施策 中長期施策
評価制度の弊害を解消するための施策 部門間協力を評価する仕組みを試行する MBOに「横の連携」を組み込む
評価指標を「個別KPI」から「組織KPI」へシフトする
情報共有の壁を解消するための施策 部門横断のクロスブリーフィングを実施する 部門データを統合し、全体を可視化する
部門間情報共有のガイドラインを整備する
心理的要因(対立・不信感)を解消するための施策 管理職ピアコーチング(部門横断1on1)を導入する 心理的安全性を高める研修を実施し、対立を生産的な議論に変える
部門間連携の成功事例を共有し、文化として定着させる
経営層が横の連携を重視していないことへの施策 経営会議で部門間連携の成果を共有する 経営関与型の部門横断タスクフォースを設置する
経営層の評価にも「横の連携」を組み込む
物理的な距離・接点不足を解消するための施策 月1回の部門横断ランチ会を実施する オフィスレイアウトを見直し、物理的距離を縮める
合同研修・ワークショップで関係を深める
部署ごとの力関係の固定化を解消するための施策 経営から「組織全体成果」を重視するメッセージを発信する 他部門協力が評価される仕組みを設ける
プロジェクト型組織を推進する

2-1. 評価されない連携を変える|部門間の協力を評価に組み込む仕組み

自部門の成果だけが評価される仕組みが続くと、管理職はどうしても自部門の目標達成を優先しがちになり、部門間の連携は後回しにされてしまいます。その結果、他部門と協力するメリットを感じられず、横のつながりは生まれにくくなります。

この状況を変えるためには、管理職に「組織全体で成果を出す視点」を持ってもらうことが不可欠です。そのための鍵となるのが、部門間の協力を評価制度に組み込むことです。

短期施策 「部門間協力を評価する仕組み」をテスト導入する
中長期施策 ① MBOに「横の連携」を組み込む
② 個別KPIから「組織KPI」へシフトする

短期施策|部門間協力を評価する仕組みを試行する

現在の評価制度が部門成果偏重になっている場合、いきなり全社的に制度を変えるのはリスクがあります。そこで有効なのが、部門間協力を評価する仕組みのテスト導入です。

一部の部門に限定して導入することで、その部門の管理職は「連携すれば評価される」「部門間で協力すると仕事がスムーズに進む」という実感を得やすくなります。そしてその変化が周囲にも伝わり、他部門の管理職にも連携に前向きな姿勢が広がっていきます

テスト導入が有効なのは、リスクを抑えられる点だけではありません。次のようなメリットもあります。

・管理職の混乱を防げる
・評価基準の妥当性を検証できる
・行動変化を事前に確認できる

具体的な実施方法は以下の通りです。

【具体的な実施方法】

① 評価項目を決める
評価対象とする連携行動を明確にします。
例:
・他部門への貢献度
・部門横断で生まれた成果
・協力による業務改善事例

既存の評価基準と矛盾しない形で設計することが重要です。


② 試験導入の対象を決める
まずは1〜2部門に限定し、小規模に始めます。
営業×製造、開発×マーケティングなど、連携頻度が高い組み合わせが効果的です。


③ 評価方法を設計する
上司評価の一部として「他部門との協力状況」を追加し、
・どの部門と
・どのように連携し
・どんな成果につながったか を具体的に振り返る仕組みを整えます。


④ フィードバックの場を設ける
1on1や定例レビューで連携を振り返り、成果事例を社内で共有します。好事例が可視化されることで、横展開が進みます。


⑤ 結果を振り返り、調整する
3〜6ヶ月後に以下の観点で検証します。

・管理職の行動変化:部門間の会話や協力が増えたか?
・業務改善の効果:他部門との連携により、業務がスムーズになったか?
・評価の納得感:管理職が新しい評価基準を受け入れているか?

この結果をもとに、全社展開に向けた改善点を整理します。

テスト導入を行うことで、部門間が助け合うことへのメリットを実感しやすく、また、評価の仕組みを現場に合った形に調整でき、全社展開時も無理なく導入することが可能になります。

中長期施策①|MBOに「横の連携」を組み込む

評価制度に構造的な課題がある場合、MBO(目標管理制度)に「横の連携」を明記することが有効です。

個別業績のみを評価していると、管理職は自部門の成果に集中し、他部門との協力に動機を見出しにくくなります。評価項目に連携を組み込むことで、「協力することが評価につながる」と認識され、行動変容を促すことができます。

【具体的な実施方法】

① 既存のMBO評価項目を洗い出す
まずは、現在のMBO評価項目を整理し、他部門との協力に関する要素が含まれているかを確認します。


② 横の連携を評価する項目を追加する
連携要素が含まれていない場合は、以下のような具体的な行動指標を新たに設定します。

・部門横断プロジェクトへの参画・推進件数
・他部門と協力して実施した業務改善の件数

数値化しにくい場合は、「具体的な連携エピソードの記載」など、定性的な要素を補足項目として加える方法も有効です。


③ 評価項目の意図と期待行動を共有する
評価制度は、「何が・なぜ評価されるのか」が理解されていないと形骸化しがちです。
評価項目を追加する理由や、期待する連携行動について、説明会や1on1を通じて丁寧に伝えましょう。

中長期施策②|評価指標を「個別KPI」から「組織KPI」へシフトする

評価制度に原因がある場合、管理職の評価指標を「個別KPI」から「組織KPI(部門横断的な成果)」へシフトすることが効果的です。

個別KPIのみに偏った評価制度では、管理職が自部門の目標達成を最優先し、部門間の協力が後回しになってしまいます。組織全体の成果を評価に含めることで、他部門と協力し合う動機が生まれ、横の連携が自然と強化されていきます。

【具体的な実施方法】

① 既存のKPI体系を整理する
現在のKPIを洗い出し、部門横断の取り組みや成果がどの程度評価に反映されているかを確認します。
多くの場合、「売上」「コスト削減」「進捗率」など、自部門内で完結する指標に偏りがちです。


② 組織KPIとなる評価項目を追加する
部門横断の視点が不足している場合は、以下のような指標を追加します。

・部門間の共同プロジェクト実施件数
・他部門と連携して生み出した成果・業務改善事例
・部門横断プロジェクトへの参画・推進回数
・他部門の業務改善提案の受入・実行件数

数値化が難しい場合は、自己申告と他者評価(例:360度フィードバック)を組み合わせ、定性的な貢献も評価します。


③ 評価制度に反映し、成果を可視化する
組織KPIを評価シートやダッシュボードに反映し、定期的に進捗を確認します。
あわせて、会議の場で「横の連携が成果につながった事例」を共有すると、意義が伝わりやすくなります。


④ 定期的な振り返りと運用改善を行う
四半期・半期ごとに、KPIが行動や成果に与えた影響を振り返り、必要に応じて項目や重みを調整します。
現場の声を取り入れながら改善を重ね、制度の定着と納得感を高めていきましょう。

評価制度の見直しは、管理職が「横の連携」を意識し、組織全体の成果を高めるために欠かせない要素です。

一度にすべてを導入するのではなく、小規模なテスト導入からスタートし、徐々に組織全体に広げていくことが成功の鍵となります。

2-2. 届かない情報をつなぎ直す|部門を越えた情報共有の設計

情報が適切に共有されないと、部門間の連携は滞り、意思決定のスピードも低下します。
特に、専門性や業務視点が異なる部門同士では、情報共有の仕組みが整っていないと、誤解や無駄なやり取りが生まれやすくなります。

こうした状況を改善するには、部門間の相互理解を段階的に深めていくことが重要です。

短期施策 部門横断のクロスブリーフィングを実施する
中長期施策 ① 部門データを統合し、全体を可視化する
② 部門間情報共有のガイドラインを整備する

短期施策|部門横断のクロスブリーフィングを実施する

部門間の相互理解を深めるために「クロスブリーフィング」を定期的に実施することが効果的です。
※クロスブリーフィングとは、部門間の情報共有と相互理解を促進するためのミーティングのことです。

部門ごとに業務内容や目標が異なると、お互いの立場や事情を理解できず、連携の妨げになります。クロスブリーフィングを通じて、管理職同士が自部門の状況や課題を共有し合うことで、誤解や固定観念が解消され、連携しやすい土台がつくられます

【具体的な実施方法】

① 目的を明確にする
「相互理解を深め、連携をスムーズにする」「他部門の状況を自部門の業務に活かす」など、実施目的を事前に共有します。

② 開催頻度・対象者を決める
月1回、管理職を対象に30〜60分程度で実施。
2〜3部門が発表し、他部門は聞き手に回る形式がおすすめです。

③ 発表内容をテンプレート化する
「部門目標/進捗/課題/他部門に知ってほしいこと」など、項目を統一します。資料は1〜2枚に抑えると負担が軽減されます。

④ 対話の時間を設ける
発表後に5〜10分の質疑応答を設け、双方向のコミュニケーションを促します。

⑤ 内容を記録・共有する
議事メモや資料を社内で共有し、新任管理職や異動者にも活用できる形で蓄積します。

この取り組みにより、管理職同士が互いの業務や事情を理解している状態が生まれ、日常のコミュニケーションや協力が格段にスムーズになります。

中長期施策①|部門データを統合し、全体を可視化する

情報が部門ごとに分断されていると、正確な意思決定が難しくなります。そこで、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを導入し、重要な指標や進捗を可視化することが効果的です。

共通のデータを「見える化」することで、管理職同士が同じ情報をもとに会話できるようになり、意思決定のスピードと質が向上します。

【具体的な実施方法】

① 共有すべきKPIを明確にする
売上進捗、生産計画と実績、リード獲得数など、他部門との連携に影響する指標を優先して選定します。

② BIツールや既存ツールを活用する
Tableau、Looker Studio、Power BIなどを活用し、リアルタイムで可視化します。導入が難しい場合は、Excelやスプレッドシートによる簡易ダッシュボードから始めても構いません。

③ 更新・閲覧ルールを整える
更新タイミングと確認タイミングを決め、誰でもアクセスできる場所にダッシュボードを設置します。

④ 活用の場をつくる
会議や部門間ミーティングでダッシュボードを使い、「この数値をどう連携に活かすか」を議論します。

この施策により、管理職間の認識のズレが減り、根拠に基づいた判断と迅速な行動が可能になります。

中長期施策②|部門間情報共有のガイドラインを整備する

情報共有の質と効率を向上させるためには、「どの情報を、どのタイミングで、どのツールで共有するか」を明確にするガイドラインを作成することが有効です。

部門間で情報共有のルールが曖昧だと、「伝えたつもり」「聞いていない」というズレが起きやすくなるためです。共有すべき内容や手段が明確になることで、管理職同士の連携がスムーズになり、意思決定のスピードも向上します。

【具体的な実施方法】

① 共有すべき情報とタイミングを整理する
業務フローを確認し、「新規プロジェクト開始時」「トラブル発生時」「週次報告」など、情報共有が必要な場面を洗い出します。

② 情報の種類ごとに共有手段を決める
緊急情報はチャット、重要事項はドキュメント、進捗はスプレッドシートなど、情報の性質に応じてツールを使い分けます。
誰が・いつ・どの手段で共有するかを具体化します。

③ ガイドラインを簡潔に共有する
ルールは1枚のドキュメントにまとめ、社内でいつでも確認できる状態にします。新任管理職にも分かりやすい形式が理想です。

④ 運用しながら見直す
形骸化を防ぐため、現場の声をもとに定期的に改善します。

この取り組みにより、管理職同士の情報共有に対する認識が揃い、やりとりの質が高まります。結果として、業務の無駄や連携ミスが減り、組織全体のパフォーマンス向上につながります。


情報共有の壁を解消することは、部門間の連携を円滑にし、組織全体の意思決定のスピードと精度を高めるうえで欠かせません。

また、情報共有の仕組みは一度整えて終わりではありません。
組織の成長や変化に合わせて定期的に見直し、常に最適な形へ改善を続けていくことが重要です。

2-3. 対立・不信感を解きほぐす|心理的分断を解消するアプローチ

部門間の対立や不信感があると、協力関係の構築が難しくなり、業務の非効率や目標達成の障害となります。
この問題を解決するためには、相互理解を深める施策と、心理的安全性を向上させる取り組みを組み合わせることが重要です。

短期施策 「管理職ピアコーチング(部門横断1on1)を導入する
中長期施策 ① 心理的安全性を高める研修を実施し、対立を生産的な議論に変える
② 部門間連携の成功事例を共有し、文化として定着させる

短期施策|管理職ピアコーチング(部門横断1on1)を導入する

部門間の相互理解を深めるために、異なる部門の管理職同士で定期的に1on1ミーティングを行う「ピアコーチング」を導入することが効果的です。

部門を越えて状況や課題を共有することで、誤解や固定観念が解消され、他部門のリアルな課題への理解が進みます。その結果、連携の糸口が自然と生まれやすくなります。

【具体的な実施方法】

① ペアを設定する
人事や経営企画が中心となり、普段関わりの少ない部門同士を優先してペアを組みます。

② 頻度とテーマを決める
月1回、30分〜1時間程度で実施。
「最近の課題」「自部門の現状」「他部門に期待すること」など、簡単なテーマを用意します。

③ 気づきを簡単に共有する
対話で得られた気づきをメモ程度で共有し、学びを組織に還元します。

④ 継続しやすい運用を整える
実施状況を人事が緩やかに把握し、良いエピソードを社内で共有します。

この取り組みにより、部門間の対話のハードルが下がり、管理職同士の関係性がフラットになります。
結果として、相談や協力がしやすくなり、連携のスピードと質が向上します。

中長期施策①|心理的安全性を高める研修を実施し、対立を生産的な議論に変える

部門間の対立や不信感を解消するには、心理的安全性を高める研修を実施することが有効です。

対立の背景には、意見を言いづらい雰囲気や過去のすれ違いがあり、放置すると「話してもムダ」「協力しにくい」という空気が定着します。
心理的安全性の考え方と実践方法を学ぶことで、管理職自身が建設的に対話できる土台を築けます

【具体的な実施方法】

① 研修の目的を明確にする
「対立を恐れず、前向きに意見を言い合える関係をつくる」ことを目的に設定します。

② 実践中心のプログラムを設計する
ロールプレイやケーススタディを取り入れ、現場に近い対立場面を扱います。

③ 部門横断で参加メンバーを編成する
普段関わりの少ない部門同士を組み合わせ、相互理解と関係構築を促します。

④ フォローアップを行う
研修後に振り返りや実践共有の場を設け、学びを定着させます。

アーティエンスでは、管理職が心理的安全性の理論を理解し、実践的なスキルを習得できる心理的安全性向上研修を提供しています。本研修では、実際の職場で使えるフィードバック技術や、対立を成長機会に変えるコミュニケーション手法を学ぶことができます。

 

この施策により、対立は「衝突」ではなく「前進のための議論」として機能し、部門間の建設的な連携が育まれます

中長期施策②|部門間連携の成功事例を共有し、文化として定着させる

心理的要因を解消するために、部門間連携の成功事例を可視化・共有することが効果的です。

部門横断での成功があっても、それが個別の美談で終わってしまっては、他の管理職に波及しないためです。成功事例を定期的に発信し、「部門を越えて協力するのは成果につながる」「評価される行動だ」という文化を組織に根付かせる必要があります。

【具体的な実施方法】

① 成功事例を収集する
部門横断で成果が出たプロジェクトを洗い出し、協力のきっかけや乗り越え方を含めて整理します。

② 定期的に社内で共有する
社内報や会議、朝礼などで継続的に紹介します。インタビューや対談形式にすると臨場感が高まります。

③ 事例を蓄積する
成功事例を社内ポータルにまとめ、テーマや部署別に検索できる形で保管します。

④ 継続的に更新・称賛する
新しい事例を追加し、「連携賞」などの表彰を行うことで行動を後押しします。

この取り組みにより、「横の連携=価値ある行動」という認識が管理職に浸透し、自然と協力が生まれる組織文化が育っていきます


部門間の対立や不信感は、横の連携を妨げる大きな要因です。
しかし、本章で紹介した施策に取り組むことで、少しずつ信頼関係が築かれ、協力しやすい組織へと変えていくことができます。

2-4. 縦優先の経営を変える|横の連携を“重要テーマ”にする施策

経営層が部門間の連携を重視していないと、管理職は自部門の目標を優先しがちになり、横のつながりが生まれにくくなります。

この課題を解決するために、経営層が部門間連携の重要性を理解し、それを組織全体に浸透させる施策を実施します。

短期施策 経営会議で部門間連携の成果を共有する
中長期施策 ① 経営関与型の部門横断タスクフォースを設置する
② 経営層の評価にも「横の連携」を組み込む

短期施策|経営会議で部門間連携の成果を共有する

管理職の横の連携を促進するためには、経営会議で「部門間連携の成果報告」を正式な議題として取り上げることが効果的です。

横の連携について会議で取り上げることで、経営層は意識を向けやすくなり、また現場の管理職は「連携が評価される」「経営層も注目している」と実感できます。これにより、連携への意欲や行動が自然と高まります。

【具体的な実施方法】

① 成果報告のフォーマットを整える
連携部門、目的、プロセス、成果、学びをA4一枚程度でまとめられるフォーマットを用意します。

② 報告対象を絞る
最初は成果が出ている部門連携に限定し、モデルケースとして共有します。

③ 定例議題に組み込む
四半期に1回など、経営会議の定例議題として設定し、継続的に振り返ります。

④ 経営層のコメントを返す
成果に対して前向きなフィードバックを行い、評価のメッセージを明確に伝えます。

この取り組みにより、「横の連携」が重要な経営テーマであることが組織に伝わります。管理職も前向きに連携へ取り組むようになり、協力が当たり前の文化が育っていきます。

中長期施策①|経営関与型の部門横断タスクフォースを設置する

部門間の連携を強化するには、「部門横断タスクフォース」を設置し、経営層が定期的に関与するプロジェクトを推進することが効果的です。

部門を超えた協働の場を設けることで、部門間の壁が取り払われ、全社的な課題解決がスムーズに進みます。また、経営層が関与することで、プロジェクトの優先順位が上がり、連携への意識が管理職全体に浸透します。

【具体的な実施方法】

① テーマを選定する
納期短縮、顧客満足度向上、新規事業、業務効率化など、複数部門が関わる全社課題を経営主導で選びます。

② メンバーを編成する
関連部門から管理職を選出し、経営層がエグゼクティブスポンサーとして参加します。

③ 運営ルールを整える
定例ミーティングや成果物の扱いなど、共通ルールを明確にします。

④ 進捗・成果を共有する
活動内容や成果を全社に発信し、連携の価値を可視化します。

この取り組みにより、部門間の協働が特別なものではなく、日常的な業務として定着していきます。
経営の関与を通じて、組織全体が連携に向かい、成果を生み出しやすい土壌が形成されます。

中長期施策②|経営層の評価にも「横の連携」を組み込む

部門間の連携を全社的に進めるためには、経営層自身の評価指標に「横の連携促進度」を加えることが効果的です。

管理職に連携を求めるだけでは限界があります。
トップ自らが行動で示し、それが評価につながる仕組みをつくることで、組織全体に「連携は重要な役割である」というメッセージが浸透します。

【具体的な実施方法】

① 評価指標に「横の連携促進度」を設定する
役員・経営幹部のMBOや360度評価に、部門間協力に関する指標を加えます。
例:部門横断プロジェクトの主導、他部門連携による成果など。

② 評価対象となる行動を明示する
他部門会議への参加、タスクフォースへの関与、複数部門を巻き込んだ企画立ち上げなど、評価される具体行動を共有します。

③ 評価結果をフィードバックに活かす
評価理由や今後の改善ポイントを振り返り、経営層自身の行動変容につなげます。

この施策により、「連携を推進すること自体がリーダーの重要な役割」であることが明確になります。
トップの姿勢と評価が揃うことで、組織全体に連携文化が根づき、管理職も安心して横の協力に取り組めるようになります。


経営層が横の連携を重視することで、管理職の行動も変わり、組織全体の協力体制が強化されます。

短期施策でまず管理職の連携への意識を高め、中長期施策として、経営層が直接関与する仕組みを作ることで、部門間の協力が組織全体に定着し、業務の効率化や成果の向上につながります。

2-5. 会わない構造を変える|偶発的な対話を生み出す接点づくり

部門間の連携がうまくいかない原因の一つに、物理的な距離や接点の不足があります。
異なるフロアや拠点に配置されている場合、管理職同士が顔を合わせる機会が少なくなり、結果として意思疎通が不足しがちです。

この問題を解決するために、短期施策と中長期施策を組み合わせ、意図的に部門間の交流の機会を作ることが重要です。

短期施策 月1回の部門横断ランチ会を実施する
中長期施策 ①オフィスレイアウトを見直し、物理的距離を縮める
②合同研修・ワークショップで関係性を深める

短期施策|月1回の部門横断ランチ会を実施する

部門を越えた関係づくりの第一歩として、月1回の部門横断ランチ会を実施します。

業務外のカジュアルな場で交流することで心理的ハードルが下がり、普段接点の少ない管理職同士の会話が生まれます。結果として、日常業務でも声をかけやすくなり、協力の土台が築かれます。

【具体的な実施方法】

① 参加者をランダムに組み合わせる
異なる部門の管理職を3〜4名で組み合わせ、普段関わりの少ない関係を優先します。

② ランチ代は会社が負担する
社内食堂や外部店舗など、リラックスできる環境を用意し、参加のハードルを下げます。

③ 会話テーマを用意する(任意)
連携の悩みや工夫など、話題例を提示しつつ、自由な会話を促します。

この取り組みにより、「ちょっと相談したい」が自然に生まれ、仕事を越えた信頼関係が部門横断の協力を後押しします。

中長期施策①|オフィスレイアウトを見直し、物理的距離を縮める

部門間の接点不足を解消するには、協力関係にある部署同士の物理的な距離を近づけることが効果的です。

声をかけやすい距離感をつくることで自然と会話が生まれ、連携のハードルが下がります。特別な制度を設けなくても、連携の習慣を根付かせやすいアプローチです。

【具体的な実施方法】

① 連携が必要な部門を整理する
営業×マーケティング、開発×カスタマーサポートなど、業務上の接点が多い部門を洗い出します。

② 近接配置のレイアウトを検討する
隣接配置や共用エリアの共有など、接点が生まれやすい配置を検討します。

③ トライアルで導入する
一部フロアやチームから試験的に実施し、会話量や動線の変化を確認します。

④ フィードバックをもとに改善する
利用者の声を反映し、実際に効果の出る配置へ調整します。

この取り組みにより、管理職同士が気軽に相談できる関係が生まれ、日常的な連携が進み、業務全体のスピードと質が向上していきます。


中長期施策②|合同研修・ワークショップで関係性を深める

部門横断の合同研修やワークショップは、管理職同士の信頼関係を築く有効な機会です。

普段関わりの少ない他部門の管理職と対話し、共通の課題に取り組むことで相互理解が進み、業務上の連携もスムーズになります。とくに「部門間連携」や「コミュニケーション」をテーマにすることで、連携強化への意識づけにもつながります。

【具体的な実施方法】

① テーマを「部門連携・対話」に設定する
部門間連携や共通課題、心理的安全性など、横のつながりを目的としたテーマを設定します。

② 部門ミックスのグループを編成する
営業・製造・人事・開発など、異なる部門の管理職を混在させます。

③ 共通課題でグループワークを行う
「連携を妨げている要因」「今より良くするための打ち手」などを話し合います。

④ 成果や気づきを共有する
グループで得たアイデアや学びを社内で共有し、全体へ波及させます。

このような研修を通じて、他部門への理解が深まり、管理職同士の対話がしやすくなります

なお、アーティエンスでは、管理職向けの研修や、課題に応じたカスタマイズ研修をご提供しています。
貴社の状況に合わせた研修設計についても、お気軽にご相談ください


物理的な距離や接点不足は、部門のサイロ化を招き、組織全体のパフォーマンスを下げます。
今回紹介した施策を通じて、管理職同士が意図的に接点を持ち、自然な協力関係を築ける組織へと変えていくことができます。

2-6.  歪んだ力関係を是正する|部門間の主従構造を崩す仕組み

特定の部門が優位に立ち、他部門との力関係が固定化されると、組織全体の連携が阻害される可能性があります。この問題を解決するためには、各部門の役割を適切に評価し、組織全体としての成果を重視する文化を醸成することが重要です。

短期施策 経営から「組織全体成果」を重視するメッセージを発信する
中長期施策 ① 他部門協力が評価される仕組みを設ける
② プロジェクト型組織を推進する

短期施策|経営から「組織全体成果」を重視するメッセージを発信する

部署ごとの力関係の固定化を解消するために、経営層が「組織全体の成果を重視する」というメッセージを明確に発信することが効果的です。

部門ごとの目標や評価ばかりが強調されていると、管理職は自部門の成果を最優先しがちです。トップが率先して「会社全体で成果を上げることが重要」と発信することで、横の連携に対する組織全体の意識を変えていくことができます。

【具体的な実施方法】

① 全社・経営の場で発信する
全社会議や経営会議で、部門間協力によって成果が出た事例を紹介し、連携を評価する姿勢を示します。

② 成功事例をストーリーで伝える
営業×製造、開発×サポートなど、具体的な連携事例を共有し、メッセージの説得力を高めます。

③ 複数チャネルで継続的に発信する
社内報やポータル、月次メッセージなどを通じて、繰り返し一貫した内容を伝えます。

④ ミドル層を通じて現場に浸透させる
評価ポイントとして部門内に伝えてもらい、現場レベルの意識変化につなげます。

この取り組みにより、「自部門の成果だけでは不十分」という価値観が組織に浸透します。
経営層の明確なメッセージが、管理職の判断と行動を変え、部門横断の協力を後押しします。

中長期施策①|他部門協力が評価される仕組みを設ける

部門間の協力を正当に評価するために、管理職の評価に「他部門との協力」を明示的に組み込む仕組みをつくることが効果的です。

評価制度が「個人や自部門の成果」だけに偏っていると、管理職はどうしても横のつながりよりも自部門の目標達成を優先してしまいます。部門間の協力が正当に評価されることで、「協力することが自分の成果につながる」と実感でき、行動の変化を促すことができます。

【具体的な実施方法】

① 協力を“見える化”する
部門間協力賞の表彰や社内報での事例紹介を通じて、価値ある連携を共有します。

② 評価項目に「横の連携」を追加する
他部門と連携した成果や、部門横断プロジェクトへの貢献を正式な評価項目に組み込みます。

③ 360度評価で連携行動を可視化する
他部門からのフィードバックを評価に反映し、連携の質を見える形にします。

この取り組みにより、「他部門との協力=評価される行動」という認識が浸透し、管理職は日常業務の中で自然と横の連携を意識するようになります。


中長期施策②|プロジェクト型組織を推進する

部門間の力関係の固定化を解消するには、部門横断のプロジェクト型組織を活性化させることが効果的です。

固定的な組織構造では連携が限定されがちですが、プロジェクト型にすることで、目的に応じて部門を越えたチームが組まれ、管理職同士の関わりが自然と増えます。役割が流動的になることで、特定部門の優位性も固定化されにくくなります。

【具体的な実施方法】

① 目的別にプロジェクトを立ち上げる
顧客満足度向上、新製品開発、業務改善など、部門横断が必要なテーマを設定します。期間は1〜3ヶ月程度でも十分です。

② リーダーシップを分担する
プロジェクトごとに主導部門やリーダーを変え、特定部門への偏りを防ぎます。

③ 成果とプロセスを共有する
連携の過程や工夫も含めて社内で共有し、横の連携の価値を可視化します。

この取り組みにより、部門を越えた関係性が自然に築かれ、固定化された力関係に縛られない、柔軟で協力的な組織文化が育っていきます


部門ごとの力関係が固定化されると、組織の柔軟性が失われ、協力が阻害されます。特定の部門に偏った評価や文化を改め、組織全体で成果を出す文化を作ることで、より強固で柔軟な組織を実現できます。


管理職の横の連携を強化することで、部門間のサイロ化を防ぎ、組織全体の成果を最大化できます。まずは短期施策から取り組み、変化を確認しながら中長期施策を段階的に定着させていくことが重要です。

▼チェックシートで連携不足の課題特定と施策検討ができます

3)成功事例に学ぶ:研修起点で横の連携を強化し、組織課題を解決

管理職の横の連携を強化し、組織課題が解決した3つの事例をお伝えします。

① 敵対していた管理職同士が連携へ──新サービス創出と株価上昇を実現した成功事例

業種:コンテンツビジネス事業
企業規模:200名程度

課題・背景|管理職同士の連携不足で売り上げが停滞

この組織は、過去に何度も企業買収を繰り返されており、創業者も存在しない状態でした。
その結果、組織全体に「負け癖」がついたような空気が蔓延していました。

しかし、同業界大手出身の社長が就任したことをきっかけに、ヒット商品が誕生。
業績は一時的にV字回復を遂げます。
ところが、その後ヒット商品の売上が徐々に減少し始めます。

背景を丁寧に紐解いていくと、部門間の連携が機能しておらず、特に管理職同士の連携が大きなボトルネックになっていることが明らかになりました。

実施内容|関係性・判断軸・横連携スキルを2年間で再構築

2年間にわたり、以下の研修を実施しました。

次世代リーダー研修
(対象:経営者・執行役員・事業部長/計3.5日間)

管理職研修
(対象:部長・課長/計2.5日間)

これらの研修では、知識のインプットにとどまらず、管理職同士が向き合い、対話し、行動に落とし込むことを重視しました。
具体的に実施した主な内容は以下の3つです。

1. 管理職同士の関係性向上|本音を語り合える関係性をつくる

他部門への不満や判断の迷いなど、普段は表に出にくい本音を、立場を超えて率直に共有する場を設けました。

なぜそう感じるのか、どんな背景があるのかまで掘り下げる対話を通じて、互いを「役職」ではなく「一人の管理職」として理解する関係性を築いていきました。

2. 管理職として目指したい組織の探求|目指す組織の姿を言語化し、行動につなげる

「どんな組織をつくりたいのか」「何を軸に判断するのか」といった問いをもとに、自部門・自分の立場に引き寄せて言語化しました。

さらに、明日から変える具体的な行動まで落とし込み、現場での意思決定や部下との関わり方につなげていきました。

3. 横連携を強化するスキルの習得|ファシリテーションスキルの習得

連携を阻んでいた「前に進まない会議」を変えるため、論点整理、意見の扱い方、合意形成を意識したファシリテーションスキルを、実際の会議を想定した演習を通して身につけました。

これにより、管理職自身が横断的な議論を前に進める役割を担うことを目指しました。

結果|横連携が機能し、新サービス創出と経営人材輩出へ

管理職同士の横連携が強化されたことで、新サービスへの挑戦が増加。
PDCAの回転速度が大きく向上
しました。

その結果、収益は改善し、株価も緩やかに上昇していきます。

さらに、「次世代リーダー研修」を受講した2名が経営陣に抜擢され、人材育成が、経営レベルでの世代交代につながりました。

② 関係性は良好、でも挑戦が生まれない──横連携を起点に新規事業が生まれた成功事例

業種:食品メーカー
企業規模:200名程度

課題・背景|関係性は良好だが、挑戦が生まれない組織風土

この組織は、表面上の関係性は非常によく、職場の雰囲気も穏やかでした。
管理職を含め社員はまじめで、与えられた課題や既存業務の改善には丁寧に取り組んでいました。

一方で、部門の枠を越えてまで新しいことに挑戦する意識や行動は弱く、受け身の姿勢が常態化していました。

その結果、新規事業のアイデアはあっても、「誰がやるのか」「どこまで踏み込むのか」が曖昧なまま、挑戦が形にならない状態が続いていました。

実施内容|横連携を軸に、新規事業開発に向き合う1年間のプロジェクト

1年間にわたり、部長クラスを中心とした新規事業開発プロジェクトを実施しました。
単なる検討に終わらせず、実行までを見据えたアクションラーニング型で進めていきました。

具体的に実施した主な内容は、以下の3つです。

1. 管理職との1on1による業務調整|新規事業に向き合う余白をつくる

管理職との1on1を通じて業務内容を整理し、日常業務の負担を調整することで、新規事業開発に取り組むための時間とリソースを確保しました。

「忙しくてできない」状態を解消し、新規事業を“後回しにしない環境”を整えていきました。

2. 新サービスが社会に与える影響の探求|当事者意識と主体性を高める

新サービスを通じて、「自分たちは社会にどのような影響を与えたいのか」を掘り下げて考えました。

やらされ感のあるプロジェクトではなく、共通の想いと目的を持った取り組みにすることで、一体感のある当事者意識と主体性を育んでいきました。

3. 戦略思考の習得|新規事業を形にするための思考プロセスを学ぶ

内部環境分析・外部環境分析を行い、戦略思考をもとにSTPへと落とし込むプロセスを実践しました。

アイデアを出すだけで終わらせず、事業として成立させる視点を身につけながら、新規事業開発を進めていきました。

結果|横連携が機能し、新規事業が具体的なサービスとして実現

横連携が強化されたことで、アレルゲンフリー食品の開発が進み、既存顧客・新規顧客双方への販売が開始されました。

合わせて、これまで法人向け販売が中心だった事業領域から、BtoC領域へも踏み出し、ECサイトでの販売に加え、スーパー・コンビニ・専門店など販路も広がっていきました

業績面の成果だけでなく、「社会の役に立っている」という実感が組織全体に浸透していきました。

③ M&A後に機能不全に陥った組織の再生──管理職の横連携で業績回復を実現した成功事例

業種:Webコンテンツビジネス事業
企業規模:200名程度

課題・背景|M&A後の不公平感が、組織連携を分断

M&A後、人事制度が刷新されたことで、メンバーの間に不公平感が生まれ、組織内の関係性が徐々に悪化していきました。

本来であれば管理職が中心となり、部署を越えた連携を進めていく必要がありましたが、
管理職自身も制度変更への不満を抱えており、積極的に他部署と関わろうとしない状態に陥っていました。

その結果、M&Aによって期待されていたシナジー効果は十分に発揮されず、組織全体が機能不全の状態に陥っていきました。

実施内容

2年間にわたり、計10日間の管理職研修を実施しました。
単なるスキル研修ではなく、関係性と行動変容の両面から組織再生を図りました。

具体的に実施した主な内容は、以下の4つです。

1. 管理職同士の関係性向上|本音を語れる状態をつくる

制度変更や組織再編に対する不満や戸惑いを率直に共有し、表に出ていなかった感情や考えを言語化する場を設けました。

互いの立場や背景を理解することで、管理職同士が協力関係を築くための土台を整えていきました。

2. 経営者と共に目指す組織の探求|共通の方向性を言語化する

経営者も交えながら、管理職として「どのような組織を目指すのか」を探求しました。

目指す姿を言語化し、現場でどのような行動や判断が求められるのかを明確にすることで、管理職としての判断軸を揃えていきました。

3. 横連携を強化するスキルの習得|ファシリテーションスキルの習得

部門間の議論が噛み合わない要因に向き合い、会議を前に進めるためのファシリテーションスキルを習得しました。

これにより、管理職自身が横断的な調整役として機能する状態を目指しました。

4. チーム力・横連携を進めるためのスキル習得|成功循環モデルを活用

成功循環モデルをベースに、チーム力を高め、横連携を促進するためのスキルを学びました。

関係の質・思考の質・行動の質・結果の質をつなげながら、組織全体の動きを整えていきました。

結果|管理職連携が回復し、業績とシナジーが再び動き出す

管理職同士の連携が強化されたことで、それまでちぐはぐだった施策の実行がスムーズに進むようになりました。

コロナ禍によって悪化していた業績も回復傾向へと転じ、同時に、ビジネスモデル転換に向けた新サービスのアイデアが現場から生まれました

M&A当初に期待されていたシナジー効果も、徐々に発揮されていく状態へと変化していきました。

迫間 智彦

「横の連携が思うように進まない…」とお悩みの企業さまへ。課題の背景と最適な打ち手は組織ごとに異なります。まずは無料相談で貴社の現状をお聞かせください。具体策をご提案します。


4)まとめ

管理職の横の連携は、放っておけば自然に生まれるものではありません。
評価制度・情報共有・心理的要因・経営の優先度・接点不足・力関係といった構造の上に起きる問題だからです。

だからこそ、重要なのは「仲良くしよう」「連携を増やそう」といった掛け声ではなく、連携が起きる仕組みを組織側が設計することです。

本コラムで紹介した通り、まずは短期施策(仕組みの試行・場づくり)から着手し、手応えを確認しながら中長期施策(制度・文化への定着)へ段階的に広げることで、無理なく変化を積み上げられます

横の連携が当たり前になれば、部門間のサイロ化は防がれ、意思決定と実行のスピードが上がります。
結果として、組織全体の柔軟性と生産性が高まり、変化に強い持続可能な企業へと成長していくでしょう。

5)管理職の横の連携を現場で機能させるために|アーティエンスが支援できる理由

横の連携を「制度として作る」ことはできても、現場で“実際に回る状態”まで持っていくのは簡単ではありません。
なぜなら、横の連携は「仕組み」だけでなく、管理職同士の関係性や対話の質、判断軸の揃え方など、行動と文化の領域まで踏み込む必要があるためです。

アーティエンスは、人材育成・組織開発の知識と、今までの経験によって以下の観点から管理職研修を起点に「現場で機能する横の連携づくり」を支援できます。

1. 6つの構造問題を起点に、優先順位と打ち手を整理できる

横の連携が進まない原因は、組織ごとに異なります。
アーティエンスは、評価・情報共有・心理的分断・経営関与・接点・力関係といった構造の観点で現状を整理し、「どこから着手すべきか」を明確にします。
そのうえで、短期施策と中長期施策を無理のない順序で設計します。

2. “研修で終わらせない”行動変容設計ができる

横の連携は、知識を学ぶだけでは変わりません。
管理職同士が対話し、ズレを認識し、現場で試し、振り返る——この往復が必要です。
アーティエンスは、研修を「学びの場」ではなく、現場での連携を動かす起点として設計し、実践につながる仕掛け(ケース・対話設計・振り返り)を組み込みます

3. 対立を“衝突”ではなく“前進の議論”に変える支援ができる

横の連携を阻むのは、スキル不足よりも「不信感」や「決めつけ」といった心理的要因であるケースが少なくありません。
アーティエンスは、心理的安全性を土台に、対立を建設的な議論へ変えるためのコミュニケーション設計・対話支援を行い、管理職間の関係性の再構築を後押しします。

4. 施策を“文化として定着”させる伴走ができる

横の連携は、単発の施策では定着しません。
成功事例の可視化、称賛、評価との接続、運用ルールの改善などを繰り返しながら、組織に根づかせていく必要があります。
アーティエンスは、施策を打って終わりではなく、運用・改善まで含めた伴走により「連携が回り続ける状態」へつなげます。


横の連携の課題は、組織の構造によって原因も打ち手も変わります。
まずは貴社の状況をお聞かせください。課題の背景を整理し、短期〜中長期で実行可能な具体策をご提案します。