管理職の「部下との日常コミュニケーション不足」をどうにかしたい!8つの施策をご紹介

「管理職への不満から、若手社員の離職が続いている…」
「チーム内の連携が悪く、ミスやトラブルが増えている…」
「管理職が部下との関係構築に苦戦している…」

もし、こんな課題を感じているなら、その原因は『管理職のコミュニケーション不足』かもしれません。

管理職のコミュニケーション不足は、単なる個人の問題ではなく、組織全体の成長を阻害するリスクがあります。部下のエンゲージメント低下、離職の増加、チームの生産性低下など、影響は広範囲に及びます。

そのような事態を招かないためにも、この記事では、管理職のコミュニケーション不足が引き起こす5つの問題と、8つの原因を整理してお伝えします。その上ですぐに実践できる5つの対策と組織として取り組むべき中長期的施策を3つ紹介します。

管理職のコミュニケーションが変われば、組織はもっと強くなります。
貴社の管理職が部下と信頼関係や成果の質を高め、組織全体の活性化につながる第一歩を踏み出せるようにしましょう。

執筆者プロフィール
山下 絢加
2013年にアーティエンスに入社。組織開発・人材育成のコンサルタントとして、大手企業から中小企業まで、幅広く研修プログラムの企画・開発・運営を実施。現在は主にマーケティングプランニングを担当。
X:@yama_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル

専門性:新入社員若手社員組織開発・組織変革

目次

1. 管理職のコミュニケーション不足は組織の成長を阻害する

管理職のコミュニケーション不足は、組織全体に深刻な影響を与えます。

具体的には下記のことが起こります。

1-1. 若手~中堅社員の離職が増え、組織の成長が停滞する
1-2. 部下の組織エンゲージメントが低下する
1-3. 人間関係のストレスが増え、チームの連携が乱れる
1-4. 報連相が減ることでミスや業務の遅れが増加する
1-5. 風通しが悪く、新しいアイデアが生まれにくくなり、組織の競争力が低下する

これら5つの問題について、詳しく解説します。

1-1. 若手~中堅社員の離職が増え、組織の成長が停滞する

管理職とのコミュニケーションが不足すると、部下は上司への信頼を築けず、職場での孤独感や不安を感じやすくなります。その結果、会社への帰属意識が低下し、離職率の上昇につながります。

実際に、弊社にも以下のような問い合わせをいただきます。
「管理職と一般職との日常コミュニケーションがうまくいっていません。結果、若手~中堅の離職が増加しています。信頼関係を構築する、日常の話し方・コミュニケーション方法を学ばせたいです。」

上司に気軽に相談できない環境では、部下は仕事上の悩みを一人で抱え込み、「もう辞めるしかない」と極端な選択をしてしまうことがあります。
若手~中堅社員はキャリアの方向性に敏感なため、上司とのコミュニケーション不足は転職を決断する要因になりやすいです。

アーティエンスが支援した企業の中には、1年以内の離職率が30%を超える企業もありました。ヒアリングの結果、「上司に相談する場がない」「評価基準が不明確」「キャリアの方向性が見えない」といった不満が多く寄せられていました。

管理職が部下との関係構築に積極的に関わらないと、不安が増大し、結果として離職が加速してしまいます。

1-2. 部下の組織エンゲージメントが低下する

管理職が部下に適切なフィードバックや評価を行わないと、部下は「自分の仕事は認められていない」と感じ、組織への帰属意識が低下してしまいます。

部下は成果を上げても評価される実感がなければ、「この会社にいても成長できない」「自分は必要とされていない」と考え、エンゲージメントを失ってしまうためです。

例えば、管理職が部下の成果を具体的にフィードバックする機会がほとんどないと、部下は「誰も自分の仕事を見てくれていない」と感じ、仕事への主体的な取り組みも、会社への貢献意欲も低下します。

このように管理職が適切な関わりを持たないと、部下のエンゲージメントが低下し、組織の成長が鈍化してしまいます。

1-3. 人間関係のストレスが増え、チームの連携が乱れる

管理職のコミュニケーション不足は、職場内の人間関係にストレスを生み、チームの連携を阻害します。

上司が部下と積極的にコミュニケーションを取らないと、相手のことを理解できず、誤解が生じたり、本音を伝えづらくなったりするためです。その結果、職場の雰囲気がギスギスし、社員同士の協力意識が低下します。やがて、チーム内の連携が崩れ、業務の効率が悪化してしまいます。

例えば、管理職Aさんが部下とほとんど会話をせず、業務連絡のみを行っていたとします。その結果、部下は相談しやすい管理職Bさんのもとへ行くようになり、Aさんにはほとんど相談しなくなりました。
Aさんは次第に不満を抱くようになり、関係はさらに悪化。最終的に、チーム内のコミュニケーションが分断され、職場の人間関係が悪化し、士気の低下を招いてしまう、ということが起こる可能性があります。

管理職が積極的に部下との関係を築かないと、職場内の人間関係が悪化し、協力し合う文化が育ちにくくなります

1-4. 報連相が減ることでミスや業務の遅れが増加する

管理職のコミュニケーションが不足すると、部下は気軽に相談や報告をしづらくなり、結果として報連相が滞ります。

報連相が減ると、業務の進捗状況が正しく伝わらず、指示が曖昧になり、優先順位のズレや認識違いが発生します。その結果、ミスの増加や業務の遅れが増加します。

例えば、管理職が定期的な対話を設けず、業務指示をメールのみで行っている場合。結果的に部下は上司への確認を避けるようになり、自己判断で業務を進め、顧客ニーズとズレた成果物を納品し、クライアントからの信頼を損なってしまうケースがあります。

コミュニケーションの一つである報連相が適切に行われないと、組織全体の業務の精度が低下し、成果物の品質が安定しなくなります

1-5. 風通しが悪く、新しいアイデアが生まれにくくなり、組織の競争力が低下する

管理職が部下との対話を積極的に行わないと、職場の風通しが悪くなり、社員が意見を出しづらい環境になってしまいます。

上司が部下の意見を求めない姿勢でいると、社員は「どうせ意見を言っても否定される」「無駄だ」と感じ、改善提案や新しいアイデアを出すことをためらうようになります。その結果、組織内で創意工夫が生まれにくくなり、業務の効率化や新規事業の推進が停滞します。

例えば、会議の場で上司が部下の意見を否定することが常態化している企業があるとします。すると、社員は次第に意見を出さなくなり、組織全体の挑戦意欲が低下。市場の変化に適応できず、競争力が低下してしまいます。

組織が成長し続けるためには、社員が安心して意見を述べ、挑戦できる環境が不可欠です。管理職が積極的にコミュニケーションを取り、意見を引き出す姿勢を持たないと、企業の競争力は徐々に失われてしまいます。


このように、管理職のコミュニケーション不足は、組織のさまざまな側面に悪影響を及ぼします。

次章では、なぜこのような問題が起こるのか、その原因を詳しく解説します。

2. 管理職のコミュニケーション不足が起こる8つの原因

管理職のコミュニケーション不足が起こる原因を8つ紹介します。

2-1. そもそも「コミュニケーションが必要」と思っていない
2-2. 上司自身が「コミュニケーションの成功体験」を持っていない
2-3. 1on1が「業務報告の場」になっている
2-4. フィードバックやフォローの仕方が分からない
2-5. 「忙しくて時間がない」と言い訳してしまう
2-6. 相手のことを理解しようとせず、一方的に話しているだけ
2-7. 部下との関係性が「業務の延長」でしかない
2-8. 「雑談=無駄」と思い込んでいる

2-1. そもそも「コミュニケーションが必要」と思っていない

そもそも「コミュニケーションが必要」と思っていない場合があります。

管理職の中には、「部下が困っていれば自分から相談しに来るはず」と考えている人が少なくありません。しかし、部下の立場からすると、上司が忙しそうにしていたり、普段から雑談すらない状況では、「相談しても迷惑ではないか」と遠慮してしまいます。
その結果、コミュニケーション不足が起きてしまいます。

2-2. 上司自身が「コミュニケーションの成功体験」を持っていない

上司自身が「コミュニケーションの成功体験」を持っていない場合があります。

「昔の上司は放任主義だった」「コミュニケーションをとっても質は変わらない」という経験をもとに、部下にも同じ対応を求めてしまうことがあります。

しかし、時代が変わり、求められるマネジメントも変化しています。過去のやり方を押し付けてしまうと、部下とのギクシャクした関係が続き、信頼を築くことが難しくなります

管理職が過去の経験にとらわれると、部下に適切なコミュニケーションを取ることができません。

2-3. 1on1が「業務報告の場」になっている

 1on1は本来、部下のサポートをする場のため信頼関係を築く機会になりますが、業務報告の場になってしまっているケースが多くあります

管理職が「進捗確認」や「課題報告」のみに焦点を当てると、部下は本音を話しづらくなります。「最近どう?」といった表面的な質問では、部下は「特に問題ありません」と答えてしまい、深い対話につながりません。

その結果、部下が抱えている本当の課題が見えず、モチベーションの低下や離職につながるリスクが高まります。

2-4. フィードバックやフォローの仕方が分からない

管理職が適切なフィードバックやフォローの仕方を理解していない場合もあります。

適切な伝え方を知らず、指摘ばかりしていると、部下からみて嫌な上司となり、ますますコミュニケーションが減ってしまいます
また、何も伝えないと、「何を頑張ればいいのか分からない」状態になり、成長の機会を奪うことになります。

適切なフィードバックやフォローの仕方がわからないために、コミュニケーション機会が減ってしまっている可能性もあります。

2-5. 「忙しくて時間がない」と言い訳してしまう

日々の業務に追われ、部下との会話の優先順位が下がると、コミュニケーションの機会が失われます。

管理職は「成果を出すことが最優先」と考えがちで、会議や業務に追われる中で部下との対話を後回しにすることが多いです。特に、短期的な業績を重視する企業文化のもとでは、「部下との対話に時間を割くよりも、目の前のタスクを処理するほうが重要」と判断しがちです。

しかし、その結果、コミュニケーションが減り、部下の悩みや不安が放置されるため気づいたときにはすでにモチベーションが低下し、離職の段階になってしまっています。

2-6. 相手のことを理解しようとせず、一方的に話しているだけ

管理職が指示やアドバイスばかりで、部下の話を聞く姿勢がないと、管理職と部下の間で対話が成立せず、コミュニケーションが不足します。

管理職の中には、「自分の経験や知識を伝えることが重要」と考え、部下の話を遮ってアドバイスをする人がいます。しかし、部下が求めているのは「正解」ではなく、「自分の考えを尊重してもらうこと」です。

管理職から一方的に話されると、「どうせ聞いてもらえない」と感じ、部下は積極的に意見を言わなくなります
その結果、部下の受け身の姿勢が強化されてしまうため、コミュニケーションがより希薄化し、仕事の連携が取りづらくなります。

2-7. 部下との関係性が「業務の延長」でしかない

「報連相をしているから問題ない」と考えている管理職は、関係性を築くための会話が不足しがちです。

業務上のやり取りだけでは、部下は「業務以外の話をしてはいけない」と感じるようになります。結果として、悩みや不安を相談する機会が失われ、部下の心理的安全性が低下します。

この状態が続くと、部下は上司に相談しようと思わなくなり、信頼関係の構築が難しくなります。

2-8. 「雑談=無駄」と思い込んでいる

管理職が「仕事以外の会話は不要」と考えていると、部下との関係性が築けず、管理職と部下の間でコミュニケーションが不足します。

雑談は単なる時間の浪費ではなく、信頼関係を構築する重要な手段です。何気ない会話を通じて、お互いの価値観や考え方を理解しやすくなります。
しかし、業務の話ばかりしていると、部下は心理的な距離を感じ、「この人には相談しづらい」と思うようになります。

その結果、コミュニケーションの質が低下し、組織の風通しが悪くなります。


管理職のコミュニケーション不足には、根本的な意識の問題から、具体的なスキル不足まで、さまざまな原因があります。

これらの課題を解決するためには、管理職一人ひとりが「部下とのコミュニケーションが業務の一部である」という意識を持ち、具体的な行動を変えていくことが重要です。次の章では、すぐに実践できる改善策を紹介し、どのようにコミュニケーション不足を解消していけばよいのかを解説します。

3. いますぐできる!管理職のコミュニケーション不足を解消する5つの実践策(短期的アプローチ)

短期的アプローチとして、すぐに実践できる管理職のコミュニケーション不足解消策を5つ紹介します。

3-1. 日常の「ちょっとした声かけ」を増やす
3-2. 1on1を「業務報告の場」から「信頼関係を築く場」へ変える
3-3. 「伝える」だけでなく「聴く」コミュニケーションを意識する
3-4. フィードバックを「指摘」ではなく「成長のための対話」にする
3-5. 業務以外の雑談を増やし、心理的安全性を高める

3-1. 日常の「ちょっとした声かけ」を増やす

管理職が部下と良好な関係を築くためには、日常的なコミュニケーションの積み重ねが欠かせません。何気ない一言が、部下に「気にかけてもらえている」という安心感を与え、相談のハードルを下げます
特に、上司が積極的に声をかけることで、部下は「話しかけてもいいのだ」と感じ、報連相がスムーズになります。

いますぐできる!実践例

  • 毎朝「おはよう!」と目を見て挨拶する

  • 進行中の業務について「今どんな感じ?」と軽く確認する

  • 週明けに「週末はどうだった?」と雑談を生む

3-2. 1on1を「業務報告の場」から「信頼関係を築く場」へ変える

1on1を「業務報告の場」から「信頼関係を築く場」へ変えるように意識しましょう。

「部下の成長のために支援できることを探したい」という意識を持って1on1に取り組むことで、部下からの信頼や尊敬を得られるようになり、それが信頼関係に繋がります。

1on1は本来、部下の成長をサポートし、信頼関係を築く場ですが、多くの管理職が「業務の進捗確認」に終始してしまいます。1on1を効果的に活用することで、部下のモチベーション向上や、早期の問題発見につながります。

いますぐできる!実践例

  • 「今の仕事でどんなことにやりがいを感じる?」と聞く

  • 「最近の仕事で困ったことはあった?」と問いかける

  • 1on1の最後に「今日の話で気づいたことは?」と振り返る

3-3. 「伝える」だけでなく「聴く」コミュニケーションを意識する

「伝える」だけでなく「聴く」コミュニケーションを意識してみましょう。

部下の話をしっかり聞くことで、部下は「自分は受け入れられている」と感じ、安心して意見を伝えられるようになります。
特に、心理的安全性の向上において、管理職の「聴く姿勢」は重要な役割を果たします。

いますぐできる!実践例

  • 部下が話している最中にスマホやPCを見ず、アイコンタクトをとる

  • 部下の話を「つまり、こういうことかな?」と要約する

  • 「それは大変だったね」「なるほど、そう考えたんだね」と共感を示す

3-4. フィードバックを「指摘」ではなく「成長のための対話」にする

フィードバックの際に「指摘」ではなく「成長のための対話」になるように意識しましょう。
上司が自分の成長のために時間を割いて伝えてくれているとがわかると、部下はフィードバックを受け止めやすく、フィードバックしてくれることへの感謝も生まれます

成長を促すフィードバックでは、「何が良かったのか」「次にどうすればより良くなるのか」を明確に伝えることが重要です。

いますぐできる!実践例

  • 「この前のプレゼン、説明が分かりやすかったね!」と伝える

  • 「次回は、もう少し〇〇を意識すると良くなると思うよ」と改善点を伝える

  • 「自分ではどう思う?」と問いかける

3-5. 業務以外の雑談を増やし、心理的安全性を高める

業務以外の雑談を増やしてみましょう。
雑談を通じて信頼関係を築くことで、業務の相談がしやすくなり、心理的安全性が高まりやすくなります
また、部下の価値観や考え方を知ることで、適切なマネジメントが可能になります。

いますぐできる!実践例

  • 部下の趣味に触れ「〇〇が好きって聞いたけど、最近どう?」と話す

  • ランチや休憩時間に仕事以外の話をする


これらの実践策を取り入れることで、部下とのコミュニケーションが増え、関係性がが深まります。このような些細なことが、組織全体の活性化につながっていきます

次章では、より根本的な解決策として、長期的に取り組むべき施策について解説します。

4. 管理職のコミュニケーション不足を根本的に解決する3つの施策(中長期アプローチ)

中長期的アプローチとして、効果が出るまでに時間がかかるものの、本質的な部分を解決するための方法を3つ紹介します。

4-1. 管理職研修を導入し、スキルを体系的に学ぶ
4-2. 管理職同士で「自分たちのコミュニケーション」を見直す場を作る
4-3. 組織全体で「コミュニケーション文化の改善」を進める

4-1. 管理職研修を導入し、スキルを体系的に学ぶ

管理職のコミュニケーション不足を根本的に解決するためには、管理職研修を導入し、スキルを体系的に学ぶことが有効です。
コミュニケーションにおいて意識すべきことや伝え方、聴き方などの方法はスキルとして学ぶことで効果的に習得できるためです。

研修を受講することで、コミュニケーションの理解や手法を学び、自身のコミュニケーションスタイルを客観的に見直すことが可能となります。

具体的な研修プログラムとして、以下に、アーティエンスが提供する管理職向けの研修プログラムを目的別にご紹介します。

目的 研修名 概要
コミュニケーションの必要性を理解する 管理職基礎研修 管理職としての役割や期待を理解し、コミュニケーションの重要性を再認識する研修です。
コミュニケーションに必要なスキルを学ぶ 意思発信力向上研修 自身の意思を効果的に伝える力を高め、チームの成果を最大化するためのコミュニケーションスキルを習得します。
コミュニケーションを実践し、フィードバックを得る 心理的安全性向上研修 職場の心理的安全性を高めるコミュニケーション手法を学び、実践を通じてフィードバックを受ける研修です。
質の高い1on1を学ぶ 育成担当者・OJTトレーナー研修 部下との信頼関係を築き、効果的な1on1ミーティングの進め方を習得する研修です。

研修では、知識やスキルを得るだけでなく、実践する機会があると、現場に活かしやすくなります。

管理職研修でコミュニケーションスキルを学ぶことで、コミュニケーション能力が向上し、部下育成の質とチームの生産性向上につながります。

4-2. 管理職同士で「自分たちのコミュニケーション」を見直す場を作る

管理職のコミュニケーション不足を根本的に解決するためには、管理職同士で「自分たちのコミュニケーション」を見直す場を作ることが必要です。

管理職同士でコミュニケーションについて振り返る機会を作ることで、自身の良いところや課題に気づきやすくなるためです。
また、そこで成功例や失敗例を共有することで、お互いにコミュニケーションの質を高めていけます

自身のコミュニケーションの特性は自分で客観的に見ることが難しいです。そのため、他者の視点からの意見が効果的です。

具体的には月1回程度、定期的な管理職ワークショップを設定して実践してみましょう。

ワークショップの流れ

  1. チェックイン

  2. 今月のコミュニケーションで、良かった点、課題を感じた点を事例とともに書き出す

  3. その内容をシェアする

  4. 各管理職のコミュニケーション課題について、アドバイスや成功事例を伝え合う

  5. 次のミーティングまでに実行する具体的なアクションプランを決める

  6. チェックアウト

管理職ミーティングを実施する際は、心理的安全性を保つためにも、グランドルールを設けておくことをおすすめします。

アーティエンスでは、下記の内容をワークショップの目的・目標に応じて、カスタマイズしていきます。

管理職同士で「自分たちのコミュニケーション」を見直す場を設けることで、管理職自身が自分のコミュニケーションの強みと課題を理解でき、管理職全体のコミュニケーションスキルの向上に繋がります。

4-3. 組織全体で「コミュニケーション文化の改善」を進める

管理職だけでなく、組織全体でコミュニケーションを強化することも、管理職のコミュニケーション不足の対策の1つです。

以下の3つの理由のためです。

① 管理職だけの努力では限界がある
管理職個人が努力しても、組織全体の文化が「業務報告中心」「関係構築の会話がない」ままだと、管理職の試みがうまく機能しません。
組織全体で「対話を大切にする文化」を醸成することで、管理職のアクションが実を結びやすくなります。

② 部下からの働きかけも増え、双方向のコミュニケーションが活発になる
管理職のコミュニケーション不足の大きな要因の一つは、「管理職側が忙しく、部下と話す機会を作れない」ことです。しかし、組織全体でコミュニケーションを重視する文化が根付くと、部下の方からも積極的に話しかけたり、相談したりするようになります。
その結果、管理職が意識的に時間を作らなくても、自然とコミュニケーションの機会が増えていきます。

③ 「話しやすい職場」が生まれ、心理的安全性が向上する
管理職のコミュニケーションが不足している職場では、「意見を言っても無駄」「話しかけづらい」と感じる社員が増えがちです。しかし、組織全体で「お互いにフィードバックをし合う」「雑談も大事にする」といった文化ができると、心理的安全性が向上します。
心理的安全性が高まると、管理職の側も「話しかけてもらいやすくなる」「部下が意見を伝えやすくなる」ため、結果として管理職のコミュニケーション不足が解消されやすくなります。

そのためには、経営層が「コミュニケーションの重要性」を発信することが必要です。
経営層が率先してコミュニケーションを大事にすることで、管理職も「組織としてやるべきこと」と認識し、実践しやすくなります

具体的には、下記のような施策に取り組んでもらえるようにしましょう。

・経営層が全社ミーティングや社内報で「なぜコミュニケーションが重要なのか」を発信する
・経営層自らが雑談を増やし、部下との対話を大事にする姿勢を示す
・1on1の推奨やフィードバック文化の定着を、トップダウンで後押しする

このような取り組みによって、組織全体のコミュニケーションを活性化すると、部下発信のコミュニケーションが増え、管理職がコミュニケーションを意識しなくても、自然とコミュニケーション量が増えることなります。

信頼関係や仕事の質にも良い影響が生まれ、持続的に成果を出せる組織へと成長していきます。


このように、中長期的な施策に取り組むことで、管理職のコミュニケーション不足を解消し、組織の信頼関係を強化できます。その結果、部下との対話が増え、チームの生産性向上や離職率の低下といったポジティブな変化を生み出すことが可能になります。

5. まとめ|管理職のコミュニケーションが変われば、組織は変わる

管理職のコミュニケーション不足は、組織の成長を阻害する大きな要因です。

適切なコミュニケーションが取れないと、部下のエンゲージメント低下や離職の増加、チームの生産性低下など、さまざまな問題が発生します。

この問題を解決するために、短期的・中長期的なアプローチを紹介しました。今できることから取り組んでいきましょう。

アーティエンスでは、管理職のコミュニケーションスキル向上を支援する研修を提供しています。知識のインプットだけでなく、実践的なトレーニングを通じて、明日から実践できるコミュニケーションスキルをお渡しします。

「どう話せばいいかわからない」「うまく部下と関われていない」と感じている方こそ、適切な学びと実践を通じて、コミュニケーションの質を高めていくことが重要です。

実践的なスキルを身につけ、組織全体のコミュニケーションを活性化させるために、ぜひお気軽にご相談ください

管理職のコミュニケーションが変われば、組織はもっと強くなります。
管理職と部下との信頼関係が深まり、成果の質が向上することで、組織全体の成長を加速しましょう。