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[ コラム ]
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管理職研修の合宿を成功させる設計術!目的・内容・講師・場所を徹底解説
更新日:
「管理職に変わってほしいけれど、通常の研修では限界がある気がする…」
「一度、非日常の“合宿”で意識を揺さぶりたい。でも、本当に効果はあるのだろうか…?」
管理職に本質的な変化を起こす方法を探す中で、“合宿研修”という選択肢に関心を持たれた方もいらっしゃるかと思います。
実は、合宿形式の管理職研修は、管理職に求められる役割意識・チーム力・戦略思考といった本質的な変化を、短期間で引き出す強力な手段です。
合宿形式だからこそ、知識のインプットだけでなく、価値観の共有や関係性の再構築といった“根本的な変化”を促すことができます。
本コラムでは管理職研修を合宿で行う際に押さえたいポイントを網羅的にご紹介します。
目的に応じた研修内容の設計、実施に適したタイミング、講師や合宿場所の選び方に加え、合宿形式ならではのメリット・デメリット、成功のための注意点についても具体的に解説します。
管理職が変わることで、組織全体の推進力は大きく高まります。合宿形式の管理職研修を活用し、管理職の意識と関係性に本質的な変化を起こしていきましょう。
専門性:パフォーマンス・マネジメント、研修開発・ワークショップデザイン、成人発達理論を活用した人材開発・組織開発
目次
- 1)管理職研修を合宿で行う目的と具体的な研修内容
- 2)目的別|合宿形式の管理職研修を実施する適切なタイミング
- 3)目的別|合宿形式の管理職研修における最適な講師の選び方
- 4)目的別|合宿形式の管理職研修における適切な合宿地の選び方
- 5)管理職研修を合宿で行うメリット・デメリット
- メリット①:日常から離れた場で学ぶことで意識の切り替えが行いやすい
- メリット②:深い議論や対話が可能になり、新たなアイデアや気づきが生まれやすい
- メリット③:共通体験を通じて参加者同士の関係性が深まり、チーム力が高まる
- メリット④:自己と向き合う時間が取れ、内省や自己理解が促進される
- デメリット①:会場費・宿泊費・交通費などが発生し、通常の研修よりもコストが高くなりやすい
- デメリット②:複数日程を要するため、業務調整やプライベートへの影響が大きく、時間確保の負担が大きい
- デメリット③:長時間の集中や共同生活が負担になるなど、参加者によってはストレスを感じる場合がある
- デメリット④:学びや変化の範囲が広く、数値では測りにくいため、効果測定が難しい
- 6)合宿形式の管理職研修を成功に導くポイントは、複数の関係者のニーズを丁寧に把握すること
- 7)合宿形式の管理職研修の注意点
- 8)合宿形式の管理職研修を行う際の【チェックリスト】
- 9)まとめ|「非日常」だからこそ生まれる、管理職の本質的な変化を
1)管理職研修を合宿で行う目的と具体的な研修内容
合宿形式の管理職研修で期待される目的は以下の4つです。
1.管理職としての役割認識や自己認識を深め、意識を切り替える
2.重要なテーマについて深く議論し、新たな視点やアイデアを獲得する
3.管理職同士のチームビルディングを通じて、関係の質とコミュニケーションの質を高める
4.集中的に学習することで、マネジメント力の向上を図る
これらの目的と、それに対応した具体的な研修内容をご紹介します。
1-1.管理職としての役割認識や自己認識を深め、意識を切り替える
合宿形式の管理職研修の目的の一つは、日常業務から切り離された非日常の環境で、管理職としての「役割認識」と「自己認識」を見つめ直し、意識を切り替えることです。
管理職は日々の業務に追われがちで、自分の役割やあり方を深く考える時間が取れません。しかし、組織における変化や課題に対応していくには、「自分にとって、そして組織にとって本当に大切なことは何か?」を立ち止まって問い直し、自分の言葉で言語化していくプロセスが必要です。
そうした意識の切り替えには、普段の習慣や思考から物理的・心理的に距離を置く必要があるため、合宿という非日常空間が効果的です。
具体的には、例えば以下のような内容の対話と内省の機会を設けます。
●管理職同士で「いま、自分たちに求められている役割とは?」「組織をより良くするために、自分たちが変わるべき点とは?」について対話する。
●一人でじっくりと自己を見つめる時間を設け「自分のありたい姿」を深く考える。
●経営陣からのメッセージや会社のミッション・ビジョン・戦略を踏まえたディスカッションを行い、「現場でどう実行するか」を考える。
会社の方針が変わる節目や、初めて管理職になるタイミングなど、役割認識を再定義する必要がある場面での実施が特に効果的です。
合宿形式で、役割や自己のあり方を時間をかけて深めることにより、日常では得られない気づきや意識の変化を促すことができます。
特に、扱うテーマ(問い)の設定が成果に大きく影響するため、企画段階でしっかり検討すること、そして当日の場に応じて柔軟に対応できる設計も重要です。
1-2.重要なテーマについて深く議論し、新たな視点やアイデアを獲得する
合宿形式の管理職研修の目的として、ミッション・ビジョン・戦略などの重要なテーマを深く議論することで、普段とは異なる新たな視点やアイデアを獲得することも挙げられます。
重要テーマを本質的に突き詰めて考えるには、時間と集中力が必要です。しかし日常のオフィスでは、どうしても業務の雑念や制約が入り、議論が途切れたり、未来を描くことに集中できなかったりすることが多々あります。
一方、合宿という非日常の環境を用いることで、議論に集中しやすくなり、日常の延長では生まれにくい発想や感覚にもアクセスしやすくなります。さらに、時間の制約があるからこそ、結論を出そうという意思統一もしやすくなります。
具体的なテーマは、例えば以下のような内容です。
議論テーマの例
・管理職も交えて「全社のミッションやビジョンを策定する」
・「部門の年次方針を決める」
・「組織をより良くするための施策を考える」
・「10年後の自社のあるべき姿を描く」
・「今年1年の戦略・目標を再定義する」
合宿形式の研修は、未来志向の重要テーマを深く話し合い、新しい視点や打開のヒントを得る絶好の機会です。
業務に追われがちな日常とは異なる環境で対話を重ねることで、管理職の視野と意識を拡張し、組織の方向性への理解と納得感を高めることができます。
1-3.管理職同士のチームビルディングを通じて、関係の質とコミュニケーションの質を高める
合宿形式の管理職研修のもう一つの目的は、管理職同士の信頼関係とコミュニケーションの質を高めるチームビルディングを行うことです。
管理職同士の関係性が良好であれば、部署間でトラブルが起きても、すぐに相談し合い、スムーズに解決できます。
一方で、関係性が築けていないと、「相談したいのに声をかけづらい」「気まずくて共有できない」といった事態が起こりやすくなり、結果として組織全体の生産性や意思決定のスピードにも影響を及ぼしてしまいます。
ただ、日常業務に追われる中で、管理職同士がじっくり話す時間をとるのは簡単ではありません。だからこそ、あえて時間と空間を切り離し、じっくり対話できる合宿という場が必要なのです。
合宿研修では、以下のような対話やアクティビティを通じて、管理職同士の関係性を深めます。
●相互理解のための対話
・「お互いが普段どんなことを考えているのか?」「これまでどんなキャリアを歩んできたのか?今後どんなキャリアを描いているのか?」などを語り合う
・「なぜ自分はこの会社にいるのか?」「仕事を通じて何を実現したいか?」といったテーマでのストーリーテリングを行う
●関係性を築くアクティビティ
・協力が求められるワークを実施し、信頼や一体感を醸成する
・懇親会などインフォーマルな場も意図的に設け、自然な交流を促す
管理職同士が一体感を持てるようになることで、現場でも連携がスムーズになり、部下との関係性や組織全体の風通しにも良い影響が生まれます。
特に、「管理職が一枚岩になっていない」と感じるときこそ、合宿形式によるチームビルディングが効果を発揮します。
チームビルディング研修に関して、より詳しく知りたい方は下記コラムをご覧ください。
参考コラム : 研修後も続く!チームビルディング研修を成功させる6ステップ
1-4.集中的に学習することで、マネジメント力の向上を図る
合宿形式の管理職研修では、戦略策定やリーダーシップなどのマネジメントスキルを、短期間に集中的に学ぶことで、知識だけでなく「捉え方」や「意識」の転換を促し、実践に活かせるレベルまで高めることを目指します。
マネジメントに求められる力――たとえばリーダーシップや戦略思考、目標設定、部下との関わり方などは、単に知識を得ればよいというものではありません。
それらをどう捉え、どう意識して行動に落とすかという「内面の変化」や「思考の癖への気づき」が伴ってこそ、実践的なスキルとして定着します。
そのためには、演習やフィードバックを繰り返しながら、体験を通じて学ぶことが重要ですが、短時間・断続的な学びでは定着しにくいのが実情です。
だからこそ、合宿というまとまった時間の中で集中して学ぶことが効果的なのです。
合宿では、以下のような内容が実施されます。
●自分のリーダーシップを深く探求する
・周囲からのフィードバックをもとに、自分の強みや限界を認識
・今後必要とされるリーダーシップを体験的に学ぶ
●戦略的思考力を鍛える
・自社の実際の課題をもとに、戦略策定のプロセスを順を追って体験
・講師や仲間からのフィードバックを通じて、自分の思考の癖や傾向を理解し、戦略的な視点を磨く
●具体的な演習とスキルの定着
・フレームワークに基づいた自部署の戦略立案
・部下への評価やフィードバックをテーマにしたロールプレイの反復
・目標設定や伝え方の演習を通じて、コミュニケーションスキルを向上
また、こうした合宿形式の研修を行うこと自体が、「このテーマは経営として重視している」という明確なメッセージにもなります。
管理職に必ず身につけてほしいマネジメントスキルや、経営陣と共通言語にしたいテーマがある場合には、合宿での集中学習が非常に有効です。
ただし、内容を詰め込みすぎると消化不良になり、かえって学びが定着しにくくなることもあります。
そのため、研修を設計する段階で「何を伝えるか」「どこに焦点を当てるか」を見極め、全体のストーリーを丁寧に組み立てておくことが大切です。
合宿形式の管理職研修は、「まとまった時間」と「非日常の環境」の中で実施するからこそ、日常の延長では得られない、深く本質的な変化を生み出します。
管理職自身が、自らの役割を再定義し、組織の未来に対して主体的に動き出すための強力なきっかけとして、合宿形式の研修は非常に有効なアプローチです。
2)目的別|合宿形式の管理職研修を実施する適切なタイミング
合宿形式の管理職研修の効果を最大限に引き出すためには、いつ実施するか=タイミングを見極めることが重要です。
目的に合ったタイミングで実施することで、参加者の納得感と集中度が高まり、行動変容や実務への反映にもつながりやすくなります。
この章では、合宿研修の4つの主な目的それぞれに対して、どのようなタイミングが適しているのかを整理し、実施時期の判断に役立つ視点をお伝えします。
| 目的 | 適切なタイミング |
|---|---|
| 役割と自己の再認識 | 年度初め・年度末/ミッション・ビジョンの変更時 |
| 重要なテーマについての議論 | 年度初め・年度末/テーマへの関心が高まったとき |
| 管理職のチームビルディング | 新しいチームの立ち上げ時/大きな人事異動の直後 |
| マネジメント力の向上 | テーマに関連した実務タイミング(例:新プロジェクト開始時) |
役割・自己の再認識|年度の初めや終わりなどの節目
非日常下で意識を切り替えることが目的の管理職合宿研修は、年度の初めや終わり、ミッション・ビジョンの見直し、中期経営計画の策定時など、「節目のタイミング」で実施するのが最も効果的です。
こうした節目は、組織全体で新たな目標や方針を定めるタイミングであり、管理職にとっても役割や意識の変化が求められる重要な時期です。
たとえば、年度初めに合宿研修を実施し、その年の重点方針や目標を共有しながら戦略を立てることで、管理職一人ひとりが自分ごととして目標に向き合う土台がつくれます。
また、ミッション・ビジョンが変更されるタイミングでは、変更点の背景や意味を丁寧に共有し、新たな価値観に基づいた一体感を育む場として合宿が機能します。
日常から離れた環境で自分自身と向き合うことで、これまでの思考や行動パターンをリセットし、組織の新たな方向性に対応する柔軟な姿勢を育むことができます。
重要なテーマについての議論|節目もしくはテーマについて関心が高まっている時期
重要なテーマを深く議論するには、年度の始めや終わり、あるいはそのテーマへの関心が高まっている「ホットなタイミング」で実施するのが効果的です。
テーマの重要性や意味合いは、時期や組織の状況によって変化します。
たとえば、年度の始まりには、新たな方針や戦略を考える機運が自然と高まるため、新たな戦略や目標をテーマに議論することで、管理職全体で方向性を共有し、行動の足並みをそろえることができます。
また、年度末に実施すれば、その年の実績を振り返りながら次年度の改善策を議論でき、より現実的かつ具体的な打ち手が生まれやすくなります。
関心が高まっている“今”のタイミングを逃さないことが、議論の質と参加者の当事者意識を高める鍵となります。
管理職のチームビルディング|チームの結成・入れ替わる時期
チームビルディングを実施するのに最も適したタイミングは、新しくチームが結成されたときや、メンバーの大幅な入れ替えがあった直後です。
チームの立ち上げ時期は、メンバー同士の関係性や相互理解がまだ浅く、コミュニケーションのすれ違いや役割の不明確さが原因でトラブルが起きやすい時期です。
この段階でお互いの価値観や強み、役割を理解し合うことで、早期に信頼関係を築き、スムーズな連携体制を整えることが可能になります。
たとえば、新しいプロジェクトチームが立ち上がった際に合宿形式でチームビルディングを行い、メンバーの性格やスキルを知るための対話やワークを実施。その上で、チームのビジョンや戦略を共に描き、各自の役割分担を明確にすることで、共通目標に向けた一体感を早期に育てることができます。
新たなチームが立ち上がるタイミングでチームビルディングを行うことは、関係性と生産性の両面において効果的です。チームの土台を早期に整えるためにも、立ち上げ直後の実施が最も望ましいタイミングと言えるでしょう。
マネジメント力の向上|学ぶ理由が明確に示せるタイミング
集中的な学習は必ずしも特定の時期に限る必要はありませんが、「なぜ今このテーマを学ぶのか」という理由を明確にすることが、学習効果を高める鍵となります。
学習のテーマとタイミングに明確な関連性があると、参加者は学ぶ目的を実感しやすくなり、内容を自分ごととして吸収しやすくなります。逆に、その意図が不明瞭だと、「なぜ今やるのか」が腹落ちせず、学習効果が薄れてしまう恐れがあります。
たとえば、新商品発売に向けたプロジェクトが始まるタイミングで、その商品に関する技術・市場動向・営業戦略などをテーマにした集中的な学習を行うことで、学んだ内容をすぐに実務に活かすことができ、参加者の学習意欲も高まります。
集中的な学習を成功させるには、学習テーマとその実施タイミングの“意味づけ”を丁寧に行い、参加者の理解と納得感を高めることが重要です。
合宿形式の管理職研修は、「なぜこのタイミングでやるのか」という“意味づけ”があってこそ、参加者の意識に高めることができます。
それぞれの目的に合った時期に実施することで、合宿の効果を何倍にも高めることが可能です。
3)目的別|合宿形式の管理職研修における最適な講師の選び方
合宿形式の管理職研修を成功に導くには「誰が講師を務めるか」が非常に重要な要素となります。
特に合宿型の研修は、長時間にわたり深い内省や対話、実践的な議論が求められるため、講師のファシリテーション力や経験値が、研修の成果を大きく左右します。
ここでは、合宿研修でよく設定される4つの目的に応じて、どのような講師を選ぶべきかを整理してお伝えします。
| 目的 | 講師に求められる要件 |
|---|---|
| 役割と自己の再認識 | 意識変革・態度変容に実績のある講師 |
| 重要なテーマについての議論 | 経営経験・戦略策定や経営会議のファシリテーション実績がある講師 |
| 管理職のチームビルディング | チームビルディング経験と人間関係の葛藤を扱えるファシリテーション力のある講師 |
| マネジメント力の向上 | 対象テーマの専門性と実績を有する講師 |
役割と自己の再認識|意識変革・態度変容に実績のある講師
意識変革や態度変容を目的とした研修では、同様のテーマで実績のある講師を選ぶことが、研修成功のカギとなります。
こうした研修では、単に決められたコンテンツを進行できるだけでは不十分です。
時に参加者に「揺さぶり」をかけるような問いやフィードバックを通じて、深い内省や気づきを促すことが求められます。
しかし、それを的確に行える講師は限られており、ファシリテーションの経験や力量が研修の質に直結します。
講師選定の際には、次のような問いかけをしてみるとよいでしょう。
「当社の管理職は人の話を聴かない人が多いのだが、それに対してどのように働きかけますか?似たようなケースに対応した研修に登壇したことはありますか?」
このような質問に対して、具体的な対応方法や実体験に基づいたエピソードを返してくれる講師は、実績と経験があり、信頼できると判断できます。
意識変革・態度変容を伴う研修は難易度が高く、講師の力量が成果に大きく影響します。
参加者の内面に働きかけ、行動の変容を促すためにも、実績ある講師を見極めて選ぶことが極めて重要です。
重要なテーマについての議論|経営経験と戦略支援の実績を持つ講師
戦略策定や経営課題などの重要テーマを深く議論する研修では、経営経験があり、戦略策定や経営会議のファシリテーションに実績のある講師を選ぶことが重要です。
実際の経営経験を持つ講師は、現場での意思決定や組織運営のリアリティに根ざした深い理解と洞察を持っており、単なる理論にとどまらず、実践的で具体的なアドバイスを提供することができます。
また、戦略策定支援や経営会議のファシリテーション経験を持つ講師は、管理職が実際に直面する複雑な課題を理解し、それに対する建設的な問いや枠組みの再構築を促すことができます。
たとえば、経営経験のある講師であれば、戦略や目標設定の重要性を抽象的な理論ではなく、具体的な事例や失敗・成功の経験を交えて伝えることができます。
また、錯綜する議論の中で、論点を整理し、参加者の思考を深めていくスキルも兼ね備えているため、受講者が自分たちの枠組みを超えて気づきを得るきっかけをつくることができます。
戦略策定や重要な経営テーマを扱う研修では、理論だけでなく「使える知恵」と「構造を捉える視点」を持つ講師を選ぶことで、議論の質と実務への接続性が大きく高まります。
管理職のチームビルディング|人間関係の葛藤を取り扱える講師
チームビルディングを目的とした合宿研修では、豊富な実績を持ち、途中で生じる人間関係の葛藤にも対応できるファシリテーション力のある講師を選ぶことが重要です。
チームビルディングでは、参加者同士の深い相互理解と信頼関係の構築が求められます。
しかし、その過程ではしばしば価値観の違いや誤解から葛藤が表面化することもあります。
このような場面を適切に扱い、逃げずに学びの機会へと転換できるかどうかは、講師の力量に大きく左右されます。
経験豊富な講師であれば、参加者間で葛藤が起きた際に、ただ場を収めるのではなく、その状況を“対話の入り口”として活用します。
葛藤の背景にある感情や思いを引き出し、相違や誤解を言語化することで、参加者自身が乗り越える力をつけるよう導くことができます。
こうしたファシリテーションは、チームの一体感を高めると同時に、現場でも活かせる関係構築スキルの習得にもつながります。
チームビルディングを成功に導くには、関係性を築くだけでなく、ぶつかりやすい局面も含めて丁寧に扱える講師が必要です。
そのような講師のもとでの研修は、参加者間の関係性を深めると同時に、組織全体の風土や生産性の向上にも寄与します。
マネジメント力の向上|その分野のプロフェッショナル
特定テーマの集中的な学習を目的とする研修では、その分野における専門性の高い講師を選ぶことが効果を高めるポイントです。
専門的な知識や経験を持つ講師は、深い洞察や実践知を交えて話すことができるため、参加者の理解が深まります。
また、「その道のプロから直接学べる」という環境自体が、参加者の学習意欲を高める要因にもなり、結果として研修の成果につながりやすくなります。
たとえば、業界の第一人者を講師に招いたり、専門書の著者や研究者に登壇してもらうことで、参加者は高度な知見に触れながら、自身の業務や視野を広げることができます。
一方で、注意点として、専門性が高くても必ずしも「教えるのが上手い」とは限りません。
そのため、事前に講演動画を見せてもらう、主催者と綿密に打ち合わせをするなど、進行や伝え方の質を確認し、事前準備を徹底することが重要です。
テーマに即した専門講師の起用は、学習の深度を高める鍵となります。ただし、教える力や場づくりも含めた「伝える力」があるかを見極め、準備段階から丁寧に設計することが、研修成功のポイントです。
このように研修の目的に応じて、適切な資質と経験を持った講師を見極め、登壇を依頼することで、合宿形式の管理職研修の価値が高まります。
4)目的別|合宿形式の管理職研修における適切な合宿地の選び方
合宿形式の管理職研修で想定される4つの目的別に選ぶべきか環境を具体的にご紹介します。
| 目的 | 適した環境 |
|---|---|
| 役割と自己の再認識 | 自然豊かで非日常感のある場所 (例:地方の研修施設、温泉宿) |
| 重要テーマの深掘り | 静かで集中できる場所+議論に必要な設備が整った場所 (例:ホテル、会議室) |
| チームビルディング | 広くて自由に使える場所 (例:広場、体育館、複数の小会議室) |
| マネジメント力の向上 | 騒音が少なく、テーマに関連する場所+リフレッシュスペース (例:静かなホテル、学習施設) |
役割と自己の再認識|自然豊かで非日常感のある場所
非日常下で意識を切り替えることを目的とした研修では、会社から物理的に離れた自然豊かな場所を選び、感性にも働きかけられる環境を整えることが重要です。
物理的に日常から距離を置くことで、思考のパターンや習慣から離れやすくなり、新たな視点や気づきが生まれやすくなります。
また、意識の切り替えや内省は、研修中のワークだけでなく、ふとした雑談や一人で過ごすリラックスした時間の中で生まれることもあります。そのため、ただ会議室があるだけでなく、研修以外の時間でも感性にアクセスできるような場づくりが良いでしょう。
たとえば、地方にある自然豊かな研修施設やホテル、温泉などは、こうした条件を満たす場所として有効です。
同じ場所を何度も使っていると「知っている場所」としての先入観が働きやすくなるため、特に重要な合宿の場合は、あえて新しい場所を選ぶのも効果的です。
「どうすれば参加者が自然と内省モードに入れるか?」という視点で、場所や環境を設計することが、合宿成功の鍵となります。
重要なテーマについての議論|静かで集中でき、議論に必要な設備が整った場所
重要なテーマについて深く議論したい場合には、集中できる静かな環境と、議論を支える設備が整っていることが重要です。
議論の質を高めるためには、話に集中できる環境であることが不可欠です。周囲が騒がしい、設備が不十分といった状況では、集中が途切れたり、議論の深まりを妨げたりします。
ただ、会議室だと日常の延長として捉えられてしまい、自由な発想や視点が出にくくなることもあります。
だからこそ、物理的にも心理的にも「話し合いに集中できる場」であることが必要です。
適した場所としては、自然に囲まれた環境や、静かなホテル・合宿施設などが挙げられます。
設備面では、以下のような準備があるとよいでしょう。
・ホワイトボード複数枚
・模造紙が貼れるスペース
・テーブルや椅子の柔軟なレイアウト変更が可能
開催場所については会社の会議室ではなく、近郊のホテルや地方の研修施設など、日常から意識を切り離しやすい場所を選ぶことで、参加者の思考も深まりやすくなります。
管理職のチームビルディング|広くて自由に使える場所
参加者同士のチームビルディングを目的とする場合は、ワークや演習に没入できる、広くて気兼ねなく使える場所を選ぶことが大切です。
チームビルディングでは、話し合いに加えて、身体を動かしたり、声を出したりするワークが含まれることが多くあるためです。
狭い会議室や静かな施設では、演習が制限されてしまったり、周囲への配慮で盛り上がりにブレーキがかかってしまうこともあります。
また、ワークの内容によっては、大人数が一斉に活動するスペースや、小グループでの対話に適した空間など、異なるタイプの場所が必要になる場合もあります。
たとえば以下のような場を検討するとよいでしょう。
・自然豊かな場所にある広場や体育館
・声を出しても迷惑にならないホール
・小グループで分かれて話せる会議室が複数ある施設
・屋外のスペースを活用できる研修施設
時々起こるのは、以下のようなトラブルです。
・予定していた演習が会場の広さや構造の制限で実施できない
・演習が盛り上がりすぎて、施設側からクレームが入る
これらを防ぐには、「どんなワークを行う予定か」を事前に関係者間で共有し、それに必要な環境・広さ・音量の自由度などをしっかり検討しておくことが重要です。
参加者が思い切って動けて、心から楽しみ・没頭できるように、演習の内容に合わせて、最適な場所を慎重に選びましょう。
マネジメント力の向上|騒音が少なく、テーマに関連する場所
集中的な学習を目的とする場合には、騒音の少ない静かな場所、そして可能であれば学習テーマに関連した環境を選ぶことが望ましいです。
集中力を高めるには、音や視覚的なノイズが少ないことが前提です。そのうえで、学習テーマと関連性のある環境を選ぶことで、参加者の興味や意欲が高まりやすくなります。
また、長時間の学習では疲労もたまりやすいため、適度にリフレッシュできる設備があることも重要です。
たとえばAIに関するテーマなら、最先端のAI技術に触れられる施設や企業の近くを選ぶことで、学習内容との結びつきが高まり、参加者の意欲も高まります。
また、静かで落ち着いた雰囲気のホテルや貸会議室も適しています。ただし、貸会議室の場合は隣室の音が気になることがあるため、事前に下見をして確認しておくと安心です。
加えて、長時間の集中をサポートするために、ラウンジやカフェスペースなど、リフレッシュできるエリアが併設されているかも確認ポイントとなります。
静かで集中できる環境を整えることはもちろん、学習テーマとの関連性や環境の非日常性も、学習効果を高める大きな要素です。
静かで集中できる環境として、会社の会議室が選択肢に挙がるかもしれませんが、日常と地続きの空間ではどうしても“仕事モード”から抜け出しにくく、学びに没入しきれないケースも少なくありません。
そのため、集中力と学習効果を高めるには、あえて環境を変えることをおすすめします。
それぞれの目的に合った場所を選ぶことが、参加者の没入感と研修効果を最大化するためのポイントです。
「どんな学びを起こしたいか?」という視点から逆算し、単に利便性だけでなく、“場の力”まで設計し、合宿形式の管理職研修を成功に導きましょう。
5)管理職研修を合宿で行うメリット・デメリット
合宿型の管理職研修を検討するうえで押さえておきたいメリットとデメリットを、それぞれ詳しく解説します。
メリット①:日常から離れた場で学ぶことで意識の切り替えが行いやすい
合宿形式の管理職研修では、「日常から離れた場で学べる」ことが、大きなメリットの一つです。職場に近い環境での研修に比べて、業務への意識を切り離しやすく、学びに集中しやすくなるためです。
たとえば、自社の会議室で研修を行うと、休憩時間に職場へ戻ってしまったり、部下が上司に業務相談を持ちかけるなど、どうしても仕事モードが抜けにくくなります。結果として、研修への集中が妨げられやすくなります。
一方、オフィスから物理的に距離を置くことで、
・環境の変化により、気持ちの切り替えがしやすくなる
・上司・部下の双方が業務から離れた関係で過ごせる
といった効果が期待でき、研修に没頭できる環境が整いやすくなります。
意識の切り替えや、マインドチェンジを促したい管理職研修には、合宿形式の導入が非常に効果的です。
メリット②:深い議論や対話が可能になり、新たなアイデアや気づきが生まれやすい
合宿形式の管理職研修では、深く対話できる時間と空間が確保されているため、新たなアイデアが生まれやすくなるというメリットがあります。
管理職にとって重要なテーマ——たとえば「人材育成」「組織変革」「中長期戦略」などは、日常業務の合間に話し合っても、十分な議論ができないことが多くあります。
しかし、合宿ではこれらのテーマにじっくり向き合う時間を確保できるため、
・意見の違いをすり合わせられる
・突破口となるヒントが見つかる
・実行へのコミットメントが高まる
といった効果が期待できます。
「今まで話し合えなかったことを、腹を割って話せた」「議論を通じて、目指す方向が見えた」といった声も多く、合宿ならではの深い対話が、実際の行動変化に結びつくきっかけにもなります。
腹を割った対話を通じて、チームとしての前進を促したいときには、合宿型の管理職研修が最適です。
メリット③:共通体験を通じて参加者同士の関係性が深まり、チーム力が高まる
合宿形式の管理職研修では、寝食を共にし、長時間を一緒に過ごすことで、参加者同士の距離がぐっと縮まります。仕事以外の時間も含めて共にすることが、自然なコミュニケーションや信頼関係の構築につながるためです。
例えば、
・普段話さないメンバーと会話するきっかけになる
・懇親会で仕事では見えない一面を知れる
・一緒にグループワークを行い、協力・工夫・達成感を共有できる
といった場面を通して、「ただの同僚」から「仲間」へと関係性が変化します。
管理職同士の横のつながりを強化したいときや、意思疎通のズレを減らしたいときには、合宿形式の研修が非常に効果的です。
メリット④:自己と向き合う時間が取れ、内省や自己理解が促進される
合宿研修では、日常業務から離れた時間と空間の中で、自分自身とじっくり向き合うことができます。慌ただしい日常では難しい内省も、落ち着いた環境でなら深めやすくなります。
また、他者からのフィードバックを受け取る余裕も生まれます。
たとえば、
・他の参加者からリーダーシップに関する気づきをもらう
・自分では気づかなかった強みや改善点を発見する
・経験を振り返り、自分なりのスタイルを再確認する
といったプロセスを通じて、自分の思考や行動パターンを見つめ直すきっかけになります。
管理職としての在り方や強み・弱みを見つめ直したいときには、合宿形式のような“立ち止まる場”が非常に有効です。
デメリット①:会場費・宿泊費・交通費などが発生し、通常の研修よりもコストが高くなりやすい
管理職研修を合宿で実施する際のデメリットのひとつは、一般的な研修に比べてコストが高くなりやすいことです。
これは、研修費に加えて、会場費・食事・宿泊費・交通費など、さまざまな追加費用が発生するためです。
たとえば、
・合宿先の会場利用料
・参加者全員の食事と宿泊にかかる費用
・移動手段にかかる交通費
・講師費用
などが必要になり、通常の社内研修よりも予算の確保が重要となります。
そのため、合宿形式を検討する際は、あらかじめ高めのコストを想定しつつ、それに見合う効果を得られるよう設計することが大切です。しっかりと成果を引き出せれば、コスト以上の価値を生む可能性もあります。
なお、費用の目安は以下の通りです。
都内で1泊2日・参加者30名を想定した場合、総額100〜200万円程度になると見込まれます。
費用の概算を把握する方法としては、以下の通りです。
・移動費・宿泊費・施設利用料:旅行検索サイトを使えば、おおよその費用を調べることができます。
・旅行代理店を利用する場合:条件を提示すれば、見積もりを作成してもらえます。
・講師費用:研修会社に依頼する場合は、直接問い合わせれば概算を教えてもらえます。
なお、実施場所や日程、施設のグレードによって費用は大きく変動します。そのため、事前に要件を明確にし、複数の見積もりを比較することをおすすめします。
また管理職研修の費用に関して、より詳しく知りたい方は下記コラムをご覧ください。
参考コラム : 管理職研修の費用相場は?研修費用を最適化するための5つのステップ
デメリット②:複数日程を要するため、業務調整やプライベートへの影響が大きく、時間確保の負担が大きい
管理職研修を合宿形式で実施する場合のデメリットのひとつが、時間の確保が難しいことです。
合宿研修は通常の研修に比べて長時間にわたるケースが多く、その分、参加者の業務やプライベートに影響を及ぼす可能性があります。
たとえば、
・複数日間の参加が必要となり、通常業務に支障が出る
・プライベートの時間を確保しづらい
・日程調整が複数人分必要になり、調整の手間が増える
といった課題が生じやすくなります。
そのため、合宿形式を検討する際には、参加者の時間的負荷や業務への影響を事前に考慮することが不可欠です。
ただし、早めに日程を確保し、業務の調整や周囲との連携体制を整えておくことで、負荷を軽減することは可能です。研修に集中できる環境づくりを行えば、合宿の効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
デメリット③:長時間の集中や共同生活が負担になるなど、参加者によってはストレスを感じる場合がある
合宿形式の管理職研修は、一部の参加者にとってストレスフルになる場合があります。
研修の内容がハードだったり、他者との深い関わりを求められることに抵抗を感じる人にとっては、精神的・身体的に負担となることがあるためです。
たとえば、
・長時間にわたる濃密な研修によって休息が十分に取れない
・グループワークや共同生活に対する心理的な抵抗感
・プライバシーの確保が難しい環境に対するストレス
といったリスクが想定されます。そのため、合宿研修を企画する際には、
・適度な休憩や自由時間の設計
・個室の宿泊手配など、プライベート空間の確保
・参加者の状態や傾向を事前に把握する
といった配慮が重要になります。
参加者が安心して研修に臨める環境を整えることで、合宿研修の効果を高めつつ、不要な負担を減らすことができます。
デメリット④:学びや変化の範囲が広く、数値では測りにくいため、効果測定が難しい
合宿形式の管理職研修は、研修の効果を測定しづらいというデメリットがあります。
長時間にわたってさまざまなインプットや演習が行われるため、通常の研修と比べて評価の対象が広範囲に及び、何がどれだけ効果をもたらしたのかを把握するのが難しいためです。
たとえば、
・研修後すぐのアンケートでは、直近の内容には反応があっても、初日の内容は印象に残っていないことがある
・関係性の変化や内面的な気づきなどは、数字だけでは測りきれない
といったケースが想定されます。そのため、効果測定を行う際は、
・研修中にこまめな振り返りやフィードバックの機会を設ける
・数字に頼るだけでなく、定性的なコメントや変化の兆しを重視する
といった工夫が必要です。
「数値では測れない変化が起きる可能性がある」ことを前提に、複眼的な視点で効果を捉えることが、合宿研修の成果を正しく評価するポイントです。
研修の効果測定に関して、より詳しく知りたい方は下記コラムをご覧ください。
参考コラム : 【テンプレあり】研修の効果測定「いつ・なにを・どうやって?」を分かりやすく解説
合宿形式の管理職研修には、日常から離れて学びに集中できることや、深い対話を通じた関係構築・自己理解の促進といった多くのメリットがあります。
一方で、コストや時間確保の負担、効果測定の難しさなどのデメリットもあるため、事前の設計と配慮が欠かせません。
合宿形式が自社の目的や状況に合っているかを見極めたうえで、研修の効果を最大化できるように計画・運営を進めていくことが重要です。
6)合宿形式の管理職研修を成功に導くポイントは、複数の関係者のニーズを丁寧に把握すること
合宿形式の管理職研修を成功させるには、目的を踏まえたうえで、意思決定者や参加者それぞれのニーズを丁寧に把握し、企画に反映することが大切です。
合宿形式は通常の研修に比べて費用も時間もかかるため、多くの関係者が関与し、ニーズも多様になります。たとえば、経営層は「将来の方向性を議論してほしい」、管理職は「横のつながりを深めたい」といった声が挙がることもあります。
すべてを盛り込むのは難しいため、「合宿で扱うべきテーマか?」「目的達成に役立つか?」を吟味し、優先順位をつけて設計することが重要です。
特に、管理職が一堂に集まる合宿は期待も高まりやすいため、普段以上に丁寧なニーズ把握が欠かせません。的確な設計により、納得感と成果を両立する研修が実現できます。
7)合宿形式の管理職研修の注意点
合宿形式の管理職研修は大きな効果が期待できる一方で、特有のリスクや注意点もあります。
ここでは、実施にあたって押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
7-1.洗脳型の研修にならないように注意する
注意点1つ目は、特定の思想や価値観、行動を強制するような研修にしないことです。
合宿型の研修は、日常から離れた特別な環境で行われるため、参加者に強いインパクトを与えやすく、設計次第では特定の価値観を強制する場にもなりかねません。
価値観を強制する研修は、一時的には行動や意識の変化が見られるかもしれませんが、日常に戻ると徐々にその効果は薄れていきます。また、何よりも「特定の価値観を押しつける」スタイルは、学びの観点からも望ましくありません。
そのため、研修内容は多角的な視点を盛り込むように設計し、参加者にも自分の意見や考えを持つよう促しましょう。また、参加者の声に耳を傾け、率直な意見交換ができるオープンな場づくりを意識することが大切です。
7-2.事故・ケガなどのアクシデントに注意する
合宿型研修では、会議室だけでなく屋外でのワークを行うことも多く、思わぬ事故やケガが発生する可能性があります。
特に、合宿では参加者の気持ちが高揚しやすく、場の盛り上がりによって普段よりも気が緩むことがあります。その結果、油断や無理が重なり、予期せぬトラブルが起こることがあるのです。
たとえば、チームビルディングを目的としたアクティビティでは、久しぶりに体を動かす人も多いため、転倒や筋肉系のケガなども想定されます。
こうしたリスクに備えるには、安全面への配慮はもちろん、万が一の事故やケガに備えた対応策を事前に準備しておくことが重要です。
せっかくの研修も、事故が起きてしまっては台無しです。事前にシミュレーションを行い、当日の安全確保に万全を期しましょう。
7-3.単なる旅行やレクリエーションにならないように注意する
合宿研修が、単なる旅行やレクリエーションにならないよう注意が必要です。
特に夜の懇親会では、つい盛り上がってお酒を飲みすぎてしまい、翌日の体調に影響が出るといったアクシデントが起こることもあります。
もちろん、懇親の場そのものが悪いわけではありません。ただし、あくまで合宿の目的を達成するための設計であることが重要です。
たとえば、研修は初日に集中させて、参加者が万全の体調で臨めるようにする。懇親や交流の場は2日目以降に設ける、といったスケジュールの工夫で、学びと懇親の両立がしやすくなります。
「学び・気づき」と「関係構築」の両方がバランスよく組み込まれた合宿は、参加者にとっても印象に残る、充実した研修になります。
これらの注意点を踏まえることで、合宿形式の管理職研修のリスクを最小限に抑えながら、学びの深い場をつくることができます。
丁寧な設計と準備を行い、実りある管理職合宿を実現しましょう。
8)合宿形式の管理職研修を行う際の【チェックリスト】
以下にこれまでの内容を元に、合宿形式の管理職研修を行うためのチェック表を作成しました。

このチェック表に基づいて準備を進めれば、抜け漏れなく準備を行うことが可能ですので、ぜひ活用してみてください。
※ ダウンロード可能です。必要な方は下記よりダウンロードしてください。
9)まとめ|「非日常」だからこそ生まれる、管理職の本質的な変化を
合宿形式の管理職研修は正しく行うと、会社の方向性を大きく変えるターニングポイントとなり得るほどの効果を発揮します。
特に
「管理職の意識を大きく変革したい」
「新しいビジョンや戦略が発表され、これまでの方向性が大きく変わろうとしているとき」
「管理職間の人間関係が悪化していて、組織運営にも支障をきたしているとき」などに有効です。
しかし、安易に合宿を実施してしまうと「なんとなく楽しかった」「記憶には残ったけれど、職場に戻ったら、元に戻ってしまった」などの残念な結果で終わってしまいがちです。
今回のコラムを参考に、「なぜ今、何のために実施するのか」という意味づけを丁寧に行い、参加者の納得感と集中度を高めるための準備ーー目的に応じた設計・タイミング・講師・環境の選定を丁寧に行いましょう。
もし、「管理職の意識を変えたい」「横の連携を強化したい」「戦略を腹落ちさせたい」といったお悩みがあるなら、合宿研修は有効な打ち手になり得ます。
アーティエンスでは、貴社の目的や状況に合わせた合宿での管理職研修のご提案も可能です。
「うちの管理職には何が必要か」「どんな構成が良いか」など、お気軽にご相談ください。
管理職が変わることで、組織全体の推進力は大きく高まります。合宿形式の管理職研修を活用し、管理職の意識と関係性に本質的な変化を起こしていきましょう。





