ビジネスマナーで最も大切なことは?社会人として必要な「意識」と「知識」を詳しく解説

更新日:

作成日:2023.7.26

ビジネスマナー


「うちの若手は、社会人として必須なビジネスマナーを理解できていない…」

若手社員や新入社員のビジネスマナーに対して、このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

ビジネスマナーは、社内外問わずビジネスを共にする相手と気持ちよく仕事を進めていくうえで必要とされる知識とスキルです。ただその一方で、「覚えることが多くて苦手」「面倒だから必要ない」といった声も少なくありません。

本コラムでは、ビジネスマナーはなぜ必要なのか?何を意識すればよいのか?といった内容を詳しくお伝えしていきます。

このコラムで分かること

  • ビジネスマナーで大切なこと
  • ビジネスマナー習得に向けて必要な「意識」
  • ビジネスマナー習得に向けて必要な「知識」
執筆者プロフィール
迫間 智彦
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

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1)ビジネスマナーで大切なことは「気遣う心」

ビジネスマナーで大切なことは相手のことを「気遣う心」です。相手に不快な想いを感じさせず、心地よい場を作れることがビジネスマナーの目的だからです。たとえビジネスマナーの型通りに行ったとしても、その時の状況によっては相手に良い影響を与えられていないこともあります。

例えば、買ったばかりの家電製品に不具合があり、コールセンターへ電話したとします。その際に、対応してくれた担当の方がマナー研修のマニュアル通りの受け答えをしていたら、どのように感じるでしょう。
表面上は丁寧な受け答えをしてくれていると思いますが、本当に自分が伝えたことを理解してくれているのか不安になったり、一般的な対応すぎて自分のことを考えてくれていないのではないかと感じてしまいます。
しっかりとビジネスマナー通りの受け答えをしているにも関わらず、良い印象を受けません。
このようにマナーの型を重視しずぎて相手の状況をくみ取れていない、ということが起きては意味がありません。

一方、自分の希望に応えられるように柔軟に対応してくれてはいますが、受け答えや言葉使いが適切ではない方がいたとします。その方に対しては、親切にしてくれてはいるけど、どこかモヤモヤする感じで、気持ちの良い対応をしてくれたとは言うことはできません。

そのため、ビジネスマナーは、基本的なビジネスマナーに必要な意識と知識を身につけた上で、相手を気遣う心が求められる、ということです。

ビジネスマナーは時代と共に変わります。業界や職場によっても変わることもあります。マナーは礼儀作法であり、明文化されているものばかりではありません。
時代が変わっても、業界が変わっても変わることのない「気遣う心」を大切に接することで、結果的に自分らしいビジネスマナーを行えるようになります。

2)相手を気遣うために必要な「意識」

相手を気遣うために必要なビジネスマナーを身につけるために意識すべきことは、次の4つです。

・時間や約束を守る
・身だしなみを整える
・伝わりやすいコミュニケーションを行う
・相手に感謝する

これらを意識するだけでも、気遣いを感じられます。

時間や約束を守る

時間や物事の約束を守ることは、相手に迷惑をかけないために必要です。約束を守ってくれない人は、信頼性に欠け、仕事を一緒にしたいと思えなくなります。また、約束が守られないことで、計画が崩れて、その後の仕事にも迷惑を与えることになるためです。

例えば、打ち合わせに遅刻されると、時間も守れないような人なんだという印象や、自分との約束を雑に扱われたような印象を受けます。また、時間通りに始められなかったことで、全ての予定が後ろ倒しになっていき、次に組んでいた予定を遅らせなければいけないという迷惑をかけることもあります。
他にも納期に間に合わせる、という約束が守られなかったことで、大きな損害を招く可能性もあります。

時間は有限です。どんなに小さい約束でも、約束したことは必ず守る意識を持つことが必要です。約束したことを守る、という積み重ねが信頼につながり、お互いが気持ちよく仕事を行える状態を作ることにつながります。もしどうしても約束を守ることができなくなってしまった場合は、事前に伝えてしっかりと謝罪をすることも社会人のマナーとして覚えておいてほしいことです。

身だしなみを整える

身だしなみを意識することは、お互いが不快にならないようにするために必要です。人の五感は視覚が強く、身だしなみが整っていないと、それだけで不信感を感じる原因になってしまうためです。

メラビアンの法則によると、コミュニケーションにおいて言語・聴覚・視覚から受け取る情報がそれぞれ異なった際、言語情報(Verbal)が7%、聴覚情報(Vocal)が38%、視覚情報(Visual)が55%の影響があるとされています。視覚情報の影響は大きいため、視覚的に入ってきた情報によって、一瞬でイメージ漬けされてしまいます。

例えば、初めて関わる会社の方が挨拶に来てくれたとします。しかし相手の社員は寝ぐせが付いていました。この時に、あなたの頭の中では、「朝ギリギリだったのかな」「生活管理ができていないのかな」「仕事はしっかりしているのだろうか」という考えが浮かび、不信感が強くなってしまいます。この第一印象は、その後もなかなか消えるものではありません。

特に、最近ではテレワークが増え、社内会議などは画面OFFで行っているという話も聞きます。そうすると、身だしなみの意識が弱くなってしまっているため、対面で会うときにより一層注意が必要です。

また、最近では、自分らしい服装や髪型、メイクなどで働きたいという人も増えています。もちろん、それが許されている環境であれば問題ありません。しかし、自分にとって快適な身だしなみが相手にとって快適とは限らない、ということは認識しておく必要があります。

身だしなみは、自身のお洒落などを優先させるのではなく、相手やコミュニティ内を不快にさせないことを意識することが大切です。

伝わりやすいコミュニケーションを行う

相手が理解しやすいようなコミュニケーションを意識することも大切です。相手によって、伝わりやすい言葉や伝え方が異なるためです。

例えば、パソコンを買いに来たお客さんにパソコンのスペックについて説明するときに、パソコンを触ったことのない人に専門用語をたくさん使って説明しても、相手は理解することはできません。初心者でもわかるような単語を用いて、丁寧に説明することが求められます。
一方で、パソコンの知識がある程度ある人に対して先ほどの人と同じように対応してもイライラさせるだけです。
相手の状況に合わせた伝わりやすいコミュニケーションを意識することで、相手に満足してもらうことができます。

相手の状況や状態を理解した上で、適切な言葉や伝え方を用いたコミュニケーションを行うと、受け手は気遣いを感じて感謝を感じられるようになります。

相手に感謝する

相手に感謝することも、相手と気持ちよい関係を築くために必要です。相手に対して感謝の気持ちを示すことで、信頼感や協力意欲が高まり、円滑なコミュニケーションが促進されるためです。

例えば、上司からの指示を受けたときに、自分を成長させようとしてくれていることに感謝を持って引き受けるのと、仕事を増やさないでほしいとネガティブな感情を持って引き受けるのとでは、態度も仕事の質も変わってきます。

同じ出来事についても、相手に感謝の意識を持てると関係性にも仕事の質にもポジティブな影響を与えることができます。

このような意識を持つことで相手を気遣えるようになり、自然とビジネスマナーを行えている状態を作ることができます。

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3)相手を気遣うために必要な「知識」

相手を気遣うために必要なビジネスマナーの知識は、主に次の7つです。

・挨拶
・言葉づかい
・訪問・来客の対応
・名刺交換
・席次・席順の理解
・電話対応
・メールの書き方

これらの知識があると、この知識をもとに、相手や状況に合わせて柔軟に対応することができます。順に説明します。

挨拶

場や状況に適した挨拶をすることが大切です。挨拶をすることで会話が生まれ、その後の仕事にスムーズに入ることができるためです。

挨拶のマナーとしては場面ごとの種類を学び、状況に合わせて適切に挨拶できる状態にしてきましょう。

【参考】当社のビジネスマナー研修テキストより抜粋

なお、業種によっても好ましいとされる挨拶に違いがあります。例えば、営業や一般的な接客業では明るくはきはきとした挨拶の方が良い印象を持ってもらいやすいです。一方、高級ブランドでの接客においては、落ち着いた挨拶の方が好ましいとされています。

挨拶は出会って一番初めと最後に行うもので、印象に影響しやすいため、基本的な挨拶の知識を持った上でコミュニティや場に適した挨拶ができるようにしましょう。

言葉づかい

適切な言葉づかいは、社会人として適したコミュニケーションを行うために必要です。 言葉づかいが適切でないと相手に違和感を与え、ネガティブな影響を与えてしまう可能性があるためです。

言葉使いのマナーとして、尊敬語、謙譲語、丁寧語を区別して使えるようにはしておく必要があります。当社のビジネスマナー研修では、仕事でよく使用する言葉をわかりやすく表にまとめた資料を渡して適切な言葉がすぐに出るように練習してもらいます。

【参考】当社のビジネスマナー研修テキストより抜粋

最近の社員の様子を見ると、尊敬語、謙譲語、丁寧語に馴染みがないことが多く、言葉づかいには苦戦している様子です。また、近年は「ヤバい」など、一つの単語で、文脈によって様々な意味になる言葉も増えています。そのため、言葉のレパートリーが少なくなっていることも、最近の特徴としてあります。

言葉づかいが適切か否かはとても小さな違いですが、似たようなサービス内容で金額も同程度の時は、最後の判断の決め手となることもあります。
適切な言葉を使えるように日常の業務のなかでも意識し、日々の練習の中で自然に使えるようにしていきましょう。

訪問・来客の対応

訪問・来客のマナーは、スムーズに商談や打合せなどを行う時に必要になります。訪問・来客のマナーができていないと、商談や打合せなどを行うまでにストレスや不安感を与えてしまい、肝心な商談や打合せを台無しにしてしまう可能性があるためです。

例えば、訪問時に来客を受けた側が声をかける前に、勝手に椅子に腰を掛けた、ということがあったとします。すると、そのことをきっかけに、若手のマナーがなっていないということは育成が適切に行われていない可能性がある、育成が行われていない状況ということは、組織として上手くいっていない可能性があるかもしれない、という認知をされてしまう可能性もあります。たった一つの行動で、会社のイメージにネガティブな影響を与えてしまうのです。

訪問・来客の際のマナーとして、次の流れのように対応できる状態になっておくことは必要です。
【参考】当社のビジネスマナー研修テキストより抜粋

ただ、この内容も一般的な流れなだけで、状況によって柔軟に対応することが求められる場面もあります。先輩社員の様子を観察して、どのような気遣いをしているのかを見つけると、自分の引き出しが増えて、柔軟に対応できるようになります。

近年はオンラインでの商談や打合せが増え、実際に訪問したり、来客を受けるという経験そのものが減少している業界もあります。
お互いが気持ちよく、商談や打合せを行うために、訪問・来客に慣れるまでは、事前に少しだけでもいいので時間をとってマナーの確認を行えると良いでしょう。

名刺交換

名刺交換は、商談や打合せなどを行う際に行われます。お互いを知った上で話ができるようにするためです。名刺に記載されている情報から、商談や打合せの内容を相手の立場や職種に合わせた話し方にしたり、個性的な名刺の場合だと、そこから少しアイスブレイクをすることができます。

名刺交換の際に意識したいマナーは下記の内容です。
【参考】当社のビジネスマナー研修テキストより抜粋


名刺交換に慣れてきたら、名刺の情報を確認する余裕が生まれ、参加されている方に合わせて話をする、ということができるようになっていきます。
例えば、あるプロジェクトの打ち合わせに参加された方が複数名いて、名刺交換をしたときに、それぞれ職種が違うことが分かったとしましょう。そうすると、3名が理解できるようにお伝えすることが必要になるため、専門用語に補足を入れるという対応を行うことができます。このような対応をできると、打合せもスムーズに進むことが想像できます。

名刺はお会いして初めてお渡しし、受け取る物で、その人の分身です。相手の名刺は大切に丁寧に扱い、自分の名刺は相手へ渡って恥ずかしくないよう、汚れなどがないように管理しておくことも相手を気遣う一つのマナーです。

席次・席順の理解

席次や席順について知っておくことは、商談・打合せなどで適切な場所につくために必要です。人によっては席次や席順を強く意識しており、適切な場所に着かなかったことで、不快な思いにさせてしまう可能性もあるためです。

席次・席順については、「目上の人やお客さまにはできるだけ良い席に着席していただく」ことを意識します。基本的には入り口から最も遠い席が上座となり、入り口に最も近い席が下座となります。打ち合わせや、エレベーター、タクシーなどの場面の基本的なマナーを理解できているようにしておきましょう。

【参考】当社のビジネスマナー研修テキストより抜粋

例えば、タクシーでは、立場が上の人が運転手の後ろの位置に座るのが基本的なマナーとされています。しかし、運転手がいる位置と反対の方向から乗る際に、足の悪い上司と一緒にタクシーに乗る状況を考えるとどうでしょうか。相手を気遣う心があると、足が悪い方にタクシーで奥まで詰めてもらうのは、負担になると考えるかもしれません。そしてマナーとは異なるけど自分が奥に乗って上司に負担がかからないようにするという判断を行えるようになります。

相手を気遣う心を持って柔軟に対応するためには、席次や席順について基本的なマナーを理解していることが必要です。

電話対応

電話は、報告・連絡・相談・伝言・取次ぎなどのコミュニケーションのために必要です。電話応対ができないと、物事が先に進んでいなかくなってしまうためです。

電話対応する時のマナーとして、以下のことは守れるようにしましょう。
【参考】当社のビジネスマナー研修テキストより抜粋

基本的なマナーを知っていることで、相手に不快な想いをさせることはなくなります。

より相手を気遣う対応をするためには、声の情報から相手がどのような感情や状態にあるのかを察知することが必要です。
電話という顔が見えない中で、声の速さやボリュームなどの情報から相手の状況に適切なコミュニケーションを行うことができると、相手をより満足させることができるようになります。

基本的なマナーが身に付いたら、声の情報から相手のことを状況や状態を考えて、相手を気遣える対応を行えるようにしましょう。

メールの書き方

メールに関するマナーの知識も必要です。社会人になるとメールで連絡を取り合うことが多く、メールによって自分の印象がつくられてしまうためです。

メールのマナーとして、以下のことは守るようにしましょう。
【参考】当社のビジネスマナー研修テキストより抜粋

このマナーに加えて、気遣う心を大切にすると、例えば、打ち合わせの日程調整をする際に、「いつがいいですか?」と連絡するのではなく「3日ほど候補を出して、都合の良い日時はありますか?」と連絡できるようになります。
後者のように連絡することで、相手に日程を確認しやすく、返信もしやすくなります。

このようにマナーを守った上で相手のことを気遣ったメールにすることで、親切な方で仕事がやりやすいという印象を与えることができ、メールだけでも相手との関係性を築きやすくなります。

このように、相手を気遣うためには、基本的なビジネスマナーの知識が必要です。その上で、自分なりに相手を気遣う言動を行えるようにしましょう。

4)まとめ〜アーティエンスではビジネスマナーの教育をサポート〜

本記事では、ビジネスマナーで大切なことをお伝えし、そのために意識すべきことと必要な知識についてお伝えしました。

ビジネスマナーで大切なことは相手のことを「気遣う心」です。相手に不快な想いを感じさせず、心地よい場を作れることがビジネスマナーの目的だからです。
ビジネスマナーは、基本的なビジネスマナーを身につけた上で、相手を気遣う心が求められます。

相手を気遣うために意識すべきことは、次の4つです。

約束を守る
・身だしなみを整える
・伝わりやすいコミュニケーションをする
・相手に感謝する

これらを意識するだけでも、気遣いを感じられます。また、下記7つの知識を持っていることで、相手を気遣う言動を取れるようになります。

・挨拶
・言葉づかい
・訪問・来客の対応
・名刺交換
・席次・席順の理解
・電話対応
・メールの書き方

多くの人はマナーの型に囚われすぎてしまい、そのことに窮屈さを感じています。しかし、実際は型の通りに対応するのではなく、状況にあわせて相手にとって心地よい対応をすることが求められます。

ビジネスマナーの大切さや必要性を理解してもらい、相手を気遣う心を持った自分らしいマナーと行うことで、仕事を一緒にする相手に対してポジティブな影響を与えられる人を増やしていきましょう。

アーティエンスでは、相手を気遣う心を養うビジネスマナー研修を実施しています。
ビジネスマナーは、「型」をただ覚えるのではなく、マナーを実践することの意義や影響範囲を考えて、その必要性も理解していくことが何より重要です。当社のビジネスマナー研修では、ロールプレイングや間違い探しを通じて、ビジネスマナーの必要性や「型」を実践的に習得していきます。
相手のことを考えたビジネスマナーを身につけてほしい方は、ぜひ一度お問い合わせください

貴社に適したビジネスマナー研修ができるように一緒にコンテンツを考えていきましょう。

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参考:東京の役員運転手派遣・請負『セントラルサービス株式会社』