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[ コラム ]
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【事例あり】面接官のスキルアップで活躍人材を確保!面接官が研修で学ぶべき16のスキル
「新入社員が『面接時の印象と、実際の雰囲気が違う』と言い、早期離職する…」
「自組織に合った人材を採用できていない…」
このような悩みの原因は、面接官のスキル不足により、面接がうまくいっていないことかもしれません。
短時間の面接で、自組織に合った人材を正確に見極めるためには、面接官自身が適切なスキルを持っていることが重要です。
そこで本コラムでは面接官が研修で学ぶべきスキルを16個紹介します。また、実際に面接官の研修を通して希望する人材を獲得できるようになった事例もお伝えします。
組織は人材によって成り立つものです。面接官は組織の未来を左右する非常に重要な役割を担っています。面接官研修を通じてスキルを高め、組織の未来を築く素晴らしい人材を採用できるようにしましょう。
専門性:採用成功と仕組み化から、定着と早期戦力化まで。
目次
1)面接官が研修で身に付けるべきスキル一覧
面接官が研修で学ぶべきスキルを、面接プロセスごとにまとめました。
面接プロセス | 必要スキル | |
---|---|---|
面接前 | 面接準備 | ・求人要件の理解力 ・書類から見立てる力 ・言語化能力 ・評価基準の明確化 |
面接中 | 場作り | ・自身の状態の調整 ・安心できる環境を作るコミュニケーション ・場の設計スキル |
人物の見極め | ・観察力 ・質問力 ・バイアスの排除 |
|
自社への動機づけ | ・プレゼンテーションスキル ・セールススキル |
|
面接後 | 評価票記入 | ・客観的な評価力 ・記録力 ・言語化能力 |
次の選考官への申し送り | ・要点をまとめて相違なく伝える力 |
2)【プロセス別】面接官が研修で身に付けるべき16のスキル
面接前:【面接準備】に必要な4つのスキル
面接前の準備段階で面接官に必要なスキルは主に次の4つです。
・求人要件の理解力
・書類から見立てる
・言語化能力
・評価基準の明確化
これら4つのスキルがあると、面接官全員が共通意識を持って面接に取り組めるようになります。スキルごとに説明します。
求人要件の理解力
求人要件を深く理解することは、適切な人材を見極めるために必要なスキルです。
求人要件を理解していないと、面接の際にどのポイントを重視して応募者を評価すべきかが曖昧になり、採用基準に沿った判断が難しくなります。求めるスキルや経験が具体的にわかっていれば、面接中の質問や深掘りの焦点が明確になり、適切な評価を行いやすくなります。
例えば、営業職の求人で、顧客対応能力や、営業において自分で課題を見つけて解決し営業成績を向上した経験が求められるとします。
求人要件を理解していれば、応募者に「これまで顧客対応で意識してきたことは何か」「よりよくしていくために、どのように改善して、どのような結果を生み出したのか」といった具体的な質問を投げかけ、その回答から応募者の適性を判断できます。
一方で求人要件を把握していない場合、例えば前職で営業成績が1位だったことを聞いて、それだけで凄そうな人だと判断する、ことが起きる可能性があります。
前職で求められていた営業スタイルと自組織が求めている営業スタイルが異なる場合、その上部だけの情報で判断しても、自組織に合った人材は選べません。
求人要件の理解力があると、面接で焦点を定めた質問ができ、応募者の適性を正確に見極められるようになります。
書類から見立てる力
事前に応募者情報を見て何を深堀りするべきか見立てる力は、応募者の適性を効果的に見極めるために重要なスキルです。
応募者情報には履歴書や職務経歴書などがありますが、これらを見てどの部分を重点的に深堀りするかを事前に見立てることで、面接の限られた時間を効率的に使えます。このスキルがあれば、応募者の特性やポテンシャルを的確に把握し、自社にとっての適性を判断しやすくなります。
例えば、応募者が過去の職場で「チームリーダーを務め、売上を〇〇%向上させた」と記載していた場合、単にその数字を確認するのではなく、「その成功に至ったプロセス」や「チーム内での具体的なリーダーシップの発揮方法」を深堀りすることが重要です。
これにより、どのようにして結果を生み出したのか、その能力や特性をより正確に理解でき、自組織が求める人物像と合っているかを確認できます。
見立てる力を持っていると、応募者情報をもとに適切な質問を準備し、応募者の適性を深く掘り下げて見極められるようになります。
言語化能力
抽象的な言葉の解釈をすり合わせるための言語化能力は、面接における評価基準に合致させるために重要です。
面接中には、応募者が自身の経験やスキルを抽象的な言葉で表現することがよくあります。例えば、「コミュニケーション能力が高い」などの言葉は人によって解釈にズレが生じる言葉です。この解釈のズレをなくすために、面接官がそれを具体的な行動や成果に言語化し、共通の理解を持つことが重要です。
例えば、「コミュニケーション能力が高い」に対して、「笑顔でテンポよく話せる人」と解釈する人もいれば「わかりやすい説明ができる人」と解釈する人もいます。
しかし、このように解釈にズレがあると、「コミュニケーション能力が高い」という判断基準を設けているにもかかわらず、全く異なるスキルや特性を持った人材が合格になってしまう事態になります。
すると混乱が生じたり、皆が納得感を持って判断できなくなるため、「当社でいうコミュニケーション能力が高いとはどういうことなのか」目線合わせをし、それを明確に理解した上で面接に臨むことが非常に重要です。
言語化能力があると、抽象的な表現を具体化し、面接官同士で共通の理解を持てるようになります。
評価基準の明確化
応募者を公平かつ正確に評価し、組織にとって最適な人材を選ぶために欠かせないスキルとして、評価基準の明確化も大切です。
評価基準が明確でないと、面接官ごとに評価がばらつき、主観的な判断に依存するリスクが高まります。また、応募者の適性を正確に判断することが難しくなり、結果として組織にとって不適切な採用をしてしまう可能性があります。
例えば、主体性を評価する場合、面接官によって主体性の解釈が異なることがあります。ある面接官は「積極的な発言力」を重視し、別の面接官は「自ら課題を見つけて解決する力」を重視するかもしれません。このような不一致を避けるために、事前に「主体性とは、○○のような行動を指す」と具体的に定義しておけば、全ての面接官が同じ基準で応募者を評価できます。
さらに、その定義において、採用レベルを満たしていない状態や、採用レベルを満たしている状態はどのような状態かを考えておくと、より評価基準を明確にできます。
例えば、次のようなイメージです。
項目 | 定義 | 採用レベルを 満たしている状態 |
採用レベルを 満たしていない状態 |
---|---|---|---|
主体性 | 自ら考え行動できる。指示待ちではなく、自ら課題を見つけ、解決に向けて行動を起こすことができる。 | これまでの取り組みの中で、役職や肩書きに関係なく、全体を見渡した上での課題を見つけ、解決する為の行動を自分から取っている。 | これまでの取り組みの中で、リーダーなどからの指示待ち状態になっていたり、自分の担当外のことはやりたがたらない傾向がある。 |
※今回はわかりやすくお伝えしているため、評価基準を2段階にして説明していますが、実際に評価基準を設ける場合は、評価基準は4段階ほどに分けるのが好ましいです。
評価基準を明確化しておくことで、面接官が応募者を一貫して公正に評価し、組織に最も適した人材を見極められるようになるために非常に重要です。
面接中:【場作り】に必要な3つのスキル
面接中の場作りにおいて面接官に必要なスキルは主に次の3つです。
・自身の状態を整える
・安心できる環境を作るコミュニケーション
・場の設計スキル
これら3つのスキルがあると、応募者の方がリラックスしてありのままで質問に答えてくれやすくなります。
スキルごとに説明します。
自身の状態を整える
面接中の場作りにおいて必要なスキルの一つは、面接官自身の状態を整えることです。
面接官の状態が不安定だったり、緊張していたりすると、応募者もその雰囲気を感じ取り、ありのままで居られなくなります。面接は短時間で応募者の適性を見極める重要な場であるため、面接官が安心して話せる場を生み出せる状態であることが必要です。
例えば、面接官が面接の直前に他の仕事でミスしてしまい、不安や焦りなどその仕事に意識が向いている状態では、応募者の方としっかり向き合えません。
面接を行う前に5分程度一人で瞑想する、コーヒー1杯を落ち着いた気持ちで飲むなど、自分にあった方法を探して自身の状態を整えましょう。少なくとも、面接の直前まで他の仕事をすることは避けた方が良いです。
面接官が自分の状態を整えることで、応募者の方としっかり向き合えるようになり、面接の質の向上につながります。
安心できる環境を作るコミュニケーション
面接中の場作りにおいて、安心できる環境を作るためのコミュニケーションは重要なスキルです。
面接は応募者にとって非常に緊張する場であるため、彼らが過度に緊張すると本来の姿を見られない場合があります。面接官が安心感を与えるコミュニケーションを取ることで、応募者はよりオープンに話しやすくなり、より正確な評価を行えるようになります。
例えば、相手の目を見て「こんにちは。今日はお時間をいただきありがとうございます。」のような心地良い挨拶をすることだけでも、応募者の緊張を少しほぐせるかもしれません。他にも、面接の初めにアイスブレイクとして天気などの話をするのも良いでしょう。
また、「今日少し頭痛があり、時々眉間にシワが寄ることがあるかもしれません。不安を与えてしまうかもしれませんが、あなたへの反応ではないので、ご了承ください。」のように自分の言動で相手に誤解を与えそうな内容を事前に伝えることも、安心できる環境を作るための一つの方法です。
安心できる環境を作るコミュニケーションは、応募者がありのままの自分を見せられるようにするために必要なスキルです。
場の設計スキル
座席の配置や会議室の選定などの面接環境を整える場の設計スキルは、応募者に好印象を与え、面接の質を高めるために重要です。面接の環境によって、応募者の心理状態やパフォーマンスに影響を与えるためです。
居心地の良い環境を整えると、応募者は緊張を和らげ、リラックスして話せます。一方で、不適切な座席配置や閉鎖感のある部屋は、応募者に不安や不快感を与える可能性があり、面接官とのコミュニケーションがスムーズに進まなくなるリスクがあります。
例えば、面接会場は静かで落ち着いた空間であったり、窓のある開放的な場所の方が、リラックスしやすいです。よりリラックスした雰囲気で実施したい場合は、面接時に面接官と応募者が向かい合いすぎないよう、L字型に座席を配置することで緊張感が和らぎます。
場の設計に配慮することで、応募者が緊張しすぎず、ありのままの自分で答えてくれやすくなります。
前提をいかに丁寧に扱うかによって、採用活動の成否を分けるため、面接前の準備に必要なこれら4つのスキルは、採用担当者としては押さえておきたい基本スキルです。
しかし、今までご相談いただいた企業様の状況を見ていると、言葉の定義やモノサシを明確にできている企業は非常に少ないです。
自社内だけで明確にすることに難しさを感じる場合は、外部パートナーを入れて前提を明確にするところから始めることをおすすめします。そうすることで、面接官研修で高めたスキルも発揮されやすくなります。
アーティエンスでは、言葉の定義やモノサシの明確化の部分からご一緒に考えていきますので、お気軽にご相談ください。
面接中:【人物の見極め】に必要な3つのスキル
面接中の人物の見極めにおいて面接官に必要なスキルは主に次の3つです。
・観察力
・質問力
・バイアスの排除
これら3つのスキルがあると、応募者の本質的な特性を見られるようになります。
スキルごとに説明します。
観察力
面接中に応募者を正確に見極めるためには、言葉だけでなく非言語的なサインを読み取る観察力が重要です。表情、態度、ボディランゲージなど、言葉に表れない情報からも、応募者の本音や性格、適性を把握できるためです。
応募者は面接中、緊張や自分を良く見せたい意識から、言葉に意識を向けがちです。しかし、非言語的なサインは無意識に出やすく、その人の本質や感情がより反映されます。
例えば、応募者が自分の強みを語っているときに視線を外したり、声が小さくなる場合、実際にはその内容に自信がないことを示している可能性があります。逆に、前のめりになって話す場合、情熱や意欲があることが伝わります。
また、笑顔や適度なアイコンタクトは、応募者が伝えたいことを一方的に伝えるのではなく、相手に伝える意識を持って話そうとしているとしているサインです。
応募者の非言語的なサインを読み取る観察力は、面接で言葉だけでは判断しにくい要素を補い、正確な人物理解を促します。
質問力
面接中に応募者の本質や深層的な特性を引き出すためには、質問力が不可欠です。適切な質問を通じて、応募者の価値観や考え方、過去の経験に基づく行動パターンを探り、その人の本質を明らかにするためです。
応募者の表面的な回答だけではなく、深層的な部分に迫ることで、その人の動機、問題解決能力、適応力などが見えてきます。このときに、面接前で準備していた見立てに基づいて質問していくと、知りたいことが明確になっていきます。
例えば、「チームリーダーを務め、売上を〇〇%向上させた」と記載していた場合、次のような質問から始めると、深掘りしやすいです。
「どのような状態から売上向上に至ったのか、また、その際にどのようなことを意識して取り組んでいたのか教えてもらえますか」
「チームとして成果を高めたとのことでしたが、そのときのメンバーはどのような方々で、その方々をどのようにしてチームとしてまとめましたか」
「そのときに何かトラブルは起きましたか?その原因は何で、どのように対処しましたか?」
特にコンピテンシー面接では、(過去の)行動を深掘りしていきます。「どのような場面で、どのような行動を取れたのか」をベースとして質問することで、応募者の方が持っていそうな「能力」や「スタンス」を見極めます。
質問力を高めることで、応募者の本質を引き出し、表面的な印象にとどまらない深層的な特性を見極められるため、とても重要なスキルです。
バイアスの排除
面接中の人物の見極めにおいて、バイアスの排除も重要なスキルです。人間は無意識のうちにバイアスを持ってしまうものですが、面接ではこれを最小限に抑えることが求められます。面接官が無意識の偏見を持たずに応募者を評価することで、公平な判断が可能になるためです。
応募者の外見、性別、年齢、出身校などに基づくバイアスは、実際の能力や適性とは無関係に評価を歪めてしまいます。
例えば、特定の大学や企業に在籍していた人物に良い印象を持っていると、その応募者への評価が過度に高くなることがあります。他にも、前職で営業1位だった経験について、男性であればすごいという評価になり、女性であれば、すごいけど気が強そうだなと感じることもバイアスによるものです。
バイアスを排除するためには、自分が無意識で持っているバイアスに気づくことが必要ですが、無意識に気づくことはとても難しいです。そのため、バイアスを面接官研修で扱ったり、アンコンシャスバイアス・トレーニングを行う研修に参加することもおすすめです。
バイアスを排除するスキルを高めることで、組織にとって最適な人材を見極められ、採用の質を向上させることにつながります。
面接中:【自社への動機づけ】に必要な2つのスキル
面接中の自社への動機づけにおいて面接官に必要なスキルは主に次の2つです。
・プレゼンテーションスキル
・ニーズ理解力
これら2つのスキルがあると、自社により興味を持ち、入社意欲を促せるようになります。
面接は企業が応募者を評価する場であるだけでなく、企業の魅力を応募者に伝える場でもあります。特に優秀な応募者は、複数の企業からオファーを受ける可能性が高いため、面接官が自社の強みや働きやすさ、成長機会などを魅力的に伝えられることが重要です。
スキルごとに説明します。
プレゼンテーションスキル
面接中に自社への動機づけを促すためには、企業の魅力やビジョン、福利厚生を魅力的に伝えるプレゼンテーションスキルが必要です。
応募者が自社に関心を持ち、働きたいと思うかどうかは、面接官がいかに会社の魅力を伝えられるかにも影響します。
具体的には次のことを想いを込めて伝えましょう。
・自社が目指すこと
・一緒に働く際にどのような仕事をしてもらいたいか/どのような期待をしているか
・あなた(応募者)の仕事によって会社や周囲にどのような影響を与えてほしいか
・あなた(応募者)の成長を促すために組織としてどのようなサポートをするか など
これらプレゼンテーションすることで、応募者は入社後の働きがいや成長可能性を感じ、興味を持ちやすくなります。
このときに、ストーリーテリングの手法を使うとより応募者の方に伝わりやすく、記憶にも残りやすくなります。
【参考】ストーリーテリングとは
ストーリーテリングとは、自社の想いをオープンに、かつ、人間味を持ってストーリーとして伝える方法です。抽象的な単語や情報を羅列するよりも、相手の記憶に残りやすく、得られる理解や共感が深くなります。
スタンフォード大学 Jennifer Aaker教授によると、ストーリーで話す方法と論理的・数値的に話を伝える方法とでは、人の記憶の残りやすさに最大22倍差が生じるとの研究結果もあります。
自社が目指すところや、想いを伝え、それに共感してくれる人が入社してくれると、入社後もモチベーション高く働いてくれることを期待できます。
ニーズ理解力
面接中に応募者の入社意欲を高めるためには、応募者のニーズを理解し、ニーズに適した自社説明を行うスキルも必要です。
応募者はそれぞれ異なる背景や価値観を持っているため、相手のニーズや関心を理解し、それに応じたアピールを行うことで、自社が応募者にとって魅力的な選択肢であることを効果的に伝えられます。
例えば、応募者がワークライフバランスを重視していることを把握したら、フレックスタイム制度やリモートワークの柔軟性を強調するなどです。
他にも、応募者が上昇思考が高い方だと感じらた、ロールモデルとなる方がどのようなキャリアを描いていったかを説明し、その道があることを説明することも一つの方法です。
応募者のニーズに合わせて自社の特徴をアピールすることで、自社への入社動機を高められます。
ただ、このときにキラキラしている面だけ伝えるのはやめましょう。面接で良い面ばかりを強調すると、入社後に「思っていたのと違う」と感じ、早期離職につながる可能性が高くなるためです。仮に退職しなかったとしても、モチベーションやエンゲージメントが低く、育成に苦労することが予測されます。
仕事には楽しい面もあれば、大変なこともあります。応募者が具体的なイメージをできるように、抽象度の高い言葉を避け、具体的なエピソードや状況を使って、応募者が現実的な職場のイメージを持てるように伝えることを心がけましょう。
面接後:【評価票記入】に必要な3つのスキル
面接後の評価票記入において面接官に必要なスキルは主に次の3つです。
・客観的な評価力
・記録力
・言語化能力
これら3つのスキルがあると、評価軸がブレずに、組織が希望する人材を選出できるようになります。
スキルごとに説明します。
客観的な評価力
面接後の評価票記入では、客観的な評価力が重要です。個人的な感情や先入観に左右されてしまうと、応募者を公平に評価できなくなります。
例えば、応募者が自分と似た価値観を持っている場合、面接官は好意的な評価をしがちです。しかし、客観的な評価力を持っていれば、応募者のスキルや経験を事実に基づいて評価し、個人的な好みとは関係なく公平な判断を下せます。
客観的な評価力を身につけることで、面接後の評価票記入において公平な判断ができ、組織が求める最適な人材を正しく見極められるようになります。
記録力
面接後の評価票記入には、面接中に得た情報や応募者の発言を正確にメモし、後から振り返れるようにする記録スキルも重要です。
面接官以外の人も含めて評価をする際に、判断材料となるものが面接官のメモだけとなります。適切な記録が残っていないと、情報共有が難しく、正確な評価が難しくなるため、面接で得た情報を正確に記録しておく力も必要です。
面接官の他に記録係を設けられると良いですが、難しい場合が多いでしょう。面接感が面接をしながらメモをとる必要がある際は、面接の始めに面接官から「メモしながらお話しさせてください」などの断りを入れて、適切にメモできる環境を作りましょう。
また、メモをとる時のコツとして自分なりの略語(「プロジェクト」を「PJ」と記載するなど)を用意して、できるだけ簡略化すると速記しやすくなります。
必要な情報の記録がないと後で振り返ったときに重要な情報が抜け落ちるリスクがあり、評価に偏りが生じてしまう可能性があるため注意しましょう。
言語化能力
面接後の評価票記入において、抽象的な言葉ではなく具体的に伝える言語化能力も必要です。抽象的な言葉は、人によって解釈が異なるためです。
面接前に必要なスキルとしてもお伝えしたように、例えば、「コミュニケーション能力が高い」に対して、「笑顔でテンポよく話せる人」と解釈する人もいれば「わかりやすい説明ができる人」と解釈する人もいます。このように解釈にズレがあると、適切な評価ができません。
そのため「積極的だ」と感じた際は、単に「積極的」と記載するのではなく、「プロジェクトのリーダーを自ら志願し、具体的なアイデアを複数提案していた」と具体的な行動に言語化することで、誰が見ても理解できる評価になります。
抽象的な言葉を具体的に言語化することで、他の面接官や採用関係者と評価を共有しやすくなり、一貫した判断ができるようになります。
面接後:【次の選考官への申し送り】に必要なスキル
面接後の次の選考官への申し送りにおいて面接官に必要なスキルは主に、適切な情報共有力です。できるだけ簡潔に、わかりやすく、相違なく情報共有できることが必要です。
このスキルがあると、前回の面接を次回にうまく繋げられるため、自社が希望する人材を確保するための質が高まります。
例えば、「細かいことに気づいて質を高めることが得意」と履歴書や職務経歴書に記載してあった場合は、そのの具体的なエピソードを記載しておくと、理解しやすいです。
他にも、「時間の都合上マネジメント力確認できなかったため、確認をお願いします」などと伝えることも必要でしょう。
面接は段階を踏む中で、応募者の理解を深めて見極めてる必要があるため、次回の面接に活かせるようにすることを意識しましょう。
面接官が研修で学ぶべき16のスキルをお伝えしました。面接に課題を感じている際は、強化すべき部分を見つけ、できることから行いましょう。
3)面接官研修によって希望する人材を獲得できるようになった事例
面接官研修を実施したことで希望する人材を獲得できるようになった事例を紹介します。
企業様の情報
⚫︎業種:製造業
⚫︎従業員数:300名ほど
研修概要
⚫︎研修内容:自社の評価基準を用いた面接官トレーニング(初級編・中級編)
⚫︎研修対象者:現場マネージャー〜経営陣まで、面接官を担当する方全員
⚫︎研修以外のサポート:採用コンセプト立案、ハイパフォーマー分析、評価基準策定
⚫︎研修実施前の状況・課題感:
面接が我流で行われており、同じ基準で応募者をジャッジできていない
⚫︎研修実施後の状況:
「面接前準備→場作り→人物の見極め→自社への動機づけ→評価票記入→次の選考官への申し送り」これらの流れを、一つ一つ意図を持ちながら進められるようになった。さらに、面接官が複数人いても、同じレベルで出来るようになったことで、人物評価のブレも軽減。
また、各面接官の間で、応募者に発信する採用メッセージに一貫性が生まれたことにより、応募者から企業への信頼感が生まれることにも繋がった。
こちらの企業様は、「面接官が我流でジャッジしてしまっており、十分に見極めきれているのかわからない」状態に課題を感じていました。
そこで、まずは採用における評価基準の明確化から始めました。
採用においては、どの面接官が対応しても同じ基準で評価できることが大切です。その為、「自社としてはどのような人物を必要としているのか」「職種別にはどうか」「その要件が必要なのは何故なのか」などを明確にし、またハイパフォーマーの特徴を分析した上で、採用したい人物像を言語化していきました。
この時に特に気をつけたことが、誰が読んでも認識に齟齬が生まれないレベルまで言語化した評価基準を設定することです。
その上で、四段階ほどに分けて評価基準(モノサシ)を評価票に落とし込んでいきました。
次に、組織が求める人材を面接の場で的確に判断できるようにするため、面接官研修を実施しました。研修では、面接前準備から場作り、応募者の人物評価、自社への動機づけ、評価票の記入、次の選考官への申し送りまで、各プロセスを意図的に進めるスキルを学んでいただきました。特に、面接は限られた時間で複数の評価項目を判断していく必要がある為、必要な情報の引き出し方や注意点なども、ロールプレイングも取り入れながら実践的に学んだいただきました。
その結果、面接のプロセス一つ一つに意図を持ちながら進められるようになり、各プロセスでの面接の質が高まりました。「応募者の性格や特性の解像度が上がり、短時間の面接でも的確な判断ができるようになった」との声をいただきました。
さらに、面接官が複数人いる場合でも、同じレベルで面接を出来るようになったことで、人物評価のブレも軽減されました。
結果的に、組織が求める人材を確実に採用できるようになり、採用された社員の成長に期待を寄せている状態になっているようでした。
また、入社後GAPからの早期離職も予防するため、自社の魅力だけではなく、伝え方に気を付ける必要がある情報なども洗い出して整理し、全面接官と認識をすり合わせるところまでサポートいたしました。
このように、面接における評価基準の明確化・面接官研修・目線合わせを丁寧に実施することで、面接官の面接スキルが高まり、自組織が希望する人材を確保できるようになります。その結果、自組織の成長も期待できるようになります。
4)まとめ|面接官のスキルを高めてより良い人材を確保しましょう
本コラムでは面接官が研修で学ぶべきスキルを16個紹介し、実際に研修を活用して理想の人材を採用できるようになった事例をお伝えしました。
アーティエンスでは、面接の質を高めるための面接官研修の実施や、評価基準の明確化からのご支援をしています。面接や採用のお困りことがありましたらぜひ一度ご相談ください。
ご一緒に組織の課題や目的にあった解決策を考え、より良くするためにサポートいたします。
面接官研修を通じて面接スキルを高め、組織の成長を期待できる素晴らしい人材を採用できるようにしましょう。