具体的な経営会議のアジェンダ例|質を高める作成ポイントと活用方法

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「現在の経営会議がうまく機能していない…」
「新たに経営会議の主導を任され、どのようにアジェンダを作成すれば良いかわからない…」

経営会議は会社の方向性を決める重要な場ですが、質の低さに悩む経営者が多いのも事実です。

その一因として、適切なアジェンダが用意されていないことが挙げられます。適切なアジェンダがあれば、会議の進行がスムーズになり、議論が散漫になることを防げるためです。

そこで本コラムでは、具体的な経営会議のアジェンダ例を紹介し、会議の質を高めるためのアジェンダ作成のポイントをお伝えします。さらに、経営会議でよく起きる課題をアジェンダを活かして解決する方法も詳しく解説します。

経営会議のアジェンダの質を高め、会議の質の向上を促しましょう。

1)経営会議のアジェンダの例

経営会議のアジェンダ例を2つ紹介します。

会議の目的 より市場にインパクトを与え、自組織の成長を促す
会議の目標 ○○年度の戦略策定を行うための役割分担を行う
参加者 〇〇さん、△△さん、…… 計8名
アジェンダ

1.目的、目標、アジェンダの確認 (2分):木村
2.チェックイン(10分):木村
3.今期の振り返りと、着地予測 (30分):田中
 3-1.経営理念と戦略の再確認
 3-2.財務(BS・PL・CF)の確認
 3-3.マーケティング部報告
 3-4.営業部部報告
 3-5.開発部報告
4.来期の戦略考察のための役割分担 (40分):橋本
 4-1.経営理念の再確認と、現在抱える課題の把握(課題設定)
 4-2.経営理念の実現と課題設定からの役割分担
 4-3.各役割分担におけるTO DOの確認
5.TO DOの確認(5分):木村
6.次回の会議の日程、時間、場所の確認(1分):木村
7.チェックアウト(7分)

決定事項
  •  

TO DO
  • ーーー(担当〇〇、6/7まで) 
    ーーー(担当〇〇、6/14まで) 
    ーーー(担当〇〇、6/8まで)
    ーーー(担当〇〇、6/7まで)

会議の目的 情報共有を丁寧に行うことで、共創・協働を行う場が活性化する
会議の目標 各自、相談ができ、ネクストアクション(考察ポイント)などが明確になること
参加者 〇〇さん、△△さん、…… 計8名
アジェンダ

1.チェックイン
2.年間スケジュール確認
3.戦略の確認と、今後の相談
4.売上報告(営業)
5.マーケティング
6.納品
7.開発
8.コーポレート
9.to do 確認
10.チェックアウト : 気づきと発見の共有​​​​​​

決定事項  
TO DO
  • ーーー(担当〇〇、mm/ddまで)
    ーーー(担当〇〇、mm/ddまで)
    ーーー(担当〇〇、mm/ddまで)
    ーーー(担当〇〇、mm/ddまで)

【参考】チェックイン・チェックアウトとは

チェックインとは、会議におけるアイスブレイクの一つで、会議で参加者の緊張を和らげ、その後のコミュニケーションを円滑にしたり議論を活性化させたりする効果があります。

チェックアウトは、会議の終わりに今感じていることや今後について参加者全員が発言をすることで、会議が締まるだけでなく、改めて、今日決まったこと、課題の理解が深まるなどの効果があります。
具体的な実施方法については「『例文』付きで今すぐできる!会議での効果的なチェックイン・チェックアウトの進め方」のコラムをご覧ください。

2)経営会議のアジェンダを作成するための4つのポイント

経営会議のアジェンダを作成する際のポイントは次の4つです。

・目的・目標の文言を明確でパワフルにする
・会議で扱う内容の順番を丁寧に扱う
・会議で扱う内容を具体的にする
・時間配分に余裕を持つ

これらがクリアできていると、経営会議の効率と生産性を高める会議を実施できます。
4つのポイントについて具体的に説明します。

目的・目標の文言をパワフルにする

経営会議のアジェンダを作成する際は、目的・目標の文言をパワフルにするように意識しましょう。目的・目標をパワフルすることによって、参加者のコミットが上がり、会議のアウトプットの質が高まります。

例えば、以下2例の目的・目標では、どちらの方が会議の質が高まりそうでしょうか。
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A. 
・目的:次世代製品ラインの市場投入について
・目標:市場データと競争分析を共有し、今後の戦略について議論する
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B. 
・目的:よりユーザーが望む次世代製品ラインの市場投入戦略を確定し、2025年までに市場シェアを20%増加させるための具体的なアクションプランを策定する。
・目標:最新の市場データと競争分析に基づいて、ターゲット市場の選定、マーケティング戦略の立案、製品開発の優先順位を全員で共有し、各自高いコミットで臨む
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Bの方がパワフルで、その目的・目標に向かって歩みを進めたくなるのではないかと思います。

パワフルにするためには、具体性と明確さを意識すると良いです。
数量や納期などについては数字を入れ、内容を絞ることで、会議の方向性がわかりやすくなります。

このように、経営会議の目的・目標の文言をパワフルにすることを意識し、参加者の意識を高め、同じ方向を目指せるようにすることが大切です

会議で扱う内容の順番を丁寧に扱う

会議で扱う内容の順番も重要です。適切な順序で議題を進めることで、議論が行き来することなく、一貫性のある流れで進められます。

例えば、1章の①の例では、次の流れになっています。 

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3-1.経営理念と戦略、3-2.財務(BS・PL・CF)の再確認
  ↓
3.3~3-5.各部署からの今期の報告
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この流れで実施することで、目指すべきところを意識した上で、現状を知ることができます。
ギャップを埋めるためにすべきことも見えやすくなります。
結果、4.の「来期の戦略考察のための役割分担」の内容を議論しやすいです。

もしも、逆の流れであれば、目指すべきところを意識しないまま今期の報告をすることになります。
どのような対策が必要かを考えづらく、アジェンダ項目4の「来期の戦略考察のための役割分担」の内容の議論がスムーズではなくなります。

同じ内容を同じ時間で実施しても、会議で扱う順番が適切でないと、会議がスムーズに進みづらくなってしまいます

そうならないようにするためにも、会議の目標を達成するために、どのような流れで行うのが適切かを計算してアジェンダを作成するようにしましょう。

会議で扱う内容を具体的にする

経営会議のアジェンダでは会議で扱う内容を具体的にすることも、意識すべきポイントです。具体的な議題を設定することで、参加者は何を議論すべきか、何を達成すべきかを明確に理解できます。
また、具体的な内容を事前に理解しておくことで、参加者は必要なデータや資料を準備しやすくなります。会議の前に各参加者が準備をしていると、意見の質が上がり、効率や生産性が高まりやすいです。

例えば、1章の①の例では、「今期の振り返りと、着地予測」「来期の戦略考察のための役割分担」という大枠だけでなく、さらに具体的に行うことを記載しています。

大枠だけでは、どのような話をするのかが想像しきれず、準備や心構えが行えません。

そのためこのように、会議で扱う内容を具体的にすることで、会議の参加者は準備や心構えをおこなるため、会議の質の向上に繋がります

時間配分に余裕を持つ

経営会議のアジェンダを作成する際は、時間配分にバッファを設けておくことも意識しましょう。時間に余裕があると、議論に十分な時間を設けることができ、アウトプットの質や納得感の高い意思決定を行えます。また、予期せぬ議題や意外な展開にも柔軟に対応できます。

一方、時間に余裕がないと、アウトプットを出すことが最優先され、深く考えずに意思決定されてしまいやすいです。

そのため、各議題について必ずバッファを設けるようにしましょう。会議の内容にもよりますが、予定より10~20%程度のバッファをみておくと良いです。

これら4つのポイントを意識してアジェンダを作成することで、経営会議の効率と生産性が高まります。

3)経営会議でよく起きる課題をアジェンダで解決していく方法

経営会議でよく起きる課題に対するアジェンダでの解決方法についてお伝えします。

経営会議でよく起きる課題 アジェンダでの解決方法
会議の目標を達成できない アジェンダを具体的に記載して、目標達成が可能かを判断する
一部のメンバーによる発言の独占 ・会議のルールを設ける
・発言以外の方法で意見を出してもらう
全体最適にならない 目的の確認の時間を設ける時間をアジェンダに組み込んでおく
実現可能性が低い 意思決定したことの要件定義やスケジューリングの時間を設ける
優先順位が明確でない 組織全体のプロジェクトを俯瞰してすべきことを整理する時間を設ける

会議の目標を達成できない

会議の目標を達成できない場合は、アジェンダの段階で会議の目標設定が大きくなり過ぎている可能性があります。

アジェンダを細かく記載しておらず、時間配分が適切でなくなってしまっている可能性があるため、アジェンダを具体的に記載して、目標達成が可能かを判断しましょう

会議で何について扱うかを具体的にし、時間を割り当てていくと、会議の時間を大幅に超えてしまうケースも出てくる可能性があります。

その場合は、会議の時間を変えるか、会議の時間に合わせて内容を削ぎ落とす必要があります。

会議の目標があまりにも現実不可能な内容になっていると、「どうせ無理だ」と目標を達成しようとする意欲が弱くなり、会議の質の低下に繋がります。
会議の目標は、「達成できる!」「達成したい!」と思える内容であることが必要です。

そのためにも、具体的な議題と時間を明確にした上で、あらためて会議の目標を見直し、会議の時間内に達成可能な内容になっているかを確認して、会議の参加者が同じ目標に向かって歩めるようにしましょう。

一部のメンバーによる発言の独占

経営会議の中で一部のメンバーによる発言の独占が起きる場合があります。社長など高い役職の参加者や、自己主張の強いメンバーがいる場合、このような課題が起きやすいです。
このような場合は、皆が発言する機会を持てるように、次の方法で対策しましょう。

・会議のルールを設ける
・発言以外の方法で意見を出してもらう

会議のルールを設ける

会議のルールとして、「1人の人が話し過ぎないようにする」というルールを設けておくと、ルールに則って注意をしやすくなります。

ルールは会議のはじめ、チェックインの前に説明する時間をあらかじめアジェンダに記載しておき、参加者に理解をしてもらった上で進める状態を作りましょう。

なお、ルールを設ける際は、「ルールがなぜ大切か」を伝えることがとても重要です。ルールが大切なものだという認知になると、自然とルールが守られるようになるためです。会議の場にファシリテーターがいる場合は、ファシリテーターからルールについて丁寧に説明するようにしましょう。

【参考コラム】
プロファシリテーターが伝授!失敗しないグランドルールの作り方と扱い方

発言以外の方法で意見を出してもらう

発言するとなると、役職の高い人に遠慮してしまい、素直な意見を出すことが難しいと感じる人がいます。そのような場合は、発言以外の方法で意見を出してもらうようにしましょう

例えば、付箋に書いて提出する、という方法で意見出しを行えます。付箋を活用する場合は、会議の準備段階で会議の参加者に付箋を配布し、アジェンダに内省、記載、付箋の貼り出し、内容の確認の時間を設けておきます。

このように意見出しの方法を工夫することで、一部メンバーしか発言しない、という課題を解消できます。

これら2つの方法を実施する際は、その分の時間確保が必要なため、あらかじめアジェンダ内に実施の時間を設けておくようにしましょう。

全体最適にならない

経営会議が全体最適ではなく、個人や部署間での最適を探そうとしている場合もあります。

この場合は、本来の目的が見えなくなってしまっている可能性があるため、目的の確認の時間を設ける時間をアジェンダに組み込んでおくようにしましょう。

会議の初めに組織のビジョンや目標を再確認しておくと、最終目的を意識しやすくなります。

それでも出てくる意見が部分最適になっているように感じた場合は「そのことによって、最終的な目的はクリアできそうですか?」というような問いをファシリテーターから出しても良いでしょう。

このような問いを出されると、全体最適を意識できていなかったことに気づき、意見の質が変わってきます。

【参考】全体最適を促すために理解しておきたい状況把握

全体最適になる良い解決策を考えるためには、現在の状況を客観的に把握しておくことが大切です。特に対立関係が起きている場合は、段階に応じて保留・分配・交換・創造というアプローチを行います。

【段階ごとのアプローチ方法】
●創造の段階
創造的アプローチを行います。対立要因そのものをなくすことを目指せます。

●交換
満足的解消ができます。お互いが満足できる内容を考察しましょう。

●分配
痛み分けの段階です。お互いが納得できる着地地点を探しましょう。

●保留
先送りをした方が良い段階です。保留することで解決される場合もあります。

このように対立関係を言語化したり可視化してどの段階にいるのかを知ることで、適切な対応を行いやすくなります。時には、自身がloseだと思っていても、相手からするとwinととらえている場合もあります。
現在の状況を明確にし、適切な話し合いをできるようにすることが必要です。

意思決定したことの実現可能性が見えない

経営会議で意思決定したものの、その実現可能性が見えていない、という状況になっている場合があります。これは、会議で具体的な進め方やすべきことが明確になっていないことが原因です。

そのため、会議のアジェンダを作成する際に、意思決定したことの要件定義やスケジューリングの時間を設けるようにしましょう。

意思決定したことに対して5W2Hを明確にできるようにすると、実現する方法が見えてきます。

意思決定を行う会議では、アジェンダを作成する時点で、具体的なアクションを決める時間を設けておくことで、その後の仕事がスムーズに進みます。

優先順位が明確でない

経営会議でやることがたくさん出てきたものの、優先順位が明確でないために、会議後に実施が進んでいかなかったり、仕事量が増えて社員が疲弊してしまうケースもあります。

このような状態になってしまうと意思決定したことが実行できず、意味のない会議となってしまいます。

そのため、組織全体のプロジェクトを俯瞰してすべきことを整理する時間を設ける必要があります。

組織全体のプロジェクトを俯瞰し、組織が掲げている目的を達成するために効果的な優先順位を検討します。この時間を設けることで、限られたリソースを効果的に活用するために、重要なプロジェクトやタスクを特定し適切に割り当てることが可能です。

意思決定を行う経営会議で、いくつかの候補が出てくることが予想される場合は、あらかじめアジェンダの中に優先順位を明確にする時間を設けておくことで、会議後に実行されやすくなります。

このように経営会議でよく起きる課題に対して、アジェンダによって解決できる部分もあります。この内容を参考に、自組織でよく起きる課題がある場合は、アジェンダを作成する時点で対応できないか検討してから会議を実施することで、会議の質が高まります。

4)アジェンダを活用した、効果的で生産性が高まる経営会議の流れ

アジェンダを活用した、効果的で生産性が高まる経営会議の流れをお伝えします。

経営会議  前日まで アジェンダと事前資料を共有
経営会議 30分前 会議室の環境準備
備品準備
経営会議中 アジェンダに則って会議を進行
経営会議後 会議を振り返り、次回に活用

経営会議  前日まで:アジェンダと事前資料を共有

経営会議の前日(可能な限り)までにはアジェンダと事前資料を共有しておきましょう。事前に会議の内容を確認し、会議に必要な資料を読み込む時間を設けることで、会議に向けた準備を行えます

参加者の中にはアジェンダを確認して、メンバーからの情報収集をしたり、参考資料を集めることが必要な場合もあります。そのような準備をできないと、会議で共有できる内容が浅くなり、アウトプットの質の低下に影響します。

そのようなことが無いように、経営会議の前にアジェンダや参考資料は共有しておきましょう。

経営会議 30分前:会議室の環境準備

経営会議 30分前程度になったら会議室の環境準備をします。会議室の環境が会議の質に影響するためです。

環境の準備というのは、例えば、レイアウトの設置やスクリーンの用意、室温調整などです。

このような準備が整っていないと、会議の時間を侵食してしまい、アジェンダ通りに会議を進めることが難しくなります
参加者がただ待つだけの時間が無いように、会議室の環境準備は事前に行いましょう。

なお、環境の準備を行う人によって、次のような効果があります。

・ファシリテーターが行う場合      :ファシリテーター自身の精神統一の時間にする
・経営者全員が行う場合         :チームとしての一体感を促す
・事務職メンバーや若手社員などで行う場合:時間短縮を図る

この効果も意識し、必要に応じて使い分けましょう。

【参考】レイアウトについて

レイアウトは下記の図のように多くの種類があります。会議の内容に適切なレイアウトを選択しましょう。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

お薦めの場面 場によって生まれる状況 注意点
スクール形式 講義・講演など かしこまった雰囲気を作れ、話を聞く・勉強するという文脈になりやすい 「先生・生徒」や「講演者・聴講者」という分断が生まれ、上下の関係が生まれる
コの字形式 プレゼン・上程会議など プレゼンターの話を評価判断するという文脈になりやすい 評価する人・評価される人という分断が生まれ、共創・協働は起きにくい
島形式 会議・研修(一つの島で少人数)など 議論・対話を行いやすい場を創ることで、アウトプットを出すという文脈になりやすい 島の中で人と人の距離がある場合は分断が生まれ、共創・協働が起きにくい
シアター形式 ワークショップ・講演など 人との距離感が近いのでやわらかい雰囲気になり、リラックスして話を聞くという文脈になりやすい ・人との距離が近すぎるときは、嫌悪感を持つ人も出てくることがある
・メモを取る場合、クリップボードなどを用意する
バズ形式 ワークショップ・会議など 人との距離感が近いのでやわらかい雰囲気になり、リラックスして対話するという文脈になりやすい ・人との距離が近すぎるときは、嫌悪感を持つ人も出てくることがある
・メモを取る場合、クリップボードなどを用意する
・スクリーンを見る際は、スピーカーからのアナウンスが必要になる
・対話を促すために、経験豊富なファシリテーターが必要になる
サークル形式 ワークショップ・会議など 人との距離感が近いのでやわらかい雰囲気になり、リラックスして対話するという文脈になりやすい ・人との距離が近すぎるときは、嫌悪感を持つ人も出てくることがある
・メモを取る場合、クリップボードなどを用意する
・スクリーンを見る際は、スピーカーからのアナウンスが必要になる
・対話を促すために、経験豊富なファシリテーターが必要になる

経営会議 30分前:備品準備

経営会議 30分前あたりで、備品の準備も行いましょう。会議が始まってから備品を取りに行くとなると、その時間が無駄になるためです。

備品は会議の内容によって変わりますが、備品の例を参考までに紹介します。

※ 当社、ファシリテーション研修のテキストより一部抜粋

会議の目的によって必要な備品をリスト化し、当日の準備がスムーズに行えるようにしておきましょう。何枚使うか予想できない用紙や付箋などの備品は少し多めに用意しておくと安心です。

経営会議中:アジェンダに則って会議を進行

経営会議が始まったら、アジェンダに則って会議を進行していきます。良いアウトプットと、参加者のコミットを促し、場の質を高めることを意識します

良いアウトプットと、参加者のコミットを促す方法は、「無駄を排除し効率的な会議を実現|今すぐできる!無駄な会議が変わる施策11選」のコラムをご覧ください。

【参考】アジェンダ通りに進まない場合の対応方法

アジェンダ通りに進まない場合は、ファシリテーターが勝手に判断するのではなく、参加者に対して問いを投げて、参加者の思いを汲み取ることを意識しましょう。

意見が出ない場合

意見が出ない場合は、現状を確認することから始めます。例えば「しばらく沈黙が続いていますが、今後の進め方を一緒に考えてたいので今の皆さんの状況を教えていただけますか。」などです。その反応を見て、今後の進め方を決めていきます。

なお、意見が出ない場合に使える方法を3つ紹介します。

1、考えるポイントを明確にする
考えるポイントがわからずに意見を考えられない状態の可能性がある場合に効果的です。
例:「〇〇についてクライアントの視点からどう見えるかを考えてみましょう」

2、付箋を使う
発言することに緊張感や怖さを感じている場合に効果的です。付箋を使って意見を出してもらう際は、内省の時間を少し設けて、参加者が言語化する時間を作りましょう。

3、バトンを回す
誰も口を開こうとしない場合は、ファシリテーターからバトンを回していく方法もあります。マジックペンをバトン代わりにして、バトンが回ってきた人が発言するようにします。注意点としては「指名」という言葉を使わないことです。指名という言葉を伝えると、受け身になってしまいます。そのため「次に意見を聞きたい人にバトンを回してください」というように伝えましょう。

議論が脱線する場合

脱線すること自体が悪いわけではありません。ただ、会議の目的とズレてしまうと目的を達成できなくなってしまうため、議論すべきテーマを確認しましょう。例えば、次のように尋ねてみるなどです。
「〇〇についての議論から少し脱線しているように感じますが、◇◇という会議の目標を達成するために、このまま△△について扱ってもいいですし、〇〇の話に戻してもいいですし、どのように進めていきたいですか」

意見が対立した場合

対立構造を視覚化し、現状を整理していくことで、場が動きやすくなります。お互いの想いを汲み取り、統合できるポイントを探していきます。
可視化の方法は「ファシリテーションを支える6つのフレームワークを知ろう│注意点にも言及」のコラムをご覧ください。

時間をオーバーしている場合

時間をオーバーしていることを伝えて、どのように進めるかを確認しましょう。例えば、「予定の時間をオーバーしていますが、このまま〇〇について扱い、△△については次の会議で扱うようにしますか?」ということを伝えるなどです。

時間があまりそうな場合

時間が余ることを伝えて、深めたいことや他に議論したいことがないか確認しましょう。例えば、「○分時間が余っていますが、伝え忘れたことや、他に議論したいことはありますか。(しばらく待つ)ないようでしたら少し早めですが会議を終わりにしますか。」と伝えるなどです。

経営会議後:会議を振り返り、次回に活用

経営会議が終了したら、次回の会議をより良くするための振り返りを行います。質の高い経営会議を行えるようになっていくことで、成果の質も高まるためです。

振り返りを行う際は、できなかったことやよくなかったことに意識が向きやすいですが、できたことや良かったことにも自覚的になることが必要です。次回以降もポジティブな影響を与えられるようにするためです。

振り返りのおすすめの方法はKPTです。KEEP(続けるもの)、PROBLEM(改善するもの)、TRY(次回チャレンジするもの)をものに振り返ることで、次回の会議をより良いものにしていけます。

なお、経営会議後のフォローとしてバトンメール®を実施することもおすすめです。バトンメール®は、アーティエンスが開発した、会議後や研修後のフォローツールです。

参加者4~5名のグループになり、1週間に1回、会議で決めたことについて実践してみた経験や、難しさを感じていることなどを書いて、次の人に回していきます。実施方法はメールではなく、チャットなどでも大丈夫です。

※ 当社資料より一部抜粋

会議後に参加者と一緒にバトンメール®を行うと、会議での意思決定を度々思い出すため、会議で決まったことが実施されないということを防ぎ、会議の熱量を維持しやすいです。また、会議後の行動変容・認知変容を、会議の参加者同士で促すこともできます。それが現場での実行力や次の会議にも繋がります。

このような流れで経営会議を進めることで、アジェンダを効果的に活かせるため、より会議の質が高まります。経営会議の効率と生産性を高めるためにも、この流れを参考にしてみていただけたらと思います。

5)まとめ|質の良い経営会議をするためには、質の高いアジェンダとファシリテーション力が必要

本コラムでは、経営会議で使用できるアジェンダについてお伝えしました。

経営会議のアジェンダを作成する際のポイントは次の4つです。

・目的・目標の文言を明確でパワフルにする
・会議で扱う内容の順番を丁寧に扱う
・会議で扱う内容を具体的にする
・時間配分に余裕を持つ

これらがクリアできていると、経営会議の効率と生産性を高める会議を実施できます。

経営会議でよく起きる課題に対して、アジェンダで解決することもできます。

経営会議でよく起きる課題 アジェンダでの解決方法
会議の目標を達成できない アジェンダを具体的に記載して、目標達成が可能かを判断する
一部のメンバーによる発言の独占 ・会議のルールを設ける
・発言以外の方法で意見を出してもらう
全体最適にならない 目的の確認の時間を設ける時間をアジェンダに組み込んでおく
実現可能性が低い 意思決定したことの要件定義やスケジューリングの時間を設ける
優先順位が明確でない 組織全体のプロジェクトを俯瞰してすべきことを整理する時間を設ける

この内容を参考に、自組織でよく起きる課題がある場合は、アジェンダを作成する時点で対応できないか検討してから会議を実施して会議の質を高めましょう。

アジェンダを活用した、効果的で生産性が高まる経営会議のは次の流れです。

経営会議  前日まで アジェンダと事前資料を共有
経営会議 30分前 会議室の環境準備
備品準備
経営会議中 アジェンダに則って会議を進行
経営会議後 会議を振り返り、次回に活用

経営会議の効率と生産性を高めるためにも、この流れを参考にしてみていただけたらと思います。

なお、アーティエンスでは、質の良い経営会議をするために必要な、質の高いアジェンダの作成方法とファシリテーションについて、会議ファシリテーション研修にてお伝えしています

ぜひ、以下より資料をご覧いただければと思います。

適切なアジェンダを作成することで効率的で生産性の高い会議を行えるようにしましょう。

会議ファシリテーション研修について詳しい情報を知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。現場経験・ファシリテーション経験豊富な当社からのアドバイスをぜひお役立てください。