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[ コラム ]
ファシリテーターの役割とは?大切な【あり方】と具体的な【行動】
- ファシリテーターとして、自分がどのような役割を果たすべきか悩むことがあるかもしれません。アーティエンスでは、ファシリテーターの役割を「参加者が目的・目標を達成するために、参加者のコミットが高まる場」を創る人と定義しています。本コラムでは、こ
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2023/3/29作成ー
本内容は、2023年3月23日に開催した「ファシリテーター研修 8日目」の公開講座研修レポートです。受講内容や、受講前と後の変化などをレポートとしてまとめていますので、ぜひご覧ください。(参加企業数:3社、参加人数:9名、オンライン形式1クラス)
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目次
ファシリテーター研修は全8回行い、全体を通して次の目的を達成することを目指しています。
今回はその8回目ということで、自身の内的システムと、世界が繋がっていることを知り、さらにファシリテーター・人としての変容を促進することを目的に実施しました。
研修は、次のような流れで行いました。
研修の始めと終わりに、「今の正直な気持ち」や「気になっていること」「感想」などをありのままに、1分程度で話す時間を設けています。チェックインとチェックアウトの中で出てきたコメントから、変化を感じることができます。
・今日が最後ということなので、今までの学びの理解度をより深めたいと思っています
・課題ができていなくて、少しそわそわした状態で今います
・ファシリテーターについて学びは得たものの、果たして自分がちゃんと身に付けられているのか少し不安な感じもします
※ オンライン研修での受講生の様子
・こうすると良くなってくなという未来が見えた
・日頃から人間力を高めなさいと言われていたけど、ファシリテーターを行う上で、人間力が大切だなと改めて気がついた
・研修を受ける前までは事前準備やアジェンダを用意することすらしていなかったので、できるようになった部分も多い。ただ、まだまだできていない部分があるので、失敗しながらもたくさん実践していきたい
・自分になかった思考や考え方を得ることができた。ファシリテートは自分で勉強するのが難しいなと感じたので、このような機会をいただけて感謝しています
・会社が異なるいろんな会社の方の意見を知ることができたことも、皆が同じような不安を抱えていることを知れてよかったです。仲間感があって一緒に頑張れました
・実践していく中で、こいつ変わったなと、言われるようになったらいいなと思います
※ オンライン研修での受講生の様子
ファシリテーター研修を通して、学べば学ぶほど奥が深く、難しさを感じているようでした。研修で学んだことを活かしてこれからも実践を重ね、より良いファシリテーターになりたい、という意気込みが伝わってきました。
素晴らしいファシリテーターとそうでないファシリテーターとは?について、個人で考えた後に対話を行いました。
グループでの対話の中で出てきた内容の一部をご紹介します。
・アジェンダを大切にして進めるファシリテーターが良いと思う
・時間内に収まるように調整することも必要だな
・司会とファシリテーターは別の方がやりやすいのではないか。司会も一緒にやると、どうしても司会という役割に流されてしまう
・HowよりもBeによっているなと思いました。自分の状態が場に影響することを理解した上でファシリテーターをする、という意識が強くなったのかなと感じます
・良いファシリテーターは意見は活発にでたり、軌道修正ができる人で、そうでないファシリテーターは意見が出ないとか、会議の後に不満が出ているような人、という方向性は同じような意見を持っているなと思いました
(参考)
【具体例あり】ファシリテーターと、司会の違いとは?それぞれを使いこなす。
下記は、ファシリテーター研修1回目のなかで作成されたものです。
1回目では、とにかく前に進めることが大切だ、という考えが多く出ていますが、8回目となる今回は、参加者が意見を発言でき、納得感を持って目的を達成することが大切だ、という考えが多く出ているように感じます。今までの研修で学んだことを踏まえた内容に変化していると感じました。
私は、変われたのか?について個人ワークを行い、その後グループで対話を行いました。
グループでの対話の中で出てきた内容の一部をご紹介します。
・目的が大事ということがこの研修の中で刺さって意識をしているんですが、会議が停滞してきてしまうと、結果的に前例通りとか結論がいつもと同じになってしまうことがある
・会議の途中で目的、目標、ポイントってどこだったっけ?とみんなに確認するようにしているんですが、意見が出なくなると、自分の意見に皆を導いてしまってしまっている感じがする
・課題によって、ウエイトの高い部署の意見を通してしまうことがあるので、課題に感じる
・ファシリテーター研修の内容は自分にとって振り返りの部分と、新しい知識を学ぶ部分とがあって、振り返りの部分については、自分のやり方とか考えとあまりズレていなくて自分の自信が増した機会だった
・失敗や恥をかくのが怖い、という感情はまだあって、なくなることはなかった
・周りとの関係性として、例えば担当者と決済者の人で、話し方が変わってしまっている部分もありそう。それは私がありたい姿ではないので、変われていないなと思う
・痛い目にあっても死ぬ訳ではないとわかってはいるけど、チャレンジができない。
→後ろ向きの失敗はダメだけど、前向きな失敗はそんなに怒られないですよね。そう思うと、チャレンジってリスクないじゃんって思います。とはいえできるかと言われたら、難しいんですけど…
・学んだことによって、モヤモヤしているなと感じた。もっと成長していかないとな、と常に思う
私自身も、ファシリテーターをしていて、「今回はよかったな」と思えるのは年に数回しかありません。自分の中にどんな内的システムが起きているのかを見てみると良いかと思います。
・場によって沈黙できる時とできない時がある。部下との場だと沈黙ができなくなるし、上司との場だと自分が沈黙してしまうな、ということにこの研修を通して気がつきました
もしかしたら、会社の構造があるかもしれませんね
※ オンライン研修での受講生の様子
今回は、変容することを大切に扱います。人としての成長を自分がどう扱えるのかをさらに学んでいきます。
内的システムを捉える上で必要な知識として、成人発達理論についてお伝えしました。
成長には水平的成長と垂直的成長がありますが、今回は垂直的成長を扱います。
※ 当社ファシリテーター研修資料より一部抜粋
成長のために問題となることは大きく2つに分けることができます。技術的問題と、適応課題です。技術的問題は、当事者以外の人に解決を依頼することもできますが、適応課題は、自分自身が変わることによってのみ解決することができます。
※ 当社ファシリテーター研修資料より一部抜粋
そこで、自身の適応課題を見にいきました。個人で自身の適応課題を探してみて、その後「私たちは、適応課題を乗り越えられないと、どのような未来が訪れるだろう?」というテーマでグループで対話を行いました。
グループでの対話の中で出てきた内容の一部をご紹介します。
・自分のやりたいようにしたいんだろうな、と思う。会議は行っているけど最終的に自分の思い通りにしている気がする。決める時に自分の意見を押し付けただけだったのに、みんなで決めたじゃんってなる。この課題を乗り越えられないと一番良い選択肢が決められなくなりそう
・期限を決めても守れていないんですよね。みんな忙しいからと言い訳をして、話が進んでいかない
・人がいなくて部下も忙しそうだから自分でやっちゃおうかな、ということがよくある。そうすると自分もオーバーワークになるし部下も成長しない
・なんかあったらすぐ言ってという環境を自分が作っていかないといけないなと思う
・部下とみんなで決めようとしているんだけど、自分 対 部下の構図になってしまう。部下はみんなの納得というよりも自分だけの理解を求めようとしている。みんなで決めているという場を作れていないのでは…
※ オンライン研修での受講生の様子
それぞれのグループの対話のなかで出てきたことを全体でシェアし、講師からコメントをしました。
・自分の思っていることを通すと、チーム全体の意見にならなくて、後から説得してくということになる。チームの一体感とか団結力は生まれない
・隠れた目的って普段も自分は認知しているけど会社で出さないようにしているのではないか
・オーバーワークになりがち。オーバーワークが続くと人が辞めていくし、総合的な力が弱くなってしまう。リスクも取れなくなってしまう。
組織として誰もリスクを取らないと、停滞してしまいます。個人もリスクを取らないと成長や発見がなかったりします。
適応課題から目を背けると、自身の成長が鈍化するだけではなく、組織パフォーマンスの低下に繋がります。
・自身のありたい姿と隠れた目的が対立しているので、どんな塩梅でいこうかな?隠れた目的も嫌いではない
矛盾はずっと起き続けます。隠れた目的を乗り越えるためには、隠れた目的を許して、ありたい姿と統合していくことが必要です。
隠れた目的を許す、というのは無理やりポジティブに変換する、ということではありません。無理やりポジティブに認知することはできません。許す、というのは、自分の中に隠れた目的があることを認識して受け入れる、という感覚に近いかなと思います。
隠れた目的は、自分では隠しているつもりでも周りの人からは透けて見えていたりします。そのため、隠れた目的をオープンにすると、関係性が築きやすくなることもあります。
垂直的成長は一気に大きく変わることはありません。一気に変わるときは、大切なものを失うとか、大病を煩うとか、自分の中で大きな変化が起きる時に変わりやすいです。しかし、いつ起こるかわからないタイミングを待っているだけでは変化していきません。
そのため、自ら適応課題と向き合うことで、垂直的成長を少しずつでも大きくしていくことが必要です。
適応課題を乗り越えていくために、内的システムを探求しました。
システム思考についてイメージできるようにするために、はじめに下記のようなシステムが起きている状態をみていきます。この状態が続くとどのような状況になるかについて、グループで対話をしました。
※ オンライン研修での受講生の様子
グループでの対話の中で出てきた内容の一部をご紹介します。
※ オンライン研修での受講生の様子
システム思考を学んだのち、自身の内的システムを作っていきました。
※ 当社ファシリテーター研修資料より一部抜粋
※ オンライン研修での受講生の様子
普段の仕事ではロジカルシンキングが求められるため、システムシンキングに難しさを感じている方が多くみられました。
みなさんが、ファシリテーターとしてどのような未来を創っていくか、についてストーリーを作るワークを通して探求し、その後アクションプランを作成しました。
※ オンライン研修での受講生の様子
それぞれが、自身の適応課題に向き合ったからこそ描ける、具体的なストーリーを作成されていました。課題もあるかも知れないけど、乗り越えられそうという明るい未来を描いていた方が多かった印象です。自身で決めたアクションプランを、ぜひこれからの実務の中で実践していただきたいです。
今回は、自身の内的システムと、世界が繋がっていることを知り、さらにファシリテーター・人としての変容を促進することを目的に実施しました。
ファシリテートする際に、ファシリテーターのBe(存在)が影響します。そのため今回は、自身と向き合うワークを多く行い、自分が持っている課題やシステムを認識する時間を多く取りました。
自分の課題と向き合うのは苦しいことです。ワークの中でも心がウッとなる感じや、もやもや感、痛い感覚を感じている方もいらっしゃいました。皆さんが素直な感情を出して、共有できるのは、初回からずっと一緒に研修を受けてきたメンバーやこの場に安心してくれているからだろうなと、この場を通して改めて場づくりや関係性の大切さを感じました。
ワークを通して自分をより深く理解し、その特徴を理解した上でファシリテートを行えると、より中立にその場を見やすくなります。そして、その結果、目的への達成もしやすくなります。
ファシリテーター研修1回目では、
・会議をやってもやっても進まない
・ファシリテートのやり方を学んだわけではなく、感覚で行うことも多く再現性が高くない状態に課題を感じる
・自分のやり方が正しいのかをわからないままモヤモヤしている
などという課題をお持ちでした。
しかし、8回目となる最終回では、
・ファシリテーションを初めて学び、できた・できたないという感覚を感じることができた。成長痛みたいなものかなと思うので、これからも成長していきたい
・こうすると良くなってくなという未来が見えた
・日頃から人間力を高めなさいと言われていたけど、ファシリテーターを行う上で、人間力が大切だなと改めて気がついた
・研修を受ける前までは事前準備やアジェンダを用意することすらしていなかったので、できるようになった部分も多い。ただ、まだまだできていない部分があるので、失敗しながらもたくさん実践していきたい
というような状態になっていました。
課題はあるものの、1回目とはレベル感が異なる課題になっていることがわかります。様々なやり方を学び、その時の状況によって使い分ける、ということは十分に理解されていて、その上で、どのように自分が実践していくか、というところにいらっしゃるように感じます。
この変化だけでも、8回のファシリテーター研修を通じて、参加者の皆さんの知識レベルも実践レベルも確実に高まっていることを感じられます。
ファシリテーター研修を通して、学べば学ぶほど奥が深く、難しさを感じているようでした。しかし、難しいながらも、研修で学んだことを実践してみての気づきや体験の共有によって、みなさんが確実に成長している様子も感じることができました。
ぜひ今日までに学んだことを現場で実践しながら学びを深め、それぞれが望む素晴らしいファシリテーターになっていただけたら嬉しいです。
本研修の内容及びファシリテーター研修のご案内資料は、下記よりダウンロードいただけます。
1日1名様からのご参加が可能です。ご興味をお持ちの方は、ぜひダウンロードください。