失敗しない!ファシリテーター依頼時に確認すべき4つのポイント

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「せっかくファシリテーターに依頼したのに、思ったような成果が出なかった…」
「会議やワークショップが“盛り上がっただけ”で終わってしまった…」
「進行はしてくれたけれど、組織の変化にはつながらなかった…」

こんな経験や不安をお持ちではありませんか?

事前に確認すべきポイントを押さえず、「なんとなく」選んだファシリテーターに依頼するだけでは、期待する成果にはつながりません

本コラムでは、
・ファシリテーターを依頼する際に確認しておくべき4つのポイント
・パフォーマンスの高いファシリテーターを見極めるための3つの視点(キャリア・Be・Do)
を、具体的な質問例や事例を交えて紹介
します。

このコラムを読むことで、成果につながるファシリテーターを選べるようになります
最適なパートナーと出会い、“対話から実行へ”とつながる場づくりを、組織に根づかせていきましょう。

執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

1)ファシリテーターを依頼する際に確認しておくべき4つのポイント

「せっかくファシリテーターに依頼したのに、思ったような成果が出なかった…」
そんな残念な結果を避けるためには、依頼時に下記の“4つのポイント”を確認しておくことが大切です。

ファシリテーターのやり方が、依頼内容とマッチしているか
ファシリテーターが自組織と共に取り組む意思を持っているか
ファシリテーターとして、どのようなプロセスで関与するのか
ファシリテーターが、どこまで業務範囲として関わってくれるのか

具体的な確認方法についてそれぞれ説明していきます。

ファシリテーターのやり方が、依頼内容とマッチしているか

確認すべきことの1つ目は、ファシリテーターのやり方が、依頼内容とマッチしているかです。

ファシリテーターには、それぞれに大切にしている“進め方”や“スタイル”があります。どれだけ経験豊富なファシリテーターでも、内容によっては相性が合わないことがあるためです。

例えば、課題解決を目的とした会議に、コーチング寄りのファシリテーターを入れると、問いかけは上手でも具体化が進まず、議論が迷走してしまうことがあります。
逆に、チームビルディングを期待して戦略系ファシリテーターを依頼すると、方針は決まっても「チームの一体感」が生まれない、という事態になります。

ファシリテーターにも得意不得意があるため、依頼内容とファシリテーターの専門性・進め方の相性を確認することが大切です。

ファシリテーターが自組織と共に取り組む意思を持っているか

ファシリテーターが自組織と共に取り組む意思を持っているかも確認しておきましょう。

“共に創る”という姿勢があるかどうかは、信頼関係にも直結します。ファシリテーターは、自身が大切にしている”あり方”があるため、価値観や関わり方が合わない場合は、依頼を断ることもあります。

自組織と共に取り組む意思を持っているかを確認する際は、「なぜ私たちとご一緒いただけるのですか?」と丁寧に聞いてみましょう
この問いによって、相手の意欲や関心の度合い、そして共創意識の姿勢を確認できます。

目指したい未来を組織とファシリテーターで一緒に共有できると、プロジェクトは強い推進力を持ちます

ファシリテーターとして、どのようなプロセスで関与するのか

ファシリテーターとして、どのようなプロセスで関与するのかも確認しておきましょう。“関わり方”が見えていないと、期待と成果にズレが生じる可能性があります

依頼内容によっては、複雑化しており、簡単に要件定義やスケジュールを引けない可能性があります。その中でも、方向性や目安として、どのような流れで進めていくか、どんなアウトプットが見込まれるかを、依頼前に確認しておくことが重要です。

確認する際は、「会議やワークショップの前後で、どんな打ち合わせや準備がありますか?」「終了後に、どんなアウトプットや振り返りがありますか?」と聞いてみましょう。

目的達成のために、どんな関わり方でどんなアウトプットが得られるのかは、事前確認が必須です。

ファシリテーターが、どこまで業務範囲として関わってくれるのか

ファシリテーターが、どこまで業務範囲として関わってくれるのかも事前に確認しておきましょう。業務範囲が不明確だと、後々トラブルになりかねません

「ここまでやってくれると思っていたのに…」という認識のズレを防ぐためにも、どこまでが依頼対象かを明確にしておく必要があります。

具体的には、会議・ワークショップの場のみの契約になるのか、会議室などの場所の手配から事後フォローなども行ってもらえるかなどです。

「プロジェクトに対して、どこまでサポートいただけますか?」と聞いてみると、関与範囲のイメージがつかみやすくなります。経験豊富なファシリテーターなら、いくつかの関わり方のパターンを提示してくれることもあります。

なお、すべてをファシリテーターに“丸投げ”する姿勢はNGです。ファシリテーターはあくまで「促進者」であり、主役は依頼者側です。依頼者に主体性が見えない場合、依頼を断られることもあります。

「どこまで」「どう関わってくれるか」を明確にし、安心して任せられる体制を整えましょう


以上のように、ファシリテーターを依頼する際は、上記の4つをしっかり確認しましょう。
これらを丁寧にすり合わせることで、ファシリテーターとの信頼関係が築かれ、期待する成果に近づけます。

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    2)パフォーマンスの高いファシリテーターを見極めるために確認すべき3つのポイント

    「どのファシリテーターに依頼するか」は、プロジェクトの成果を大きく左右します。
    パフォーマンスの高いファシリテーターを見つけるために確認すべきポイントは下記の3つです。

    ファシリテーターとしてのキャリア (基本的なスキルレベルの確認)
    ファシリテーターとしてのBe(あり方)の確認
    ファシリテーターとしてのDo(やり方)の確認

    それぞれ、どのように確認すればよいか、具体的に解説していきます。

    ファシリテーターとしてのキャリア (基本的なスキルレベルの確認)

    まずは、基本的なスキルレベルの確認しましょう。ファシリテーターの実績や経験年数は、その人の基本的なスキルレベルを測るうえで重要な指標です。

    ファシリテーターのスキルは見えづらいですが、実務経験が豊富であれば、さまざまな場面に対応できる柔軟性と引き出しがある可能性が高いです。

    経験を確認する際は、次のような質問を投げかけてみてください。

    「ファシリテーター歴は何年ですか?」
    「年間でどのくらいの案件に関わっていますか?」
    「扱ってきたテーマ・業界・対象者はどのようなものですか?」など

    ただし、経験年数が長いからと言って必ずしもパフォーマンスが高いとは限りません。
    そのため、キャリアはあくまで最低限のスクリーニング材料として活用し、次のBe・Doの確認でより深く見極めていきましょう。

    ファシリテーターとしてのBe(あり方)の確認

    ファシリテーターの“あり方”を確認することで、その人がどれほど真摯に場に向き合っているかが見えてきます。

    高いパフォーマンスを発揮するファシリテーターは、「なぜこの仕事をしているのか」「何を大切にしているのか」といった“あり方”に芯を持っています。

    ファシリテーターの“あり方”は、以下のような質問で確認してみましょう。

    「なぜファシリテーターになったのですか?」
    「ファシリテーションにおいて大切にしていることは何ですか?」
    「これまでで印象に残っている仕事や場面はありますか?」など

    例えば、本コラム筆者の場合、ファシリテーターを志した背景には「自分がコンサルとして関わっていた組織が、数ヶ月後には元に戻ってしまう」という経験がありました。
    「支援しているつもりでも、本質的な変化に繋がっていない」そんな葛藤を抱えた末、共に変化を生み出していく“共創者”でありたいという想いから、ファシリテーターに転身しました。

    そのため「クライアントの未来を共創すること」を大切に、「クライアントを信じ、彼ら彼女らの未来と今と向き合う」という“あり方”が軸にあります。

    こうした“想いの深さ”や“原体験”に触れることで、そのファシリテーターがどれだけ本気で場に向き合っているかが見えてきます

    ファシリテーターとしてのDo(やり方)の確認

    “どんなふうにファシリテーションをしているか”というスタイルや考え方も確認しましょう。
    場に対するアプローチや介入の仕方には、その人の力量や成長度合いが色濃く表れるためです。

    ファシリテーターのスタイルや考え方は、以下のような質問で確認してみましょう。

    「これまでで特に苦労したファシリテーションの場はありますか?」
    「失敗した経験から何を学び、次にどう活かしましたか?」など

    苦労した場や失敗した場で、どのように振舞ったか、何を学んで次に活かしたかで、ファシリテーターとしての力量が分かるためです。

    筆者がまだ経験の浅い頃、あるベンチャー企業の経営会議で、場の緊張を解かずに入り、社長に対して“正論で説得する”という関わりをしてしまいました。その結果、社長が激怒し、会議は終了、契約も終了しました。

    背景には、ファシリテーターである自分自身の状態が整っていなかったこと、そして「この社長が変わるべきだ」という思い込みによる強いバイアスがありました。

    この経験を経て学んだのは、「状態を整えることの大切さ」と「常にフラットな姿勢でいることの重要性」です。そこから、場と対等に向き合い、信頼をベースに進めるスタンスを身につけることができました。

    このように、苦しかった場・乗り越えた場・そこからの変化をどれだけ語れるかは、ファシリテーターとしての“Do”の深さや成熟度を測る貴重な情報です。

    ただ、もし失敗談や苦労話を聞くのが難しければ、こんな聞き方もおすすめです。

    「これまで意思決定や合意形成の場で、どんな支援をされてきましたか?」
    「その後、現場ではどんな変化が起きましたか?」

    プロセスや結果に焦点をあてて具体例を聞いてみると、ファシリテーターの関わりによって、どのような変革が起きたかが分かります。


    パフォーマンスの高いファシリテーターを見つけるためには、キャリア・Be・Do の3点で確認することをおすすめします。

    それらの確認を通して、最終的には「この人となら共に場をつくれる」と思えるかが重要です。相性も含め、丁寧に見極めていきましょう。

    なお、素敵なファシリテーターを見つけるためには、複数のファシリテーターに会うことをおすすめします。ファシリテーターが所属している団体・企業に問い合わせてみましょう。
    アーティエンスでも、素晴らしいファシリテーターをご紹介できますのでご相談ください

    3)まとめ

    本コラムでは、「ファシリテーターを依頼する際に確認すべき4つのポイント」と「パフォーマンスの高いファシリテーターを見極めるための3つの視点(キャリア・Be・Do)」をご紹介しました。

    これらを事前に押さえておくことで、単なる“進行役”ではなく、対話を促し、実行につながる場づくりのパートナーとして、心強いファシリテーターを選ぶことができます。

    なお、アーティエンスでは、組織開発・人材育成に精通したファシリテーターを多数抱えており、貴社の課題やご希望に応じて、最適な人材をご紹介することが可能です

    「ファシリテーターを探しているが、どう選んでよいかわからない」
    「今のチームに合う人を紹介してほしい」
    そんなご相談も大歓迎です。まずはお気軽にお問い合わせください

    素敵なファシリテーターとともに、“対話から実行へつながる場”をつくり、組織に変化と成長を促しましょう。

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