【若手社員向け・ロジカルシンキングの鍛え方】研修と現場での育成法

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「若手社員が報告やプレゼンで論理的に伝えられない」
「依頼した業務はこなすけれど、問題解決の本質が見ていない」

このような悩みは、ロジカルシンキングが十分に活用できていないことが原因です。

ロジカルシンキングを活用できていない若手社員は多いですが、それは、社会人になるまで活用する機会が少なく、適切な知識と経験が伴っていないだけです。

ロジカルシンキングは適切なアプローチで鍛えることで誰でも活用できるようになります

今回のコラムでは、若手社員がロジカルシンキングを活用できないことによる悪影響を解説した上で、ロジカルシンキングを育成するための3つのポイントを紹介します。

若手社員がロジカルシンキングを活用できるようになり、仕事の質を高められるようにしましょう。

監修者プロフィール

近藤 ゆみ

アーティエンス(株)にて、研修講師、組織開発・人材育成のコンサルタント、コラムの監修・執筆などに従事。前職の大手人材紹介会社では、転職希望者のキャリアカウンセリングから転職サポートまでを一貫して担当。
X:@kondo_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル

1)ロジカルシンキングとは、どんな手法?

ロジカルシンキングとは何でしょうか。 アーティエンスでは、ロジカルシンキングを下記のように定義しています。

誰が見ても適切かつ納得性がある「結論」や「理由」を考察・説明するための手法

ロジカルシンキングはあらゆるビジネスシーンで必要になるスキルです。

例えば、
●簡潔な報連相
●お客様の課題やお悩みを整理し、本質を理解する
●企画を考える
●お客様に適した提案を、相手に分かりやすいように行う

などです。

ビジネスの基本となるロジカルシンキングですが、なぜ活用できていない若手社員が多いのでしょうか。  

2)若手社員がロジカルシンキングが活用できない3つの原因

若手社員がロジカルシンキングが活用できない主な原因は、以下の3つです。

日本の教育でロジカルシンキングを学び、活用する機会が少ない

日本の教育システムで、ロジカルシンキングを活用する機会が少ないことが1つ目の原因です。

学校教育では、課題に対して自分なりの答えを導き出すよりも、暗記した知識や公式を使って解くことが重視されがちです。
そのため、社会人になって初めてロジカルシンキングを求められたとき、活用の仕方がわからず戸惑う若手社員が多く見られます。

ロジカルシンキングの基礎知識やスキルの不足

ロジカルシンキングの基礎知識やスキルが不足していることも、活用できない原因の一つです。

論理的に考えるためには、フレームワークや思考プロセスなどの知識やスキルが必要です。しかし、これらを学ぶ機会が少ないと、問題に直面したときに考えを整理できず、「どこから手をつければいいのか分からない」という状態に陥りがちです。

必要な知識やスキルがなければ、適切なアプローチができず、結果的にロジカルシンキングをうまく活用できなくなってしまいます

ロジカルシンキングの経験や具体例の不足

ロジカルシンキングの経験不足も、活用できない原因の一つです。

ロジカルシンキングは、理論を知っているだけでは身につきません。実際のケースを通じて論理的に問題を解決する経験を重ねることで、初めて使いこなせるようになります。

しかし、若手社員はまだ経験が少ないため、理論やフレームワークに頼りがちで、実践的な対応が難しくなることがあります。その結果、ロジカルシンキングを効果的に活用できないケースが多くなります。

若手社員がロジカルシンキングを活用できないのは、これら3つが原因である可能性が多いです。そのため企業が、ロジカルシンキングを身につけるための支援を行う必要があります

3)ロジカルシンキングが身についていないことによる悪影響

ロジカルシンキングが身についていないと、下記のような悪影響が起こります。

若手社員自身への悪影響

場面 若手社員自身への悪影響
報連相 報連相の内容に自信が持てず、報連相しづらくなる
聞く 仕事の依頼内容を正しく理解できず、出戻りが多くなる

与えられた情報を整理できず、状況を正確に把握できない

考える 考えるポイントが不明瞭で不安になる

難易度の低い仕事が多くなり、成長スピードが落ちる

伝える 相手の理解や納得を得ることが難しく、自身の提案や意見が通りづらくなる

上司・先輩への悪影響

場面 上司・先輩への悪影響
報連相 報連相の頻度が少なくなり不安になる

報連相の質が低いため、時間が多く取られる

聞く 仕事の依頼内容を正しく理解しておらず、任せるのに不安がある

情報を整理できず、ヌケモレが多いため確認が多くなる

考える アウトプットが適切でなく、多くの修正が必要になる

任せられる仕事が少なく、成長するまでに時間がかかる

伝える 話の内容が理解しづらく、時間が多く取られる

若手社員がロジカルシンキングを身につけられていないことは、若手社員自身にとっても、先輩・上司にとっても悪影響しかなく、重大な課題です

4)若手社員へのロジカルシンキング育成ポイント3つ

若手社員にロジカルシンキングを育成する際は次の3つの点を意識することが必要です。

① 基本的なフレームワークを伝える
② 他者との共創を意識する
③日常業務での使用機会を増やし、習慣化する

この3つの点を意識することで、若手社員がロジカルシンキングを身につけ、より論理的に思考し、成果を上げることができるようになります。

① 基本的なフレームワークを伝える

ロジカルシンキングを活用するためには、基本となるフレームワークをしっかりと理解し、実践的に使いこなせる状態にすることが重要です。
フレームワークとは、例えばロジックツリーやマトリックス、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)など、問題を整理し、論理的に解決策を導き出すための手法です。

これらフレームワークを使うことで、思考を体系的に進めることができ、問題解決がスムーズに行えるようになります

例えば、アーティエンスのロジカルシンキング研修では、複数のフレームワークを紹介した後、実際にショートワークとして具体的な課題を取り上げ、実践してもらいます。アーティエンス株式会社 ロジカルシンキング研修※ 当社「ロジカルシンキング研修」のテキストより抜粋  

フレームワークを使いながら慣れていくことで、ロジカルシンキングをより効果的に活用できるようになります。

なお、ロジカルシンキングのフレームワークを一から教えたい場合は、研修の導入も検討しましょう。体系的に学べるプログラムを活用することで、実践的な演習を通じて理解を深め、業務に活かせるスキルを効率よく習得できます。

② 他者との共創を意識する

若手社員のロジカルシンキングを育成するには、個人の思考力を強化するだけでなく、他者とのコミュニケーションの中で活用する経験が重要です。
若手社員は実業務において、上司や先輩との議論を行いながら課題解決を進めることが多いためです

当社のロジカルシンキング研修では、グループワークのシミュレーションワークを通して、個人としてのロジカルシンキングのスキル習得だけではなく、他者との共創を意識できるようにしています。

またCase Studyでも、ロジカルシンキングを通した協働を考える内容もあります。

アーティエンス 論理的思考力研修※ 当社「ロジカルシンキング研修」のテキストより抜粋

他者との共創によって、視野が広がり、ロジカルシンキングを深く学べます。

ただ、通常業務では役職や立場の違いから、若手社員が安心・安全な場で意見を交わしながら思考を鍛える機会は多くありません。

そのため、研修を活用し、実践的な場を設けることで、協働の中でロジカルシンキングを磨く機会を意図的に作ることをおすすめします。

③日常業務での使用機会を増やし、習慣化する

日々の業務の中で、フレームワークを含めたロジカルシンキングを習慣化することが必要です。ロジカルシンキングは繰り返し日常業務で活用する中で、徐々に身についていくためです。

例えば、日常的に行う報連相やメールにおいて、ロジカルシンキングを活用することを意識的に依頼することが効果的です。こうした小さな習慣の中でロジカルシンキングを取り入れると、身につくスピードが格段に早くなります。

最初のうちは、フォーマットを用意してそれに従ってコミュニケーションを取ってもらったり、自分のサンプルを参考にして若手社員に渡すことをおすすめします。

※フォーマット例

アーティエンス 報連相整理シート 

これにより、若手社員はトレーナーや上司が求めていることを理解しやすくなり、効率的にトレーニングが進みます。

若手社員がロジカルシンキングを身につけ、成果を上げるようになるためには、今回紹介した3つのポイントを意識して育成しましょう。

5)まとめ・若手社員向けロジカルシンキング研修はアーティエンス

若手社員がロジカルシンキングが活用できないのは、

・日本の教育で活用する機会が少ない
・基礎的な知識やスキルの不足
・経験や具体例の不足

が大きな理由です。

しかし、ロジカルシンキングが身に付いていないと、若手社員自身にも、周囲にもネガティブな影響を与えてしまいます。

若手社員にロジカルシンキングを育成する際は次の3つの点を意識しましょう。

① 基本的なフレームワークを伝える
② 他者との共創を意識する
③日常業務での使用機会を増やし、習慣化する

この3つの点を意識することで、若手社員がロジカルシンキングを身につけ、より論理的に思考し、成果を上げることができるようになります。

アーティエンスではロジカルシンキング研修を実施しています

ロジカルシンキングを身に着けることで、若手社員のパフォーマンスが上がるだけではなく、上司・チームとの質の高い協働が生まれます。それは、若手社員のやりがいや、モチベーション、エンゲージメントにもつながってきます。

ロジカルシンキング研修に関するご相談は、下記からお気軽にお問い合わせください。

若手社員がロジカルシンキングを活用できるようになり、仕事の質を高められるようにしましょう。