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[ コラム ]
トヨタの元人事が解説!知っておくべき「トヨタ式問題解決研修」の導入方法と現場フォロー
- 「トヨタ式問題解決研修を行いたい」「トヨタの問題解決研修を行ったけど、現場で活用されない。原因を見つけたい」このような問題意識を持つ経営者や人事の方が、本コラムにたどり着いたのではないでしょうか。トヨタの問題解決の考え方は、「当たり前の基準
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本内容は、2026年1月20日に開催された「問題解決力研修」の公開講座研修レポートです。受講内容や、受講前と後の変化をまとめています。
目次

アーティエンスの問題解決力研修で思いつきの対策から抜け出し、成果に繋がる一手を選べるようになることを目的としています。
目的達成に向けシミュレーションワークを行いながら、
・「打つべきテーマ」を決める力
・真因を見抜き、対策に繋げるWHY思考
・成果につながる一手を選び、実行の落とす力
を学びます。
研修の始めと終わりに、「今日の研修で期待すること」や、「気づき・感想」などを話す時間を設けています。研修の初めと終わりの中で出てきたコメントから、変化を確認できます。
研修開始時、受講生からは下記のようなコメントがあがっていました。
・問題の背景を考えながら、解決できるように取り組みたい
・これまで対処的に動くことが多かったので、原因や構造に目を向け、本質的な問題解決ができるようになりたい
・問題を表面的な出来事として捉えるのではなく、背景や前提を整理しながら、より良い打ち手を見つけられるようになりたい
研修終了時の受講生の発言や終了後のアンケートでは、下記コメントがありました。
・漠然とした問題に直面したときでも、プロセスに沿って考えることで、スピード感を持って対応できると感じた
・問題を細分化して整理していくことで、自然と解決策が見えてくることを実感した
・テンプレートを活用することで、相手に伝わりやすい整理ができることを体験を通して学び、今後は実務でも活かしていきたい
研修開始時は「本質的に考えたい」「背景を捉えたい」という姿勢・意欲の段階に留まっていましたが、研修終了時には、プロセス・分解・テンプレートといった具体的な手法として理解し、実務で使えるイメージまで落とし込めていることがうかがえます。
問題解決において重要なのは、「思いつきで行動しないこと」そして「問題を正しく捉えるプロセスを踏むこと」です。
本講義では、問題解決思考を以下の5つのステップに分けて解説しました。

問題解決思考のステップを実感してもらうため、講義後にショートワークを実施しました。

ワークの中では、参加者から次のような気づきやコメントが挙がっていました。
・1つの案しか出てこないと、比較ができず、上司として本当にこの提案で良いのか不安になる
・問題と解決策が本当に適切に紐づいているのか判断できない
・「評判がいい」と言われても、誰の判断なのかが分からず、信憑性を感じにくい
ショートワークの課題点を具体的に整理しながら、各ステップで「何を考えるべきなのか」「どこが抜け落ちやすいのか」を丁寧に解説しました。

問題解決思考を進める上で欠かせない考え方が、MECE(ミーシー)です。
MECEとは、「ヌケ・モレ・ダブりのない状態」を指します。
特に、問題解決ステップの
・WHERE(どこに問題があるのか)
・WHY(なぜ問題が起きているのか)
を考える場面では、MECEを強く意識する必要があります。
そのため本講義では、
・MECEとは何か
・なぜMECEが重要なのか
・MECEに整理するための具体的な方法
について、例を交えながら解説しました。

世の中には「思いつき」のHOW(やり方)があふれています。
しかし、HOWから考え始めてしまうと、問題の捉え方が浅くなり、結果として本質的な解決につながらないことが少なくありません。
問題解決は思いつきで行動せず、適切なプロセスを踏むことが重要です。
シミュレーションワークとして「今期の売上目標が未達になりそう」という状況に対し、問題解決の企画を立案するミッションに取り組んでいただきました。
参加者はグループごとに仮説を立てながら、社長役の講師へ報連相を行い、フィードバックを受けつつ企画をブラッシュアップしていきます。
「仮説を考える → 伝える → 意見をもらう → さらに考え直す」このプロセスを何度も回すことで、問題解決に必要な思考力・伝達力・相手視点を実践的に磨いていきます。

最終的には、最も優れた企画書とプレゼンテーションを行ったグループが優勝となります。
評価の判断軸は、以下の3点です。
・目的が達成できているか
・相手目線に立った内容になっているか
・論理に一貫性があり、筋が通っているか
問題解決は、知識として理解するだけでは身につきません。
実際に考え、試し、修正するプロセスを経験してこそ、使える力になります。
そのため本研修では、シミュレーションワークの時間を多く設け、参加者が実践を通じて問題解決思考を体得できる設計としています。
【シミュレーションワークの様子】

受講生は、必要な情報を引き出すためにどのような質問をすべきかを考えながら、内容を視覚的に判断できる資料へと落とし込み、「この企画で本当に目的が達成できるのか」という視点を持って課題に取り組んでいました。
社長役の講師からは、
「何が言いたいのかわからない。可視化して、もっと分かりやすくしてほしい」
「その整理はMECEになっているか?」といったフィードバックが投げかけられます。
そうしたやり取りを通じて、受講生は上司役の講師と共創しながら思考を深め、より質の高いアウトプットを目指してブラッシュアップを重ねていきました。
各グループの最終的なアウトプットと講師フィードバックは、以下の通りです。

【講師フィードバック】
「自社マーケティングを強化する」という提案は、売上目標の達成に向けて、利益向上につながる具体的な打ち手として整理されており、目的との整合性が感じられました。
また、売上ではなく利益の視点で捉える考え方は、経営判断を行う立場を踏まえた相手目線の提案だと感じました。
さらに、報連相の内容が常にMECEで整理されていたため、論理の一貫性があり分かりやすかったです。

【講師フィードバック】
全体として、わかりやすい構図で整理されており、問題解決の目的に向けた思考プロセスは明確でした。
特に、WHEREからHOWに至るまでの整理は丁寧で、相手が理解しやすい構成になっていたと感じます。
一方で、最終的な打ち手に「気合いが必要になる対策」が含まれていたため、実行フェーズを想定した、より具体的で実践的な内容まで落とし込めると、目的達成の確度がさらに高まると感じました。

【講師フィードバック】
全体像を示しながら報連相が行われていたため、判断に必要な情報が整理されており、相手として非常に受け取りやすい提案でした。
また、悪循環の構造まで言語化できていた点は、問題の本質を捉えるという目的に沿った整理だと感じます。
一方で、その悪循環を断ち切るための対策について、より具体的で実行可能な打ち手まで落とし込めると、論理が一段深まり、次のステップにつながると感じました。

【講師フィードバック】
社長に向けて熱量のあるメッセージを届けられており、相手を動かすという目的に対して相手目線の伝え方ができていました。
一方で、WHY(なぜその結論に至ったのか)の分析がやや薄く、前提→根拠→結論のつながりがロジックとして明確になると、提案の説得力が増し、より分かりやすくなると感じました。

【講師フィードバック】
発表は全体として分かりやすく、判断に必要な情報が整理されており、目的に沿った共有ができていました。
また、社員の声の件数まで拾って示していた点は、相手が納得しやすい根拠となっており、相手目線を意識した説明だと感じます。
一方で、打ち手についてはやや厚みが不足していたため、「いつまでに・何を行うのか」といった具体的な実行計画まで落とし込めると、論理の一貫性と説得力がさらに高まると感じました。
今回の研修では、問題解決を「思いつきのHOW」ではなく、課題を明確化し、真因を深掘りし、相手と共創しながら解決策をつくるプロセスとして、シミュレーションワークを中心に実践していただきました。
社長役の講師への報連相とフィードバックを繰り返すことで、現場に近い形で問題解決力を体感できたと思います。
シミュレーションワークでは、各グループが「目的」「相手目線」「論理」を意識した提案に挑戦しており、特に優勝グループは、利益視点で整理された打ち手とMECEな報連相により、意思決定者が判断しやすいアウトプットとなっていました。
打ち手をより具体的な実行レベルまで落とし込めると、提案の説得力はさらに高まるため、今後の業務の中で意識してほしいです。
問題解決力は、身につくほどに「本質的な課題」に気づけるようになり、改善や提案の質が上がります。職種を問わず必要な力であり、社内でも市場でも皆さんの価値を押し上げる基盤になります。
簡単ではありませんが、今日の学びを実務で繰り返すことが、これからのキャリアの大きな強みになります。
今回の研修で得た視点とプロセスを、ぜひ日々の実務の中で活かし、さらなる成長につなげていってください。