研修・セミナーレポート

2024年7月18日 関係性構築力研修ー公開講座研修レポート

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本内容は、2024年7月18日に開催した「関係性構築力研修」の公開講座研修レポートです。
受講内容や、受講前と後の変化をまとめています。

1)研修概要

自己理解と他者理解を通じた、円滑なコミュニケーション方法の習得を目的としています。
現在の職場の関係性を振り返りながら、より良好な関係性を築いていくための考え方とスキルを学んでいきます。その際、ただ単にコミュニケーションのテクニックを覚えるのではなく、関係構築の根幹であり、最も影響を与えるであろう、”自身のあり方”から見つめ直していきます

3つの学びのポイント

良好な関係構築に向けて自己理解を深める

自身が大切にしている価値観などを知り、自己理解を深めます。その上で、自身の価値観は、時にポジティブ、時にネガティブに周囲へ影響を及ぼす可能性があると学びます。

他者への関心を高め、判断保留を身に付ける

一つの出来事であっても、自身と他者とでは認知が異なる場合があることを知ります。自分の枠組みのみで決めつけるのではなく、「判断保留すること」の重要性を理解します。

相手の立場を尊重しつつも、「聞く」「伝える」スキルを習得する

相手の立場や意見を尊重しつつ、自身の主張を正確に伝えるアサーティブコミュニケーションの手法を習得します。

当日のアジェンダ

0. オープニング 
1. ワールド・カフェ (素晴らしい関係性とは?)
2. 自身のあり方を考える
3. 他者への関心を高めるには
4. 判断保留を体感する
5. ストロークを体感する    グループワーク
6. 振り返り/明日への一歩

2)受講者の研修の始めと終わりでの変化

イントロダクション : 研修開始時のコメント

研修開始時、受講生からは下記のようなコメントがあがっていました。

・まだ教わっている立場なので、相談はしているものの、関係性を築くために自分から動くことはできていないなと思う

自分の意見を発信してフィードバックをもらって成果物を向上することはできているので、巻き込めてはいると思う

ランチを誘っているし、相談もしているので巻き込むことはできているのではないかと思う

・すでにインターンの後輩がいるので、後輩を巻き込むことは求められていて、そのことについては動けていると思う

振り返り : 研修終了時のコメントとレポート

研修終了時の受講生の発言や終了後のアンケートでは、下記コメントがありました。

・上司と素晴らしい関係を築くにはどうすればよいのかについて学んだが、やはり「思い込み」が一番大きいのではないかと感じた。「きっとこの人はこういう性格で、苦手なタイプだ…」と早々に決めつけていた部分があったので、気を付けたいと思う

・自分の弱点を相手に開示することは、とても重要なことだと感じた。弱さをためらわず周りに知ってもらう。それは結果として思い込みをなくすことに繋がる

・相手に対する思い込みでコミュニケーションが難しくなってしまうことがある。それをなくすためには相手を知ること・興味を持って接することが大切だと気づいた

思い込みでどんどん悪い方へ考えてしまっていたなと感じた。フラットな目線で見るようにしたい

3)研修での受講生の動き

1. ワールド・カフェ (素晴らしい関係性とは?)

「周囲と素晴らしい関係性を構築していくためには」をテーマにワールド・カフェで対話を実施しました。

※ワールド・カフェとは、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、少人数に分かれたテーブルで自由な対話を行う対話手法の一つです。

※ 研修でのグループワークの様子

ワールド・カフェを実施しての振り返りでは次のようなコメントが出ていました。

・約束を守る、素直さというような基本を大切にすることが重要なんだなと感じた。

・推しグループが同じという意見があったのが面白かった。共通点があると一気に距離が縮まるのかなと思った。ただ共通点を見つけるのが難しそうだなとも思う。

・共通点が多いと馴れ合いの関係になってしまいそうだなとも思う。ビジネスだと自分と異なる意見とか考えを持っている人が多いので、共通点が多い人とだけ付き合っていてもダメかなとも思う。

ワールド・カフェを通して、素晴らしい関係性を言語化し、今自分ができることを探すヒントを得ているようでした。

2. 自身のあり方を考える

周囲と良好な関係性を築いていくためには、自分自身が大切にしている価値観を理解することが重要です。
そこで自身の価値観によって周囲にポジティブな影響を与えた経験とネガティブな影響を与えた経験をフラットに振り返り、自己理解を行いました。そしてその後、グループで気づきをシェアしました。

気づきのシェアでは次のようなコメントが出ていました。

・何でも言い合える環境作りはできるけど、馴れ合いっぽくなってしまうこともある。

・私生活と仕事で大切にしていることが違う。両方書いてみたら重なっている価値観が一つもなかった。

・解決できなさそうな課題に取り組むのが好き。

・自分はどうでもよくて親とか周りの人に喜んでもらえるほうが嬉しい。

自分が大切にしている価値観によって、ポジティブな影響もネガティブな影響も起こす可能性があることに気づけました

3. 他者への関心を高めるには

同じ出来事であっても、自分と相手では捉え方が異なる・見えている世界が異なることがあるとを氷山モデルを用いてお伝えしました。

その後、これまでの業務において新入社員自身がネガティブに感じた一場面を丁寧に振り返り、その時の自分、上司・トレーナーはどのように捉えていたのか、を見つめていきました。

※研修テキストの一部

このワークを終えての気づきをシェアしてもらいました。下記はその中のコメントの一部です。

・トレーナーが褒めてくれている部分があるけど、褒めている内容がどこまで本当なのかが気になる。褒めてモチベーションを高めることも仕事の一貫だと思うので、無理やり褒めているのではないか?という不安を感じた。

・上司が本当に何を考えているのかがわからなかった。このワークを通してほとんどコミュニケーションをとっていないことに改めて気づいた。コミュニケーション量が多くないと、そもそも何を考えているのかを想像することもできないと感じた。

・メンターが優しいので「もう少しこうしたほうがいいんじゃない?」という言い方で伝えてくれるが、自分の出来ていなさ度合いがどの程度なのかがわからずモヤモヤする。

一つの事柄について深く掘り下げて考えてみることで、普段の仕事の中では気付けない部分に気づきを得ている方が多く、上司やトレーナーとの関係性を築くためのヒントを得ているようでした。

4. 判断保留を体感する

周囲と良好な関係性を構築していくために、「判断保留」という概念についてワークを通して学びました。判断保留を行うことで、相手への興味・関心の質や傾聴の質が高まります

※ 判断保留について、「良い悪い・好き嫌いなどの判断を保留して、ありのままに受け止めて、観ること」と研修内では定義しています。

ワークでは、「判断保留ができているかどうかわからない」というコメントも出ており、難しさを感じている方が多かったです。

そのため、判断保留をしやすくなるヒントとして、一つの出来事に対して、「事実」か「解釈」かを考えることをお伝えしました。

例えば、「仕事でミスをして、上司から指導を受けた」という事実に対して、「自分は仕事が出来なくてダメな人だ」とか「上司に仕事が出来ない奴と思われたかもしれない」という解釈をしてしまう新入社員が多いです。しかしそれはあくまでも自分の解釈であり、事実ではありません。上司としては、「○○さんならすぐにできると期待している」と考え、前述のコメントをしている可能性もあります。

このように、判断保留ができると自分の解釈に自分が振り回されることがなくなり、仕事がしやすくなります

5. ストロークを体感するグループワーク

ペアワークでストロークを体感しました。相手に興味・関心を持ってコミュニケーションを取るために何が必要なのか、相手から話をもっと引き出すにはどうしたらいいのか、ということについて具体的手法を考えました

ストロークを体感してみた感想として、次のようなコメントが出ていました。

聞き手から反応があるとリズムが出来てセッションみたいになるが、反応がないと尻すぼみしてしまった。反応によってテンポができると話しやすくなった。

・話を聞いている中でそのことについて考えているとき、反応が鈍くなったり無表情になってしまった時間があったけど、体の向きが自分の方を向いているか、全く別の方を向いているかの違いで感じ方が全然違うなということが発見でした。

反応がないと話しているうちに何を話したかったのかがわからなくなって話続けるのが難しかった。反応があると話したいことが次々と出てきて楽しく話せた。

聞き手の態度によって話し手にどのような影響を与えるのかを体感することで、関係性を築くために欠かせないコミュニケーションをよりよくする方法について学びを得ていました

6. OST : 上司・トレーナーと素晴らしい関係性を創るために

ここまでのワークを踏まえて、自身が現場で抱えている課題や悩みに対して、OST(※)という手法を通して、対話をさらに深めていきました。

※今回のOSTは、簡易版であり、本来のベーシックなやり方ではありません。

※OSTとは、数人から数百人全員が一堂に会して話し合い、人々のコミットメントを引き出し、主体的な話し合いを通して垣根を超えた問題解決への取り組みを促すファシリテーションのプロセスです。ハリソン・オーエン(Harrison Owen)氏によって1985年に提唱されました。

最終的には、7グループに分かれて、下記のようなアウトプットが出てきました。それぞれにグループに、講師から問いを投げて、さらに探求を促しました。

【相槌】

<講師からのコメント>
業務の中で指摘された相槌の仕方をテーマに扱い、改善しようという意識を持って取り組んでいたことが素晴らしいです。サンプルもいくつかあり、納得感もあります。行動指針の実現性が気になるところではありますが、行動しながら良い方法を見つけていけると良いと思います。

【誰とでも本音で話せる関係を作るためのアクションプラン】

 

<講師からのコメント>
考えてくれている通り、Iメッセージで伝えることで相手は受け取りやすくなるので、ぜひアクションプランに取り組んでもらいたいと思います。ただ、そのために必要な興味を持つためにどうすればいいかということをもう一歩深掘りしてみると具体的に取り組みやすくなると思います。

【遠慮するな!!「自信」も「環境」も作り出せ!!】

<講師からのコメント>
入社してまだ4ヶ月の時点で自分の意見を持っていること自体が素晴らしいです。自分が変えられるところに焦点を置いて取り組む内容になっていることも良いですね。
ただ、「自信があると思い込む」という点ついては根性論みたいになってしまっているので、現実的にできるのか実践してみて、難しそうだったら他の案の解決策を見つけてみても良いかもしれないです。

【自分に求められていることの理解】

<講師からのコメント>
自分を客観視して捉えて成長していこうという思いが素晴らしいです。どれくらいのタスクで短期目標を立てるのか?ということをもう少し具体的にするといいのではないかと思います。ただ、短期目標ばかり続くとしんどくなる可能性もあります。その際に、目標の3つの種類【意義目標、成果目標、行動目標】の中でも、特に意義目標から上司とすり合わせを行うとより良くなると思います。

【自分の意見を大切に】

<講師からのコメント>
5つの行動指針が具体的で、網羅性もあって素晴らしいですね。ただ、5つを一遍に意識して行うことは大変だと思うので、皆さんお一人おひとりにとって、今何が最も優先度が高いのか?を考えて行動してもらうと、解決やすいかと思います。

【報連相の準備運動〜ステキな報連相をするために〜】

<講師からのコメント>
このチームの方々は、今回の課題に対して楽しく取り組んでいたことが印象的でした。楽しみながら課題と向き合うことも大切だと思います。こちらのチームも、今回挙げてくれた5つの行動指針を一気に行うのは難しいと思うので、今特に何を優先すべきかを考えられると行動しやすくなると思います。

【相手に対する思い込みと向き合い方】

<講師からのコメント>
今回の研修内で扱った内容を自分事と捉えている姿勢が素晴らしいです。また、一つの事象についてこのように時間軸で捉えて、分解すると何をすべきかが見えてきますね。この行動指針をすることで、みなさん自身にはどのような未来が待っていそうか?ということを想像しながら取り組めると、より主体的に行動しやすくなるのではないかと思います。

4)講師・アテンド所感

今回の研修では、周囲との関係性を築くうえで大切な「自身のあり方」を見つめ直し、自身の思い込みに気付いたり、他者視点を持てるようなワークを行っていきました。「判断保留」という今までなかった見方を知り、受講生の視野が少しずつ広がっているように感じました。
中には、『良い関係性を構築できるかは、上司やトレーナーの関わり次第』という考えを持っていた方が、『良い関係性を築くためには自分もできることがある』という気づきを得ている方もいました。

最後のワークで受講生の皆さん自身が考え抜いた行動指針をもとに、今自分ができることに取り組み、自分にも相手にも組織にもポジティブな影響があることを実感していただければ嬉しく思います。
※本研修の内容及び新入社員研修のご案内資料は、下記よりダウンロードいただけます。

研修の詳細について詳しく説明しておりますので、ぜひダウンロードください。

6月以降も、新入社員がその時期によって持つ悩みに即した研修を提供していますので、よければご利用くださいませ。

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