会議のチェックインとチェックアウトで得られる9の効果【そのまま使える】セリフ付き

更新日:

作成日:2024.6.12

「会議でチェックインやチェックアウトをやってみたいけれど、効果があるのか不安」
「チェックインの意義は、どうやってメンバーに説明すると良いのだろう」
「実際の会議で、どうやって進めると良い?」

こんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

会議でチェックイン・チェックアウトを行うことで次の9つの効果が得られます

会議でのチェックインの効果 第一声のハードルが下がる
参加者の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気がつくられる
関係の質が上がる
参加意識が高まる
参加者や場の状況が見える
会議でのチェックアウトの効果 率直な思いを聞ける
意思決定されたことへの主体性が強まる
会議の理解が深まる
参加者や場の状況が見える

本コラムでは、チェックイン・チェックアウトの具体的な進め方と、実施時に気をつけるべきこと、実際に得られる効果をお伝えします。

すぐに使えるセリフも用意していますので、読み終えたらすぐに活用できます。

チェックイン・チェックアウトを取り入れて、会議の質を高めましょう。

【参考】チェックインとチェックアウトとは

チェックインとは、会議の初めに今感じていることを参加者全員が発言するもので、会議におけるアイスブレイクの一つです。会議で参加者の緊張を和らげ、その後のコミュニケーションを円滑にしたり議論を活性化させたりする効果があります。

チェックアウトとは会議の終わりに今感じていることや今後について参加者全員が発言をする場です。会議が締まるだけでなく、改めて、今日決まったこと、課題の理解が深まるなどの効果があります。

執筆者プロフィール
迫間 智彦
X:@tohaza_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル
大学卒業後、大手通信会社、アルー(株)勤務後、2010年にアーティエンス(株)を設立。業界歴17年。大手企業から、中小企業、ベンチャー企業の人材開発・組織開発の支援を行っている。専門分野は、組織開発、ファシリテーション。

専門性:ファシリテーター管理職組織開発・組織変革

1)会議でのチェックイン・チェックアウトの具体的な進め方

会議でのチェックインの具体的な進め方

会議でのチェックインの具体的な進め方は、次の通りです。

1. 会議の目的・目標・アジェンダの共有後にチェックインを行うことを伝えて、チェックインのルールを説明する
  ↓
2. 「準備ができた人から、どなたからでもどうぞ」と伝える
  ↓
3. チェックインの内容を、ファシリテーターはただただ受け止める
  ↓
4. 全員のチェックインが終わったら本題に移る

具体的に、それぞれ説明します。

1.会議の目的・目標・アジェンダの共有後にチェックインを行うことを伝えて、チェックインのルールを説明する

会議が始まったらまずは会議の目的・目標・アジェンダを共有します。その後、チェックインを行う流れが一般的です。

会議が始まってすぐにチェックインを行うと、直前に行っていた仕事から頭を切り替えられてない人も多いでしょう。会議の概要を共有している間に、意識を切り替えてもらいます

チェックインの説明を伝える際に、下記のように伝えるといいでしょう。

「ホテルのチェックインと同じように、この場に入るという意味を指します。この場に集中するためにも、この場に関係ないことは一旦脇に置くためにも、一人一言話します。」

その後、チェックインでのルールを説明します。

チェックインのルールはファシリテーターを中心に決めてもらってよいですが、参考までにアーティエンスで行うチェックインのルールを紹介します。

このルールを設けることで、次のことを促しています。

・参加者が自ら自身の順番を選んで話すことで、主体性を促す
・最後まで相手の話を聴く
・無理やり盛り上げたり、ふざける場にしない
・何を話してもいいという安心安全な場をつくる
・正解・不正解を気にせず話せるようにする
・チェックインに時間をかけすぎない

これらのことを促せると、参加者がこれからの会議に集中する状態をつくっていけます。

以下は伝え方の参考です。チェックインのルールは読み上げていくだけでも効果があります。

「それではチェックインを行いたいと思います。
今の正直な気持ちや気になっていることなどをありのままに1分程度でお話しください。

チェックインは順番を決めないで、準備が整った人から順番に話します。
人の発言に対して質問したり突っ込んだりはしないでください。
無理に笑わせようなど、ウケ狙いにならないようにします。
嘘のない率直な発言によって、お互いの背景を理解し合い、相手のありのままを受容しやすくなります。拍手は必要ありません。」

2. 「準備ができた人からどなたからでも、どうぞ」と伝える

ルールを伝え終わったら、「準備ができた人からどなたからでもどうぞ」と伝えて、参加者のチェックインを待ちます。

初めは少し沈黙の時間があると思います。参加者がそれぞれ何を言うか考えている時間のため、沈黙を恐れすぎなくても大丈夫です。

ただし、チェックインが初めてなどで何を言っていいか分からないというケースが発生しそうなときは、ファシリテーターが関与しましょう。
ルールの際に具体例を言ったり、ファシリテーターが最初に出すことで、他の参加者が発言しやすくなります。

具体例としては「お昼を食べた後で少し眠いですが、頭を切り替えていきたいと思います」とか「少し風邪を引いていて鼻声なので、聞きづらいことがあれば聞き返してもらえると助かります」などを伝えると、イメージしやすいでしょう。

3. チェックインの内容を、ファシリテーターはただただ受け止める

参加者がチェックインを始めたら、それぞれのチェックインの内容をただただ受け止めます。無理やり表情を作らなくても大丈夫です。

ただ、オンラインだと、自分が思っているより表情が怖く見えてしまう可能性があるため、にこやかな表情でいることは意識すると、場に安心感が生まれやすくなります

また、ルールで拍手はしなくて大丈夫と伝えていても、拍手が起こる場合もあります。自然発生の拍手であれば、そのままでも大丈夫です。
意識的に行っているように感じた場合は、「拍手はしなくても大丈夫ですよ」と柔らかく伝えましょう。

なお、ファシリテーターはチェックインの内容やその時の参加者の様子を観察して、参加者の状態を確認します。参加者の状態に合わせて会議の進め方を調整できると、より質の高い会議を行えます。

例えば、忙しすぎて疲れていそうだなと感じたら、頭を会議に切り替えて集中してもらうためにも、チェックインを終えた後に伸びをしてリラックスを促すのも一つの方法です。

このようにチェックインでは、内容を受け止めて状態を観察し、会議の質を高めるための参考情報を得ましょう。

4. 全員のチェックインが終わったら本題に移る

全ての人がチェックインを終えたら、会議の本題に移っていきます。必ず全員がチェックインを行っているかの確認を忘れないようにしましょう

全員チェックインを終えたかなと思ったタイミングで「全員チェックインを終えましたか?」と問いを投げることで確認できます。

この段階で、チェックインできていない人がいると、仲間外れ感を感じて会議への参加意欲が低下しやすいため注意が必要です。

チェックインを行えなかったという人が出ないように、ファシリテーターは何名がチェックインを終えたかを確認しておくと安心です。

会議でのチェックアウトの具体的な進め方

会議でのチェックアウトの具体的な進め方は次の通りです。

1. 議題についての話が締まったらチェックアウトを行うことを伝えて、簡単に説明する
  ↓
2. 「準備ができた人からどなたからでもどうぞ」と伝える
  ↓
3. 全員のチェックアウトの内容を受け止める
  ↓
4. 会議を締める

具体的に説明します。

1. 議題についての話が締まったらチェックアウトを行うことを伝えて、簡単に説明する

議題についての話が終わったら、チェックアウトを行うことを伝えて、チェックアウトについて簡単に説明します。

伝え方の参考として、一例をお伝えします。

「それでは最後にチェックアウトをして終わりましょう。今思っていることを1分程度でありのままに出してもらえたらと思います。」

ルールはチェックインと同様のため、改めて伝えなくても大丈夫ですが、再度伝えた方が良さそうだと判断したら、このタイミングで伝えましょう。

また、チェックアウトで話す内容を考えるために1、2分程度内省する時間を渡しても良いです。少し振り返りの時間があると、頭が整理されて話しやすくなります

2. 「準備ができた人からどなたからでもどうぞ」と伝える

チェックアウトの説明をしたら、「準備できた方からどうぞ」などと伝えて、チェックアウトを始めます。

基本、一人一言感想が出て終わりになるので、チェックインほど介入する必要はありません

3. 全員のチェックアウトの内容を受け止める

チェックアウトが始まったら、それぞれの内容を受け止めながら聞きます。チェックアウトでは、会議の感想や、これからの想い、率直に「疲れてた」などの内容が出てくることが多いです。

他にも、会議では伝えられなかったことを伝える方もいます。

例えば「話しについていくことが精一杯で自分なりの意見が出せず申し訳ない気持ちです。ただ、会議で決まったことに対しては、自分ができることをしっかりやっていきたいです」などです。

このような率直な思いも含めてチェックアウトで出てくる内容を全て受け止めて、会議を締められるようにします

なおファシリテーターは、チェックアウトの内容や様子を観察し、会議がどんな場だったのかを振り返るための参考材料としましょう

例えば新規プロジェクトについての会議で、チェックインでは参加意欲が薄れていたけど、チェックアウトの際にはやる気を感じるコメントをしていた、というような変化がみられると、良い会議だったと会議を振り返られます。

チェックアウトの内容から他責感や孤独感などを感じると、会議の質が良い状態ではなかったのかもしれません。会議後のフォローも必要になるでしょう。

このようにチェックアウトの内容や状態を観察して、会議の振り返りの材料としましょう。

4. 会議を締める

全員のチェックアウトを終えたら、会議を締めます。チェックイン同様、チェックアウトをし忘れてしまう人が無いよう確認した上で、終わらせるようにしましょう

チェックインとチェックアウトに慣れていないうちは、この流れを型として行い、徐々に自組織に合ったやり方を見つけていくことをおすすめします。

2)会議でのチェックイン・チェックアウトの9つの効果

会議でのチェックインとチェックアウトの効果を紹介します。

会議でのチェックインの効果 第一声のハードルが下がる
参加者の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気がつくられる
関係の質が上がる
参加意識が高まる
参加者や場の状況が見える
会議でのチェックアウトの効果 率直な思いを聞ける
意思決定されたことへの主体性が強まる
会議の理解が深まる
参加者や場の状況が見える

会議でのチェックインの効果5つ

第一声のハードルが下がる

会議でチェックインを行うことで、第一声のハードルが下がります。発言することを苦手としている人でも、発言機会が与えられるためです。

チェックインでは全員がまず発言する機会を得るため、発言することに対する心理的な障壁が低くなり、その後の議論に参加しやすくなります。

特に、発言に対して不安や緊張を感じる人にとっては、会議の初めに一度発言することで心理的なプレッシャーが軽減されます。
チェックインは短く、内容も比較的個人的なものであるため、発言の内容に対するプレッシャーが少なく、自然に話しやすいです。これにより、発言のハードルが下がり、参加者全員が会議の一部として意識を高められます。

会議の参加者は発言をするのが得意な人ばかりではありません。控えめな性格の人や、受け身で仕事をすることが多い人は、可能な限り発言したくないと考えている可能性もあります。

しかし、そのような人が参加していると、会議の質が高まりづらくなるため、全員が発言をする機会を与えて、その後に発言しやすい雰囲気を作ることが必要です。

参加者の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気がつくられる

会議でチェックインを行うことで、参加者の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気がつくられます。メンバーのアンオフィシャルな一面を見ることができ、心理的距離が近づくためです。

チェックインは、自己紹介や近況報告、現在の気持ちを簡単に共有できる時間です。このプロセスを通じて、参加者は普段の業務とは異なる一面を見られるため、リラックスした雰囲気が作られます

例えば、いつも厳しい表情をしている人から子育てに翻弄されている話が出たり、穏やかそうに見えていた人が仕事に追われて大変という話をしている、というようなことがあると、人間味を感じて親近感を感じたり、話しやすさを感じたりします。

特に初めて参加する会議や新しいメンバーが加わった場合、チェックインを行うことで緊張を解きほぐし、安心感を持って会議に参加できる環境を整ええられます。

関係の質が上がる

会議でチェックインを行うことで、関係の質が高まります。相手の背景や状況を知れるためです。

例えば、最近行った場所のことについて話すことで、共通の話題が見つかるかも知れません。

普段の仕事では、プライベートな部分が見えづらいため、雑談が生まれづらい場合もあります。チェックインで少しプライベートが見えることで共通の話題が見つかり、会議後に雑談が生まれることもあります。
そのような状態を作れると、関係の質が上がるため、その後の仕事や次回の会議で、良い状態を作りやすくなります。

他にも、チェックインで体調が悪いと伝えていた方がいた際に、辛そうにしている様子に気づいて会議中にフォローすると、感謝の想いが生まれ、関係の質の向上に繋がります。

チェックインの内容によっては、会議中だけでなく、会議後の会話を促すことができるため、会議以外の場所でコミュニケーションが増えることで関係性が築かれていきます

参加意識が高まる

会議でチェックインを行うと、会議への参加意識が高まります。一度声を出すことで一人ひとりがその仕事の構成員であることを自覚しやすくなるためです。

発言する機会がないと、会議に参加していてもしていなくても気づかれないと考え、参加意識が強まらないケースもあります。

一度発言することで、参加者は意見が尊重されるという感覚を持ちやすくなります。これにより、自分もこの会議の重要な一部であるという認識が芽生え、会議全体に対する責任感や主体的な関与が促進されます

参加者や場の状況が見える

ファシリテーターとしては、チェックインを行うことで参加者や場の状況を確認できます。チェックインでは、参加者の素直な状態が現れやすいためです。

例えば、疲れている、忙しいといった内容が多い場合は、それに応じた進行方法や支援を考えられます。他にも、全体が緊張している場合は、リラックスさせるための軽いアイスブレイクを追加するといった対応もできます。上意下達が強い組織風土なども見えることもあります。

このように、ファシリテーターはチェックインを通して各参加者の心理状態や関係性、そしてその場への意欲なども把握できるため、その後の会議の進め方を調整し、より良い状態で会議を行えるようになります

会議でのチェックアウトの効果4つ

率直な思いを聞ける

会議でチェックアウトすることで、参加者全員の率直な思いを聞けます。会議の終了時点での感想は新鮮で具体的なため、参加者は感じたことをそのまま表現しやすいです。

例えば、「会議で〇〇を決められてスッキリしています。自分の役割についてしっかり努めていきたいです」といった前向きな想いが聞けるかもしれません。

他にも、「会議中には伝えられなかったけど、本当は〇〇と思っていました。ただ、意思決定されたことでその想いが含まれていて嬉しかったです」というように、伝えきれななかった想いや考えを伝えられることもあります。

また、「〇〇について△△なのではないか?と思っていた部分もあったので、これから調査していきたいです」とか「私の〇〇という発言についてもしかしたら誤解が起きているかもしれないのですが〜〜ということです」というように、気がかりになっていることを伝えられる場でもあります。

このように、チェックアウトを行うことで、会議だけでは出せなかったそれぞれの思いを聞ける場合もあります。そして、その内容を聞くことで、よりお互いを理解し合い、協働していく仲間として良い関係を築いていくことにもつながります

会議の理解が深まる

会議でチェックアウトをすることで、会議の理解が深まります。会議を受けての感想や気づきを出し合うことで、簡単な振り返りの場となるためです。

会議で見落としていた部分に気づいたりするなど、理解が一層深まるということが起きます。

他にも、他の参加者の感想や気づきを聞くことで自分の視点が広がり、多角的な視点で会議を理解できることで、議題についてより深く考える状態がつくられます。

会議の理解が深まることで、次回の会議の質の向上につながったり、最終的なアウトプットの質が高まることが期待されます

意思決定されたことへの主体性が強まる

会議でチェックアウトをすることで、意思決定されたことへの主体性が強まります。意気込みを含んだ内容を出すことで意思決定された内容に対する責任感が高まるためです。

チェックアウトでは、会議で意思決定されたことに対する意気込みを伝える人も多いです。
例えば、「〇〇について△△というゴールを達成できるように、自分なりにできることを取り組んでいこうと思います」などです。

すると、参加者は議論や決定についての責任感や当事者意識を感じ、今後の行動につなげやすくなります。

その結果、会議での意思決定された内容に対する自己の役割や責任をより強く意識し、それに従って行動しようとする動機が生まれます

参加者や場の状況が見える

会議でチェックアウトをすることで、参加者や場の状況が見えます。参加者が自身の意見や感想を自由に表明できるためです。

例えばチェックアウトで「いまいち結果が出ていない状況に落ち込んでいましたが、今日の会議で決まったことを行なっていくことで希望が見えそうだなと感じました」というようなコメントがあったとします。
このコメントから、会議での意思決定に納得していて、前向きに取り組める状態になっていそうだということがわかります。

このようにチェックアウトでは議論の理解度や、納得度、主体性の度合いが現れやすいです。
これらのことを知ることで、実行フェーズに移った際のフォローの仕方などをより良い方法で実施できるため、成果の質の向上につながります

このように、会議でチェックイン・チェックアウトをすることの効果はたくさんあります。チェックイン・チェックアウトを実施することでこれらのメリットをうまく活用して、会議の質や成果の質を高めていきましょう。

3)会議でのチェックイン・チェックアウトで気をつけたほうがいいこと7つ

会議のチェックイン・チェックアウトで気をつけたほうがいいことについてお伝えします。これらのことが守られていないと、効果が軽減してしまうため十分に注意しましょう。

チェックイン・チェックアウトで
気をつけたほうがいいこと
チェックイン・チェックアウトを行う時間をあらかじめ設けておく
ルールを設ける
話す順番を決めない
テーマを決めすぎない
適切な人数で行う
会議でのチェックインで気をつけたほうがいいこと 状況に応じてファシリテーターが関与する
会議でのチェックアウトで気をつけたほうがいいこと 内容や状況を観察し、会議をより良くしていくために次に活かせるようにする

会議でのチェックイン・チェックアウトで気をつけたほうがいいこと

チェックイン、チェックアウトを行う時間をあらかじめ設けておく

チェックインとチェックアウトの時間を事前に設けておくようにしましょう。時間を設けていないと、会議が長引く原因となり、面倒臭さを感じさせてしまいます

会議が長引くと、次の仕事に支障が出る可能性もあり、ネガティブな影響を与えやすいです。

特にチェックアウトでは、「次の仕事があるのに…。早く終わってくれないかな」という思いが出てくると、他の人のチェックアウトを聞くことなく、次の仕事の準備を始める人もいます。
これでは効果を出せません。

しっかりとチェックイン・チェックアウトの効果を発揮できるようにするためにも、会議のアジェンダにそれらの時間を設けておくことが必要です。

時間は、チェックイン・チェックアウトを行う人数×1分30秒+バッファ人数×30秒程度をみておきましょう。

ルールを設ける

チェックインとチェックアウトを行う際のルールを設けておきましょう。ルールがないと、混乱が起きたり、効果が発揮されなくなります

例えば、ルールを設けずにチェックインを行い、人の発言に突っ込むようなことが起きると、その状態に対してのフォローが難しくなります。

ルールで決まっていると、「ルールなので注意しましょう」と伝えられますが、そうでないと、なぜダメなのかを説明しなければならなくなります。すると、時間を使ってしまうためになるため、肝心な議題の話に時間が割けなくなります。

会議の時間は限られていることが多いため、事前にルールを設けてそのルールの中でチェクインとチェックアウトを行うことをおすすめします

なお、アーティエンスでは、チェックインもチェックアウトも次のようなルールを設けることが多いです。

このルールを参考に、自組織なりのルールを設けていきましょう。

話す順番を決めない

話す順番を決めないこともポイントです。話す順番を決めないことで、誰かがコントロールする場ではなく、主体的に参加を求めていることが伝わるためです。

特に上下関係がはっきりしている組織だと、なんでも役職順になりやすいため、話す順番を決めずに準備ができた人から話す、状態を作るようにしましょう

なお、話す順番を決めないルールを設けているにもかかわらず、役職順になってしまっていると感じた場合は、ファシリテーターが「今日は順番は気にせず行いましょう」と一言介入するといいでしょう。

テーマを決めすぎない

チェックインとチェックアウトではテーマを決めすぎないようにしましょう。テーマがあまりに具体的で狭い範囲に絞られていると、参加者が自由に意見や感想を述べることが難しくなり、会議の効果や参加者の主体性が制限されるためです。

そのため、基本的には今の気持ちを話してもらうことをおすすめします。

ただし、キックオフミーティングや初対面の人が多い場合は、誰がどんな仕事をしているのかがわからないと話しづらさがあるため、話す内容を具体的にしても良いです。例えば、「名前、部署、仕事内容を伝えてもらった上で今の気持ちを話しましょう」と伝えるなどです。

また、チェックイン・チェックアウトで期待することに合わせてあえてテーマを決める、という方法もあります。

例えば、参加者同士で関係性を築きたいという場合は「最近ハマっていること・マイブーム」を伝えてもらい、休憩時間などに会話をしやすい状態を作るのも一つの方法です。他にも、会議を前向きに始めたいという場合は「1週間以内に起きたうれしかったこと楽しかったこと(good & new)」というテーマを設けて話してもらうこともあります。

このように、基本的にはテーマを決めないことを推奨しますが、場合によってテーマを決めるという方法があることも理解し、適切に使い分けるようにしましょう

適切な人数で行う

チェックインとチェックアウトは適切な人数で行いましょう。それぞれの効果が弱くなるためです。

多すぎると時間がかかりすぎて、集中力が途切れることもあります。

時間が限られている会議で人数が多い場合は、3名以上5名以下程度が良いでしょう。オンラインの場合はブレイクアウトルームに分かれて行ってもらいましょう。

ただ、会議の内容によっては時間がかかっても全員でチェックイン・チェックアウトを行った方がいい場合もあります。

例えば、あるベンチャー企業の事例ですが、50人以上が1時間くらい時間をかけてチェックイン・チェックアウトを行うこともありました。自組織の未来に関して、徹底的に話し合うという会議のものです。全員に当事者意識・主体性を持ってほしいという願いを込めて、全員が一言話すという場を設けました。その結果、一体感を持って皆が納得する意思決定を導き出す会議を行えました。

このように、基本的には3~5名程度での実施を推奨しますが、場合によって全体で行う方がいいということも理解しておきましょう

会議でのチェックインで気をつけたほうがいいこと

会議でのチェックインで気をつけた方がいいこととしては、ファシリテーターの関与具合です。

チェックインは会議が始まってすぐに行うため、参加者が緊張していたり、会議に意識を向けられていない場合があります。特に初めてチェックインを行うと、何を話したらいいのかわからず、停滞してしまう、ということもおきます。

そのような際はファシリテーターが柔軟に関与してチェックインしやすい環境を整えましょう

例えば、具体例を出したり、チェックインで話すことは評価とかに関係することはないということを伝えるなどすると、率直な思いが出やすくなります。
チェックインという言葉に馴染みがない場合は「口を動かすという肩慣らしのアイスブレイクです」と説明を加えてもいいでしょう。

また、相手に目線を向けて、頷くなど聞いていることがわかるということを伝えることも大切です。そのような姿勢を感じると話し手が安心して話せるようになります。

チェックインをすることによって、会議の質を上げていくことが目的のため、そのことを意識した言動を心掛けましょう。

会議でのチェックアウトで気をつけたほうがいいこと

会議でのチェックアウトで気をつけた方がいいことは、参加者の状態を確認し、次に活かせるようにすることです。

チェックアウトは、会議の終了を迎える前に参加者が会議での議論や活動に対する感想を共有する時間です。
この時、ファシリテーターは参加者の状態を確認し、次のステップにつなげるためのアクションを促す役割を果たせると、次回以降の会議の質が高まり続けます

例えば、集中力が続いていない人が多かったら、会議の時間を短くして、会議の回数を増やすようにする、という判断をすることもできます。
会議で話づらそうな人が見受けられたら、次回以降場のレイアウトを変えたり、意見の出し方を変えるという対策を行うこともできます。

具体的な対策案は「会議の質を劇的改善!会議の生産性を上げる、今すぐできる具体的な対策案」のコラムをご覧ください。

チェックアウトで得た情報を次に活かせるかどうかで、会議の質をより良くしていけるかどうかが変わってくるため、有効活用できるように次に活かすことに意識を向けることが大切です。

このように、会議でのチェックイン・チェックアウトで気をつけた方がいいことを意識して、より良い会議の場を作れるようにしましょう。

4)まとめ|会議の質を高めるにはファシリテーションスキルが効果的

本コラムは会議で効果的に活用するためのチェックイン・チェックアウトのやり方と気をつけるべきことをお伝えしました。


会議でのチェックインの具体的な進め方は、次の通りです。

1. 会議の目的・目標・アジェンダの共有後にチェックインを行うことを伝えて、チェックインのルールを説明する
  ↓
2. 「準備ができた人から、どなたからでもどうぞ」と伝える
  ↓
3. チェックインの内容を、ファシリテーターはただただ受け止める
  ↓
4. 全員のチェックインが終わったら本題に移る

会議でのチェックアウトの具体的な進め方は次の通りです。

1. 議題についての話が締まったらチェックアウトを行うことを伝えて、簡単に説明する
  ↓
2. 「準備ができた人からどなたからでもどうぞ」と伝える
  ↓
3. 全員のチェックアウトの内容を受け止める
  ↓
4. 会議を締める

チェックインとチェックアウトに慣れていないうちは、この流れを型として行い、徐々に自組織に合ったやり方を見つけていくことをおすすめします。

会議でのチェックインとチェックアウトの効果を紹介します。

会議でのチェックインの効果 第一声のハードルが下がる
参加者の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気がつくられる
関係の質が上がる
参加意識が高まる
参加者や場の状況が見える
会議でのチェックアウトの効果 率直な思いを聞ける
意思決定されたことへの主体性が強まる
会議の理解が深まる
参加者や場の状況が見える

チェックイン・チェックアウトを実施することでこれらのメリットをうまく活用して、会議の質や成果の質を高めていきましょう。

会議のチェックイン・チェックアウトで気をつけたほうがいいことについてお伝えします。

チェックイン・チェックアウトで
気をつけたほうがいいこと
チェックイン・チェックアウトを行う時間をあらかじめ設けておく
ルールを設ける
話す順番を決めない
テーマを決めすぎない
適切な人数で行う
会議でのチェックインで気をつけたほうがいいこと 状況に応じてファシリテーターが関与する
会議でのチェックアウトで気をつけたほうがいいこと 内容や状況を観察し、会議をより良くしていくために次に活かせるようにする

これらのことが守られていないと、効果が軽減してしまうため、十分に注意しましょう。

なお、アーティエンスでは、チェックイン・チェックアウトだけでなく、他の方法でも会議の質を高めるための会議ファシリテーション研修を実施しています

高品質な会議は生産性向上、決断の迅速化、創造力の活性化、そしてチームワーク強化につながります。しかし、多くのビジネスリーダーは効果的な会議の進め方を十分に把握できていません。

そこで当社では「社員一人ひとりが会議に積極的に貢献し、成果を出せる会議」の実現に向けて、実戦的な会議運営スキル提供しています。

会議に課題を感じている方は、ぜひご相談ください。こちらから直接スケジュールを予約することも可能です。
会議の変革をして、企業全体のパフォーマンスを高めていきましょう。