マタハラ問題を解決しよう。マタハラの定義・種類、防止方法・起きた時の対策まで解説

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マタハラ

「結婚している女性社員が増えてきた。マタハラへの対策を検討した方が良いかもしれないな…」

このような課題をお持ちの方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

近年は妊娠・出産後も女性が働き続けることが増えています。結果、組織としての妊婦への接し方が課題になっています。

一方で前例が少ないことや、制度が整っていないことも多く、見えていないところでマタハラが起きやすい状況です。

本コラムでは、職場におけるマタハラについてお伝えした上で、マタハラを防ぐための具体的な施策についてお伝えします。
マタハラは性別に基づく差別の一つで、女性のキャリアや健康に深刻な影響を与えます。優秀な女性社員をマタハラで失うことなく、社員が安心して仕事をできる環境を作りましょう

このコラムで分かること

  • 職場における2種類のマタハラとは
  • マタハラの判断基準
  • マタハラが起きる原因と対策
執筆者プロフィール
森川 友晴
チェリッシュグロウ(株)代表。業界歴15年以上。大手外食チェーンにて店舗業務、人事部、教育部などを経験した後、アルー(株)に転職。研修教材やコンテンツ開発のマネジメントを行う。 現在は、研修講師、中学高校や企業のカウンセラーとして企業と個人の支援を行っている。

専門性:インタラクショナルデザインコーチング、キャリア開発、メンタルヘルス/レジリエンス

1)職場におけるマタハラとは

「マタハラ」とは「マタニティ・ハラスメント」の略称で、「職場」において上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」の就業環境が害されることをいいます。

「職場」とは、労働者が通常働いている職場だけでなく、出張先や職務の延長と考えられる飲み会なども職場に該当します。
「労働者」とは、正社員だけではなく、契約社員、パートタイム労働者など、事業主が雇用するすべての労働者のことを指します。

妊娠の状態や育児休業制度等の利用等と嫌がらせとなる行為に、因果関係のあるものがハラスメントに該当します。

なお、妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度利用等を理由として、事業主が行う解雇、減給、降格、不利益な配置転換などの行為は「ハラスメント」ではなく「不利益取扱い」となります。

「ハラスメント」と「不利益取扱い」の違い

妊娠・出産等に関するハラスメントは、上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した労働者の就業環境が害されることをいいます。

一方、不利益取扱いは、女性労働者が妊娠・出産したこと、産前・産後休業を取得したこと、妊娠中の時差出勤などを理由として、解雇、減給、降格等の不利益な取扱いを受けることです。具体例は次の表の通りです。

事業主が「妊娠・出産」「育児休業等の申出や取得等」を理由とする解雇等の不利益取扱いをすることは、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法で禁止されています。

平成29年1月からは、妊娠・出産、育児休業等に関する上司・同僚による就業環境を害する行為を、従来から禁止されていた事業主が行う「不利益取扱い」と区別し、「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」と整理し、事業主に対して防止対策を講じることが義務づけられています。

マタハラについての知識がないために女性が辛い思いを経験することがないように、マタハラについて正しく理解し、防ぐことが必要です。

2)マタハラの2つの種類

マタハラには大きく2つの種類があります。

2-1.制度等の利用への嫌がらせ型

制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラは、出産・育児に関連する社内制度の利用に際し、当事者が利用をあきらめるざるを得ないような言動で制度利用を阻害する行為をいいます。

出産・育児に関連する社内制度とは、例えば、産前産後休暇や子供の看護休暇、妊娠中の軽易な業務への転換などです。

これらの制度を利用したいと伝えた際に、解雇を示唆したり、制度の利用を阻害したり、制度を利用することで嫌がらせを行った場合に、制度等の利用への嫌がらせ型のハラスメントといえます。

制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラの例

●産休の取得について上司に相談したところ、「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われる

● 妊婦健診のために休暇を取得したいと上司に相談したら、「病院は休みの日に行くものだ」と相手にしてもらえない

●産休の取得を利用することが決まっている社員に対して、過度に多い仕事を渡し、「今後産休を取られると仕事が終わらないから、この仕事は今日中に終わらせろ」と言う

2-2.状態への嫌がらせ型

状態への嫌がらせ型のマタハラは、出産・育児などによる就労状況の変化等に対し、嫌がらせをする行為をいいます。

状態というのは、妊娠や出産、産後休業、妊娠による体調不良で労働効率が低下している状態のことを指します。そのような状態にいる人に対して、解雇などを示唆したり、嫌がらせをすることがあると、状態への嫌がらせ型のマタハラといえます。

状態への嫌がらせ型のマタハラの例

●上司に妊娠を報告したところ、「次回の契約更新はないと思え」と言われる

● 上司から「妊婦はいつ休むか分からないから、仕事は任せられない」と雑用ばかりさせられる

●同僚から「こんな忙しい時期に妊娠するなんて信じられない」と繰り返し言われ、精神的に落ち込み業務に支障が出ている

職場におけるマタハラは大きくこの2つに分けられますが、これらに当てはまらなかったらマタハラではない、ということではありません。

社員の状況に対してマタハラの可能性がある場合は、判例を参照したり、専門家に相談することをおすすめします

3)マタハラの判断基準

マタハラをはじめ、ハラスメントに明確な判断基準はなく、その時の状況等によって判断が異なります。
ただし、マタハラを判断する上でのポイントは、対象者が妊娠・出産した「女性労働者」で、妊娠・出産や、育児などを原因とした言動であり、女性労働者が安心して働ける環境を妨害する行為であることだと言えます。

妊娠中は、ホルモンバランスの変化やつわりによって頭痛が起こりやすくなることがあります。このような状態では、頭痛のために仕事を休憩しながら行う必要が出てくるかもしれません。
しかし、その状態を理解せず「妊娠してるからって仕事をサボっていいわけじゃないんだけど。業務中なんだからさっさと仕事してよね」などというのは、マタハラになります。

このように妊娠や出産、育児のことを理解せずに、そのことを理由に安心して働ける環境を妨害するような言動を行うのはマタハラとなる可能性が高いです。

ただ、次のような場合は、業務上の必要性に基づく言動のため、ハラスメントには該当しません。

「制度等の利用」に関するハラスメントに該当しない言動の例

●業務体制を見直すため、上司が育児休業をいつからいつまで取得するのか確認すること。

●業務状況を考えて、上司が「次の妊婦健診はこの日は避けてほしいが調整できるか」と確認すること。

●同僚が自分の休暇との調整をする目的で休業の期間を尋ね、変更を相談すること。

※制度等の利用を希望する労働者に対する変更の依頼や相談は、強要しない場合に限られます。

「状態」に関するハラスメントに該当しない言動の例

●上司が、長時間労働している妊婦に対し「妊婦には長時間労働は負担が大きいだろうから、業務分担の見直しを行い、あなたの残業量を減らそうと思うがどうか」と配慮する。

●上司・同僚が「妊婦には負担が大きいだろうから、もう少し楽な業務にかわってはどうか」と配慮する。

●上司・同僚が「つわりで体調が悪そうだが、少し休んだ方が良いのではないか」と配慮する。

※上記の配慮については、妊婦本人にはこれまで通り勤務を続けたいという意欲がある場合でも、客観的に見て、妊婦の体調が悪い場合は業務上の必要性に基づく言動となります。

このように、妊娠・出産した女性労働者の思いを確認しながら状況に応じて働き方や業務内容を調整することはハラスメントには該当しません。

マタハラを避けるためには、妊娠・出産した女性労働者とコミュニケーションをとりながら一緒に今後のことを考える姿勢を持つことが大切です。

4)マタハラによって生じる6つのリスク

職場でマタハラが起きると、組織はさまざまなリスクを負うことになります。社員や世間が組織に対して不信感を持つためです。

具体的なマタハラのリスクとして次の6つのことが挙げられます。

①組織に対する金銭的負担の発生

妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等を理由として、事業主が解雇、減給、降格、不利益な配置転換などの不利益な取扱いを行うことは違法です。

法違反の不利益取扱いを行った場合、行政指導や、悪質な場合には事業主名を公表されます。それだけではなく、裁判の結果、解決金や損害賠償金、慰謝料を支払わなければならなくなる可能性もあります。

②世間からのイメージダウン

世間から「人格や常識に問題がある社員が属する組織」だと見なされて組織のイメージが低下し、将来の成長や存続にも影響することとなります。

このようなイメージダウンは、顧客や取引先、パートナー企業、そして社会全体からの信頼を失うことにつながり、組織の信頼性やブランド価値を損なう恐れがあります。

③社員から組織に対する不信感の向上

被害者や周囲の社員は、組織がマタハラを許容していると感じたり、適切な対応がされないと感じる場合、組織の考え方を容認できないと感じ不信感が募ります。

その不信感は、社員のモチベーションやエンゲージメントを低下させ、離職率や組織内の不和につながります。

④人材の流出

マタハラ被害者やその周囲の社員は、安全で健全な職場環境を求め、マタハラが許容されている組織から離れようとします。

特に優秀な人材は不快な職場に所属し続ける意味が少ないため、より良い職場を目指し、組織を離れることを選択する可能性が高いです。すると組織の業績の悪化につながります。

⑤人材確保の難航

マタハラによる「世間からのイメージダウン」は人材確保にも影響します。

人材確保が難しくなると、組織力の低下、人員不足による問題の多発など、様々な問題に波及していきます。

⑥生産性の低下

マタハラ被害者は妊娠や出産、育児で周囲の人に迷惑をかけてしまっているという罪悪感が募り、精神的な苦痛やストレスを抱え、職場への安心感を感じられず居心地が悪い状態が続きます。仕事への集中力や意欲にも影響が出て、業務の効率や品質に悪影響を及ぼします。

また、周囲の社員は、今後、自身が妊娠や育児をする際に、同じく辛い状況になることを感じて妊娠や育児を前向きに捉えられなくなる可能性があります。特に仕事と子どもを授かることを望んでいる社員は組織に対してネガティブな印象を抱き、組織へのエンゲージメントが低下する要因になります。

このようなリスクを負わないようにするためにも、マタハラへの対策を行い、マタハラが起きない組織にする必要があります。

5)マタハラが起きる原因

マタハラが起こる原因として、次の4つのことが考えられます。

①職場に余裕がない

職場に人材が不足していると、妊娠中の従業員に対する適切なサポートが難しく、マタハラが起きやすくなります。妊娠による体調の変化や健康上の問題に柔軟に対応するためには、臨時の休暇や業務の調整などが必要になるためです。

例えば、妊婦の健診や体調不良で休みを取得されると、仕事が回らなくなったり、他のメンバーの負担が大きく増えてしまう場合は、妊娠している人に対して嫌味を言いたくなりやすくなります。

このように組織が余裕を持った人材の確保をできていないと、妊婦がいるチームのメンバーが疲弊を感じ、その疲弊を妊婦に対する嫌がらせで発散する状況を作ってしまいます

②労働環境や制度上の不備

職場に妊婦がいることの労働環境や制度が整っていないと、マタハラが起きやすくなります。どのように対応すればいいのかがわからなくなるためです。

例えば、社員から妊娠したと相談があった時の確認事項や今後の流れなどが定まっていないと、妊婦や他のメンバーに対してどのようなフォローを行うべきかを考えられません。

このように組織で妊娠や出産、育児を行う社員が発生した際の対応方法が未定では、適切なフォローを行えず、妊婦自身や他のメンバーにとっても負担感が募り、マタハラが起きやすくなります

③社員の妊娠・出産・育児への理解不足・協力不足

社員の妊娠・出産・育児に対する理解が不足しているとマタハラが起きやすくなります。妊娠や出産に対する理解が十分でない場合、同僚や上司から無神経な発言や行動がなされる可能性があるためです。

特に男性が多くを占める組織では、妊娠・出産を実体験として経験できないため、理解してもらうことが難しい場合が多いです。
例えば「元気そうに見えるのに休んでずるい」とか、「まだお腹が大きくなっていないんだから動けるでしょ?」などという言葉を伝えてしまう可能性があります。

妊娠・出産によって女性はどのような変化を感じるのかを知らないことで、無意識のうちに相手を傷つけてしまうことがあります

④専業主婦があたりまえという強い価値観

結婚したら専業主婦になるのがあたりまえという価値観が強い人が経営層や上司にいると、マタハラが起きやすくなります。女性が結婚や出産をすることが仕事への不利益とみなされ、職場での扱いが不公平になる可能性があるためです。

例えば、女性社員に対して結婚や出産によるキャリアへの影響を強く意識し、それを理由に業務の割り当てやプロジェクトへの参加を制限したり、昇進や昇給の機会を制約するということが起きやすくなります。

このように妊娠や結婚、子育てが組織にネガティブな影響を与えると感じている人が多くいる組織では、マタハラが起きやすくなります

このようなマタハラが起きる原因を理解した上でマタハラへの対策を行う必要があります。

6)マタハラを防ぐ方法

マタハラを防ぐ方法を5つ紹介します。

①組織のハラスメント方針等の明確化・周知

組織のハラスメント方針を明確にし、全従業員に周知することは、マタハラを防止するために重要な措置です。方針が明確であれば、従業員は自分の行動が適切かどうかを判断しやすくなるためです。

どのような行動がマタハラに該当するかを知り、被害者がマタハラの問題を報告しやすくすることは、マタハラの防止につながります。

周知の方法としては、社内の掲示板や社内報、会社のウェブサイトなどでの掲載や、入社時の説明会、ハラスメント研修などの機会を活用して伝える方法があります。
組織の方向性について質問があれば受付、答える体制も整えておきましょう。

このように社員全員に対して組織のハラスメントの方針などを理解してもらうことで、マタハラの発生を抑えることにつながります

②妊娠・出産・育児に関する制度を整える

組織の中で妊娠・出産・育児に関する制度が整っていない場合は、制度を整えることが必要です。妊娠や出産に伴う本人と周囲のメンバーの不安が軽減され、お互いが安心して働けるためです。

具体的には、妊娠中や出産後の休暇制度、育児休業や育児休暇中の給与補償、フレキシブルな勤務時間やリモートワークの選択肢、子どもを連れて職場に来れる設備や施設の提供などを検討しましょう。

妊娠・出産期に関する法律や制度については厚生労働省委託の働く女性の心とからだの応援サイトの資料に詳しくまとまっているため、参考にしてみると良いでしょう。

③マタハラについて教育する機会の設置

マタハラを防ぐためには、マタハラについての教育を行う機会も重要です。自分の行動がどのような影響を及ぼすかを認識し、適切な行動を取れるようになるためです。

妊娠、出産、育児に関するハラスメントの定義を学び、ケーススタディに対してどのように対応するかを考える機会を設けます。一度自分なりの対応方法を考えておくと、実際にそのような場面に出会したときに相手を不快にさせない対応方法を意識できるようになります。

また、妊娠、出産における女性の体調の変化を知ることも一つの方法です。

マタハラについて学習する際は一人ではなく、公開講座など多種多様な人が集まる場を作れると良いでしょう。マタハラは個人の考え方や感じ方の違いを知ることで理解が深まるためです。

アーティエンスでもマタハラに関する研修を実施しています。詳細について知りたい方は、こちらからお問い合わせ下さい

マタハラについて教育する機会を設けることで、自身の言動や他者からの言動が適切なものであるのかを考えられるようになります

④妊娠・出産した本人の希望を確認する機会の設置

妊娠・出産した本人と組織がお互いの思いを理解し合う場を設けることは、マタハラを防ぐ上で重要です。認識のズレをなくし、お互いの思いを統合しやすくなるためです。

妊婦といっても人それぞれ状態は異なりますし、仕事への向き合い方も異なります。一部の妊婦は仕事に対する意欲を維持したい一方で、他の人は身体の変化やストレスによって仕事を軽減したいと感じるかもしれません。

妊娠・出産した本人とコミュニケーションを取り、仕事と家庭の両立を支援する制度や環境を整えることで、マタハラを防止できます。またこうした取り組みは、組織と社員の関係が円滑に保たれ、生産性や労働環境の向上にもつながります。

⑤相談・苦情に応じる体制の整備

マタハラが起きないようにする対策として、相談・苦情に応じる体制を整備ことも必要です。相談しづらい状況がフォローを遅らせ、マタハラを起こし続けるためです。

例えば、組織内に相談窓口につながるメールアドレスを用意して相談のハードルを下げて連絡しやすくする方法があります。このときに必ず守秘義務を約束しましょう。相談内容が漏れてしまうのではないかという不安があると相談できないためです。

また、相談窓口以外の社員はメール内容を見られない設定にしておくことも必要です。

他には、外部カウンセリングと契約してカウンセラーに相談できるようにする方法もあります。第三者だからこそ安心して話せる場合もあります。また、プロのカウンセラーのため受け入れてくれるだろうという安心感もあるでしょう。

このようにマタハラにあった時に安心して相談できる場所を設けておくことで、マタハラを阻止しやすくなります

このような対策を行い、マタハラを未然に防ぐことが大切です。

7)マタハラが起きた時の組織としての対応方法

マタハラが起きた時は、次のプロセスで対応しましょう。

①事実確認を行う

ハラスメントの疑いが浮上した場合、まず組織は公平で客観的な立場から事実を確認することが重要です。
被害者や行為者からの話だけでなく、証人からの証言や関連する文書や電子メッセージの調査、監視カメラ映像の確認などを通じて、事件の全体像を正確に理解します。

事実確認は公平かつ中立的なプロセスで行い、透明性を確保する必要があります。

②処分やフォローを講じる

事実確認の結果、ハラスメントが確認された場合、組織は適切な措置を講じます。

加害者には懲戒処分や教育プログラムの参加を求めるなど、ハラスメントの内容に応じた懲戒処分を科すことになります。この処分については、法律も関わることのため、専門家と相談しながら慎重に行う必要があります。

被害者に対しては被害者の意向や安全を最優先に考慮し、適切にフォローアップします。精神的なフォローが必要な場合は産業医と連携して専門家の力も借りましょう。

他の社員がハラスメント問題のことを認識している場合は、社員全体へのフォローも必要です。余計な不安を感じさせず、安心して業務に取り組める状態にすることを意識してフォローしましょう。

加害者と被害者、そしてほかの社員にとって、適切な処分とフォローすることで業務を遂行できる状態にします

③再発防止策を検討し実施する

今後同様の問題が再発しないようにするために、組織は再発防止策を検討し実施します。
ハラスメントが起きたことで社員や世間からネガティブな印象を持たれていることが多いため、事実と対策を明確に提示し、再発防止と共に信頼を取り戻していくことが必要です。

これらのプロセスで対応し、マタハラの被害を最小限に抑えた上で、再発防止に努めましょう。

8)まとめ|マタハラ対策の研修はアーティエンスにお任せ!

本コラムでは、職場におけるマタハラについてお伝えした上で、マタハラを防ぐための具体的な施策についてお伝えしました。



「マタハラ」とは「マタニティ・ハラスメント」の略称で、「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」の就業環境が害されることをいいます。

妊娠の状態や育児休業制度等の利用等と嫌がらせとなる行為に、因果関係があるものがハラスメントに該当します。

マタハラには大きく2つの種類があります。
1つ目:「制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラ」
出産・育児に関連する社内制度の利用に際し、当事者が利用をあきらめるざるを得ないような言動で制度利用を阻害する行為をいいます。

2つ目:「状態への嫌がらせ型のマタハラ」
出産・育児などにより就労状況が変化したことなどに対し、嫌がらせをする行為をいいます。

職場におけるマタハラは大きくこの2つに分けられますが、これらに当てはまらなかったらマタハラではない、ということではありません。社員の状況に対してマタハラの可能性がある場合は、判例を参照したり、専門家に相談することをおすすめします。

マタハラをはじめ、ハラスメントに明確な判断基準はなく、その時の状況等によって判断が異なります。ただ、マタハラを判断する上でポイントとなるのは、対象者が妊娠・出産した「女性労働者」で、妊娠・出産や、育児などを原因とした言動であり、女性労働者が安心して働ける環境を妨害する行為であることだと言えます。


マタハラとならないようにするためには、妊娠・出産した女性労働者とコミュニケーションをとりながら一緒に今後のことを考える姿勢を持つことが大切です。



職場でマタハラが起きると組織として次の6つのリスクを負うことになります。
・組織に対する金銭的負担の発生
・世間からのイメージダウン
・社員から組織に対する不信感の向上
・人材の流出
・人材確保の難航
・生産性の低下

このようなリスクを負わないようにするためにも、マタハラへの対策を行い、マタハラが起きない組織にする必要があります。

マタハラが起こる原因としては、次の5つのことが考えられます。
・職場に余裕がない
・労働環境や制度上の不備
・社員の妊娠・出産・育児への理解不足・協力不足
・専業主婦があたりまえという強い価値観

このようなマタハラが起きる原因を理解した上でマタハラへの対策を行う必要があります。

マタハラを防ぐ方法を5つ紹介します。
・組織のハラスメント方針等の明確化・周知
・妊娠・出産・育児に関する制度を整える
・マタハラについて教育する機会の設置
・妊娠・出産した本人の希望を確認する機会の設置
・相談・苦情に応じる体制の整備

このような対策を行い、マタハラを未然に防ぐことが大切です。

マタハラが起きてしまった際は、適切なプロセスで対応し、マタハラの被害を最小限に抑えた上で再発防止に努めましょう。

アーティエンスでもマタハラをはじめ、ハラスメントに関連するサービスを実施しています。
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マタハラは性別に基づく差別の一つで、女性のキャリアや健康に深刻な影響を与えます。優秀な女性社員をマタハラで失うことなく、社員が安心して仕事をできる環境を作りましょう。