2023年8月18日に
『【離職対策】優秀な若手・新入社員の早期離職の本音を知るセミナー』をテーマに、Growth Meetingを開催しました。(参加数:10社10名)
目次
・「優秀な若手・新入社員が辞める理由は何だろう?」
・「人事や現場の育成担当として、できるフォローは何か」
について、登壇者のパネルディスカッションをもとに、探求していきました
若手・新入社員に回答していただいているGrowth全体結果を共有しました。
※ Growthとは 若手・新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの向上を目的とした、振り返りツール(パルスサーベイ)です。毎月、10の設問に回答してもらい、その数値の変化を見て新入社員の育成をフォローします。
その後、「今の率直な気持ち・気になっていること」などを参加者同士で共有し合いました。 下記のようなコメントがありました。
・ここ数年で、若手社員の離職者が増えている。次のキャリアを応援したい気持ちもあるが、「なんで?」と感じてしまうことも多い…今日はそんなモヤモヤがクリアになればと…
・自分が若手社員の時とは、価値観や働き方が大きく変わっていて…なかなか理解が難しいことがあるので、今日いろいろと情報収集したい
離職原因について、情報提供を行いました。
事前ワークの内容を見ながら、参加者同士でダイアログを行いました。
ダイアログテーマ
登壇者の2名で下記のテーマについてパネルディスカッションを行いました。
【川畑氏】
組織側の問題:終身雇用前提で仕事を渡したり、長期的な評価制度を組んでいる点が、今後さらに問題になってくると思います。
いま、若い世代を中心に多くの人の考える時間軸がどんどん短くなってきているように感じます。
キャリアも、長く見れなくなっている。
現実的に長くなってしまうのは問題ないけれど、短くしたキャリア感をどう見せるか、というのが重要になると思う。
組織・企業側も、視点の長さを変えていく必要性があると感じています。
【アーティエンス】
確かに、若い世代の方は、すぐに結論を求める傾向も見られます。とはいえ、若い世代は経験の少なさや視野の狭さから、短期的なものを求めてしまう実情もある。中長期で育てていく観点も、大切にしていくことが大切ですよね。
【川畑氏】
そうですね。
新入社員・若手社員側の問題として、今お話が合ったように経験不足も影響して、一つの良い例があったら、それが正解だと感じてしまう傾向はあると思います。
ケーススタディが少ないという観点に加えて、SNSで触れ合うインフルエンサーの発言や思考を、自分にとってのただ一つの解にしてしまう流れもあると思います。
個人的な考えとしては、ある程度腰を据えてキャリアを積まないと、成長はできないと考えています。でも、学校教育でもキャリア教育ってしていないじゃないですか。なので、1回目に失敗してしまうのは、ある意味仕方のないことでもあるのかなと感じています。
【アーティエンス】
文脈で流されてしまうというのもありますよね。社会的にこういった流れだから、きっとそれが正解だ…といった。
20代のキャリア論では、20代で仕事をやり遂げたという経験が3つないと、30代で活躍できないとも言われているそうです。20代のうちに渡せる「成長機会」として、「誇れる仕事」を3つ創ってあげるというのが大切かもしれませんね。
また、「キャリア研修を実施したら辞めた」という話もありましたが、WILL CAN MUST というフレームワークは、日本の企業には適していないとも言われていますよね。
【Q】:WILL CAN MUST のフレームワークが、現在の日本企業に適さない一番大きな理由は、スピード感でしょうか?
【A】
アーティエンス:ジョブ型の中で創られたフレームワークであることが一番の理由です。メンバーシップ型では機能しないようです。
ジョブ型は、社員に依頼する内容(must)が明確に決まっていますよね。そして、社員側もできること(can)や、その中で何をしたいか(will)を定めやすいです。
一方でメンバーシップ型は、異動もあり、依頼する内容(must)自体が変わったり、自身ができること(can)・したいこと(will)も、異動によって発揮できない事態が発生してしまいます。
【Q】:離職防止でフォロー面談をやっても、結局辞めてしまいます。どうしたら良いでしょうか。
【A】
川畑氏:ある程度、仕方ない部分も多いと思っています。「辞める」と決めてしまうと、そこから覆すのは難しいのかなと…戻りやすくすることに重点を置くことも大切だなと感じます。
アーティエンス:早期に関係性を創ることに重点を置くべきだと思います。社内に尊敬できる人を、早期に創ることが大切です。尊敬できる人がいれば、早めの相談ができるかもしれません。また、離職を決断する前であれば、フィードバックやアドバイスを聞き入れてもらえる可能性も高いです。
「話を聞く土壌を創っていく」ことが大切なのではないでしょうか。
パネルディスカッションと質疑応答の内容をもとに、参加者同士でダイアログを行いました。
参加者感想:
判断軸が早くなっているのは、同感しました。キャリアも短く伝えて、モチベーションを上げることも大切だなと感じました
【Q】:個人の個別の価値観に対してどのように公平性を保つのか、組織側としても悩ましいところだなと感じました
【A】
川畑氏:現状、私も解決策が見えていないけれど、会社によって違うのかなと思います。柔軟な会社は、できる範囲でフォローしていく。既存の形が定まっていて、柔軟さを出せない会社は、会社の方針に採用をあわせていく、という対応になっていくのかなと思います。
【Q】:判断が早いというのは、社内でも話題に上がっていました。周囲への諦めもそうですが、自分に対してあきらめが早い人も多いように感じます。「私そういうのできないんで…」という感じで…
【A】
川畑氏:自己肯定感が低い人は、若い世代に多いようには感じますね。人と比べるというのが、日常茶飯事なので…。今の若い世代はSNSなどの影響で、常に比較情報が入ってくる状態です。組織ができることは、小さな成果を積み上げていく支援が大切なのかなと思います。
アーティエンス:組織構造的に問題がある場合も考えられますね。経営層や上司がチャレンジしていなければ、「上はチャレンジしていないのに、どうして自分だけ…」といった考え方が発生する場合もあるように思います。
【Q】:人材の流動性のバランスをどこまで見るかが難しいと感じた。どこまで引き留めるのが良いのか難しいです。
【A】
川畑氏:時代の変化に組織側はどこまで合わせていくのかを、ちゃんと決めていくことが大切だと思います。とはいえ、一気に変えるのは現実的ではないので、パーツごとに考えていくことが大切なのかなと思います。変化は当たり前に起きることで、それらすべてに漠然とあわせようとするのではなく、都度、パーツごとに分解していくべきかなと思います。
アーティエンス:今の時代は、適応解を探して対応していくべきだと言われていますね。最適解は無いと。その時々で、今の組織にとって、社員にとって、「今最も適していると考えられる解」を探すことが大切だと思います。絶対的な正解を探すことが、難しい状況が多いですからね。
人事の方々とかかわる中で、人事とは、精神的にも業務的にも本当に負担の多い仕事だと常々感じています。そして、孤独でもあるなと。なので、こうした形で他社人事の方と「チーム”人事”」という形で情報共有や課題への対応を相談し合える場があるのは素敵だなと感じました。
本日はありがとうございました。
Growthの結果を軸としながら、参加者それぞれの経験を共有・対話・探求し、若手・新入社員の活躍を後押しできる施策を共に探求していきたいという想いで開催しています。
Growth結果から若手・新入社員の状況を把握し(インプット)、 Growth Meetingや1on1等を通して数値の背景を対話し考え(スループット)、 現場でアクションを実行していく(アウトプット)までがGrowth Meetingです。
他社の人事や育成担当者と対話を行うと、自社内だけで考えていても出てこないような施策が出てきて、対話の中から気づきや認知の広がりを感じることができます。皆さんが話しやすい安心できる場づくりを行っていますので、ぜひお気軽にご参加ください。
※ Growthとは? 若手・新入社員に必要とされるセルフマネジメント力の醸成とリーダーシップ発揮の意識醸成を目的とした、月1回の振り返りツールです。 Growthについては、コチラをご覧ください