アーティエンス株式会社 ARTIENCE

導入事例

進化し続けるチーム創りを行う管理職の育成
株式会社ONE COMPATH 様

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“進化し続けるチーム創りを行う管理職の育成”というコンセプトのもと、今回研修を実施いただいたONE COMPATHの大橋さん、富岡さんにお話しを聞きました。

概要

課題 地図検索サービス「Mapion」を運営する株式会社マピオンに、凸版印刷の電子チラシサービス事業「Shufoo!」を統合し、2019年4月に誕生したONE COMPATH。異なる二つの組織が一つになったことで、前向きな一体感を作るという課題が生まれた。
そのために、管理職が重要な役割を果たすと考えたが、管理職育成については、単発的な取り組みにとどまり、育成計画に基づいた企画ができていなかった。
実施内容 ・組織開発(AI・OST)ワークショップ
・ファシリテーションスキル研修
・フォローアップ/面談実践研修
効果 ・管理職全体の連携強化
・会議内外での管理職同士の議論・情報交換の活性化
・管理職間のチーム学習の促進
・部下との向き合い方の変化(1on1の活性化)
今後に向けて ・シェアドリーダーシップ開発
・成功循環モデルの確立
実施スケジュール
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―初めに、貴社について簡単に教えてください

大橋さん:

ONE COMPATHは2019年4月1日、地図検索サービス「Mapion(マピオン)」を運営する株式会社マピオンに凸版印刷の電子チラシサービス事業「Shufoo!(シュフー)」を統合して生まれたトッパングループのインターネット企業です。「Mapion」「Shufoo!」のほか、ウォーキングアプリ「aruku&(あるくと)」、家事代行事業者の比較サービス「カジドレ」等を運営しています。

―では、今回の研修の導入背景や課題感を教えてください

大橋さん:

旧会社であるマピオンが、親会社からの事業承継を受けて新会社(ONE COMPATH)へ移行したことがきっかけでした。2019年4月に親会社の凸版印刷から社長を受け入れ、同時に、事業に関わる社員もONE COMPATHに参画しました。新会社が立ち上がったものの、新しい会社をどのように創っていくか、戸惑う日々が続いていました。経営方針や人事制度も変わったということもありましたし・・・。

そんな中で、社長から「来期は、組織の要である管理職に色々と任せていきたいと思っている」という言葉をもらい、今の状況を管理職から変えていきたいと強く感じました。

中小企業において、管理職の役割はすごく重要だと思っています。ただ、自社においては管理職の育成に課題がある状況でした。「管理職だからできて当たり前。」という雰囲気もありました。管理職でも経験の差もあれば得意・不得意もあると思っていますし、管理職になったら急にマネジメントができるようになる訳ではないと思うのです。

混乱の最中ではありましたが、今一度、ONE COMPATHにとっての管理職とは?ということを立ち返って、見直していこうと考えました。
私自身も管理職の一人として、前向きに進めていました。

―企画のはじまりはいかがでしたか?

大橋さん:

管理職研修の企画が始まってから、まずは色々な文献を見たり、様々な企業のセミナーに参加して情報収集を行いました。その結果、今回はアーティエンスさんと一緒に進めることを決めました。新入社員研修もお世話になっていて、研修の品質もそうですし、何よりアーティエンスさんの担当の方を信頼していたためです。私の中ではアーティエンスさんに対して心理的安全性が高い状況なので、何かあった時にも現状をありのままに伝えることができるため、企画も安心して進められました。

企画の段階で行ったデザインミーティングでは、自社にとっての管理職の意義やありたい姿、また課題について探求を深めてくれる良い問いを提供してくださって、アーティエンスさんとの企画ミーティングが終わった後も、社内で上司と考え続けていました。

※デザインミーティングとは?
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―初日・2日目の研修の感想を教えてください

大橋さん:

初日に「素晴らしい管理職とは?」という研修を行って、その研修を受講したら「素晴らしい管理職になれる!」と思っていたら、むしろモヤモヤが大きくなったなという感覚でした。

ただ、素晴らしい管理職というものには明確な定義はなくて、“今のONE COMPATHにとっての素晴らしい管理職”をモヤモヤしながら参加者同士で見つけていくものなのかなと感じました。

そして2日目に、実際の現場の課題をどう解決していくかという話になり、初日のモヤモヤが良い意味で、実際の課題とつながり、腑に落ちたという感覚がありました。あれは必要なモヤモヤだったなと、改めて感じました。

富岡さん:

振り返ってみると正直、初日の研修は見学しながらも、少し混乱していました。これまでの研修は、事前に「こういうことを学べるだろう」という期待があって、その期待に研修がどれくらい応えてくれたか、という軸で評価をしてきた感覚があります。しかし、初日の研修は正解があるわけではなく、自分たちで見つけていくというスタイルだったので、戸惑いがあったのかもしれません。

一日目が終わった後に、参加者から「よく分からなかった。忙しい中意味があるのか?」といったネガティブな発言も一部あり、このままやっていけるのかな…という不安がありました。

ただ、二日目の研修で、管理職自身が解決したい課題を議論する、というOST研修で、現在進行形の話に焦点が集まり、管理職全体が同じ方向を向いたという印象を受けました。研修を見ている側として、「これは変化が起きるかもしれない!」という感覚が持てました。

―改めて、振り返ってみて初日の研修はどんな意味があったと感じますか?

富岡さん

初日を実施する・しないでは、かなり違いがあったのかなと思います。

研修を始める前は管理職という役割や仕事に対する想いはバラバラな感じがしました。その中でいきなりスキル習得の研修を実施していたら、一体感が生まれず、それぞれ思い思いの行動変容が生まれていたのではないかと思います。初日の研修があったからこそ、みんなが同じ方向を向いたと思っています。

大橋さん:

管理職の経験年数によるスキル差というのはどうしてもあって、スキル研修だけを実施すると、『自身は周囲と比べてどうか』という個人戦みたいになってしまったと思います。それこそ、相互の連携は取れない結果になったのかなと。

今回の初日の研修は、管理職の経験年数に関係のない内容だったので、全員が同じ目線でスタートできたのではないかと思います。経験年数に関係なく意見を出し合い、周囲の意見も聞く、という時間を持てたからこそ、お互いに学び合う土壌づくりができました。

※【初日研修のアウトプット例】素晴らしい組織とは?
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―3日目の研修企画についてお話を聞かせてください

大橋さん:

初日・2日目の研修を受けて「管理職から“対話”という言葉が出てきているよね」という話になり、「次は対話を大切にした研修にするのはどうだろう?」という考えが出てきました。
# 当初の予定はチームビルディングの研修でした。

また、管理職それぞれが明日からでもすぐに使えるスキルを求めている感じもあり、「現場ですぐに実践できるスキルを渡したいね」と話をしました。
こうした研修時の反応や現場での様子をアーティエンスさんと話していく中で、次はファシリテーションスキルを身につけると良いのではないか、という結論に至りました。

目指したい状態を見据えながらも、現場が求めていることに柔軟に対応していくというのが大切だなと感じました。

※【ファシリテーションスキル研修】参考資料
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※【ファシリテーションスキル研修】実施の様子
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―3日目の研修を終えて、いかがでしたか?

大橋さん:

かなりポジティブな印象でした。具体的なスキルを渡せたことは、本当に良かったです。

またバトンメール(※)も良かったです。研修を終えて、現場でどう活かしているのか、新たな課題は何か、を管理職の間で共有できて相互の学びの促進に繋がりました。これをきっかけに日常のやり取りの中でもお互いにアドバイスしあう機会が増えました。管理職同士のコミュニティ(Slack)で、悩んでいること、困っていることを共有してみると、案外みんな同じことを感じていて、それをみんなで話し合っていけるのが良いなと思います。これはやってみたけれどだめだったとか、経験値的なものも共有できています。

私も、自分のチームミーティングの進め方を変えてみるなど、学んだことを実践に活かすことができて良かったです。

※バトンメールとは
受講生同士で順番に、学び・気づき・発見などを、他の受講生・人事に送ります。メールの送信者は末尾に、次にメールを書いてほしい人を指名します。常に受講生の学習意欲や振り返りが刺激される方法です。
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富岡さん:

これまでの研修はオンライン上での実施だったのですが、三日目の研修だけ対面で実施しました。

オンラインでグループ分けをすると、それぞれのグループが別世界になってしまいますが、対面研修であったからこそ、グループが違ってもすぐ近くに管理職の仲間がいるという感覚や一体感を持てたかなと思います。オンラインでも対面でもそれぞれの良さがあると思いますが、この回の研修は対面で実施してよかったです。

研修後のバトンメールもとても良かったです。色々な場所に取り入れていきたいなと思うぐらいです。バトンメールを発信するという目標があることで、『新しくこういう取り組みをしてみよう』とか、『研修で習ったことを実践してみよう』という風に、自発的行動の促進につながると考えています。さらに自身が行った行動を、自分の言葉で周囲に発信することで、思考がまとまる効果もあるなと感じています。

バトンメールを受け取った人から「自分はこういうことやっています」など返答する動きも起きているので、バトンメールを送る側と受け取る側の相互に良い影響を与えられているのではないかと考えています。

―最終日のフォローセッションはいかがでしたか?

富岡さん:

中間面談のデモンストレーションを他の管理職に実施してみる、というプログラムは、正直恥ずかしい気持ちもありますし、嫌だろうなとは思いましたが、「嫌だな、触れたくないなと思うところにこそ、実は重要な課題がある」ということを講師の方から事前に伺っていたので、前向きに実施すべきだろうと思いました。

実際に研修後のリフレクションシートやバトンメールを見ると「研修で他の管理職の方から言われたことを、現場で実践してみて良い変化が起きた」という発言が多くあり、実施して良かったなと思っています。

バトンメールを見ていると、研修で学んだこと以外も、管理職の皆さんが自発的に工夫していることもどんどん出てきていて、前向きな変化を感じています。「アイ(I)メッセージを伝えるようにしている」、「中間面談の際に急に目標を確認するのでは納得感を醸成できない可能性があるため、1on1などで目標の進捗を確認するようにしている」など日々の行動に直結する変化が生まれてきているのは、とても良いことだと思っています。

大橋さん:

私自身が実際に参加して、初めて気付くことが多かったです。

例えば面談のデモンストレーション中に、声のトーンなどが原因で「すごく冷たい印象を受ける」というフィードバックを受けたのですが、私の中には「冷たい印象があるんだ」というのを初めて知りました。普段、そんな人間ではないと自分では思っていたのでとても驚きました。

その後、実際に中間面談を実施した時には、声のトーンや間の取り方などを工夫し、相手に与える印象をとても意識しました。面談の前に研修を実施できて、本当に良かったなと思っています。

※【フォローアップ/面談実践研修】参考資料
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―今後の展望を教えてください

富岡さん:

今回の取り組みを通して、本当に色々なことに気付くことができました。

これまでは、「会議の時は効率的に話さないとダメ」、「きちんと話をまとめてから伝えないとダメ」など、ロジカルシンキングを最重要視して過ごしてきました。
しかしロジカルシンキングがすべてではなく、時には「まとまっていないけれど話す」とか、「感情を大切にする」といったことが重要なんだということに気が付くことができたのは収穫でした。会議後の「モヤモヤとした感情が悪くない」と気付けたのも、大きな発見でした。

次のチャレンジとして、引き続き対話力の強化をやっていきたいなと思っています。一朝一夕に身に付くものではないですが、仕事の大部分は対話だと思っているので、対話力は様々な場面で使えるものだと思っています。

これまでの内容を大切にしつつ、もっと深堀った内容で実施したいと思っています。

大橋さん:

コロナの影響もあり、リモートでのコミュニケーションがますます重要になってくると思っています。

同じ空間にいればわかることもリモートだと難しい、ということがたくさんありますが、それを言い訳にせず、リモートでも関係性を育みながら、成果に繋げるスキルが大切になってくると思っています。

これからは、対話とマネジメントとを結び付けていくためのスキルを身に付けていけたらなと思っています。

改めて本日は誠にありがとうございました。お話をお聞きし、管理職を起点とした組織変革が、お二人のエネルギーによって今後ますます進んでいくのだろうと感じました。誠にありがとうございました。

―担当者コメント

親会社の一部門との合併、そのことによる経営方針の変更により、多くの混乱がある中の管理職研修の実施でした。大橋さんと富岡さんの本プロジェクトへのコミットにより、管理職同士の関係の質の向上や、行動変容が起きたと思っています。

19年の冬から企画を行っていましたが、コロナ禍が起きる中、「今できることを行う。オンラインでも行う」という強い気持ちで、企画を前に進められていました。また大橋さんが、企画を行う中で部下である富岡さんが成長していく姿に対して、期待し、後方支援されていたことも印象的でした。