2022/11/17作成ー
アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの発揮を目的とした、振り返りツール【Growth 】をご提供しています。
本記事では、2022年度新入社員を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の11月24日〜12月7日の回答の結果(n=73/企業数11)を、回答結果とともに読み解きます。
目次
11月の回答結果を見ていきましょう。全体平均と標準偏差はこのようになりました。
※ 9つの設問に対して5段階(“とてもそう思う”=5, “そう思う”=4,“どちらともいえない”=3, “あまりそう思わない”=2, “そう思わない”=1)で回答
※ 標準偏差とは:データのばらつき具合を示す数値のひとつで、数値が大きいほどばらつきが大きい
9つの設問の中で、平均値が最も低かったのは意義付け力に関するQ5、標準偏差が最も大きく出ていたのが同率で巻き込み力に関するQ2と成長力に関するQ7という結果になりました。
また、平均値が高いのは業務遂行力に関するQ1、標準偏差が最も小さかった設問はリーダーシップに関するQ8でした。
11月は先月より全体的に数値が落ちていることが特徴的でした。
フリーコメントをみると、2年目を意識し始めるようになり、もっと高く目標を持つようになっている人が増えたこと目標を、そして、仕事でなかなか成果が出せず落ち込んでいる人がいることによって、このような結果になったのではないかと考えることができました。次の章で具体的なコメントの内容をお伝えします。
11月のGrowthのフリーコメントでは、ポジティブとネガティブの二極化がはっきりしていました。具体的に実際のコメントの一部をご紹介します。
・業務に関係する検定試験を受験・勉強したことでお客様に商品説明をする際の知識が深まった。一方で、今月入社された中途の方に業務説明をする際、曖昧な説明をしてしまうことがありまだ業務への理解が甘いと感じた。二年目に向けて今一度理解を深めていきたい。
・現状維持に精一杯で進化ができていないことは申し訳ない。2年目に向けてレベルアップできるように行動していきたい。
【主体的に行動し、成長意識を持てている】
・店舗をより良くしていくため、目標を達成するためにどうしていくべきかを考えて行動しました。今月も最後まで店舗のために考え行動していきます。
・今月は、新しい環境でチャレンジさせていただきました。チャレンジすることで、自分に足りないものや新しい発見なども出来たので、失敗を恐れずに今後もチャレンジしていきます。
・仕事の意図目的をより意識して働けるようになった。計画的に行動できるよう、取り組んでいきたい。
・月を重ねるごとに上司とのコミュニケーションを多くとるようになり、会話が増えて仕事の質が高まっている。ただ、良いと思ったことを行動に移すまで至っていないので来月以降はその部分を改善したい。
・会議でやらかしてしまったのでめちゃくちゃ落ち込みました。アドリブに弱すぎて申し訳ないです。
・仕事がとにかく遅く、指示の理解や物分かりも悪い。期限を守れないので申し訳ないです。
【自組織での未来像があまり見えていない】
・これから取り組んでいきたいこと:よくわかりません。自分の想像よりうまくいかず、打ちひしがれて路頭に迷っているような。
・人の役に立つ気持ちは誇れるところである。しかし営業においては人の役に立つ気持ちを未だ持てずに苦戦しています。
このように、前向きに成長していこうというポジティブな思いを持っている新入社員と、どうすればいいかを分からず立ち止まってしまっているというネガティブな思いを持ってしまっている新入社員で差が出ているように感じました。
ネガティブコメントの内容に対するフォロー案をお伝えします。
一度時間を確保して、振り返りを丁寧に行っていくことが必要です。
なぜなら、ミスや失敗をしたことに対して落ち込み、ただただ「自分はだめだ」と考え、自己嫌悪に陥っている可能性が高いためです。ミスや失敗に対して、なぜ起きてしまったのか、今後どのように改善していけばいいのかまで考えられていないと、再び同じ失敗を繰り返し、さらに落ち込んでしまうという負のループに入ってしまいます。また、自己嫌悪から「自分はこの仕事に向いていない」と判断し、離職に繋がるリスクもありますので、適切にフォローしていく必要があります。
例えば、トレーナーと1on1の時間を作り、最近自分の中でやってしまった…と感じたミスや失敗を共有してもらいます。そして、その時の状況を思い出してもらいながら、なぜそのようなことが起きてしまったのか、どうしたらよかったのか、そして今回のミスをどうすれば次に活かすことができるのかを、一方的に教えるのではなく、新入社員と対話をする中で見い出していきます。
ただ、この時に注意して欲しいことが2点あります。
1点目は、新入社員の状態を見て行うということです。新入社員があまりにも精神的な疲労を感じていると、ただ質問をしているだけでも責められていると感じて、素直に話せなくなってしまう場合があります。この時は日を改めたり、言葉使いや表情、態度などに気を付けて行うようにしてください。もしくは、人事などトレーナー以外の人に1on1を頼む、という策もあるでしょう。
2点目は、自分の中にある答えに誘導しようとしないことです。対話をしているつもりでも、自分の中でこうした方がいいのにという思いが強いと無意識的にそちらへ誘導してしまうことがあります。そうならないためにも、グラウンドルールを設けたり、1on1の役割を明確にしておきましょう。
当社では対話を行う際、以下のようなグラウンドルールを設けています。
※ 当社資料より一部抜粋
また、1on1の始めに「この1on1は〇〇さんの成長支援のための時間だから、私は〇〇さんに支援できることを一緒に考えていきたい」ということを伝えることで、役割を明確にすることができます。
なお、仕事ができないという感覚を持っている新入社員は、自分が成長している実感を持てていない可能性もあります。同期と比較してできていないと感じることもあるかもしれませんが、成長はしているはずです。その点を新入社員自身で認めてあげることも大切です。その際は、新入社員が配属しているチームで集まる機会を作り、それぞれが半年間で行った仕事の共有をし、他のメンバーから成長した点を伝えてもらうという時間を設けると周囲への貢献実感も持てるようになります。
当社では、3ヵ月に1度、成果貢献報告会を実施しています。その際は次のシートを作成して一人ずつ発表し、他のメンバーからコメントをもらうという流れで実施しています。
※ 成果貢献報告会のシートより抜粋
不安状態にある新入社員は、焦って空回りをしてしまうことも多いため、一度時間を確保して、振り返りを丁寧に行いましょう。
今の状態と想像していた姿を丁寧に聴き、想像していた姿に近づくためにどうすればいいのかを一緒に考えることが必要です。なぜなら、どこに進んだらいいのか、今何をしたらいいのかが分からなくなってしまっているためです。目指す方向が無くなった状態で頑張るのはとても難しいため、まずは目指す方向を定めることが必要になります。
例えば、1on1の中で、以下のような問いを新入社員へ投げてみます。
そこから、新入社員と一緒に目指すところを明確にしていき、そのために必要なステップを細分化して考えます。こうすることで、このステップをクリアしていけば、目指したい所にたどり着くことがイメージでき、前に進みやすくなります。ゴールが無いまま航海をし続けるのは大変なので、まずは見えなくなってしまったゴールを改めて立てて、着実にそこに進んでいける道のりを考えましょう。ゴールに向かって前に進める状態になると、成長スピードやモチベーションにもポジティブな影響を与えることになります。
このように、
を行って頂き、新入社員が前向きに仕事を行えるようにするためのフォローをして頂けたらと思います。
先月と比較すると全体的に数値が下がっていることが分かりました。数値が下がっていることが悪いわけではなく、その数値から、新入社員がどのようなことを思っているのかを推測し、フォローすることが大切です。
数値が下がっている原因として、フリーコメントから2つのことが影響しているのではないかと仮説を持つことができました。
です。
「仕事ができないという感覚を持っている」「未来が見えていない」というコメントに対しては、以下の2点のことをフォローとして実施して頂けたらと思います。
年末が見えてきて、新入社員は焦りや2年目になる不安を感じやすくなっています。少しの不安が仕事への悪循環を引き起こすこともありますので、定期的に新入社員をフォローできるように、新入社員の状態を観察できる状態を作って頂けたらと思います。
今月も数値の変化やフリーコメントから、新入社員が感じていること、悩んでいることのヒントをパルスサーベイGrowthから得ることが出来ました。
ほんの些細なヒントではありますが、Growthの情報をきっかけに対話を行う中で、より詳しい状態を確認し、フォローに繋げていくことができます。
ぜひこの情報を大切に扱って、新入社員が活躍できる育成を行っていきましょう。
パルスサーベイGrowthに興味を持った方はコチラをご覧ください。
また、パルスサーベイGrowthの結果を元に、人事通しで対話を通しながら悩みを解決するためのヒントを得られる場としてGrowth Meetingをご用意しています。他社の人事通しで育成の課題について対話をしあう時間がメインとなりますが、アーティエンスからも人材育成に関するトレンドやノウハウをご提供しています。
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