2022/12/07作成ー
2022年12月1日に『公開講座を上手に活用して、新入社員の自律促進とエンゲージメントを高める方法とは?』をテーマに、セミナーを開催しました。
公開講座に関して、人事の方から「研修のカスタマイズができない」、「公開講座が、経験の浅い講師の練習の場になっており、品質が低い」、「自社の研修との連動が弱くなる」などのお話を聞きます。
本セミナーでは、品質の高い公開講座の見分け方から、公開講座の上手な使い方などを事例と共にお伝えしました。
当日は、以下のアジェンダでお話をさせていただきました。
登壇者:迫間 智彦 アーティエンス株式会社 代表取締役
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2010年にアーティエンス株式会社を設立。 リーダーシップ開発・組織開発を専門に扱っている。 自身も講師・ファシリテーターとして登壇し、研修サービスの企画・運営や組織開発サービスを提供。 お客様企業・受講生の未来と今を考えて、必要なものを共創することをポリシーとして持っている。 |
品質の高い公開講座の見分け方から、自組織にあった公開講座の上手な使い方などを事例と共に知ることができることを目的に実施いたしました。
公開講座と派遣型研修に関しては、下記と定義します。
公開講座と派遣型研修のメリット・デメリットと、デメリットの対応をお伝えしました。
※ 当社、セミナー投影資料より一部抜粋
続いて、公開講座を上手に活用されている3つの事例をお伝えしました。
※ 当社、セミナー投影資料より一部抜粋
より具体的にどのように対策を行い、どのように変化したのかを知りたい方は、ぜひ下記フォームより資料をダウンロードして頂けます。
皆さまから頂いたご質問や、過去に頂いたよくあるご質問に対してお応えしました。
高品質な内省を行うことが重要です。研修と1on1の組み合わせがお勧めです。
研修では、内省を行うワークを取り入れると成長を認識しやすくなります。
例えば、当社の公開講座で実施しているフォロー研修では、研修の事前課題として半年や一年を振り返るための振り返りシートを作成して頂いています。
公開講座の研修で、振り返りシートの内容をシェアして他の方からコメントをもらうことで、自分では気付かなかった成長している点に気付くこともあり、より成長を実感して頂きやすくなっています。公開講座だと他社の方の成長も見れて視野が広がるため、より成長に気付くことができます。
※ 当社、1年目フォロー研修の事前課題
1on1は、質の良い内省ができるようにデザインをして行っていただけたらと思います。内部だけでは難しいと感じたら、外部のコンサルタントに依頼するのも一つの方法です。
成長実感を促すことの難しさは、本人が実感しているかどうかによるということです。外から見て成長していると感じていても、本人が成長を感じていなかったら成長実感が無いということになります。そのため、本人が成長を実感できる環境創りが大切になります。
なお、成長実感は、新入社員よりも若手社員の方が感じることが出来ないことが多いです。新入社員は、スキルが身に付いていくことで成長を実感しやすいですが、若手社員は、一人で仕事を行えるだけの基礎的なスキルは身に付いているため、成長しているという変化を感じにくくなることが多いです。
成長実感を持つと、成長予感を持ちやすくなります。研修でも1on1でも成長を実感した上で、自分がどうしたいのかというキャリアイメージを新入社員自身が持てるようにすると、成長予感がより強くなります。当社の1年目フォロー研修では、次のようなテーマを元にグループで対話をしてイメージを膨らませ、言語化していくということを行います。
※ 当社1年目フォロー研修のテキストより一部抜粋
公開講座で行うと、自組織だけで行う時と比較して、他社の新入社員とのコミュケーションによって成長のパターンを多く知れるため、自然と視野を広くしてキャリアイメージを描くことができます。キャリアイメージを描く時のポイントとしては、ありたい姿から成長のステップを逆算し、見えるようにすることです。そうすると、成長できるイメージが湧きやすいため、成長予感が高まります。
実際に、「始めは市場価値が上がる人になりたい」という漠然としたイメージを持っていた方がトレーナーと1on1で話をする中で「トレーナーのようになりたい」という明確なイメージを持ち、具体的にどのような努力をすることで、トレーナーに近づけるかを考えていました。そして成長予感が高まったということもありました。後日談としては、2年目とは思えないパフォーマンスを上げているようです。
一般的なスキル研修、エンゲージメント向上のための研修、専門スキルの研修によって使い分けが変わります。
新卒採用が少人数の企業様でしたら、公開講座をお勧めします。そのほうが費用対効果は高いです。少人数で派遣型を行うと、コストが高くなります。
また、30名程度の採用であっても、他社交流を目的に、公開講座を利用される企業様もいらっしゃいます。初めての人とも関係性を創りながら研修のワークに取り組むというところで、関係性構築の練習や、自分の未熟さを知る機会にされています。採用人数が多い場合は、派遣型研修の実施をお勧めします。
新入社員の採用人数が多い場合は、私たちのような研修会社に派遣型研修として依頼することをお勧めします。エンゲージメントを扱うワークショップは、企画・運営の難易度がとても高いです。専門家の力を借りることをお勧めします。
基本的には社内研修をお勧めします。理由としては、一般的な専門スキルが社内で使えないということが起きる可能性があるためです。社内で使えない専門スキルを身に付けても意味がないため、学ぶスキルにズレが起きないよう、社内で研修を行うことをお勧めします。
公開講座を受けて、「自分たちの会社がダメだよね」と言われるのが怖いというご相談も受けます。
前提としてお伝えしたいのは、研修で全てが解決できるものではなく、会社として悪いという認識があることは改善していかないといけない、ということです。
ここで、1つ「衛生要因」と「動機付け要因」という考え方をお伝えします。
衛生要因は、仕事の不満足に関わる要因で、動機付け要因は、仕事の満足に関わる要因だということを、アメリカの臨床心理学者である、フレデリック・ハーズバーグの「二要因理論」で提唱されました。ブラック企業と言われる企業は、衛生要因が整っていないのに動機付け要因をどうにかしていることがあります。しかし、そのやり方で不満がなくなるわけではありません。そのため、まずは衛生要因を整えることから始める必要があります。衛生要因を解消せずに、動機付け要因を高めようとするアプローチとしては、洗脳系の研修を行うケースがあります。
当社では、洗脳系の研修は、強くお勧めしません。理由は2つあります。
2、訴訟リスクがある
新入社員研修により、自殺や精神疾患があった事例もあります。新入社員の人生を台無しにしますし、企業イメージ・ブランドも失墜します。なお、最近の新入社員は、さまざま情報に簡単にアクセスできるため、洗脳が効きづらくなっているとも言われています。
これらの前提を踏まえた上で、当社では、下記のようなメッセージを受講生に伝えます。
「どんな人でも組織でも良いところもあれば、悪いところもあります。自身と自組織がどうなりたいかをしっかり考えて、よりよくするためには何ができるを考えましょう」
ただし、新入社員ができることは限られているため、自組織に対して大きな問題意識を持っている経営者や人事の方は、まずは組織側ができることを考えていく必要があります。組織が変わらなければ、悪循環はずっと続くので、小さくてもできることを考えていくことが必要です。
公開講座だけでは上がりません。本日お伝えした事例のように、公開講座を活用した育成デザインを行うことが大切になります。新入社員が公開講座に参加し、他社の状況を知ることで自組織の良いところに気付き、結果としてエンゲージメントにポジティブな影響を与えることが期待できます。
公開講座の姿が自然体である可能性が高いです。理由は、公開講座では利害が無いためです。職場では社風や評価などの影響を受けて、行動が制限されている可能性が考えられます。
例えば、公開講座では積極的に意見を発言していても、会社では発言しない新入社員がいます。会社が体育会系で、「いいから、やれ」という文化で話を聞いてもらえず、意見を言うことが無駄だと思ったら、発言しなくなるということが起きます。この場合は、新入社員の育成に課題があるのではなく、組織に課題があります。そのため、自組織の課題を経営者や人事の方が向き合う必要があります。
組織を変えていく方法は3通りだと言われています。
1、経営者が変わる
2、塊で変わる(新入社員や、管理職、営業部などの塊)
3、1人の人が変えていく
1人で変えていくのは無理だと思うかもしれません。しかし、実際に1人の人事方の強い想いで組織が変わっていったという事例は、たくさんあります。諦めずにチャレンジしてほしいですし、よければ当社にご相談いただければと思います。
自組織にあった研修内容を扱えるといいかと思います。課題に基づいて、改善できる内容を洗い出して、どのような施策が必要かを考えてほしいです。もし、何をしていいか分からないということでしたら、現状をお伺いしながらご一緒に考えていくことも可能ですので、お気軽に当社へお問い合わせ下さい。
アーティエンスの新入社員研修では、「時代遅れを刷新!新入社員育成を通した育成文化づくり」を年間を通してサポートします。
2023年度の新入社員の特徴を捉え、1年間を通して新入社員や人事が不安や課題を感じやすいことに対応した新入社員研修となっています。
次年度は、2023年度入社の方の特徴からオンボーディングにも注力し、人事と現場の双方が協力し合い、新入社員を受け入れる体制創りをオンボーディングツールやスケジュールプランの提供などによってサポートいたします。新入社員の育成に対してお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
※ 当社23年度新入社員研修資料より一部抜粋