2022/11/17作成ー
アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの発揮を目的とした、振り返りツール【Growth 】をご提供しています。
本記事では、2022年度新入社員を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の10月24日〜11月4日の回答の結果(n=81/企業数11)を、回答結果とともに読み解きます。
目次
10月の回答結果を見ていきましょう。全体平均と標準偏差はこのようになりました。
※ 9つの設問に対して5段階(“とてもそう思う”=5, “そう思う”=4,“どちらともいえない”=3, “あまりそう思わない”=2, “そう思わない”=1)で回答
※ 標準偏差とは:データのばらつき具合を示す数値のひとつで、数値が大きいほどばらつきが大きい
9つの設問の中で、平均値が最も低かったのはリーダーシップ発揮の状態を確認する設問であるQ9、標準偏差が最も大きく出ていたのが成長力を問うQ7という結果になりました。また、平均値が最も高く、標準偏差も最も小さかった設問は、業務遂行力に関するQ1の設問でした。
22卒新入社員の皆さんにGrowthを実施してから、半年が経ちました。今回は、ある一人の新入社員(PR企業)の4~10月のGrowthのフリーコメントから、彼女の半年間の成長の軌跡を辿っていきたいと思います。
▶ 研修後は様々な部署で仕事を体験する期間でした。入社前にインターンとして働いていたこともあり、入社1か月という期間ですが、業務を行う中での気付きを言語化できています。
▶ 様々な部署で仕事を体験する中で、好奇心を持って取り組めている姿が伺えます。周囲に気を遣わせてしまっているかもしれないという不安があるため、トレーナーはなぜこのような不安を感じているのかを確認し、フォローが必要になります。
▶ 体調を崩してしまったということでしたが、その後回復されて仕事ができる状態になりました。新入社員は、一人で抱え込んでストレスを感じてしまうこともあるため、小さなことでも不安を感じていることに対してフォローしていくことが必要です。この方の場合は、体調を崩してしまった時の状態から立ち直ることができ、そのことについて自らポジティブに捉えられているところが素晴らしいです。
▶ 入社から4ヵ月が経過し、業務で手一杯になっている様子が伺えます。自分なりに対策を考えて実行しながらも、上手くいかず悩むという状態になっています。この方は、先月体調を崩してしまったことがあったため、その状態にならないように自分でコントロールできていることが素晴らしいです。
▶ 今までは自分に対しての振り返りでしたが、チームを意識した振り返りの内容になりました。チームの一員として行動したことで、チームの一員であるという自覚と責任を感じていたのではないかと思います。ポジティブな面だけではなく、改善点も見つけていることが素晴らしいです。主体的に行動できている様子が伺えます。
▶ 振り返りによって、ご自身の成長を客観的に実感されています。成長実感を持てると自信につながり、より頑張っていこうという意欲に繋がります。この方の場合は、オフィス外でも仕事に活かせることを探しているということで、自分の視野を広げて、仕事をより良くしていきたいという強い思いを感じます。
▶ 自分の向き不向きを理解した上で、不向きだと考えている課題に取り組んでいます。苦しみながらも挑戦している姿が素晴らしいです。もしかしたら、成果に繋がるまでに時間が掛かるかもしれませんが、苦手と向き合っているということを意識して行動に移すことは誰もができるわけではありません。自分がやりたい仕事をするためにも、始めは苦手なことを乗り越えることが必要とされています。トレーナーの方には、この方が不向きなことに向き合う中で、積極的に必要なフォローをして頂けると成長を促すことに繋がります。
この方は課題を感じながらも、成長を実感できているところが素晴らしいです。課題も経験によって内容が変わっており、課題を乗り越えて新たな課題に出会い、成長していっている様子が伺えました。
新入社員は、毎日新たな課題にぶつかるような日々を過ごしているため、できないことに目が向きがちです。しかし、それでは自分に自信を持てなくなってしまい、仕事にもネガティブな影響が出てしまうことがあります。そのため、新入社員は、自分で成長を実感することが必要になるのです。
新入社員が成長を実感するために必要なのは、振り返りを丁寧に行うことです。
1週間、1か月でできるようになったことを振り返ることで、成長実感を育むことができます。
振り返りを行うために、日常の業務の中でポイントとなるのが下記の3つです。
詳しくお伝えします。
目標が明確になっていないと、自分がどれだけ成長したのかが見えにくくなります。
例えば、カスタマーサービスの対応で「お客様に納得してもらう」という目標では、判断基準が曖昧で、自分がそこに達しているのかの判断を行うことが難しいです。その結果、自分がどの程度成長したのかが見えず成長実感が持ちづらくなります。
お客様に納得してもらうために、具体的にどんな要素が必要なのかを分解して考え、月ごとに目標を設定すると、最終的にお客様に納得してもらうことができる状態になります。カスタマーサービスの場合だと、アンケートで評価4を目標にするとか、お客様のお悩みの本質を確認出来た、など自身で目標を達成できたかできていないかを判断できる状態にしておくと、振り返りもしやすくなります。
目標を達成していたかどうかは振り返りをするための材料に過ぎず、そこから足りなかったことや良い影響を与えたことを振り返り、それを翌週や翌月に活かしていくということを繰り返すと成長実感だけでなく、成長を促進することにも繋がります。
新入社員のうちは、仕事で依頼される内容も限られているため、大きな成長を感じにくいです。そのため、小さな成長をポジティブに受け取ることが必要になります。
例えば、資料作成のスピードが30分早くなったとか、報連相にかかるスピードが5分短くなったとか、打合せで自分の意見を1回は言えるようになってきた、などです。これらは細かいことですが、仕事を行う上でとても大切なことです。
このような小さな変化を認識できるようにするためにも、自分が今どのくらいの時間を1つの業務にかけているのかを把握できるようにしておいたり、発言数を記録しておくということが必要となります。普段から、新入社員に自分の状態を把握できるように記録しておいてもらうことで素材を溜め、小さな成長を感じやすくしていきましょう。
新入社員がより良くしていくために自ら働きかけてくれたことに対して、トレーナーや先輩からポジティブフィードバックがあると、新入社員が自身の強みや周囲へ与えられた良い影響について認知するきっかけとなり、業務に対しても自信が持てるようになります。そうすると「もっと良くしていこう」といった意識や働きかけも生まれやすくなります。
例えば、打合せに必要な印刷を新入社員にお願いしたときに、「この資料も用意しておきますか?」と新入社員から質問があったとします。その資料もあった方が良いと感じたら、「お願い!」だけでなく「確かにその資料もあった方がいいかもしれない。気付いてくれてありがとう。その資料の準備もお願い!」と伝えましょう。そうすると、新入社員は、良い影響を与えられたと実感することができ、振り返りをしたときに成長実感に繋がります。忙しくてその時に余裕が無ければ、後から伝えても構いません。
このように振り返りに必要な素材を日常業務の中で集め、1週間や1か月の頻度で振り返りを行えると、何かしら成長している点に気が付くことができ、成長している実感を感じることができるようになります。
出来ないことに目が向きがちですが、そこばかりに目を向けてしまうと自信を喪失して、仕事に悪影響を及ぼす場合もあります。そのため、成長していることを実感しながらも、より良く仕事をするために必要なことを考えていく振り返りをできるようにしていきましょう。
今月も数値の変化やフリーコメントから、新入社員が感じていること、悩んでいることのヒントをパルスサーベイGrowthから得ることが出来ました。
ほんの些細なヒントではありますが、Growthの情報をきっかけに対話を行う中で、より詳しい状態を確認し、フォローに繋げていくことができます。
ぜひこの情報を大切に扱って、新入社員が活躍できる育成を行っていきましょう。
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