2022/8/17作成ー
アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの発揮を目的とした、振り返りツール【Growth 】をご提供しています。
本記事では、2022年度新入社員を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の7月25日〜8月3日の回答の結果(n=80/企業数12)を、回答結果とともに読み解きます。
目次
まず、7月の回答結果を見ていきましょう。全体平均と標準偏差はこのようになりました。
【表1】
※ 9つの設問に対して5段階(“とてもそう思う”=5, “そう思う”=4,“どちらともいえない”=3, “あまりそう思わない”=2, “そう思わない”=1)で回答
※標準偏差とは:データのばらつき具合を示す数値のひとつで、数値が大きいほどばらつきが大きい
平均が低いのも、標準偏差が大きいのもQ9の設問という結果になりました。
Q9は、リーダーシップ発揮の状態を確認する設問です。
そのため、当人の意欲や職場環境によって、バラつきの大きい設問と言えます。
リーダーシップの定義は、ざまざまありますが、アーティエンスではリーダーシップを次のように定義しています。
続いて、先月6月と今月の平均値の結果を比べてみましょう。
【表2】
※ 9つの設問に対して5段階(“とてもそう思う”=5, “そう思う”=4,“どちらともいえない”=3, “あまりそう思わない”=2, “そう思わない”=1)で回答
※2022年6月n=89、2022年7月n=80
先月と比較して、Q4以外の平均数値が全て下がっていることが分かります。
Growthのようなパルスサーベイで数値が下がる理由は2つあります。
1つ目は、単純に今の状態を評価した結果
2つ目は、回答者本人の基準が高くなったことにより、自分に厳しい評価をつけるようになることです。
「数値が下がっているから悪い」と決めつけるのではなく、なぜその数値を付けたのかという背景を理解することが大切です。
Growthに限らず、サーベイを行っている場合は、その結果をきちんと現場に共有し、数値結果の背景について対話していくことが重要です。
今回のフリーコメントを見ていると、回答者が成長を実感して、成長意欲が向上している人もいましたが、自身の成長や組織に対して申し訳なさを強く持っている方、そして体調やメンタルの不調が出ている方がいました。
一部を紹介します。
・最近は作業をしていて、だんだん慣れてきているのかスピードがちょっとずつ速くなってきているのを感じています。ですが、交代の時間に遅れたりしてしまう事もあったので気をつけて行きたいです。
・できる仕事が増えてきたので、次何が必要か先を読んだ行動をしたいです。
・徐々に成長して行ってることを実感して誇れます
・4月、5月の時と比べて自分のできることが増えてきて、次のステップに入らなけらばならないと感じています。これからはできることは確実に遂行し、できないことも積極的に吸収していきたいと思います。
・店舗をもっと良いものにしたいと言う気持ちがどんどん強くなってきました。その中で発言できる場もいただいているので、新人なりの新しいアイデアを出していきます!出来ることを増やして、知識を知恵にできるように頑張っていきます。
・一切力になれない時期があり、迷惑をかけてしまったし、自分も何も成長できなかった。
・質問する際の言語化を上手く行えないことが申し訳なく思っている
・スケジュール管理がどうしてもできず、どんなに確認して気をつけていても予約ミスや時間管理不足になって申し訳ない
・まだ研修中で勉強しかしていないので、会社に直接貢献できていないのは申し訳なく思っています。なので、現場では足を引っ張らずに勉強の成果を見せていけたらと思います。
・メンタルを崩してしまったので、そこに対する解決を取り組んでいきたい。
・最近あまり仕事に対して意欲的に取り組めていないと感じる。少しモチベーションが下がってしまっているので、初心にかえり、なりたい姿ややるべきことを再確認して今後も成長を図っていきたい。
・コロナに罹ってから体調を崩しがちになって申し訳なく思う。
・もう少し自己開示できるようになりたい
・身体的に限界を感じることが多く、計量速度についていけないこともしばしばあります。腰痛にも悩まされているので、先輩方がどう乗り越えられているのか気になります。今後は仕事を作業と捉えずにこなしていけるよう努力していきたいと思います。
このように、フリーコメントの内容で、成長を実感し、より意欲的に仕事に取り組もうとしている人と、自分への自信の無さや不調を感じている人の差が大きくありました。
今月の回答結果は、フリーコメントの内容の差に大きな特徴が見えました。
パルスサーベイGrowthは、新入社員からのメッセージでもあります。回答してもらって終わりではなく、このメッセージを丁寧に扱ってフォローに繋げていって頂きたいです。
どのようにフォローすればいいのかについて、次にご説明します。
先ほどのフリーコメントで見た、
・成長を実感して成長意欲が向上している人
・自身の成長や組織に対して申し訳なさが強く出ている人
・体調やメンタルの不調が出ている人
それぞれに対して、どのようなフォローを行うといいのかをご説明します。
成長に対するポジティブフィードバックを行い、成長意欲に合わせた業務をアサインするといいでしょう。
成長意欲があるときは、簡単にできる課題より、少し難しそうだけどチャレンジしてみたい、と思えるような仕事を用意できると、やりがいやチャレンジすることの楽しさを感じてもらいやすくなります。
ただ、少し難しそうな課題は、任せっきりにするのではなく、適宜フォローするのを忘れないようにすることが必要です。
フィードバックについて、もう少し詳しく知りたい方は下記の資料をご覧ください。
若手・新入社員の成長を支援するフィードバックとは
※2022年6月に実施したGrowth Meetingの投影資料です。
1on1の中で、どんなところで成長を実感しているのか具体的に一場面を切り取って、新入社員自身の変化を聞いてみるといいでしょう。
自分で成長がそれほど起きていないことに気付くかもしれません。ただし、認識の甘さがある場合は、状況をヒアリングした上で、事実ベースで改善点と目指して欲しいことを伝えるようにしましょう。
1on1で目指して欲しいところを伝える際に注意したいポイントとしては、他の人と比べないようにすることです。
誰かとの比較で伝えてしまうと、自分はその人よりダメなんだという思考になってしまう可能性もあるためです。そのような思考になってしまうと、自己肯定感が低くなり「どうせ自分がやっても無駄だ」のようなネガティブな感情を引き起こしてしまう可能性があります。
そのため、誰かと比較するのではなく、あくまでも目指して欲しいところを伝える、ということを意識できると良いかと思います。
背景を確認するために、まずは対話から始めるとよいでしょう。
既にGrowthのフリーコメントで、何に申し訳なさを感じているかが分かっている場合は、そのことについて詳しく聞いてみてください。
もしかしたら、先輩に相談して時間を取ることかもしれませんし、成果が出せないことかもしれません。聞いてみると、そんなこと⁉と感じるような内容もあるかもしれませんが、新入社員が感じていることを、まずは評価や判断せず、丁寧に聞いていただくといいでしょう。
なお注意点としては、突然Gorwthの結果をもとに、申し訳なさを聞くのではなく、話しやすい話から聞いてみることをお勧めします。
始めから、話しづらい内容を聴くと、話せないという状況を生みます。それが分かってから、ようやくフォローに進めます。
フリーコメントでは、成長できていないことに対して申し訳なさを感じている人がいますが、4月から今までの間にどこも成長していないということは、ありえません。
自身で成長に気付いていない場合は、成長を実感できるような機会を意図的につくってあげましょう。1on1などは成長実感を得やすい場です。
周りと比較していたり、上司・先輩から何気なく言われたひと言が引っかかっていて、成長できていないと感じてしまうこともあると思います。
そのようなときは、先輩や上司が新入社員・若手社員のころの未熟だった話や、ロールモデルになりそうなメンバーの失敗談などを通して、どのように成長していったかを話していくといいかもしれません。
自分もここから成長していける可能性があるんだと希望を感じることができます。
同じミスを繰り返してしまう、というコメントもありましたが、これについては、一緒に解決策を考えてあげましょう。
同じことを繰り返してしまう、というのはどこかに必ず原因があります。
同じミスを繰り返すあなたがダメ、というメッセージを与えてしまうと、自己肯定感が下がっていき、他の業務にも支障をきたす場合があります。
誰にでも苦手なことはありますので、ミスを繰り返さない方法を一緒に探してみてください。
可能であれば、仕組みにして、成長を促す方法が良いでしょう。
例えば、報連相の回数が少なくミスがあった場合は、報連相がなくても、2時間に一度報連相をすると仕組みにするといいでしょう。
報連相がないときは、「報連相はありません」という報連相になります。8時間勤務であれば、最低4回報連相しますので、その際新入社員は、何を報連相すればいいか、トレーナーはその都度フィードバックも可能になります。
彼らに対しては、迅速なフォローが必要です。
体調やメンタルに影響が出ているのは、パンク寸前の状態でギリギリ耐えているという可能性が多いです。
既に体調を壊している場合は、休息を与え、無理をさせないこと、そして可能な限り早く、人事との面談や時には産業医面談などの用意が必要です。
メンタルの不調に関しては、二つのケースが考えられます。
一つは、業務への負担と負担感です。
負担と負担感、この二つは一緒のようで異なります。
業務の負担とは、業務量や難易度のことで、業務の負担感とは、苦手意識や好き嫌いのことを言います。
これについては、まず、業務時間がどの程度か確認が必要です。どの業務にどれくらいの時間が掛かっているのかを細かく見ていき、1か月程度は、1日の業務を15分ほど毎日確認する時間をつくってもいいと思います。単純に業務量が多い場合は、調整が必要になります。
続いて、負担感についてです。
業務内容と時間を確認していると、必要のないところに時間をかけていたり、一人で抱え込んでいたりするなど、状況が見えてきます。もしくは特定の先輩・上司との業務で時間がかかっている、などもあるかもしれません。
この場合は、業務量の負担というより、業務への負担感が大きくなっていると言えます。
どんな業務に苦手意識や抵抗感を感じるのか、もしくは特定の社員に対して苦手意識や関係構築が難しいと感じているのかなどもヒアリングできると、そのことに対する対策も考えることができます。
そしてもう一つは、人間関係です。
先ほどの負担感のお話でも少し触れましたが、上司との関係や、トレーナー社員との関係もあるかもしれません。
この場合は、人事が双方から状況を聴くことが必要です。状況を聴いた上で、解決策を考えていきます。時には配置転換も必要です。
最も懸念されるケースはパワハラ・セクハラの問題です。この場合は、組織として毅然とした対応が必要です。
体調やメンタルに不調を感じている人が、どうすれば働きやすくなるかを丁寧に探していきましょう。
今月も数値の変化やフリーコメントから、新入社員が感じていること、悩んでいることのヒントをパルスサーベイGrowthから得ることが出来ました。
ほんの些細なヒントではありますが、Growthの情報をきっかけに対話を行う中で、より詳しい状態を確認し、フォローに繋げていくことができます。
ぜひこの情報を大切に扱って、新入社員が活躍できる育成を行っていきましょう。
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