2022/7/27作成ー
若手社員のフォロー研修をお客様と企画すると、人事の方からよく下記のようなお話をお聞きします。
上司が持っている課題意識は、
・プレゼンが上手くない若手社員は、伝えたいことを一方的に伝えているため、顧客に正確にこちらの伝えたい内容が伝わっていない
・伝えるべきことは伝えているのだが、顧客の気持ちに寄り添っていない
若手社員が持っている課題意識は、
・顧客のためを思って、丁寧に説明しているけど、顧客の反応が良くない
・顧客のヒアリングをもとに論理的に説明しているが、顧客に響かない
営業職はもちろん、顧客接点がある方や社内のコミュニケーションでも発生するようです。
今回は、トーキングスキルを若手社員が身につけ、これらの課題を解決していくための方法をご紹介していきます。
適切なトレーニングやフォローを行うことで、若手社員の成長を促していきましょう。
顧客が抱える課題や悩みへ解決策を提示する時は、顧客から理解と納得を得ることが必要です。
例えば、「(営業時に)このサービスを導入したい」、「(クレーム発生時に)その代替案なら、満足できる」、「(社内での企画プレゼン時)部署を超えて、みんなでがんばろう!」と思ってもらえるようにするために、トーキングスキルを学ぶ必要があります。
課題や悩みにあった解決策を提示できても、伝え方が分かりづらいと顧客にとっての納得感が得られず、最終的に取り入れてもらえなくなる、ということも起きかねません。
しかし、どのように伝えれば、「課題を解決できることを理解してもらえるのか」、「顧客が納得してくれるのか」、「満足してくれるのか」という話し方のスキルについては、なかなかマニュアルで落とし込めない部分があります。
マニュアルは、「説明に抜け漏れがなく過不足がないか」という観点が多くなり、一人ひとりの顧客への対応はできないためです。
そのため顧客にあわせたトーキングスキルを学ぶ必要があるのですが、トーキングスキルについて習っていない私たちが、教えると言っても何を伝えてあげたらいいのか分からない部分もあるかと思います。
今回は、伝えるときの基本的な手順についてお伝えします。
まず、前提として、顧客が納得・理解し、満足してもらうための提案を行うためには、事前のヒアリングがとても大切になります。課題や目的がズレてしまうと、当たり前ですがその後の提案もズレてしまうためです。
ヒアリングに関しては、下記のプロセスで進めていくことが必要です。
新入社員向けのコラムですが、ヒアリングスキルを高めたい方、ヒアリングに対して苦手意識がある方には、下記コラムは参考になります。
■期待を超えるために新入社員が習得したい!ヒアリングスキル
ここからは、十分なヒアリングができている状態という前提を元に話を進めていきます。
まず行うことは、ヒアリングした内容を元に、顧客が一番解決したいことと、そのために満足してもらえる提案を考えます。
多くの場合、様々な課題が複雑に絡み合っていることが多いと思います。その中で、何を改善することで顧客の目指す方向に進めるのかを見極めることが大切です。
5W2Hシートなどを用いて、まとめてみることをお勧め致します。 ※ 当社、ビジネススキル研修より抜粋
そして、何を伝えるかが決まったら伝え方を考えます。
伝え方は、大きく2種類あって、ロジカルシンキングを用いて伝える方法と、ストーリーで伝える方法です。
それぞれ詳しくお伝えします。
ロジカルシンキングを用いて伝える方法は、誰が見ても・聞いても、適切かつ納得性がある「結論」や「理由」にする必要があります。 ※ 当社、ロジカルシンキング研修より抜粋
誰が見ても納得してもらえるようにするためには、視覚的に理解しやすい状況にすることも必要になるため、ロジックツリーやマトリックスなどにまとめるとよいでしょう。
※ソリューション提案力研修のテキストより抜粋
若手社員がロジカルシンキングを身に付けるための方法をより詳しく知りたい方は、下記コラムを参考にしてください。
■人事・組織が新入社員・若手社員に抱える悩みの多くはロジカルシンキングで解決できる!?
ロジカルシンキングを用いて伝えたほうがいい状況に関しては、「ロジカルシンキングが得意な方」や、「説明する時間が少ない場合」などです。
この時に意識することは、簡潔に分かりやすく伝えるということで、意識すべきことは次の4つです。
※ソリューション提案力研修のテキストより抜粋
説明の構成は、いくつかのパターンがあるため、得意な構成を見つけていけると良いでしょう。
参考として、当社のソリューション提案力研修のテキストの内容をご紹介します。
※ソリューション提案力研修のテキストより抜粋
ロジカルシンキングで伝えることで、顧客や相手が課題と解決策が適切であることが分かり、納得感を持って話を聞くことができます。
一方、ストーリーで伝える方法は、文字通り映画や小説などの物語のように、論理的ではなく、様々な心情も載せながら伝える方法です。
ストーリーで伝える方法は、相手の心に訴えかけたい時に効果的な伝え方で、想いを大切にしている方などに向いています。ストーリーで話すことで、イメージがしやすくなり、思考と感情を深めることができるためです。
ストーリーには、3つの可能性があると言われています。
スタンフォード大学 Jennifer Aaker教授によると、ストーリーで話す方法と論理的・数値的に話を伝える方法とでは、人の記憶の残りやすさに最大22倍差がでるとのことです。
時間がないときには向いていないですが、感情を動かす必要があるときは、活用してみて下さい。
なお、ストーリーで伝えるときは、次のポイントを意識することが必要です。
結論・ポイントではイメージがしづらいので、聞き手の頭の上に映画のスクリーンがあることをイメージして生々しく伝えます。
ストーリー自体を変えることはNGですが、聞き手を観て、中身の重みづけを変えます。例えば、営業場面で顧客事例を話す際に、現場での効果の話より企画時のやり取りを知りたいのであれば、その内容を中心にしてストーリーで伝えます。
聞き手の受け止め方で、新しい意味付けが出てきたときは、その内容を大切に扱います。 例えば、ストーリーで伝えた際に、顧客がサービスに新しい価値を見出した場合は、その内容をしっかり言語化していきます。 ※明らかに話し手が意図しない内容の時は、その旨を伝えることも重要です。
2種類の伝え方についてご紹介しました。
話す場の状況や、お伝えする相手がどのような傾向を好むのか、また、これから自分たちが提案する内容はどちらの方法で伝える方が理解を得られそうかを考えて、状況に合わせて使い分けをすることができるようになるといいですね。
今回ご紹介した2種類の伝え方は、知識をインプットしたらすぐにできるようになるという物ではありません。なぜなら、分かるとできるは違うからです。
知識をいくら伝えても、その知識をもとに実践し経験を積んでいかなければ身につきません。
そのため、社内で育成を行う場合は、知識としてトーキングスキルを高めるための方法を伝えた後、ロールプレイングや一緒に訪問を行うなどして、実践とフィードバックする機会をつくってください。
繰り返すうちにトーキングスキルが磨かれていきます。
しかし、社内での育成に時間的な余裕が無かったり、フィードバックの仕方が難しいという声もよく伺います。そのようなときは、研修会社などのプロに任せてみてください。
ロジカルシンキングでの伝え方を強化したい場合は、ロジカルシンキングを用いたトーキングスキルに関する情報をお伝えし、シミュレーションワークを通して実践し、その状況を振り返って、明日からの自分の仕事に繋げる所まで研修で体験することができるような研修が良いです。
知識を学んで、業務との連携が分からないようなワークを実施しても、その後、せっかく学んだロジカルシンキングをどのように仕事に活かせたらいいのかをイメージできず、活用機会を生み出せないために学んだことを忘れていってしまう…ということが起きかねないためです。
アーティエンスの過去の受講生の方の研修振り返りシートをみてみると、研修で学んだことを自分の仕事にどう活かすかをイメージできていることが分かります。
お客様や社内(上司・先輩)との認識のずれを無くし、成果を出すためのコミュニケーションスキルを実践的に学ぶことを目的としたソリューション提案力研修の詳細については、こちらをご覧ください。
ソリューション提案力研修について問い合わせがある方は、こちらからご連絡下さい。
また、ストーリーで伝える方法を身につけて欲しい際は、ストーリーで伝えたい話を事前に用意してもらい、その内容を次のヒーローズジャーニーというフレームワークに落としながら話してもらうとやりやすくなると思います。
イメージが分からなさそうであれば、聞き手に響く鉄板話を社内で共有していくと分かりやすいかもしれません。
若手社員のトーキングスキルを鍛えることで、顧客や社内関係を改善し、自組織にいい影響を与えていきましょう。