研修・セミナーレポート

先輩に質問する・話しかけるのは時間を奪っているのか。それとも仕事を前に進めているのか。認知の違いが巻き込み力に影響する!? 【Growthレポート5月】

新入社員研修 リーダーシップ エンゲージメント 組織開発 研修 男性と女性がグラフ上に立っている

2022/6/16作成ー

アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力(※)・リーダーシップの発揮を目的とした、振り返りツール【Growth】をご提供しています。

本記事では2022年度新入社員を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の5月24日〜6月2日の回答の結果(n=87/企業数12)を、回答結果の推移とともに読み解きます。

1)Growthとは

Growthとは、
アーティエンスでは、新入社員が力強く成長していくために必要な4つの力(業務遂行力、巻き込み力、意義付け力、成長力)をまとめて、セルフマネジメント力と定義しています。Growthは、4つの力にリーダーシップを加えた5つの力への意識を高める設問となっており、日々の業務を振り返り回答することで、セルフマネジメント力とリーダーシップ発揮を促します。

Growth セルフマネジメント力の説明スライド

もっと詳しく知りたい方は、こちらから資料をダウンロードして頂けます。

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    2)5月の結果共有

    まず回答結果として、全体平均と標準偏差を見ていきましょう。

    【表1】
    2022年5月24日〜6月2日 Growth回答結果 全体平均と標準偏差

    ※ 9つの設問に対して5段階('とてもそう思う'=5, 'そう思う'=4,'どちらともいえない'=3, 'あまりそう思わない'=2, 'そう思わない'=1)で回答
    ※標準偏差とは:データのばらつき具合を示す数値のひとつで、数値が大きいほどばらつきが大きい

    結果を見ると、Q2,3の巻き込み力に関する設問の標準偏差が大きいため、周囲や上司を巻き込んで仕事をしている感覚が個々によって差が出ていることが分かります。

    どのような意識の差があるのか、Q2,3の設問に4,5という高得点をつけている方と1,2という低い得点をつけている人のフリーコメントを見てみましょう。

    巻き込み力に関するQ2,3の設問に4,5という高得点をつけている方のコメント

    ・今月は仕事に対して積極的に手を挙げられたかなと思っています。その一方で「仕事ください」と言うことしかできないことに申し訳なさを感じます。これから「〇〇だからまかせたい」と自然に仕事を頂けるようになりたいです。
    ※〇〇にはお名前が記載されていたため伏せております。

    不安なことはその都度上司に確認相談できています。また、相手のためになるようなアドバイスをしようと心がけています。

    ・かなり仕事の流れを掴むことができたと思います。質問をしていくことで先輩に感謝されることがあり、誇れることだと感じました。ただ、まだまだ目標意識が足りないと感じ、小さな目標でもいいので持ち続けたいです。これから開発の研修もあるので、希望部署であることをしっかり伝えて積極的に質問していきたいです。

    ・段々と同期だけでなく先輩とも話す機会が増え、より多くの人と関われるようになりました。申し訳なく思うことは手際が悪く周りに迷惑をかけてしまうことです。先輩の動きを見てコツを掴みながら、手際よく動けるよう頑張りたいです。

    積極的にコミュニケーションをとり、成長に繋げようと努力していることが、誇れること。経験や思考力不足で時間をかけてしまったり、チェックの回数が増えることが申し訳なく思うこと。しかし、それを改善していくためのコミュニケーションであるので、そこは気にしすぎないようにしている。

    自身で積極的にコミュニケーションを取っている意識と感覚があるということと、コミュニケーションを取ることは仕事を良くするために必要な物としてポジティブに捉えていることが分かります。

    巻き込み力に関するQ2,3の設問に1,2という低い得点をつけている方のコメント

    先輩や上長に遠慮して意見できないことがあるのでそこを改善したい。

    ・全然仕事が進まなくて申し訳なく思います。遅い上にさっぱり理解できていないし、身に付いていないので自信喪失しているし、周囲は経験が少しあるとはいえ、進捗が順調なので味方がいない孤独感を感じています。

    意見が言いたいのに言えない、理解できないことに対して質問をできていない、というコミュニケーションを取りたいけど取れないという状況が巻き込み力を強められない原因のように感じました。

    フリーコメントの差から、コミュニケーションを取る、周りを巻き込むことは、仕事を良くするために必要だという考えか、先輩や上司に迷惑をかける行為だと捉えているかという認知の差によって、Growthの回答結果にも差が生じている可能性があることが分かります。

    続いて、昨年度の5月(2021年度新入社員)との平均値と比べてみましょう。

    【表2】
    昨年度の5月(2021年度新入社員)との平均値 

    ※ 9つの設問に対して5段階('とてもそう思う'=5, 'そう思う'=4,'どちらともいえない'=3, 'あまりそう思わない'=2, 'そう思わない'=1)で回答
    ※2021年5月n=120、2022年5月n=87

    Q6,7,9については昨年度の差が0.05以内でほとんど差がありませんでした。
    一方で、Q3,5は0.2以上の差があり、どちらも今年度の方が数値が低くなっていました。

    【表3】

    クリックで拡大昨年度の5月(2021年度新入社員)との平均値 

    【表3】のクロス集計の通り、Q3とQ5共に「'とてもそう思う'=5, 'そう思う'=4」と回答52.8%にとどまりました。(回帰分析をしたところ、相関係数0.49であり、相関がそこまで見られませんでした。)

    今年の5月の回答でQ3,5共に2以下の数値をつけていた方のフリーコメントを見ると、まだ仕事の全貌が見えていないことや、実務が始まっていないことによって、そもそも周囲や上司を巻き込む機会がないことが数値の低い原因となっている可能性が考えられます。

    ・まだ、プロジェクトに所属していないので、早く所属して自身の誇れることを見つけたいです。

    ・今は仕事のやり方や社風を吸収する時期であると同時に、新入社員として新しい視点を社にもたらさねばならないとも思うので、その両者のバランスが難しいです。これからひとまず仕事に慣れ、最低限のrequirementを達成できるようになったら、自分が「良い」と思う感性を活かした仕事をしていきたいです。

    5月の回答を見てみると、先輩・上司への質問やコミュニケーションの捉え方によって巻き込む力に差が出ていることが分かりました。

    巻き込み力を高めるために、どのようなフォローを行えばいいか考えていきましょう。

    3)Growthの結果から考えるフォロー案

    アーティエンスは3つのフォローを行うことができると考えています。

    1、話しやすい状態を創る
    2、負担・負担感を調整する
    3、共創・協働の質を上げる

    それぞれについて具体的にお伝えします。

    1、話しやすい状態を創る

    新入社員にとって先輩や上司と話をすることは、皆さんが思っている以上に緊張することです。

    中には話しかけることが迷惑になってしまうと考える新入社員もいます。
    そのため、当たり前ではありますが、話しやすい状況を作ること、仕事を進めるために必要なコミュニケーションはウェルカムであることを伝えることが、新入社員の巻き込み力を高めるために必要となります。

    そして声をかけやすい導線をつくることも重要です。
    例えば、近い席で作業をするや、気軽に使えるチャットを用意するなどです。

    ちなみにアーティエンスでは全社員基本テレワークですが、oViceというバーチャルオフィスのツールを活用し、気軽に声掛けができる仕組みをつくっています。

    アーティエンスのoViceの風景
    # アーティエンスのoViceの風景

    また、上司・トレーナーから新入社員に話しかけることも話やすい状況をつくるために大切です。その際に小さいことでもいいので、仕事に関する相談をしてみるのも良いと思います。

    2、負担・負担感を調整する

    これも当たり前のことではありますが、負担と負担感を分けて考えることがポイントです。

    負担とは、実際の業務量や難しさの度合いです。
    負担感とは、業務自体に対して、負担を感じる度合いのことです。

    例えばそこまで大変ではないはずなことに対して、ネガティブな感情が乗っかることにより大変な業務のように感じてしまっている場合は、負担感が大きいと言います。

    まずは業務整理としてどの作業にどの程度の時間が掛かっているのか、新入社員にとっての難易度はどうなのかを確認します。その中で想定以上に時間が掛かっている作業があった場合は、その業務について掘り下げてみてください。

    もしかしたら、単純に作業の目的に認識の齟齬があり、やらなくていいことをやっているということもありますし、失敗できないというプレッシャーから作業が進んでいないということもあるかもしれません。深掘りしていく中で課題が見つかったらそれを踏まえて業務の調整をして頂くといいと思います。

    3、共創・協働の質を上げる

    フ一緒に業務を進める中で成長を促すことができると、周囲や上司を巻き込むという感覚を掴みやすくなります。

    新入社員と一緒に取り組む業務を用意します。
    (業務は時間に余裕があるタスクの方が、新入社員が試行錯誤できるため良いです。)

    新入社員に考えてもらうことを設定して、意見を言ってもらい、そのことに対してフィードバックを行います。
    この際に課題は多いと思いますが、まずは意見を持ってきたことへの感謝を伝えたり意見を受け入れることをしてあげると、その後も安心して自分の意見を述べやすい環境をつくることができます。

    課題があることに関しては、どうすればいいのかを共に考え、それに対しての意見をまた持ってきてもらうということを繰り返すと、回を重ねるうちに共創・協働の質があがっているのを感じることができるでしょう。

    フィードバックは、内容によっては相手を傷つけ意見を言いにくい環境をつくったり、主体性を阻害してしまう可能性もありますので、どのように行うかは十分に注意が必要です。

    フィードバックについては、下記の資料に情報をまとめていますので、よろしければダウンロードしてご覧ください。

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      主体性については、下記のコラムをご確認ください。

      社員の主体性を解放し発揮するためにできることとは?~研修を起点とした主体性の扱い方を考える~

      5月の結果から、周囲や上司を巻き込む力が個々によってバラつきがあり、その要因の一つとしてコミュニケーションの捉え方の違いによることが仮説として考えられました。

      質問する・話しかけることで先輩・上司の時間を奪ってしまう、という感覚ももちろん大切ではありますが、そこばかりに目を向けてしまうと仕事が前に進まなくなってしまいます。

      このことを新入社員の方が理解できると、より巻き込む力が強くなっていくと思いますので、ぜひ今回ご紹介したフォローポイントを意識して接して頂ければと思います。

      4)新入社員のさらなる成長・活躍を探求していきませんか?

      アーティエンスでは、本Growth結果にも触れながら、人事担当・育成担当・現場の上長など、多様な方々が企業や立場を超えて対話・情報交換し合える、参加型オンライン勉強会【Growth Meeting(グロース・ミーティング) 】を月1回開催しています。

      アーティエンスからも人材育成に関するトレンドやノウハウを提供したり、人材開発・組織開発の分野で活躍する専門家をお呼びし、講演いただく機会もご用意しています。

      ご参加者の皆さまからは、

      ・悩んでいるのは自分だけじゃないことが分かって安心した
      ・他社さんの取り組みで面白い施策があったので、自社でもやってみたいと思った

      などのご感想を頂いております。

      Growthを実施されていなくても参加して頂くことは可能ですので、お気軽にご参加頂き、対話を通してご一緒に新入社員を育成していければと思います。

      次回は下記テーマで開催予定です。是非お気軽に御申込くださいませ。

      ◆2022年7月15日(金)10:30~12:00/ZOOM
      ▶【無料/参加型オンライン勉強会】現場の1on1ミーティングに対して、人事はどんな支援・関わりができるのか?Growth Meeting(グロースミーティング)

      前回のGrowth Meetingの投影資料は、下記より無料ダウンロードいただけます。

      【Growth Meeting2022年5月】22年度新入社員導入研修プチ振り返り会~新入社員の傾向と効果的な育成施策とは?~

      「興味はあるけれど詳細を聞いてから検討したい…」という方は、まずはお気軽に下記よりお問合せ・資料請求くださいませ。

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      時代の変化が早くなり、育ってきた環境が年々変化しているため、新入社員の育成が難しくなってきています。
      今まで通りの育成では、今年の新入社員の成長に合致しないこともあるかもしれません。

      今年の新入社員の皆さんが自社で活躍してくれるようになるためには、どのような育成を企画すればいいのか、ぜひ一緒に考えていきましょう。

      皆さまのご参加をお待ちしております。

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