2022/3/16作成ー
本記事では2021卒を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の2月24日~3月6日の回答の結果(n=92/企業数17)を、回答結果の推移とともに読み解きます。
アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力(※)・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。
あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。現在、無料体験サービスを実施中です。 (詳細・お申込みは最下部をご覧ください)
■過去レポート一覧
※新入社員が力強く成長していくために必要な4つの力(業務遂行力、巻き込み力、意義付け力、成長力)をまとめて、セルフマネジメント力と定義しています。Growthは、4つの力にリーダーシップを加えた5つの力への意識を高める設問となっており、日々の業務を振り返り回答することで、セルフマネジメント力とリーダーシップ発揮を促します。
目次
9つの設問に対して“とてもそう思う”=5, “そう思う”=4,“どちらともいえない”=3, “あまりそう思わない”=2, “そう思わない”=1にて算出 ※ 標準偏差とは、データのばらつき具合を示す数値のひとつ。数値が大きいほどばらつきが大きい
平均値が最も高かった設問:Q1.私はよりよい仕事をするために学び続けている
9つの設問の中で最も平均値が高かった設問はQ1でした。とはいえ、入社時の4月の平均値 4.55ポイントと比較すると、0.4ポイントダウンしています。
※4月~12月のGrowth各設問の推移レポートは以下よりダウンロードいただけます。新入社員の状態の推移から育成施策の検討にご活用いただけます。
▶新入社員のセルフマネジメント力に対する意識・9か月間の推移レポート
もうすぐ入社一年目が終わろうとしています。新たな知識を得る機会も減り、日々学び続けるという意識が低下しているのかもしれません。2年目に向けて、業務範囲や役割が変わる方もいらっしゃるかと思います。改めて、本人への期待や役割をすり合わせる機会を創り、学習意欲を醸成するフォローを行えるとよいかもしれません。
今回は、平均値が最も低く、標準偏差も最も大きかったQ9にフォーカスしながら、若手・新入社員の育成のヒントを考えていきたいと思います。
Q9.私は自分の役割ではないことも、周囲やチームのために良いと思ったことは働きかけている
Q9は、若手・新入社員のリーダーシップ(想いを持って、主体的に組織・周囲にポジティブな影響を与えていく力)の意識醸成を図る設問です。
昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、ビジネス環境の変化はより一層加速しています。 石井遼介氏は自身の著書「心理的安全性のつくりかた」の中で、VUCAの時代を「正解のないこれからの時代」とも述べており、組織活動における様々な切り口から「正解のあるこれまでの時代」と比較して、以下のような表にまとめています。
参照:心理的安全性のつくりかた 著/石井遼介
正解のあるこれまでの時代でしたら、管理職一人が強いリーダーシップを発揮していく方が、早く成果も出せ、成長スピードも速かったと思います。しかしながら、正解のないこれからの時代においては、管理職一人の考えが正しいかどうかも分かりません。そのため、アーティエンスでは、「リーダーシップ」は管理職や一部の社員だけが発揮するものではなく、全員が発揮するものであるという「シェアドリーダーシップ」を推奨しています。
※「シェアドリーダーシップ」に関する詳細は、下記を御覧ください。
これから求められる新たな概念”シェアドリーダーシップ”とは ー管理職を起点としたチーム創りを考えるー
シェアドリーダーシップは、「全員発揮のリーダーシップ」ですので、若手社員や新入社員であってもリーダーシップを発揮していくことが期待されます。しかしながら、“若手・新入社員のリーダーシップ発揮が期待される”と言われても、以下のような疑問が浮かんでくるかもしれません。
「うちの会社でも、若手・新入社員のうちからリーダーシップの発揮って必要なのか?」 「若手・新入社員にとってのリーダーシップって?そもそもどんなものなのだろうか?」 「若手・新入社員のリーダーシップはどのように発揮してもらえばよいのだろうか?」
本記事を通して、若手・新入社員のリーダーシップの発揮が必要な背景、若手・新入社員にとってのリーダーシップとはどういったものか、そしてどのようにリーダーシップの発揮を促していくのか、に関して概観していきたいと思います。
ではまず、なぜ若手・新入社員のうちからリーダーシップの発揮が必要なのか、改めて考えていきたいと思います。大きく二つの理由が考えられます。
一つ目の理由としては、リーダーシップは、管理職やリーダーになってからいきなり発揮できるものではないからです。リーダーシップの発揮は一種の習慣であり、役職がついたからといって急に発達するものではありません。
「管理職になった途端に、急にリーダーシップ研修を受けさせられる」という状態ではリーダーシップの発揮は難しく、中長期的観点でリーダーシップを育んでいく取り組みが不可欠です。
ここ最近では、中学や高校でもリーダーシップ教育を積極的に取り入れている学校が増えてきています。
これは単純な話ではありますが、若いときの方がリーダーシップについて学ぶスピードが早いと学術的にも指摘されているためです。
入社間もない新入社員のうちからリーダーシップの発揮を促していくのは、決して早すぎるということはありません。むしろリーダーシップの発揮を早期に習慣化していけると、人材育成の費用対効果も大いに期待できるでしょう。
二つ目の理由として、リーダーシップの発揮は、社員のパフォーマンス向上や離職防止にも効果的なためです。先ほどお伝えしたシェアドリーダーシップの考え方によると、メンバーがリーダーシップを発揮する機会が増えると、自己効力感や自己決定感が向上にも作用し、結果として内発的モチベーションの向上にも繋がっていきます。
参照:シェアド・リーダーシップ-チーム全員の影響力が職場を強くする 著/石川淳
※上記図のより詳細に関しては、下記を御覧ください
これから求められる新たな概念”シェアドリーダーシップ”とは ー管理職を起点としたチーム創りを考えるー
内発的モチベーションの向上は、社員のやる気や自主性を高めますので、仕事のパフォーマンス向上も期待できるでしょう。また、一般的に退職を考えるのは、モチベーションが下がった状態にある時と言えるため、離職防止にも効果的と言えます。
若手・新入社員がリーダーシップを発揮することの重要性を前章でお伝えしてきました。
では、若手・新入社員に発揮してほしいリーダーシップとは、どのようなものなのでしょうか?
アーティエンスのリーダーシップ開発研修では、リーダーシップとは、「望ましい状態(目標やビジョン等)に向けて、周囲に影響を与える行動・振る舞い」と定義しています。少し乱暴な表現になりますが、「影響力=リーダーシップ」と言っても過言ではありません。
そして、役職や権限のない若手・新入社員に対してはまず、以下の3つの観点でリーダーシップを発揮し、周囲に影響を与えてほしいと考えています。
アーティエンスでは、本Growthサーベイや研修を通じて、上記3つの観点の意識醸成に取り組んでまいりました。GrowthのQ9(私は自分の役割ではないことも、周囲やチームのために良いと思ったことは働きかけている)というリーダーシップに関する設問に対して「とてもそう思う、そう思う」と回答している方が、どのようにリーダーシップの発揮を実感できているのか、Growthのフリーコメントをみていきます。
・自分の思っていることを言えるようになった。知識量アップを頑張りたい。 ・以前よりも自分で考えて仕事ができてきているのが誇れる点である。 ・誇れることは、会議でも臆することなく発言できていることです。
・自分の誇れることは、目標に向かって休日等も計画を立てながら学び続けているところです。申し訳なく思うことは、確認を遠慮してしまい進捗が遅れてしまうことです。これから取り組んでいきたいことは今までの経験を活かし、業務のスピードアップすることです。
・自身の誇れること:自分以外の仕事でも興味をもって、何をどんなことをしているのか聞いたり調べたりしている
・業務に関連する勉強を続け、来月には資格試験を受けるなど努力を続けている。先週部署で半期に一度の大きな会議があったが、自分で考えながら積極的に周りとコミュニケーションをとり準備できたことが誇れる点である。3月からまた業務の役割も変わるため、自分から上司に質問を重ねるなど積極的に行動していきたい。
・自分の業務以外にも目を向け、より視野を広げて行動することで、さらに全体での反省点を減らすことができると感じた。
・作業の中で自分が刈り取れる部分があったら少しでも多く、自分がやりますと宣言している
・コロナウイルスの影響で人員が少ない中、できる範囲ではあるが周囲の力になれるよう行動している
この章では、若手・新入社員のリーダーシップ発揮を促すために、人事担当や上司・トレーナーが若手・新入社員育成において意識したいポイントを3つご紹介します。
ポイントの1つ目は、若手・新入社員が会社やチームから期待されていることを、彼ら自身の言葉に落とし込むことです。まずは、若手・新入社員への期待をしっかりと伝えていきます。その際、上から降りてきたものをただ形式的に伝えるのではなく、上司やトレーナー側も自身の想いを持って、若手・新入社員への期待を伝えていけると良いでしょう。
そうすることで、若手・新入社員は、その期待に対して「なぜ自分がそれを行うのか?」「その仕事を通して、どうありたいのか?」と、問いを通して自分の言葉で語れる想いを創っていきます。
自分の想いを持って仕事に取り組めると、当事者意識が高まります。当事者意識が高まると、仕事の質を高めるための自主学習も積極的に行うようになり、周囲に対する貢献行動も増えていきます。
日々の仕事の中で、成果目標(パフォーマンスゴール)だけではなく、学習目標(ラーニングゴール)も創って取り組むことも大切なポイントです。目標は、成果目標と学習目標という大きく2つに分けられます。
・成果目標…成果を上げることを目標に設定したもの。営業売り上げを伸ばす、お客様を増やす等、数値や結果で評価されるもの。
・学習目標…仕事を通して学んだり成長したりすることを目的として設定したもの。あるお客様との商談に向けて本を読んで知識を蓄え、お客様と対話する等。
2つの目標の大きな違いは、成果目標は他人軸での評価であり、学習目標は自分軸での評価であること。学習目標の評価基準は「自己の成長」です。 この成果目標と学習目標をバランスよく意識して取り組んでいくこと、そして、若手・新入社員の学習目標を周囲が認知していると、リーダーシップの発揮に繋がりやすくなります。
まずは1on1ミーティング等を活用し、若手・新入社員と一緒に学習目標を創ることに取り組みながら、ゆくゆくは自主的に学習目標を掲げられるサポートをしていけるとよいかもしれません。
心理的安全性とは、「このチーム内では、対人関係上のリスクをとったとしても安心できる」という共通認識がある状態のことを指します。
心理的安全性が高まると、組織・チーム全体のコミュニケーション量と質が向上します。そのような組織風土が醸成されていると、若手・新入社員としては「行動にうつす」ことのハードルが下がります。
若手・新入社員が、どんなに自分なりの想いを持っていて、仕事の質を高めるための自主学習を行っていても、周囲への実際の行動が伴っていなければ、本当の意味でのリーダーシップの発揮には繋がりません。
経験や知識が浅い若手・新入社員が、自身の役割を超えて周囲に貢献できることを探し、行動していくのは勇気もいりますし、上司やトレーナー等周囲からのフォローも不可欠です。
心理的安全性を高めて、お互いに助け合える関係性を構築していけるとよいでしょう。
※「心理的安全性の創り方」についてヒントを得たい方はコチラ
テレワークだからこそ求められる管理職の’チームの心理的安全性’の創り方
ここまでお読みになっていかがでしたでしょうか?
「リーダーシップの発揮」というと大層なものと捉えられがちですが、日々の思考や行動、意思決定の習慣です。習慣であるからこそ、若手・新入社員のうちからリーダーシップ開発に取り組み、身に付けていくことが重要です。 若手・新入社員に期待されるリーダーシップの観点は、「仕事に対して、自分なりの想いを持っている」、「仕事の質を高めるため、自主学習を行っている」、「自分が周囲に貢献できることを探し、行動している」の3つです。
貴社の若手・新入社員が、これら3つの観点を身に付け、リーダーシップを発揮していけると、どのような組織になっていけるでしょうか?
組織全体が活気付き、環境変化にもしなやかに適応し、挑戦していける組織へと変容していけるかもしれません。
弊社では、若手・新入社員のリーダーシップ開発を支援する研修やワークショップを提供しております。公開講座・講師派遣型のいずれも提供可能です。ぜひお気軽にお問合せ下さいませ。
※ 若手社員のリーダーシップ開発研修のご案内資料イメージ
ここまで、「若手・新入社員のリーダーシップ発揮」をテーマにお伝えしてきました。 若手・新入社員に限らず、社員のリーダーシップの発揮を促すためには、振り返り(リフレクション)が効果的であると言われています。
※振り返り(リフレクション)に関するお役立ちコラムは下記をご覧下さい
withコロナを乗りこなすために、管理職は ‘振り返り(リフレクション)’をどのように扱うといいのか?
そこで、良質な振り返りを行っていくために大切となるポイントを資料にまとめました。以下より無料ダウンロードいただけます。
※本資料は、月1回開催している参加型オンライン勉強会【Growth Meeting「 1年間のリフレクションワークショップ—振り返って育む、活躍の種—」】の投影資料の一部を抜粋した資料です。参加者同士の対話によって、本資料の理解を深め、自社施策の共有などを行っていきます。 資料をお目通しいただき、ご興味いただけましたら、ぜひお気軽にGrowth Meetingにご参加下さい。
3月は下記テーマと内容にて、Growth結果をもとに育成施策共有会(Growth Meeting)を実施しました。
<今回Growth Meetingの目的>
1年間のGrowth結果やGrowth Meetingの内容を振り返り、ご自身や若手・新入社員の変化や成長に気付き、次年度に向けての取り組みを探求します。
<テーマに関する情報提供>
■振り返りができないと生じるリスク
■経験学習モデル
― 振り返りの4つのレベル
― 人の成長の種類
■理論と持論の構造
― 持論とは
― 理論とは
1年間のGrowth結果やGrowth Meetingの内容を見返しながら、各々が1年間で意識したこと、取り組まれたこと等を丁寧に振り返り、参加者同士でシェアし、内省を深めていきました。
⇑ Growth Meetingでの対話の場面より。
<終了後のアンケートより>
・社員の管理や育成に対して何となく持っていたものが、この1年を通して、自覚する間もなく強く育っていることを自覚しました。
・振り返ることの大切さについて新人に話しておきながら、今回自分がやることで、本当に意味のあることだと強く感じました。
・同じ境遇の人事の方の1年間の振り返りをうかがい、自身の振り返りを深め、今後のモチベーションにもつながったので
・仲間意識が芽生えたという発言が印象に残ってます。本音で話せる場だと思うので、そこから出てきた他社事例で取り入れられるものは取り入れたい。
・話をしたり聞ける良い場だと感じていたが、周りの皆さんにも仲間意識があったことがうれしく感じました。
時間を設けて改めて丁寧に振り返ることで、ご自身や周囲の変化・成長を実感できたとのコメントがありました。また、だれかと共に振り返ることで、新たな視点からの気付き・発見を得られたり、新たに取り組みたいことが各自浮かび上がっていたようでした。
<Growth Meeting 担当者から>
人事は、その業務の秘匿性の高さや現場との乖離の生じやすさから、組織内でも孤独を感じやすいポジションではないかと思います。自社内だと気軽に相談がしにくいことも、Growth Meetingでは、問題意識や志を同じくする参加者様同士が気軽に相談し合え、今回のGrowth Meetingで「仲間」と表現されていたのが、まさにぴったりだと感じました。
また、Growth Meetingは、人事担当者様だけでなく、現場の育成担当者にもご参加いただいています。人事視点だけではなく、人材育成に携わるより多様な視点から学びを深めていける学習の場です。
弊社では来年度も月1回、Growth Meetingを開催予定です。
来年度もGrowth Meetingを通して、組織の育成文化を創るご支援ができれば嬉しく思います。 少しでもご興味いただけましたら、まずはお気軽に資料請求・お問合せくださいませ。
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月に1度、先述の9の設問、およびフリーテキストへの回答を若手・新入社員へ促し、結果レポートを人事・回答者のみなさまへお送りしております。
また、Growthは弊社公開講座(若手・新入社員対象)の付帯サービスでもあり、研修の実施効果の検証や、若手・新入社員の皆さまのフォロー施策としてもお役立ていただけます。
おひとり様1回答500円(税別)ですが、現在、3ヵ月間の無料体験を開催中です!
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