2022/2/16作成ー
本記事では2021卒を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の1月24日~2月6日の回答の結果(n=100/企業数17)を、回答結果の推移とともに読み解きます。
アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力(※)・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。 あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。現在、無料体験サービスを実施中です。 (詳細・お申込みは最下部をご覧ください) ■過去レポート一覧
※新入社員が力強く成長していくために必要な4つの力(業務遂行力、巻き込み力、意義付け力、成長力)をまとめて、セルフマネジメント力と定義しています。Growthは、4つの力にリーダーシップを加えた5つの力への意識を高める設問となっており、日々の業務を振り返り回答することで、セルフマネジメント力とリーダーシップ発揮を促します。
目次
9つの設問に対して'とてもそう思う'=5, 'そう思う'=4,'どちらともいえない'=3, 'あまりそう思わない'=2, 'そう思わない'=1にて算出 ※ 標準偏差とは、データのばらつき具合を示す数値のひとつ。数値が大きいほどばらつきが大きい
平均値が最も高かった設問:
Q1「私はよりよい仕事をするために学び続けている」
9つの設問の中で最も平均値が高かった設問は、Q1でした。4月からその順位は変わっていませんが、その平均値は下降トレンドになっています。
※4月~12月のGrowth各設問の推移レポートは以下よりダウンロードいただけます。新入社員の状態の推移から育成施策の検討にご活用いただけます。
▶新入社員のセルフマネジメント力に対する意識・9か月間の推移レポート
その一方で標準偏差も前月より0.05ポイント高くなっており、回答のバラつきも大きくなっています。4月からの回答結果の中では、11月に続き、2番目に大きい標準偏差の値となっています。
Q1に対し、5(とてもそう思う)と回答した方のフリーコメント(Q10:最後に振り返ってみて感じた、「自身の誇れること・申し訳なく思うこと・これから取り組んでいきたいこと」を教えてください)をみていくと、
・今後後輩も入ってくるので自分の事だけでなく周りに働きかける力を養って頑張ります!
・まだ教えてもらうことが多々あるので、後輩が来たときにちゃんと指導ができるようにしていきたいです。
・今年から新人が入ってくるので、先輩に教わった知識を整理し、これから入ってくる後輩の質問に答えられるようにしたいと思います
といった、先月までは見られなかった「後輩の入社」を意識したコメントが多々見られました。 4月の2022年度新入社員の入社を見据え、学びの意欲・周囲への働きかけを強めていこうと意識される方と、そうでない方の個人差が生じているのかもしれません。
2021年度入社の皆さんは、入社当初からテレワーク勤務であったり、周囲とのコミュニケーションや仕事の進め方も試行錯誤の1年であったと思います。そんな皆さんだからこその苦労や工夫がたくさんあったのではないでしょうか。2年目を迎えるにあたり、ぜひ、上司・先輩、可能であればチームメンバー全員で、1年間の経験を振り返る機会を設けられるとよいかと思います。チームで振り返りをオススメする理由は3つあります。
1つ目は、個人の成長促進のためです。 一つ一つの経験をどう捉え、そこから何に気付き、学んだのかを言語化することは、ご自身の成長の種になるでしょう。また他メンバーからの問いかけによって、新たな気付きが得られるかもしれません。
2つ目は、相互理解によるチームメンバーの関係性の向上です。 働き方の多様化により、物理的にも心理的にもチームメンバー間の距離が広がりやすくなっています。1年間の振り返りをチームで共有し合うことで、メンバー一人ひとりが何を大切に、どんな想いで仕事をしているのかを知るきっかけとなります。お互いの背景を理解できると、仕事の頼み方やコミュニケーション方法に変化があるかもしれません。
3つ目は、チームとしてのノウハウの蓄積・暗黙知の解消です。 コロナ禍で仕事を効率的に進めていくにあたって、各々がどんな点に躓き、そしてどのように取り組んでいったのか、振り返りながらチームの共通認識として整理しておくこともできます。そのようなノウハウは、新たなメンバーが参入した際のオンボーディング計画にも活用できるでしょう。
▶オンボーディングに関してさらに知りたい方は 中途社員の早期離職を防ぎ即戦力へ―テレワーク環境でのオンボーディング、どう支援していくべき?
平均値が最も低く、結果のばらつきが強く見られた項目:
Q7「これから先、自組織で成長していけると感じている」
標準偏差が最も大きくみられたのは「Q7:これから先、自組織で成長していけると感じている」でした。Q7は成長予感(※)の状態をはかる設問です。
※ 成長予感:「今後もこの会社で成長していけそう、今の会社で仕事を続けることでなりたい自分になれそう」という感覚
次の項目で、Q7 の数値結果の背景を紐解いていきます。
標準偏差の値が大きいということは、回答にバラつきが生じているということです。では、成長予感を感じている方とそうでない方では、何か傾向があるのでしょうか?
Q7に対して【 1(そう思わない)〜2(あまりそう思わない)の数値を付けている方】と【 5(とてもそう思う)の数値を付けている方】で、フリーコメントの内容を比較してみました。
Q7に対して1~2(そう思わない~あまりそう思わない)を付けている方のコメント
・申し訳なく思うことは提出する際に確認の負のループに陥って時間がかかりすぎていること。これから取り組んでいきたいことは、仕事への恐怖心をなくしたい(人材系営業職)
・自分のことで精一杯で、他の人の分の業務内容や進捗まで把握しきれておらず大変申し訳なく感じる(WEB系営業職)
Q7に対して5(とてもそう思う)を付けている方のコメント
・入社から約9か月が経過し、自立して行える業務が増えてきている。しかし、その一方で先輩方から求められる水準にはまだまだ到達していないので、非常に悔しさを感じる毎日を過ごしている(IT系エンジニア職)
・自分の誇れることは、できることが増えて、自分で考えて対処することが少しずつ増えてきた。上司に確認はもちろんするが、こうしますの報告ベースでできるので時間もかからずできていた。よりいろいろな業務ができるようにやっていきたい。(IT系エンジニア職)
成長予感に対して肯定的な回答をされている方は、自分なりの「前進感」を持てていることがフリーコメントからうかがえます。その一方で、成長予感に対して否定的な回答をされている方は、目の前の業務で手一杯になっており、恐怖心や不安といったネガティブな感情を抱いていることが見受けられます。
成長予感は、成長実感(特定の期間のなかで、自身が成長したと思える感覚)の積み重ねにより、得ることができます。成長実感を得るためには、業務の振り返りを丁寧に行うことが重要です。ただし、本人のみで振り返りを行うと、人によってはマイナス面ばかり目が行き、ポジティブな変化に気付けないこともあるでしょう。もしくは、振り返って向き合わなければならない、自身の弱さや課題から逃げて続けてしまうこともあるかもしれません。
そういった状況を回避するためには、上司・先輩と共に振り返り、振り返った内容に対してフィードバックを伝えることがポイントになります。新入社員との振り返りとして、定期的な1on1ミーティングの実施をおすすめしています。
▶1on1ミーティングの導入・定着について、詳細を知りたい方はこちら テレワークにおいても効果的な1on1を進め、定着させていく方法とは?
昨今、1on1ミーティングを導入する企業が増えており、その効果を既に実感されている方もいらっしゃるでしょう。その一方で、「1on1ミーティングってどう進めればいいのか…」「何を話せばいいのかわからず困っている…」「やってはいるけど、部下の成長を感じられない…」というお悩みもよく耳にします。
本Growthサーベイでは、サーベイ連動型の1on1シートもセットでご提供しております。 初めて1on1ミーティングを行う方でもご不安なく取り組めるよう、1on1の目的・役割・ルール・ポイント・アジェンダ等の細かい概要や、対話のイメージ、問いかけやテーマ出しのヒントとなる参考情報もご案内しながら、若手・新入社員の成長を促す1on1ミーティングを丁寧にサポートします。
また、サーベイ連動型のため、若手・新入社員の状態が可視化され、適切にフォローできるため、彼らの成長サイクルへ効果的にアプローチいただけます。
少しでもご興味を持っていただけましたら、まずはお気軽に資料請求ください。
▼「2022年度Growth(若手・新入社員向けフォローアップサーベイ)のご案内」ダウンロードフォーマット
成長には【技術的成長】と【精神的成長】の二点があるとされています。 【技術的成長】は、スキルや技術が身に付くこと、【精神的成長】は、仕事や物事に対する意味付けや意識が変わっていくことを指します。
▶成長実感・予感について、より詳細を知りたい方は以下コラムを御覧ください。 21卒新入社員の成長実感を育むために何ができる? 数値からひも解く【Growth結果レポート5月】
今回取り上げたQ7の回答で、高い数値を付けた方は技術系の職種、低い数値を付けた方は営業系の職種の新入社員でした。技術系の職種ですと、資格取得やスキルアップなどが目に見えて実感でき【技術的成長】を得やすく、今後の成長過程もイメージできたことが、今回の回答結果に影響しているのかもしれません。
それと比較すると、営業系の職種の場合、スキルアップを定量的に実感しにくく、結果が出るまでに時間も要し、若手社員にとっては具体的な成長過程を描きにくい傾向にあるかもしれません。そのため、【技術的成長】を実感しにくく、その先の成長予感も得難い状況になっている可能性が考えられます。
【技術的成長】を実感しやすくするためには、全体の育成計画を策定する際に「入社1年目の成長ストーリー」を具体的に描き、現場社員に共有しておくこと、また、新入社員ともすり合わせておくことが大切です。現場社員としては成長ストーリーを基準とした根拠あるフィードバックがしやすくなりますし、新入社員本人としても納得感が高まります。
弊社では、これまでも成長実感・予感と早期離職には関連性があることをお伝えしてきました。
※ 詳細は以下コラムを御覧ください。 21卒新入社員の成長実感を育むために何ができる? 数値からひも解く【Growth結果レポート5月】
成長実感・予感の低下は、離職の原因にもなり得るため、早期にフォローし、社員の定着を促していくことが重要です。そのように、人材を企業内に定着させていくための取り組みは、「リテンションマネジメント」とも言われています。人材獲得競争が加速し、人材の流動も激しくなるこれからの時代において、リテンションマネジメントはより一層注目を集めています。
組織のリテンションマネジメントについて研究されている青山学院大学 山本 寛教授は、リテンションマネジメントには「間接性」という特徴があると述べています。他と独立したリテンションマネジメントという施策がある訳ではなく、多くの施策(待遇改善、適正な評価制度、能力開発、コミュニケーション活性化等)の実施を通して、従業員の定着という目的の達成を図ります。
企業によって離職理由や状況は様々であり、まずは自社の課題を正確に把握し、有効な施策を考えていくことが重要です。その中で、これまで取り上げてきたように、成長実感・予感の低下が課題として把握できた場合には、能力開発・研修企画を見直していただくとよいかもしれません。
リテンションマネジメントを実施する際、従業員エンゲージメントをKPIとして設定することもできるでしょう。従業員エンゲージメントとは、企業と従業員の間に培われる信頼関係や貢献し合うことを意味する概念です。従業員エンゲージメントと離職意向は相関関係にあり、従業員エンゲージメントが高まると、離職意向は低下すると言われています。
そのように社員の離職意向と関連するエンゲージメントですが、コロナ禍前後で変化はあったのでしょうか?そこで今回は「エンゲージメント」と「若手・新入社員の成長実感・予感を促すリテンションマネジメント」をテーマに資料をまとめました。以下より無料ダウンロードいただけます。
※本資料は、月1回開催している参加型オンライン勉強会【Growth Meeting「若手・新入社員のエンゲージメント、どう育んでいくか?」】の投影資料の一部を抜粋した資料です。参加者同士の対話によって、本資料の理解を深め、自社施策の共有などを行っていきます。 資料をお目通しいただき、ご興味いただけましたら、ぜひお気軽にGrowth Meetingにご参加下さい。
2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響は収まらず、人材開発・育成に取り組む皆さまにとっても試行錯誤の1年であったと思います。そのような中でのご経験から教訓を生み出し、次なる一歩へと繋げていくために、リフレクションはとても大切です。 そこで、次回のGrowth Meetingでは、1年間のGrowth結果や若手社員の状況、ご自身の取り組みを照らし合わせながらリフレクションを行い、ご参加される皆さんと一緒に探求を深めていきたいと思います。
※ Growthの導入有無に関わらず、どなたでもご参加いただけます。ご興味ある方は、ぜひお気軽にお申込みくださいませ。
2月は下記テーマと内容にて、Growth結果をもとに育成施策共有会(Growth Meeting)を実施しました。
<今回Growth Meetingの目的>
Growth結果や情報提供内容、ご参加者同士の対話を通して、自社の若手・新入社員のエンゲージメントを育んでいくために取り組みたいことを探求します。
<テーマに関する情報提供>
■エンゲージメントの2つの種類
——従業員エンゲージメント
——ワークエンゲージメント
■コロナ禍前後で企業のエンゲージメントはどう変化したか?
■エンゲージメントを育んでいくために
——「リテンションマネジメント」の取り組み
<テーマに関する対話> 1回目のセッションでは、各社の強みや良さ/課題や弱みとその背景について振り返り、共有し合いました。
♯ 当日対話で使用したGoogle jamboard
1回目のセッションを経て、以下2つの大きなテーマが浮かび上がりました。
・部署移動によるエンゲージメントについて
・若手・新入社員との最適なコミュニケーション・関わり方は?
より対話を深めていきたいテーマを一つ選択し、それぞれのグループに分かれ、2回目のセッションを行いました。そして、最後の全体共有やGrowth Meeting後のアンケートにて、以下のようなコメントが上がっていました。
■入社当初の配属部署や定期的な部署異動が「本人のキャリア形成のため」であると認識できる風土創りが大切かもしれない
■キャリア形成のための部署異動をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるか、の違いで離職が発生している。その違いは何か?ポジティブに捉えて離職しない人は、異動先の社員が「もっとチャレンジしては?」と成長や挑戦を促している傾向にある。一方で、ネガティブに捉える人は、異動先の社員が「どうせ辞めちゃうんだよね」と育成に熱心に取り組めず、負のサイクルが回っている状況。
■新入社員や若手社員の同期間で関係性を構築できていると、離職の低下につながると感じた。
■若手リーダーが後輩の状況を人事に共有するような仕組みをつくっている会社様がいらっしゃったこと。1on1の必要性を感じていましたが、「上司と部下」ではなく、「先輩と後輩」などさまざまな1on1の時間をつくっていく(業務のQ&Aや世間話とは違うものとして)のも面白いのではないかと思いました。
弊社では、若手・新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。
月に1度、先述の9の設問、およびフリーテキストへの回答を若手・新入社員へ促し、結果レポートを人事・回答者のみなさまへお送りしております。
また、Growthは弊社公開講座(若手・新入社員対象)の付帯サービスでもあり、研修の実施効果の検証や、若手・新入社員の皆さまのフォロー施策としてもお役立ていただけます。
おひとり様1回答500円(税別)ですが、現在、3ヵ月間の無料体験を開催中です!
Growthの具体的な活用事例を知りたい、興味はあるけれど詳細を聞いてから検討したい…という方は、まずはお気軽に下記よりお問合せ・資料請求くださいませ。 お問合せ・資料請求はコチラ