2022/1/17作成ー
本記事では2021卒を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の2021年12月23日~1月6日の回答の結果(n=101/企業数18)を、回答結果の推移とともに読み解きます。
アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力(※)・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。
あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。現在、無料体験サービスを実施中です。
(詳細・お申込みは最下部をご覧ください)
※新入社員が力強く成長していくために必要な4つの力(業務遂行力、巻き込み力、意義付け力、成長力)をまとめて、セルフマネジメント力と定義しています。Growthは、4つの力にリーダーシップを加えた5つの力への意識を高める設問となっており、日々の業務を振り返り回答することで、セルフマネジメント力とリーダーシップ発揮を促します。
目次
※ 9つの設問に対して“とてもそう思う”=5, “そう思う”=4,“どちらともいえない”=3, “あまりそう思わない”=2, “そう思わない”=1にて算出 ※ 標準偏差とは、データのばらつき具合を示す数値のひとつ。数値が大きいほどばらつきが大きい
平均値が最も高かった設問:
Q1「私はよりよい仕事をするために学び続けている」
9つの設問の中で最も平均値が高かった設問は、Q1でした。4月からその順位は変わっていませんが、入社直後の4月と今回の12月の結果と比較すると「学びへの意欲」の低下がうかがえます。
※4月~12月のGrowth各設問の推移レポートは以下よりダウンロードいただけます。新入社員の状態の推移から育成施策の検討にご活用いただけます。
▶新入社員のセルフマネジメント力に対する意識・9か月間の推移レポート
平均値が最も低く、結果のばらつきが強く見られた項目:
Q9「私は自分の役割でないことも、周囲やチームのために良いと思ったことは働きかけている」
Q9に対して【 1(そう思わない)~2(あまりそう思わない)の数値を付けている方】と【 5(とてもそう思う)の数値を付けている方】で、フリーコメントの内容を比較してみました。
・なんとか業務をこなしているが同じ失敗をしてしまう
・自分の意見に自信がなく、タスクの抜け漏れが多いと感じています。
・小さな簡単なことでも意思疎通をしなかったことでうまく連携が取れず、時間のロスが生じた。今後はトラブル対処やメンテナンスの仕方を学びたい
・誇れることは自分から手を挙げて新しいプロジェクトに参加したことです。
・異動後の環境に徐々に慣れていっている状況で、前のPJで学んだことが積極的に発揮できていると感じています。新しい業務内容に戸惑いつつ、自身の出来ることを模索しながらチーム・会社に貢献できるよう尽力いたします。
・業務に追われる中でも、自分にできることは自分でやりたいという思いが高まっている。他部署の方々とも積極的にコミュニケーションをとろうという意識で行動できているのは新たな一歩だと感じている。しかし、一方で忙しさの中で勉強や知識の振り返りの時間が持てず、モチベーションが下がっていることも感じている。
高い数値を付けている新入社員は、「自分から」「積極的」「自分でやりたい」がキーワードになっており、仕事の大変さと向き合いながらも、前向き且つ積極的に取り組んでいることがうかがえます。
「私は自分の役割でないことも、周囲やチームのために良いと思ったことは働きかけている」という意識・行動を高めていくためには、自分なりの意見を持って、周囲に意見発信していくことが最初の一歩になります。しかしながら、知識や経験が浅い若手・新入社員が、自分なりの意見を発信していくことのハードルは決して低くはありません。ハードルを乗り越えるためには、周囲からのサポートやフォローが不可欠です。
そのようなサポートやフォローは、どのように行っていけるとよいのでしょうか?
具体的な取り組みやポイントをまとめた資料は下記フォーマットより無料ダウンロードいただけます。
▶若手・新入社員が自身の意見を言える環境を 創っていくには?
↑ ダウンロード資料の一例。若手・新入社員が自分の意見を言えない環境はどう創られるのかを紐解きます。
今回は下記2つの設問に注目していきます。 Q6:私は自組織で成長してきていると感じている(成長実感) Q7:これから先、自組織で成長していけると感じている(成長予感※)
※ 成長予感:「今後もこの会社で成長していけそう、今の会社で仕事を続けることでなりたい自分になれそう」という感覚
図1:Q6・Q7の4~12月の平均値の推移
図2:Q6・Q7の4月と12月の平均値の差分
図1・図2から、 1)4月~9月は、Q7よりもQ6の平均値が高い結果であったが、10月を境に2つの数値結果の順位が逆転 2)Q6・Q7のいずれも、4月より12月の方がその平均値を落としているが、特にQ7はQ6の差分の約4倍 という2点が読み取れます。
弊社では、これまでも成長実感・予感と早期離職には関連性があることをお伝えしてきました。
※ 詳細は以下コラムを御覧ください。
▶21卒新入社員の成長実感を育むために何ができる? 数値からひも解く【Growth結果レポート5月】
成長実感・予感の低下は、離職の原因にもなり得るため、早期にフォローしていくことが大切です。
ここまで見てきた通り、入社から月日が経つにつれ成長予感は低下してきています。 では果たして、どういった要因から成長予感は低下していくのでしょうか? 4~12月の回答期間において、Q7に対して 2 回以上 1~2 の数値を付けている方が 2 名いらっしゃいました。その方々のQ7の数値の推移やフリーコメントの内容から、成長予感に影響を与えている要因について考えていきたいと思います。
■Aさん(金融系営業職)
※5月は回答未提出。
4~9月のコメントを見ると、業務への不安を抱えながらも「同期のように成長していきたい」という意欲が感じられます。しかしながら、Q7へ2を付けた10月以降、上司・先輩からの注意に落ち込んでいる様子がうかがえます。何かしらきっかけがあったのかもしれません。あくまで、数値とコメントからの仮説になりますが、落ち込んだ状態が続くのは誰であっても辛く、「この会社で仕事を続けて、自分は成長できるのだろうか…」とネガティブな思考に陥ってしまいがちです。
また、Aさんの成長へ期待を込めたフィードバックであっても、怒られ慣れていない昨今の新入社員からすると、本当の意味で“正しく”伝わりきれていない可能性も考えられます。上司・先輩は、フィードバックのバランスを見直し、小さな変化や貢献で構いませんので、Aさん本人へ具体的なポジティブフィードバックを伝え、承認する機会も設けていただけるとよいかもしれません。
※新入社員へのフィードバックのヒントを得たい方は下記をご覧ください。
▶新入社員のパフォーマンスを上げる“対話”とは?―数値からひも解く【Growth結果レポート7月】
続いて、新入社員BさんのGrowth結果とフリーコメントをみていきます。
■Bさん(IT系技術職)
6~7月のコメントから、トレーナーへ期待通りに相談できないことへの焦りや、目的が分からないまま業務を進めていくことへの戸惑いを感じていたようです。「何もわからない状態なのに、トレーナーの指示通りに業務を行っているだけで、これから成長できるのか?」という不安も感じ取れます。
Bさんの所属する同社は、10月に半年間のフォローアップ研修を弊社にて実施させていただきました。研修内では、同期間で不安に感じていること等を共有し合ったり、その中でも工夫していること・チャレンジしていること等を共有し、今後取り組みたいことを探求していきました。コメントを見るに、その研修が起点となり、Bさんとトレーナーのコミュニケーションに改善が図れたのか、11月以降のQ7の成長予感も上向き傾向が見受けられます。
一緒に働く上司・先輩の中に、ロールモデルとして目指したいと思える人がいるか否かは、成長予感に大きな影響をもたらします。
新入社員にとっては上司や先輩が、その会社で働き続けたときの自分の将来の姿となります。 「こんな風になりたい/一緒に働き続けたい」と思える存在が一人もいない会社では、成長予感を持ってもらうのは難しいでしょう。
また、ロールモデルを持つことは、成長予感を高めること以外にもメリットがあります。 ロールモデルを持てると、理想とするキャリアや将来像がより鮮明になります。理想が鮮明になると、具体的な目標やアクションプランも作成しやすくなります。
もしくは、ロールモデル本人に「どのようなアクションを取ると実現できるのか?」と聴いてみてもいいかもしれません。理想とするロールモデルと意思疎通を図ろうとする姿勢は、コミュニケーションの良好化に繋がり、ゆくゆくはチームや組織全体のコミュニケーション活性化への発展も期待できます。
コロナ禍でテレワークや時差出勤が増加し、上司や先輩と肩を並べて日々の業務を行う機会が減り、身近なロールモデルを見つける難易度が高まりました。 特に、社歴の近い先輩社員の日々の働きぶりをそばでみる機会の減少により、「自分もこういう業務にチャレンジして成長したいな」や「○○先輩のように、お客様とやりとりできるようになりたい」などといった具体的なイメージを抱きにくくなりました。
ただ、オンライン環境でも、いやオンライン環境だからこそ叶うロールモデルの見つけ方もあります。 例えば全国に支店がある企業であれば、これまで接点を持つことが難しかった支店の異なるハイパフォーマーの若手社員と新入社員の交流の場を設けてもいいかもしれません。
また、社員の仕事の様子を1日観察、質問することでキャリア感を育むキャリア形成の手法であるジョブシャドウイングも、ロールモデルの働きぶりを動画化することでオンラインでも可能となります。
※ジョブシャドウイングとロールモデルに関して、よりヒントを得たい方は下記レポート【質問2】をご覧ください。
▶Z世代の自律を育む組織社会化とは〜新入社員育成をアップデートする~ 【セミナーレポート】
※上記以外の「成長予感の育み方」のヒントを得たい方は下記資料のダウンロードをおすすめします。
▶【Growthレポート9月】成長実感から成長予感へ ―「自組織での今後の成長ストーリー創り」、どうアプローチしていくか?
コロナ禍となり、テレワークや時差出勤を導入する企業も急増しました。
多様化する働き方の一方で、「エンゲージメント低下」のお悩みをうかがうことも多くなりました。
「組織の求心力の再考」を求められている今、若手・新入社員のエンゲージメントを育んでいくために、どんなサポートができるのか、今回のGrowth Meetingで一緒に考えていきたいと思います。
そこで、2月は下記テーマでGrowth結果をもとに育成施策共有会(Growth Meeting)を実施いたします。
※ 現在、3ヵ月間の無料体験を開催中です。ご興味ある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
1月は下記テーマと内容にて、Growth結果をもとに育成施策共有会(Growth Meeting)を実施しました。
<今回Growth Meetingの目的>
Growth結果を振り返りながら、自社の若手・新入社員が自身の意見をより発信していくために、どのようなフォローやサポートができるのかを探求する。
<テーマに関する情報提供>
■若手・新入社員が自分の意見を言えない環境はどう創られているのか? ——若手・新入社員側で起こっていること ——組織・育成側で起こっていること
■若手・新入社員が自分の意見を言える環境創りの一歩 ——心理的安全性をもたらす4因子 ——4因子を高めるためには?
※詳細は下記よりダウンロードいただけます。
▶若手・新入社員が自身の意見を言える環境を 創っていくには?
<テーマに関する対話> 1回目のセッションでは、各社の強みや良さ/課題や弱みとその背景について振り返り、共有し合いました。
♯ 当日対話で使用したGoogle jamboard
1回目のセッションを経て、以下2つの大きなテーマが浮かび上がりました。
・組織の言ったもん負けの風土を変えていくには?
・若手・新入社員が意見を発信しやすい制度とは?
より対話を深めていきたいテーマを一つ選択し、それぞれのグループに分かれ、2回目のセッションを行いました。2回目のセッションを全体に共有した際には、以下のようなコメントが上がっていました。
■「組織の「言ったもん負け」の風土を変えていくには?」について話し合ったAさんの共有
「明確な答えが出せたわけではないが、各社課題に感じていることや取り組みについて話し合った。
ある企業は「言ったら自分がやらないといけない」という上司を見て、若手も言えなくなる、というスパイラルが回っている。またある企業では、上司・先輩が過去の成功体験に手放せず、それを見た若手は新しい意見を言えない、という状況であったり、ある企業では、自社の商品やサービスを理解し、最前線でお客様と関わってほしいとの想いから、製造ラインや営業を入社後数年経験させているが、受け身姿勢が強化されてしまったり、その期間内に飽きて退職する新入社員が増えてきた、という課題を抱えていた。
対話の中で、ある企業の取り組みで、入社後、現場仕事と並行して、数値分析や市場調査を行い、企画をしてプレゼンするというプロジェクトを数年前から行っているとのこと。その結果、現場業務もより能動的に取り組んだり、意見発信をするように変わっていったとのこと。」
■「若手・新入社員が意見を発信しやすい制度とは?」について話し合ったBさんの共有
「指示待ち・受け身・自分からの発信が少ない」など、若手・新入社員への課題を各社感じていた。その中で、どういった制度を取り入れているのか?共有し合った。ある企業では、シスターブラザー制度を取り入れていて、年齢が近い先輩社員と組んだ方が、新入社員の意見が出やすくなっているとのことだった。その他、プロジェクトのリーダーを若手社員に任せ、役職が高いメンバーはアドバイザー、中堅社員が若手社員の意見を引き出す等の役割を担ってもらい、若手社員の当事者意識と責任感を醸成できる取り組みを行っていた。」
■その他感想や施策の共有など
「各社のお話を聴いていて、『全社で人を育てていく』という文化があるは素敵だなと感じた。
ある企業では、若手社員だけで勉強会をしていて、意見発信が増えるような取り組みを行っているとのこと。勉強会のテーマは人事や現場管理職が決めたり、ファシリテータとして介入したりしていて、若手社員の実務にも繋がっているとのこと。その他、月1回リフレクションの機会を設けてもいるそうです。
弊社では、新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。
月に1度、先述の9の設問、およびフリーテキストへの回答を新入社員へ促し、結果レポートを人事のみなさまへお送りしております。
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