2021/12/14作成ー
本記事では2021卒を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の2021年11月24日~12月5日の回答の結果(n=127/企業数18)を、回答結果の推移とともに読み解きます。
アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力(※)・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。 あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。現在、無料体験サービスを実施中です。 (詳細・お申込みは最下部をご覧ください) ■過去レポート一覧
※新入社員が力強く成長していくために必要な4つの力(業務遂行力、巻き込み力、意義付け力、成長力)をまとめて、セルフマネジメント力と定義しています。Growthは、4つの力にリーダーシップを加えた5つの力への意識を高める設問となっており、日々の業務を振り返り回答することで、セルフマネジメント力とリーダーシップ発揮を促します。
目次
※ 9つの設問に対して'とてもそう思う'=5, 'そう思う'=4,'どちらともいえない'=3, 'あまりそう思わない'=2, 'そう思わない'=1にて算出 ※ 標準偏差とは、データのばらつき具合を示す数値のひとつ。数値が大きいほどばらつきが大きい
4月から継続して、平均値が最も高い設問はQ1でした。ただし、その標準偏差(回答のバラつき)は徐々に大きくなっており、新入社員によって、学ぶ姿勢やモチベーションの個人差が大きくなっている様子がうかがえます。
【Q1の標準偏差の推移】
4月以降継続して、Q9の平均値が最も低い結果となりました。ただ、前回10月の平均値と比べると、0.33ポイント増加しています。
【Q9の平均値の推移】
11月に実施した新入社員研修(公開講座)にて、「任せられる業務量が一気に増えた」「一人で担当する業務が多くなった」という新入社員からのコメントを多々耳にしました。 入社約8か月が経ち、ご自身の担当業務量と幅が拡大する中「自身の役割を超えて積極的に働きかけよう」と視野の広がりを意識し始めたのかもしれません。 その一方で、結果のバラつきも強く出ており、本人の意志や周囲の環境によって開きのでる設問であるといえます。
今回は Q8:私は自分なりの意見をもって仕事に取り組んでいる を中心に結果をみていきます。
Q8の回答を通して、新入社員が周囲に影響を与えていく意識付けを行っています。今回は、Growthを毎月ご回答いただいている2社様の5月と11月の数値結果の比較と、現場での取り組みから数値の背景を考えます。
まず、A社様(エンタメ業界、従業員数約100名)の5月と11月のGrowth回答結果をみてみましょう。
Q8:私は自分なりの意見をもって仕事に取り組んでいる
5月のQ8の平均値は3.82ポイント、11月の平均値は4.00ポイントと、0.18ポイント上昇しています。 A社新入社員の3名の5月と11月のフリーコメントを比較してみます。
【Sさんフリーコメント】 5月:先回りして今必要なことを考えたり、上司との連絡を以前より意識して行うようになった。しかし、確認を怠ってしまったり、上司任せにしてしまうことがあったことは、申し訳なく思っている。今後はさらに自分の仕事に責任を持ち、最後までやり遂げることを心がけていきたい。
11月:頼まれていない書類も必要だと感じたら作成したりして、貢献できるようになった。しかし、まだ時々先輩から言われて気づくこともあり、そこが申し訳ないと感じる。これからも、引き続き先回りして物事を考え、行動できるよう意識して働いていきたい。
【Tさんフリーコメント】 5月:これから取り組んでいきたいことは、全て指示なしに先回りして動くようにすることです
11月:誇れることは、自分で判断できることがどんどん増えていっていることです
【Cさんフリーコメント】 5月:様々なことに挑戦する機会をいただけて、日々勉強することばかりです。ただ、そのことに対するプレッシャーも日々感じています。モチベーションがよく分からなくなってきているのが悩みです。
11月:異動先の業務にも慣れ、先輩たちと良くコミュニケーションを取りながら、日々の業務に励んでいる。今後は初めてのプロジェクトにも参加させていただけるので、しっかりと自分の責務を果たしたい。
フリーコメントから、自分で考えて判断する、良いと思ったことは頼まれずとも進んで行う、という行動の変化が見受けられます。これらの行動は、ご自身としての意見や想いを持っていなければ、生まれにくいものでしょう。また、「挑戦」に対してプレッシャーを感じ、モチベーションの維持に不安を抱えていた5月と比較すると、現在は「新しいこと」や「挑戦」をポジティブに捉えられている様子が伺えます。
A社人事ご担当者様と直接やり取りをしている弊社営業担当より、同社の育成への取り組みや今後についてヒアリングしました。
・人事ご担当者様がGrowth Meeting(育成施策共有会)に毎月ご参加。(育成への意識を定期的に高めてくれる機会とお話されていました) ・Growth Meetingでの内容をヒントに、新入社員と人事が月1回対話する機会を今年から実施し始める。 ・昨年までは4月・7月の実施で一区切りとしていた外部研修。今年度は、新入社員の例年の状況(離職・休職等)を鑑みて、4月・7月・1月の定期開催に変更。適切なタイミングでフォローできるようスケジューリングされたとのこと。
月1回の新入社員との対話では、新入社員の想いや悩みを聴くことを大切にしているとのこと。そのような取り組みの結果、Q8.の数値が5月度よりも高まってきているのかもしれません。 また、正確な数値はまだ出ていませんが、離職率も大幅な改善が期待できると仰っていました。
※ 新入社員との対話やコミュニケーションの具体的なヒントを得たい方はこちら 新入社員のパフォーマンスを上げる'対話'とは?数値からひも解く【Growth結果レポート7月】 新入社員とのコミュニケーションの量と質、どう高めていく?【Growth結果レポート10月】
人事から新入社員への定期的なフォロー施策に新たな取り組みがあった今年度。 次年度に向けて、現場社員の新入社員育成に対する当事者意識をさらに高めていくことが、一つのポイントになるかもしれません。 オンボーディング(新入社員の受け入れ~定着・即戦力化までのプロセス)を現場主体で丁寧にデザインしていくこと、かと言って現場に任せきりにするのではなく、人事から適切に介入・連携し、オンボーディングを推し進めていけると、新入社員のさらなる活躍が期待できるでしょう。
※ オンボーディングにおいて意識したいポイントや具体施策をまとめた資料は下記フォーマットより無料ダウンロードいただけます。
↓ダウンロード資料の一例。新入社員が活躍するための「受け入れ方」に関するポイントや具体的な施策をご紹介しています。
次に、B社様(IT業界、従業員数約400名)の5月と11月のGrowth回答です。
Q8:私は自分なりの意見をもって仕事に取り組んでいる
5月のQ8の平均値は3.88ポイント、11月の平均値は3.57ポイントと、0.31ポイント下落しています。 B社新入社員の何名かの5月と11月のフリーコメントを比較してみます。
【Rさんフリーコメント】 5月:今月感じた誇れることは、わからなくても正直に話すことが出来るようになったことです。申し訳なく思うことは、理解力が遅いことです。これから取り組んでいきたいことは、どんなことも必ずメモをとることや、本を読んで考える力を身につけることです。
11月:誇れることは忍耐力。申し訳なく思うことは、一人でできることが少ないこと。これからは、思ったことを言えるようにしたい
【Mさんフリーコメント】 5月:誇れること:分からない際に自分から質問する積極性が身についた 申し訳なく思うこと:上記の際に周りを巻き込みすぎているのではないかと感じること これから取り組んでいきたいこと:目的思考を身に着け仕事を推進させること
11月:誇れること:一人でできる仕事が以前より増えたこと。 申し訳なく思うこと:少し考えれば分かるミスをしてしまうこと。 取り組みたいこと:もっと色んな仕事を任せてもらえるよう知識を積む
【Cさんフリーコメント】 5月:配属先での仕事が始まり慣れないことも多いですが、以前から苦手だった電話に徐々に抵抗感がなくなってきていることは成長した点だと考えております。この調子で対応の仕方を覚え、積極的に電話に出ていきたいです。また、同時進行でタスクをうまくこなすことに取り組んでいきたいです。
11月:先輩方の負担を減らせるよう、できることから着実にこなしていきたいと思います。今月は数回ミスをしてしまったので来月はミスのないよう、あっても自力で解決できるように取り組んでいきたいです。
フリーコメントから、一人で行える業務が増え、成長を少しずつ感じている様子が見受けられます。 一方で、「(周囲に)思ったことを言えるようにしたい」=「今はあまり言えていない」と感じているコメントもありました。新入社員が自分なりの意見があっても、それを周囲に伝える機会がないと、諦めや受け身姿勢の強化に繋がってしまうため、周囲からもフォローが必要かもしれません。
また、複数の新入社員のコメントから「ミス」という言葉が出ていました。 職種や業界の特質的な部分もあるかもしれませんが、ミスや失敗に対する過剰反応が、新入社員が自分なりの意見を周囲に発することへ抵抗感を抱かせてしまっている可能性も考えられます。 前提、ミスは防ぐべきですが「気付きの多い失敗は自分への投資になる」ということを新入社員にお伝えできると、見える世界が変わってくるかもしれません。
※失敗の捉え方について、よりヒントを得たい方はこちらを御覧下さい。 若手社員の挑戦を阻む壁とは?
B社人事ご担当者様と直接やり取りをしている弊社営業担当より、同社の育成への取り組みや今後についてヒアリングしました。
・テレワーク中心となり、2020年度は新入社員の孤独・孤立化が課題に。課題解決に向けて以下2点を実施 1)Growthを導入し、新入社員の状態を見える化し把握・定期的にフォロー 2)同期との繋がりを醸成するワークショップを入社前に実施 ・毎月のGrowth結果を確認し、気になる回答(例:数値が落ちている。フリーコメントがネガティブな内容等)があった際、現場の管理職・トレーナーにGrowth結果を共有し、人事からもフォロー面談を実施
Growthの結果を現場管理職・トレーナーへ共有し、管理職と新入社員が1on1を行ったとのこと。適切なタイミングでフォローができ、新入社員のモチベーションが改善された事例もあったとのこと。
新入社員への定期的なフォロー体制が整った今年度。 次年度に向けて、「フォロー体制をより効果的なものにしていくため、育成側へのフォローも強化」という視点が見えてきました。【公開講座】 部下・後輩育成(OJT)も導入いただきながら、新入社員のさらなる活躍の支援を続けてまいります。
ここまで、「Q8:私は自分なりの意見をもって仕事に取り組んでいる」の2社様の結果比較と推移、今年度の育成への取り組みを振り返ってまいりました。 与えられた仕事に対して、自分なりの意見を持って取り組めると、その仕事を自分事として捉え、コミットメントやモチベーションが高まります。 一方で、仕事に対して自分なりの意見を持てずにいると、周囲から言われたことだけやる、言われるまで待っているという受け身姿勢が強まります。結果、経験の幅も狭まり、成長スピードも遅くなってしまいます。 では、新入社員が「自分なりの意見を持って仕事に取り組むこと」、そして「その意見を周囲に言える」ためには、どのようなフォローやアプローチを行えるとよいのでしょうか? そこで、1月は下記テーマでGrowth結果をもとに育成施策共有会(Growth Meeting)を実施いたします。
※ 現在、3ヵ月間の無料体験を開催中です。ご興味ある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
12月は下記テーマと内容にて、Growth結果をもとに育成施策共有会(Growth Meeting)を実施しました。
<今回Growth Meetingの目的>
Growth結果や今年度のオンボーディングを振り返り、共有・対話を通して、自社の新入社員の活躍を後押しするための一歩を探求する。
<テーマに関する情報提供> ■オンボーディングとは? ■オンボーディングにおいて意識したいこと ― Growth Mindset(グロースマインドセット)を育めているか? ―新入社員の2つのエンゲージメントを高められているか? ― 組織社会化のプロセスと内容を理解する ■テレワーク環境でのオンボーディングで抑えたいポイント ― 事例)弊社内の取り組み
<テーマに関する対話> 1回目のセッションでは、今年度の各社のオンボーディングの取り組みを振り返り、各々が感じている難しさや課題等を共有し合いました。
♯ 当日対話で使用したGoogle jamboard。オンボーディングで実際に取り組んだことや取り組みたかったけどできなかったこと等を予め付箋に出し、付箋を見ながら話し合いました。
1回目のセッションを経て、以下2つのテーマが浮かび上がりました。
・人事と現場の繋がり・連携を高めていくには? ・現場社員の育成の意識を高めていくには?
より対話を深めていきたいテーマを一つ選択し、それぞれのグループに分かれ、2回目のセッションを行いました。2回目のセッションを全体に共有した際には、以下のようなコメントが上がっていました。
・現在実施しているGrowthは、新入社員の状態が見える化される。育成への意識が低いと気付かない新入社員の変化に気付きやすくなるので、Growthサーベイの結果を現場に展開し、施策を一緒に考えていくことから初めていけるとよいかもしれない。 ・「育成」も管理職としての重要な役割である、という認知が弱い。管理職のマインドセットや認知を変えていくアプローチが大切になる。 ・制度自体はあるものの、育成のカルチャーが浸透していない。カルチャーを浸透させていくために、若手・新入社員が「育成してもらった」という認知を持ってもらうことが重要。 ・現場社員は、研修自体は協力的であったり、研修自体への意識は高いが、現場に戻ってからの育成は別物となってしまっているように感じる。 ・そもそも、新入社員の入社1年目の成長ストーリーや育成コンセプトを明確にできていなかった。全体設計ができていれば、現場や新入社員へ根拠のあるフィードバックがしやすくなる。 ・新入社員の育成コンセプトは人事側で創りこんでいたが、現場には展開できていなかった。コンセプトや計画を丁寧に伝え、現場との認識をそろえていくことが第一歩になりそう。
弊社では、新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。
月に1度、先述の9の設問、およびフリーテキストへの回答を新入社員へ促し、結果レポートを人事のみなさまへお送りしております。
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