2021/10/8作成ー
本記事では2021卒を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の2021年9月24日~10日5日の回答の結果(n=129/企業数18)と、 2021年4月~9月の半年間に及ぶ数値の推移・フリーコメントの変遷から新入社員の成長実感・成長予感をテーマに読み解きます。
アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力(※)・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。 あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。現在、無料体験サービスを実施中です。 (※詳細・お申込みは最下部をご覧ください) ■過去レポート一覧
※新入社員が力強く成長していくために必要な4つの力(業務遂行力、巻き込み力、意義付け力、成長力)をまとめて、セルフマネジメント力と定義しています。Growthは、4つの力にリーダーシップを加えた5つの力への意識を高める設問となっており、日々の業務を振り返り回答することで、セルフマネジメント力とリーダーシップ発揮を促します。
※ 9つの設問に対して'とてもそう思う'=5, 'そう思う'=4,'どちらともいえない'=3, 'あまりそう思わない'=2, 'そう思わない'=1にて算出
※ 標準偏差とは、データのばらつき具合を示す数値のひとつ。数値が大きいほどばらつきが大きい
4月から継続して、平均値が最も高い設問はQ1でした。ただし、前月より0.07ポイント下がっており、その平均値は下降トレンドにあります。
▽2021年4~9月の半年間に実施したGrowthの全設問の数値結果の推移レポートを作成いたしました。下記より無料でダウンロードいただけます。新入社員の状態の推移から育成施策の検討にご活用いただけます。
入社から半年が経過したタイミングで実施した今回、標準偏差が最も大きく、新入社員の意識のばらつきが最も大きく出ていました。 今回、Q9に対して【 5(とてもそう思う)の数値を付けている方】と【 1(そう思わない)~2(あまりそう思わない)の数値を付けている方】とで、フリーコメントの内容を比較してみました。
・自分自身思ったことや、学んだことを沢山アウトプットして、新しい知識を吸収しようと積極的に取り組んでいる。 ・9月から担当企業を持つようになり、より責任感の重さを感じるようになりました。それでも、少しずつ出来ることが増え、やりがいを感じるとともに不安になることも多くあります。自身に誇れることとしては、常に「良くなっていこう」という意識があり学んでいることです。 ・配属された頃とはできるようになったことも増え、お客様との関わり方や他メンバーとの連携も取れるようになってきた。
・報連相の際に自分の考えが定まらず、要点が見えなくなることです。そして、これから取り組んでいきたいことは、継続して積極的に経験を積み、能力を向上することです。 ・頼まれたことにたいして、メモを取っているが忘れることがあり、度々迷惑をかけてしまった点を改められるよう気を付けたいと感じた。今後のことに関しては、現在のことで精一杯であり、不透明のため、先を見据えた考え方ができるようになりたい。
上記コメントの比較から、新入社員であっても自分なりの意見や考え・想いを持って業務に取り組んでいると、自身の役割を超えた周囲への働きかけの意識・行動が増える傾向にあると言えます。 逆に、自分なりの意見や想いが弱い状況だと、周囲への働きかけも弱まっていくでしょう。 育成側としては、新入社員の想いや意見を「まずはちゃんと聴く」という姿勢が何より大切かもしれません。
21卒新入社員の皆さんにGrowthを実施してから、半年が経ちました。 今回は、ある一人の新入社員(IT系エンジニア職)の4~9月のGrowthのフリーコメントから、彼の半年間の成長の軌跡を辿っていきたいと思います。
〈フリーコメント設問〉 Q10:最後に、振り返ってみて感じた、「自身の誇れること・申し訳なく思うこと・これから取り組んでいきたいこと」を教えてください
※Growthは各月末(25~30日頃)に回答いただいています。 ※フリーコメントは原文のまま抜粋しています。
私らしいリーダーシップというのを発掘することができた。これからそのリーダーシップを考え、行動していきたい。
▶入社1ヵ月が経過したタイミングです。本配属前の研修期間中ということもあり、振り返りの内容がまだ少なめな印象です。(弊社の新入社員研修では、「自分らしいリーダーシップの探求と発揮」をラーニングポイントの1つとして扱っており、そこでの学びを振り返られたのかと思います) これから求められる新たな概念'シェアドリーダーシップ'とは
実際現場に入ってみて私自身の知識不足を感じた。それは専門的な知識だけではなく、メンバーとのコミュニケーションの取り方、または質問の仕方など細かいところの足りなさを痛感している。だがこれらに気付けたことで新しいことへの挑戦は新鮮であり、多くのことを毎日吸収できているので楽しいので続けていきたい。
▶5月GW明けに本配属となり、配属後初のGrowth実施となりました。専門知識の不足や社会人としての仕事を進めることの難しさを痛感するものの、配属後の1ヵ月を丁寧に振り返ることで、新しいことへの挑戦を前向きに捉えられています。
上司に質問をする際に、何がわからなくてどこを聞きたいか整理ができておらず、迷惑をかけていると思う。だが、わからないなりにも熱心に聞こうと努力ができている。
▶配属後2か月が経過、振り返って「何が分からないかが、整理がついていない」という自身の状態を理解しています。そして、周囲に対して申し訳ないという気持ちを抱きつつも、何とか食らいついてこうという意識を持てています。
仕事のペースや感覚は掴めてきたと思う。ただ難しい仕事を頂いたときに分からないことが多く、前向きに取り組めていないと感じることがある。それは配属してから2か月目の今月に強く感じるようになった。これからは仕事だけではなく、メンタル面でも付き合っていかなければならなくなると感じた。
▶配属後3か月が経過、仕事自体には慣れてきた様子が伺えます。ただ、難易度が高い業務内容に対してネガティブに捉えてしまっている自身の意識に気付き、不安な感情を抱くことが多くなっている模様です。
業務を覚えることだけではなく、資格という見えるものを取得できたことが誇れることであると思う。仕事も少しずつ一人で作業させてもらえるようになったことで、自信が出てき始めていると同時に作業ミスや認識不足が浮き彫りになってきたと思う。それを踏まえてよい方向へと持っていけるよう前向きに進んでいきたいと思う。
▶「資格取得」という目に見える成果が自信となり、一人で任せられる業務も増え、自身の成長を実感できています。その反面、細かいミスも生じていると振り返っています。 今回の振り返りを通して、改めて気を引き締め、前向きに取り組んでいこうという気持ちを持てています。
着実に約半年前の私より成長できていると思う。特に一人で難易度の高い業務を任せていただく機会が増えて来たと感じるからである。だがそれと同時に社会人基礎というもの発揮できる機会が少なく、社会人の成長というものはまだ感じられていない。なので自分から積極的に外部に飛び出して自分で機会というのを作っていきたい。
▶入社半年を振り返り、ご自身の着実な成長を実感されています。難しい仕事を任せてもらう過程で、専門技術・知識が蓄積されていったのでしょう。そして、今後はビジネスパーソンとしての意識や振る舞いの強化を目標に、視野を広げて行動しようとされています。
入社してからの半年間、もしかしたら、フリーコメントからは計り知れない不安な気持ちや葛藤もあったかもしれません。そのような壁にぶち当たりながらも、振り返る過程で、少しずつではあるものの「前に進み、成長しているご自身」に気付かれています。 彼のように「成長実感」を得ていくためには、定期的に振り返りを行うことが非常に重要です。 Growth結果レポート5月でもお伝えしていますが、成長には【技術的成長】と【精神的成長】の二点があるとされています。
技術的成長は、スキルや技術が身に付くことを指しており、社会人になって間もないタイミングや新たな業種・職種に飛び込んだ際に、より強く感じられるでしょう。 一方で、精神的成長は、技術的成長と比較すると感じにくいといわれています。他者からのフィードバック・良質な振り返りによって、認知していくことが大切です。 先ほどの新入社員の方の9月のフリーコメントからも、技術的成長を強く感じている一方で、精神的成長は、自身ではあまり実感ができていない様子が伺えます。(ただ、それに気付き、より積極的に行動していこうという姿勢が芽生えています) 自分のみの振り返りでは見える範囲が限られているため、現場で上司や先輩と、Growth結果を基にした1on1を実施し、周囲から見えた新入社員の成長をフィードバックしてあげても良いかもしれません。 その他、改めて1on1の機会を設けなくとも、日々の会話の中で意識的にこまめなフィードバックをしていくことで、新入社員の成長実感は育みやすくなります。
ここまで【成長実感】について考えてまいりました。 では、「今後もこの会社で成長していける」という【成長予感】はどのようにして高めていけるとよいのでしょうか? そこで、10月は下記テーマでGrowth結果をもとに育成施策共有会(Growth Meeting)を実施しました。
今回は、東京経済大学 コミュニケーション学部 特命講師の田村寿浩さんをお招きし、キャリア自律の視点から、その方法論の一つを提示し、対話を通して、新入社員の成長予感の高め方について考えていきました。
若手・新入社員の成長予感を醸成するための施策や制度の整備・構築は重要ですが、どんなに制度を整えても「本人の自覚・感度」を高められないままでは、無意味に終わってしまいます。 「本人の自覚・感度」を高めていくための方法論の一つとして「本人の物語(ストーリー)創り」をテーマに、人事・組織としてどのような支援ができるのか探求していきました。参加者同士の対話の中で出てきたコメントをいくつかお伝えいたします。
・自分の言葉で伝えることって大切だと改めて感じた。人から借りてきた言葉ではなく、自分の本心から出てくる言葉だと仕事への意義が強くなる。それを引き出すために何をするべきか。
・IT化やデジタル化、外部環境が変わっていく部分があるが、本質的な大事な部分は変わらないのかも?今までは自分で考えなくてもストーリーがあったが、社員が自分でストーリーを考えていかなくてはいけない。人事として、ストーリー創りをどうフォローしていくかが大切かと思った
・採用面接の際は、自分の過去のストーリーについて聞かれていたが、入社・配属後は、聴かれる機会がほとんどないから見失ってしまっているのかも。
・1on1を実施する側であるが、自身の足りない部分を痛感した。
・自分のことを話すとき、関係性が良くないと、ブロックされてしまうかもしれない。まずは上司からオープンに話して、話しやすい雰囲気創りが大切かと思った。
・今の状況や感情ばかりに目が行きがちだったが、過去から聞いていけるとよさそう
・自身と新入社員とで、キャリアビジョンのタイプが違うかもしれないことをまず理解することが第一歩となりそう
・多様性をまず認めるところからスタートするのだと感じた。
・採用・配属先で、キャリアのタイプが知れるとよいかもしれない。人事としてどんな支援ができるか考えたい。
・キャリアのタイプは、グラデーションになり、状況によって変わってくると感じた。
弊社では、新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。 月に1度、先述の9の設問、およびフリーテキストへの回答を新入社員へ促し、結果レポートを人事のみなさまへお送りしております。 おひとり様1回答500円(税別)ですが、現在、3ヵ月間の無料体験を開催中です!
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