2021/9/10作成ー
本記事では2021卒を対象とした月に一度の振り返りツール【Growth】の8月25日~9日1日の回答の結果(n=117/企業数18)と、今回のテーマ 'withコロナ時代に活躍する新入社員'の育成を切り口にして、結果を読み解きます。
アーティエンスでは新入社員のセルフマネジメント力(※)・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。
あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。現在、無料体験サービスを実施中です。(※詳細・お申込みは最下部をご覧ください)
●バックナンバー
Growth結果レポート4月 Growth結果レポート5月 Growth結果レポート6月 Growth結果レポート7月
※新入社員が力強く成長していくために必要な4つの力(業務遂行力、巻き込み力、意義付け力、成長力)をまとめて、セルフマネジメント力と定義しています。Growthは、4つの力にリーダーシップを加えた5つの力への意識を高める設問となっており、日々の業務を振り返り回答することで、セルフマネジメント力とリーダーシップ発揮を促します。
目次
9つの設問に対して'とてもそう思う'=5, 'そう思う'=4,'どちらともいえない'=3, 'あまりそう思わない'=2, 'そう思わない'=1にて算出
※標準偏差とは、データのばらつき具合を示す数値のひとつ。数値が大きいほどばらつきが大きい
4月から継続して、平均値が最も高い設問はQ1でした。ただし、その標準偏差は徐々に大きくなっており、学ぶ姿勢も人によってばらつきが生じ始めている様子がうかがえます。
4月:0.51 》 5月:0.56 》 6月:0.59 》 7月:0.59 》 8月:0.61
▽3か月毎に、Growthの全設問の推移レポートを作成しており、4月~6月のレポートは下記より無料ダウンロードが可能です。新入社員の状態の推移から育成施策の検討にご活用いただけます。
入社5か月が経過し、日々の業務にも慣れ始めた頃とはいえ、自身の役割を超えた働きかけよりも、まずは自身の役割を着実に全うしていこうという意識がうかがえます。
一方で、結果のばらつきも強くみられており、本人の意志や周囲の環境によって開きのでる設問であるといえます。
9月8日に、21卒新入社員とそのトレーナーの合同研修(公開型)を開催しました。
【公開講座】新人・OJTトレーナー合同研修
本研修内でGrowth回答をテーマにしたダイアログワーク実施にあたり、新入社員向けのGrowthと対になる設問内容のトレーナー向けGrowthを、参加者を対象に実施いたしました。
【トレーナー向けGrowthの設問】
今回は、ある2社様の新入社員とトレーナーのGrowthの結果を比較しながら、数値の背景・現場で起こっている状況を仮説立てし、新入社員の成長を後押しする育成ポイントを考えていきます。
なお、ご参考までに、Growthのようなサーベイは、数値結果の背景を考えて意味付けすること(スループット)が、実施のプロセスの中で最も重要と言われています。
参照:中原淳「「データと対話」で職場を変える技術サーベイ・フィードバック入門 これからの組織開発の教科書」を基に作成
まず、A社様(食品メーカー、従業員数約200名)のGrowth回答結果をみていきます。
【A社Growth結果】
【新入社員】
【トレーナー】
・トラブルの際に心に余裕がなく、きちんとした対応をしてあげられなかった。自分の存在価値を見いだせるよう、ラインを持たせてあげたい。
・部下 後輩に対し 仕事における指示だけでなく 考えや意見等も 考察し聞く耳を持って せっしていく事を実行しようと感じた。
・話す機会を作ることが大事だなと感じました!思ってることをぶつけ合う機会があることで理解し合えると思います!
全体的に新入社員とトレーナーの回答に開きがあり、認知のズレが発生ています。
そのため、まずは、本人たちが数値の背景にあるものを対話を通して理解し合っていくことが重要です。対話を行う際、平均数値の高さが唯一逆転しているQ3と、数値の開きが最も大きいQ8、フリーコメントに注目すると、以下のような仮説が浮かび上がるかもしれません。
【Q3の結果から考えられる状況】
・トレーナー:自身の指示命令により新入社員の仕事の品質は高まっているように感じている
・新入社員:トレーナーからの指示命令で取り組む仕事は「周囲を主体的に巻き込んでいる」という感覚は持ちにくい
【Q8の結果から考えられる状況】
・新入社員:自身の役割を理解し、自分なりの意見を持ちながら主体的に業務に取り組んでいる
・トレーナー:新入社員は自分たちの指示命令に従い行動しているように映り、新入社員自身の考えをあまり発信していないように感じる(もしくは、発信の機会を提供できていないと感じている)
あくまで仮説ですが、上記の状況が発生している可能性があります。
この状況が今後も続くと、以下のようなリスクの恐れが高まります。
・管理職やトレーナーの指示命令が強く、新入社員の受け身・指示待ち姿勢が強まり、自立できない
・新入社員が想いや考えを持っていても、指示命令が強い環境下だとやる気が下がり、エンゲージメントが低下する(退職リスクも上がる)
数値結果や仮説から、A社の新入社員の活躍を促進する育成ポイントを考えていきます。
【インサイドアウトを意識する】
インサイドアウトとは、内から湧き出てくるポジティブなエネルギーを指します。内発的動機付けともいわれ、その割合が高まるほど仕事の品質は上がり、主体的な行動がうまれます。インサイドアウトへの取り組みとして、仕事を依頼する際、新入社員に任せる範囲をつくり、自身で決めてもらう・考えてもらうという経験を積ませていくことは効果的です。(自律性)
※インサイドアウトのヒントをさらに得たい方は下記を御覧ください。
Growth結果レポート7月
次に、B社様(Webアプリ開発企業、従業員数約150名)の新入社員・トレーナーのGrowth回答結果をみていきます。
【B社Growth結果】
【新入社員】
・申し訳なく思うことは、目的を見失いがちな部分で、これから取り組みたいことは、さらに言語や技術の勉強を進める事です。
・誇れることは与えられた仕事を忠実に遂行できることです。ただ、まだ必要最低限の働きしかできていないように感じるので、プラスアルファの働きができるよう、これから取り組んでいきたいです。
・これから取り組んでいきたいこととしまして、具体的に半年後こうなりたい、3年後こうなりたい、5年後こうなりたいといった未来像を明確にし、そこから逆算して、今何をすればいいかを考え、それを実践していきたいです。
【トレーナー】
・新しい事業を創出するときの考え方や進め方の部分では学びになっている部分が多くあると思います。その一方で本人がやりたいことや学びたいことはズレがあるということは聞いています。そこのことからコミュニケーションや意欲に繋がりにくく、申し訳なく感じています。
・どんな業務でも目的を意識してもらうように心がけていたのはよかったと思う。その一方で、成長を感じられるような業務を提供できていないのは申し訳ないと思う。今後は後輩の目標達成のために必要なサポートをしていくようにしたい
全体的に新入社員の回答数値よりトレーナーの回答数値が下回るという結果でした。その中でも数値の開きが大きいQ2、Q5 、Q9を中心に数値の背景を読み解いていきます。
【Q2の結果から考えられる状況】
新入社員・トレーナー間のコミュニケーションの捉え方に対して、0.8ポイントの差があった。新入社員より低い数値のトレーナーからすると、お互いに気軽に話せる関係性ではあるものの、仕事を進めていく上での本質的なコミュニケーションは不足していると考えている可能性がある。
【Q5の結果から考えられる状況】
「目標への意識」に認知の差が生じている。新入社員自身としては、目標への意識を持って日々業務に取り組んでいるが、トレーナーからすると、目標への意識が弱いように感じている。
あくまで仮説ですが、上記の状況から、新入社員自身はラーニングゾーン(心理的安全性も目標への意識も高い状態)にいると考えているが、トレーナーから見ると、新入社員はコンフォートゾーン(心理的安全性は高いが目標への意識が低い状態)にいると感じている可能性が考えられます。
新入社員としては、目標を意識した発信や働きかけを意欲的に行っているという認知ですが、トレーナーからすると、コンフォートゾーンからの働きかけとして映るため、Q9の数値結果が、1.0ポイントという全設問の中で最も大きな差が生じているのかもしれません。
今回の数値結果や仮説から、B社の新入社員の活躍を促進する育成ポイントを考えていきます。
【ストレッチ目標を渡す際・渡した後のフォロー】
ストレッチ目標を渡して放置の状況はよくありません。
例えば、目標を渡す際、5W2Hなどを用いて、本人が考えやすいフレームワークを用意し、フォローしても良いかもしれません。また、業務過程においては、報連相をしやすい環境をつくり、適宜アドバイスや励ましをしていきながら、新入社員のサポートをしていきましょう。
※「心理的安全性」についてよりヒントを得たい方は下記をご覧ください。
テレワークだからこそ求められる管理職の'チームの心理的安全性'の創り方
「心理的安全性を意識しすぎて、少しぬるい環境になっている気がする」
心理的安全性において、ぬるま湯組織にならないためのバランスとは?
入社5か月が経過し、新入社員の成長スピードや仕事へのモチベーションも、ばらつきが生じ始めてています。そこで、改めて、人材育成の基本となる
・OJT(On the Job Training)
・Off-JT(Off the Job Training)
・SD(Self Development)
の3つの種類とそれぞれの育成効果を高めるポイントを理解し、自社の新入社員の成長を加速させる力点を抑えていくことが重要です。
先ほど事例としてお伝えした2社以外のGrowth結果レポートや、3つの育成を効果的に行っていくためのポイントを解説したお役立ち資料は、下記より無料ダウンロードいただけます。
# ダウンロード資料の一部
9月のGrowth Meetingは下記テーマで実施しました。
withコロナ時代に活躍する新入社員育成とは?
についてお伝えしました。
※詳細資料は、前述の3)のフォーマットより無料ダウンロードいただけます。
その後、人事のみなさまでGrowth結果から考えられる背景、それらを踏まえた育成施策の共有を行いました。
【セルフディベロップメントの導線整備】
・全体会議後、社員の持ち回り制で社内勉強会を実施。外部研修での学びの共有や、ニュースやコラムを読んでの感想・気づきを共有し合う。
・新入社員のオンボーディング施策の一環で、読書感想文の作成・提出の実施。提出回数と連動したポイント制なども取り入れ、同期間の競争心も高めながら、業界や社会人としての知識を学んでもらう。
【社員の主体性をどう高めるか】
・Growth結果から、新入社員の主体性を高めていくための前提として、個々人のモチベーションを高めていくことが重要になりそう。新入社員の言動に対して、上司や先輩からポジティブフィードバックを行い、モチベーションを高めていくことが大切かもしれない。
活躍する新入社員像に近づけていくため、社員間のコミュニケーションの量・質を高めていくための具体的な取り組みやセルフディベロップメントを促すデザインなど、明日から取り組めそうなスモールステップを、皆さんと探求していきました。
10月には、下記テーマでGrowth結果をもとに育成施策共有会(Growth Meeting)を実施します。
新入社員の「今後もこの会社で成長していけそう」という成長予感の不足は、早期離職の原因にもなると言われています。人事として、彼らの成長予感を高めていくためのアプローチ施策を考えます。
・開催日:10月18日(月)13:00~14:30
・費用:無料
現在、3ヵ月間の無料体験を開催中です。ご興味ある方は、ぜひお問い合わせください。
詳細はこちら
※Growth Meetingは、Growth(新入社員向け振り返りツール)実施企業様が中心となりますが、未実施の人事担当者様もお気軽にご参加いただけます。
弊社では、新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの向上を目的とし、振り返りツール【Growth】をご提供しています。
あわせて、人事・現場の育成担当の方々が企業を超えて対話し情報交換できる場【Growth Meeting】をセットでご提供しています。
月に1度、先述の9の設問、およびフリーテキストへの回答を新入社員へ促し、結果レポートを人事のみなさまへお送りしております。
おひとり様1回答500円(税別)ですが、現在、3ヵ月間の無料体験を開催中です!
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