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「管理職って何?」──時代とともに変わってきた管理職の定義、そしてこれからの時代、管理職はどのような存在であるべきか?

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皆さんは、「管理職・マネージャーの定義は?」と尋ねられたら、即答できますか?
もしくは現在、管理職・マネージャーの方々は、「自身はどのような存在であるべきか?」と聞かれたら、すぐに答えられますか?

時代とともに、管理職・マネージャーの定義は大きく変わっています。
時代背景とその時々の管理職の定義、そしてこれからの時代に求められる管理職のあり方について、本コラムを通して一緒に読み解いて行きましょう。

1)指揮・統制によって経営の「効率」をいかに上げるか?の時代

初めて「管理職・マネージャー」という言葉が定義される

「管理職」や「マネージャー」という言葉が初めて定義・使用され始めたのは、1910年頃と言われています。

1900年にはパリ万国展覧会開催、1904年にはニューヨーク初の地下鉄開通など、世界中の人々が新時代の幕開けを感じた時期でした。一方で、1914年には第一次世界大戦が勃発し、泥沼の戦乱の時代へと突入していきます。まさに「明暗を行き来する激動の時代」
同時に、アメリカをはじめとする先進諸国では、工業化が進み、多くの企業が活性し、資本を築いていきました。

そのような中、フランスの経済学者 アンリ・ファヨールは「管理職・マネージャー」を定義しました。彼は、管理原則の父とも呼ばれています。ファヨールの「管理職・マネージャー」の定義の中心となる考え方は、「マネジメントの14の管理原則」になります。

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「経営者」と「労働者」という、いわば二階層的な構造で成り立っていたこれまでの企業は、工業化に伴いその企業規模を著しく拡大していきました。その結果、「経営者」が一元的に「労働者」を管理することが難しくなり、「管理職」という役割が誕生しました。

当時の管理職は、「組織の活動を計画し、実行に向けて“指揮・調整・統制”をすること」を主に期待されていたと考えられます。

「モダン・タイムス」──効率化・大量生産の時代

フランスのファヨールとほぼ同時期の1900年~1920年頃は、企業の業務効率化・大量生産の手法において大きな革新が起きた時期です。そのような中で誕生したのが、フレデリック・ウィンスロー・テイラーの「科学的管理法」です。この管理法は下記の3つから成り立ちます。

1.課業管理
2.作業の標準化
3.作業管理のために最適な組織形態

テイラーは、基準となる作業量と手順を合理的・科学的な方法で定め、管理者の元で計画的に遂行していきました。その結果、当時の労働者のコストパフォーマンスを従来の2倍~5倍まで引き上げていきました。管理職は、「利益の最大化・効率化を(時に経営者と共に考え)実行すること」を期待されていたと言えるでしょう。

2)生産性向上のキーは「人間関係」 ──そして「やる気・モチベーション」がマネジメントのテーマへ

生産性向上には、職場の「人間関係」が大きく影響

1920年~1940年、世界恐慌により不景気や労働者の抗議運動が活発化、それまで一世を風靡していたテイラーの「科学的管理法」による効果に陰りが見え始めました。

そのような中で、経営者は「労働者が何を考えているのか」を解明する様々な実験を行いました。有名なものとしてハーバード大学のエルトン・メーヨー教授の「ホーソン実験」があります。この実験では、「外的要因や職場環境ではなく、人間関係が労働生産性に影響する」と結論付けられました。

そして、この時期から、経営者や管理職にとって「労働者の人間関係向上や仲間意識の醸成」に対する関心が高まっていきます。

「欲求人」──働く人の感情にフォーカスがあたる

ホーソン実験から少し時が経った1941年~1960年頃、仕事の効率性において、“人間の欲求”が大きく影響することが確認されます。そして、「やる気(モラール)」「動機付け(モチベーション)」といったキーワードがフォーカスされ、マネジメントにも取り入れられるようになっていきます。

アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と定義し、人間の欲求を5段階で分類しています。

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▲マズローの欲求五段階説:下層の欲求を克服するごとに、人は1段階上の欲求をするようになるという心理学理論。「自己実現欲求」の5段階目で初めて、成長としての欲求に繋がります。

また、マサチューセッツ工科大学のダグラス・マレイ・マクレガー教授は、マズローの欲求五段階説を引用し、X理論とY理論に至りました。

・X理論:人間は本来怠けたがる生き物で、責任を取りたがらず、放っておくと仕事をしなくなる。
・Y理論:人間は本来進んで働きたがる生き物で、自己実現のために進んで行動し、自ら問題解決をする。

マクレガーは、X理論の人間に対する見方では、管理職・マネージャーは、本当の従業員のやる気は引き出せないと提言しています。その上で、Y理論の人間の見方をベースに「従業員を心から信頼し、自己実現の欲求に力を貸してあげれば、従業員は意外なほど生産性を発揮する」という管理職・マネージャーのあり方を提唱しました。

働く人の感情にフォーカスがあたり、特に「いかにやる気を出させ、モチベーションをあげていくか」という従業員の動機付けが、管理職・マネージャーに期待される役割になっていきます。

3)「予測できる未来」の 目標管理へ

具体的・現実的な目標設定と明確な評価測定を

1950年代、管理職・マネージャーの役割として注目されていたのは「人間関係」や「モチベーション管理」だけではありません。

戦後、多くの先進国で成長が高まり、企業は力強く拡大を続けていきました。その当時「世界は予測可能であり、将来は計画可能」と言われていたほどでした。
そのような時代背景から、かの有名なピーター・F・ドラッガーによる「MBO(目標による管理)」という概念が生まれました。MBOは「本人の自主性に任せることで、主体性が発揮されて結果として大きな成果が得られる」という考えに基づいています。

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また、ドラッガーは、マネジメントの5つの基本的役割を提唱しました。

ドラッガーが掲げたマネジメントの5つの基本的役割
1)目標を設定すること
2)組織として行動・機能させること
3)動機づけを行い、コミュニケーションを行うこと
4)評価測定をすること
5)部下を育成すること

ドラッガーは、「マネジメントとは、人の強みを生かし、組織の成果に繋げる活動すべて」であり「マネージャーは、組織の成果に関する責任を担う者」と自身の著書で考えを述べています。

4)品質管理と「ジャパン・クオリティ」への関心

「日本人に学べ」──クオリティマネジメントの時代へ

1970年代に入り、これまで勢いを見せていたアメリカ市場が段々と行き詰まりを見せるようになりました。反面、戦後急成長を遂げた日本ビジネスの在り方は欧米の経営者から注目を浴びることになります。
そのような中、実際にトヨタなどの日本企業への支援・サポートを行いながら、日本ビジネスの「品質管理」を世界に紹介していったのが、アメリカの経済学者ウィリアム・エドワーズ・デミングでした。デミングはマネジメントの14の原則を提唱します。

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14の原則には、「OJT」「改善活動」などのワードや、「部門間の障壁を取り除く」「全社員を巻き込む」など現代の企業のマネジメントにおいてもキーとなる観点が数多く登場しています。
また、デミングは、皆さんもよくご存じPDCAサイクル」の提唱者ともいわれています。PDCAサイクルを回すことで、品質の維持・向上、そして継続的な業務改善活動を推進していくことが、当時のマネジメントでは期待されていたと言えるでしょう。

5)「VUCA World」「withコロナ」──先の見えない時代へ

それでは、いよいよ私たちが生きる現代の、管理職・マネージャーの役割について考えていきましょう。

「予測できる未来」から「予測できない未来」へ

まずは、以下の2つの画像を見比べてみてください。

▼1970年~1990年代の横浜・香港・ロンドン
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▼1990年代~現代の横浜・香港・ロンドン
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2つの画像の写真は、横浜・香港・ロンドンの3都市のほぼ同じ位置を時代を変えて撮影したものです。この写真だけ見ても、時代とともに我々を取り巻く環境が大きく変化しているのがうかがえますね。

1990年代に入り、インターネットの普及が一気に加速しました。結果、ビジネスサイクルの短縮化や知識・技術の更新スピードの高速・複雑化など、企業や働く人々にとって非常に大きな影響をもたらしました。

そして、今、誰もが想像もしていなかったコロナという大波乱が起きています。

まさにVUCA WORLD「予測できる未来」から「予測できない未来」へ転換した時代と言えるのではないでしょうか。

そのような時代背景から、過去に鉄板とされてきた考え方・定説は覆され、より早く動き、進めながら見直し、成果に繋げることが求められるようになっています。
このような現代において、管理職はどのような役割を担っていくべきなのでしょうか。
書籍『心理的安全性のつくりかた』のなかで、石井遼介氏は下記のように述べています。

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#参照:石井遼介『心理的安全性のつくりかた』

VUCA、withコロナといった先が見えない変化の激しい時代において、指示命令や進捗管理といった従来の統制型のマネジメントでは、管理職としての価値発揮や成果を出すことはできません。また、管理職一人で考えて行動し、困難へ立ち向かっていくのは、もはや無謀ともいえるでしょう。

「管理職自身のあり方(Being)」が問われるマネジメントへ

前述したような時代背景から、アーティエンスでは、これからの時代の管理職には、“共に学習しながら成果を上げていけるチームを創るリーダーシップの発揮”が重要な役割であると考えています。

そして、そのためのまず第一歩として、管理職自身のあり方(Being)の明確化が非常に大切になります。

――なぜ「あり方の明確化」が重要になるのでしょうか?
リーダーシップに関わる意識と能力には、下記の図のように4つのレベルがあるとされています。

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#参照:小田理一郎『「学習する組織」入門』

この4つのレベルで、もっとも基礎的なレベルにあたるのが「知識」です。ただ、知識は「わかる」のレベルであり、知識を基に行動「できる」ようになるためには、そのひとつ上の「スキル」のレベルが関係してきます。

もちろん、知識やスキルの習得は、業務を進めるうえで不可欠です。
しかしながら、管理職として変化の激しい時代に適応し、組織の課題を乗り越えていくには、単に知識やスキルを習得するだけでは不十分です。より、人としての器や人格を発達させ「姿勢・態度」を望ましいところに保持し、管理職自身の「あり方」を高め、周囲に良い影響を与え、チームとの共創による成果を高め続けることが重要です。

「あり方」は、自らの根源に繋がります。あり方を重ねた行動は、組織やメンバーたちの変容を生み出しやすいとされています。
管理職が効果的にマネジメントをしていくためには、まず自身の本当に大切にしている想いや志、価値観を明らかにすること、そしてそれを忠実に実践し、自己研鑽していくことが大切になります。
たとえ困難に対峙しても、自分の想いや志を拠り所とすることで、軸をぶらさずに向き合うことができます。

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まずは管理職が「自身のあり方」を明確にし高めていくこと、そして次のステップとして、自身の意志のもと、チームメンバーと共創関係を築くことが重要であると考えています。

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例えば、共創関係を築くには、「シェアドリーダーシップ」「心理的安全性」「成功の循環サイクル」「経験学習」など、多くの意識変容とスキルが必要です。

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6)まとめ ──「manage」の意味することとは?

今回のコラム作成にあたり、「manage」を英英辞書で調べてみました。

辞書には、いわゆる「管理する(≒control)」という意味もありましたが、「どうにかこうにか何度も挑戦しながら、厳しい状況や難しい問題に対処する・やり遂げる」という意味もあったのが印象的でした。

管理職は、ただ「メンバーや業務を管理すること」が役割なのではなく、「前例もなく、正解もない問題に対して、新しい道を切り開いていくこと」「どうにかこうにかして、皆と正解を創り出し、やり遂げること」が、これからの時代の管理職に本当に期待される役割なのかなと思いました。

アーティエンスは、時代の変化に適応し、管理職自身と管理職をふくめたチームが、成果を出し続け、活躍していけるきっかけを提供したいという想いから、管理職研修を開発いたしました。

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