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21卒新入社員が周囲・上司を巻き込むためのキーポイントは? 数値からひも解く【Growth結果レポート4月】

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2021/5/14作成ー

弊社では、21卒新入社員を対象に月に一度の振り返りツール【Growth】、および、【Growth】結果をもちより人事の方々で対話する場【Growth Meeting】をセットで提供しています 。

本記事では4月26日~5日10日の回答の結果(n=120/企業数17)から
今回の記事テーマ”周囲・上司を巻き込む”を中心に分析した結果、キーポイントは

【コミュニケーションへの前向きさを早期につくり、活性化のサイクルを回していくこと】

であると推察されました。

以下より、具体的に数値結果・コメントをみていきます。

1)Growth全体結果レポート

9つの設問に対して“とてもそう思う”=5, “そう思う”=4,“どちらともいえない”=3, “あまりそう思わない”=2, “そう思わない”=1にて算出
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※標準偏差とは、データのばらつき具合を示す数値のひとつ。数値が大きいほどばらつきが大きい

注目したい設問

平均値が最も高く結果のばらつきが最も少なかった項目:
Q1「私はよりよい仕事をするために学び続けている」

入社まもないため、基本的には新たに学ぶ内容が多く、高い数値となったことが想定されます。
そのため新入社員間での差が最もみられない結果となりました。

本項目は、時の経過とともにばらつきがみられる可能性が高いことが予想されます。

平均値が最も低く結果のばらつきが最も見られた項目:
Q4「仕事において何を期待されているのかを知っている」

まだ研修期間であるため、実際の仕事における期待を把握できていない可能性が考えられます。

一方で、新入社員間で回答の差が最もみられる結果となりました。
早期に期待を理解できている新入社員と理解できていない新入社員とで、比較的両極に分かれている傾向が見られました。

平均値が低く、結果のばらつきか多く見られた項目:
Q2「遠慮せずに、周囲・上司とコミュニケーションをとれている」
Q9「私は自分の役割でないことも、周囲やチームのために良いと思ったことは働きかけている」

Q2:新入社員のうちは、環境への不慣れさや関係性構築の未熟さから、周囲へのコミュニケーションの遠慮は発生しやすいと言えます。
一方で、ばらつきが大きいことから、そういった環境下でも、できている新入社員とできていない新入社員は、両極に分かれやすいということが分かります。

Q9:入社してまもないため、自分の役割をそもそもあまり理解できていない、もしくは、まずは自分の役割を遂行すべきだ、という思考から平均値が下がっている可能性が考えられます。

一方で、ばらつきが大きいことから、自身の役割を超えて働きかけられている新入社員も、すでに一定数いることがうかがえました。

2)周囲・上司を巻き込むためのキーポイントとは?/数値結果

今回は、新入社員のスタートダッシュに欠かせない“周囲・上司への巻き込み”に焦点を絞り、
関連性が高いと考えられる

・Q2:遠慮せずに、周囲・上司とコミュニケーションをとれている
・Q3:周囲・上司を巻き込むことで仕事の品質は高まっている

を中心に、見解をまとめます。

※巻き込み力の定義:周囲に主体的に働きかけられる意識とスキル

新入社員の8割弱が周囲を巻き込めている

Q2、Q3の結果から
いずれも8割前後の新入社員が5(とてもそう思う)、4(そう思う)を選択している結果となりました。
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※Q3に対して“そう思わない”は回答数0

また、Q2、Q3の全体結果のいずれか一方の設問に対して
 5(とてもそう思う)、4(そう思う)を選択した新入社員のうち、
もう片方も同様に5(とてもそう思う)、4(そう思う)を選択した新入社員は78.3%でした。(下記、オレンジ色の部分)
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本結果より、遠慮せずに周囲・上司とコミュニケーションを取れている場合には、8割弱の割合で同様に巻き込むことによる仕事の品質の高まりも感じられると言えそうです。

周囲・上司を巻き込んでいくために

上記より、これらの項目はサイクルを生み出すことが予想されます。
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サイクルが回っている以上、どこから着手しても良いと考えられます。
とはいえ、取り組みやすさを踏まえると、下記のような取り組みをお勧めします。

・新入社員導入研修に“周囲・上司を巻き込みアウトプットを出す機会”を組み込み、仕事品質の高まりを実感してもらう
・“新入社員と周囲・上司との関係性構築の機会”を設け、”コミュニケーションを取ることへの前向きさ”を高める

これらは、配属前等、より早く取り組むことが、新入社員の巻き込み力を早期に高めることに繋がるかもしれません。

既存社員と新規社員との関係性構築の方法など、詳しくは下記をご覧ください
中途社員の早期離職を防ぎ即戦力へ―テレワーク環境でのオンボーディング、どう支援していくべき?

3)周囲・上司を巻き込むためのキーポイントとは?/コメント結果

”周囲・上司へのコミュニケーション・巻き込み”に焦点を絞り、
フリーコメントから、ポジティブコメント・ネガティブコメントを抽出しました。

〈フリーコメント設問〉
Q10:最後に、振り返ってみて感じた、「自身の誇れること・申し訳なく思うこと・これから取り組んでいきたいこと」を教えてください

ポジティブコメント

【有効性を感じている】

・入社して自分一人で出来る仕事などなく、先輩から意見や知識をいただき、初めて行動が出来る事が多いので、これからも自分から先輩に働きかけて成長していきたいと思います。
・周囲との情報の共有を大切にしています。疑問点などは一人で考えようとして質問するのが遅れてしまいます。これからはコミュニケーションを多く取り疑問点を解消して成長して行きます。
・これからはもっと先輩方に話しかけて先輩方からスキルや人間性を学んでいこうと思いました。
・誇れる点は仕事に対する積極性だと感じます。小さなことでも疑問に思った点は必ず上司に確認する。また参加した会議では社の今の動向や今後の方向性をきちんと把握し、自分にとって利益になる情報を得ようとするなどの点です。

【求められている/すべきことと感じ、積極的に行っている】

・学んできたことを活かしてしっかりと報連相していくことに取り組んでいきたい
・”自身の誇れること:分からないことや疑問点は周囲へ相談したり、上司へ報告を行っていること
・誇れることは、積極的にコミュニケーションを取り周りにポジティブな影響を与えられること。
・分からないことはすぐに聞いたり、自分の考えを伝えたり等、周りと上手くコミュニケーションを取りながら仕事が出来ていると思います。
・周囲と遠慮なくコミュニケーションをとれている部分は誇りに思う。
・疑問点を残さず、質問できているところが自分の誇れること。
・”誇れることは、自分から積極的に話しかけたりコミュニケーションに運んでいく行動ができることです。

【自身の強みの一つとして発揮している】

・私の誇れることは、誰に対しても比較せず、気兼ねなく話すことができることだと感じました。
・新人らしい元気さは自分の強みだと思う。自分から声かけや笑顔を作り出して行く

ネガティブコメント

【コミュニケーション自体への不安】

・わからないことが多く、必要以上に上司に確認をとっていたり、細かく確認しなければ不安になってしまうこと
・遠慮しすぎてしまうところを直していきたいです。

【失敗への不安】

・自身の誇れることは、コミュニケーションを大事にしている点です。申し訳なく思うことは、失敗を恐れて積極性をもてない時がある点です。

【場の空気感・相手への影響の懸念】

・申し訳なく思うことは、もっと積極的に発言をすべきだったということです。特に、課題に対して自分なりに解決法が見えていても、チームの議論が活発だと水を差してしまうようで自分の考えをなかなか発言出来なかったことは反省しています。これからはもっと自分の意見をしっかりと伝えられるよう努力したいと思います。

【環境面から生じる難しさ】

・リモートワーク中、報連相が難しく、うまく伝えられない申し訳なさがある。
・”同じチームの先輩、上司の方が地方出張や外出などで会社にいないことが多く、連絡が LINE中心のため、コミュニケーションを取ることの難しさを感じています。
・すでに進行しているチームの中に参加しているので、現状どこまで物事が進んでいるのかといった現状把握の難しさも感じています。

ネガティブコメントへの対応

コメントからは、それぞれの異なった背景がみえました。
ネガティブコメントのそれぞれについては、どのように対処していくと良いのでしょうか。

【コミュニケーション・失敗への不安】

これらは、周囲・上司からの日々のフィードバックによって軽減を図っていく必要があります。
ポジティブフィードバックを意図的に増やし、新入社員がコミュニケーションに対する不安を減らしていく働きかけを行いましょう。

【場の空気感・相手への影響の懸念】

周囲・上司が新入社員を受け入れている、という安心・安全な場づくりを意識していくことが望まれます。
心理的安全性を高める要素・阻害する要素を下記に記載しました。
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入社して間もない新入社員は特に「無知だと思われるのでは…」「無能だと思われるのでは…」「邪魔だと思われるのでは…」「否定的だと思われるのでは…」といった不安を多く持っている可能性があります。

これらを取り除ける場づくりを、普段以上に意識できると良いと考えられます。
詳しくは下記をご覧ください
テレワークだからこそ求められる管理職の”チームの心理的安全性”の創り方

【環境面から生じる難しさ】

テレワークが促進される中で、これらのハード面の難しさは、
新入社員に限らず、会社全体の効率化・売上創出に悪影響を及ぼす要素であると考えられます。

すでに解決できる仕組みをもっている場合には、新入社員に早期に共有する場を設けることをお勧めします。

また、それらの仕組みがない場合には、簡単な施策からでも良いので、
今の環境下で新入社員が周囲・上司を上手く巻き込むには、どのような仕組みがあると良いかを考え、施策を実施することをお勧めします。詳しくは下記をご覧ください。
進むテレワーク・研修のオンライン化、新入社員の孤立を防ぐ方法は?
新入社員からの積極的な働きかけももちろん大切ですが、ソフト面にのみ頼らず仕組みを用意し、フォローを図ることが大切です。

4)Growth Meeting 後述レポート

5月のGrowth Meetingでは下記テーマで、Growth実施企業を中心とした人事情報交換会(Growth Meeting)を実施しました。

新入社員と上司がうまく仕事を進めるために支援したこと・したいこと

弊社からテーマに関連する情報として

【関連情報】
・全体結果
・新入社員が感じる、周囲や上司を巻き込む阻害要因とは(弊社研修アンケートより)
・成功の循環サイクル
・心理的安全性×目標への意識

についてお伝えしました。

上記資料はこちらからダウンロードいただけます。

その後、人事のみなさまで自社の強み・課題や、それらを踏まえた施策の共有を行いました。

【施策例】
・2年目をキーにした、関係性づくり
》入社直後に2年目との関係構築を目的とした合同研修
》2年目社員が、自身の業務内容を新人にプレゼンする
》2年目に、「1年目に、どんどん声かけてあげてね」とアナウンスする

・既存社員とのつながり
》交換日記
》体調把握を兼ねた毎朝の顔合わせ
》新入社員から既存社員へ、「私に支援して欲しいこと」をインタビューしてもらう

・1年目自身の意識醸成
》1年目社員全員で「貢献意欲」をテーマにしたダイアログを行う

・既存社員がフォローしやすい環境づくり
》受け入れ側に、情報共有を行う

次回は下記を予定しています。

【人事情報交換会(Growth Meeting)】新入社員の成長実感を育むために、いま、取り組めること
日時:6月18日 13:00~14:30

公開講座一覧

Growth未実施企業でもご参加可能です。
ご興味ある方は、ぜひお申し込みください。

5)Growth企画背景/お問い合わせはこちらから

弊社では、新入社員のセルフマネジメント力・リーダーシップの向上を目的として、
振り返りツール【Growth】・人事の方が結果をもちより対話する場【Growth Meeting】をセットで提供しています 。

【Growth】では、月に1度、上述の9の設問、およびフリーテキストへの回答を新入社員へ促し、
結果レポートを人事のみなさまへお送りします。

おひとり様1回答500円(税別)にて実施可能です。
また、回答後、毎月結果レポートを送付します。

弊社では、“結果をどうつなげるか”が最も大切であると感じ、繋げ方を思案できる人事情報交換の場【Growth Meeting】を、一緒にご提供しています。

Growthのような定期的な振り返りツール(一般的にはパルスサーベイといわれるもの)で多発する

・結果は出ても、どんな示唆をだしてよいか分からない
・結果から、何をしたらいいか分からない

といった課題を防ぐことができます。

毎月設定されたテーマを基に、人事の方々で対話を行います。

ご興味ある方は、お問い合わせ、もしくはコチラより、人事情報交換会(Growth Meeting)へお申込みください。

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