コラム

新入社員研修の効果を最大限高める企画・フォローとは?
-オンライン研修の学びを、現場でも継続化させる方法-

 任意の名前

2021/1/26作成ー

「オンライン?リアル?with コロナにおける新入社員研修とは」では、オンライン研修の課題点や、最低限抑えておくべきポイントをお伝えしていきました。今回は、オンライン研修の効果を高める方法をご紹介していきます。

3つのポイントで、オンライン研修の効果を高める方法をお伝えします。

新入社員同士で学びあう環境構築

主体性・当事者意識を高めることで、オンライン研修の参加姿勢による課題を解決し、学び合える環境を創る

反転学習を活用したオンライン研修

アウトプットを中心とした研修設計で、研修への参加度合いを上げ、参加意欲を高める

オンライン研修の品質を補う・強化する

テレワーク中心による学びの定着率低下を防ぐための振り返り(内省)の大切さ

1)新入社員同士で学びあう環境構築

学びたい欲求”を高める

研修での学びを高めるためには、そもそも受講する新入社員が学習に対して前向きである必要があります。

学習に対する前向きな姿勢は、どのように創ればよいのでしょうか。

当社は、新入社員が下記の状態にあることが必要だと考えています。

・孤独感が解消され、同期や組織とのつながりを感じている
・自身を律し、学習する習慣がある

まずはこの2点の状態を組織側が意図して創っていくことが、オンライン研修の学習効果につながります。

孤独感が解消され、同期や組織とのつながりを創ること

孤独感を持つ不安な状態では、研修への参加意欲や取り組み姿勢に影響が出ます。

まずは、孤独感を解消するためにも、同期・組織とのつながりを創っておくことが大切です。同期・組織との繋がりがあると、組織エンゲージメントも上がるため、自組織における成長へのコミットが高まり、研修への参加意欲も高まっていきます。

自身を律し、学習する習慣を創ること

新入社員は、社会人になりたてで、人としてもまだまだ未成熟です。自宅には、さまざまな誘惑もありますし、人事や上司なども目もありませんので、自身を律することへの難易度が高くなります。

周りから強制的に管理されるのではなく、自然と自身を律するための導線や、学習習慣を創っていくことが必要

になります。

オンライン研修と連動させ、この仕掛けを創りをしていくことが重要

です。

参考として、当社が2020年度に提供したオンラインサービスをご紹介します。

新入社員が主体性と当事者意識を持って行動していくため、まず新入社員にどうなってほしいかを考え、下記の設計で実施しました。
# 当社2020年度自宅待機フォローサービス「スタートダッシュ・スタンス」より抜粋
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「孤独感が解消され、同期や組織とのつながりを創ること」を目的に、下記取り組みを設計しました。

• 毎日朝礼で、同期(他社も含めて)と対話をすることで、孤独感を解消し、つながりを実感
• 終業時に、人事(もしくは上司)へに対して、日報を送りフィードバックをもらうことで、会社とのつながりを実感

「自身を律し、学習する習慣を創ること」に関しては、下記取り組みを設計しました。

• 始業時に同期との対話を通して、前日の自身の過ごし方を振り返ることで、自身の良い点・改善点を考える
• 始業時にスケジューリングを行う。そのスケジューリングをもとに一日の時間を過ごし、翌日、その過ごし方がどうだったかを、仲間と振り返り、そして人事に対しても日報を提出する

始業時の取り組み

4月16~5月1日の11日間で、「孤独感の解消と、同期・組織とのつながり」と「自律の促進と、学習の習慣化」を促すために、下記の内容で、新入社員と関わっていきました。とくに毎日9時~11時までの時間を丁寧に扱いました。
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#「KPT」とは、Keep(続けること)、Problem(改善すること)、Try(新しく取り組むこと) というフレームワークです。

下記図は、毎日の対話のテーマを日毎に記したものです。二つの基本の対話方法を交互に行いました。
ひとつは、講師が講義をした内容をインプットした上で対話をする方法、そしてもうひとつは自身を内省し対話する方法です。

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新入社員自身が主体的に進めるために

11日間が終わったゴールデンウイーク明けには、下記の流れで新入社員自身で進めていくよう促していきました。
# 朝礼は、3~4名程度のグループに分かれて、実施していきます。
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実施後、お客様より、「新入社員に振り返り(KPT)・スケジューリングが習慣化された」という話を聞いています。

具体的には、下記のような行動変化があったそうです。

・研修で学んだことを意識し、行動する
・新入社員が相互に学びあっている
・何かあった場合には、新入社員から相談がある

仕掛け・仕組をしっかり作ることで、オンライン研修の効果は高まりますし、また何より新入社員の成長度合いが変わります。

なお新入社員が数名の場合であっても、他者との交流の場を創るだけでも、変化は起きていきます。

2)反転学習により効果を高める方法

次に、オンライン研修の具体的な設計に使える「反転学習」という方法をご紹介したいと思います。

反転学習とは、研修受講前にインプットを実施し、研修ではアウトプットを中心に行う学習方法です。

ここでいうインプットとは「テキスト・マニュアルを読む、動画見る、本を読む」などで、アウトプットとは「演習問題、ディスカッション・対話、質疑応答」を指します。

反転学習を行うことで、「オンライン?リアル?with コロナにおける新入社員研修とは」の「2.オンライン化で、最低限押さえておくべき3つのポイント」で説明した下記課題は、解消に導くことができます。

• 講義が長いと、研修参加度合いが低くなる
• 研修への参加意欲が低い

またグループワークの際、プレゼン形式などで競わせる工夫をすると、具体的に目的が設定されるため、チーム全員でひとつの目標に向かっていくことができます。また、行動が結果として見えるため、チーム間での相乗効果も期待ができ「新入社員同士の熱量が伝播しにくい」ことも解消もされます。

あるメーカー様では、製品知識を覚える研修で、反転学習を利用して、下記のように進めていったそうです。

研修目的 : 基本的な製品知識を学び、配属後の研修にスムーズに入っていけるようにすること
(営業、工場、開発等の部署を問わず)

目標 : 新入社員全員が、基礎的な製品知識のテストに●月●日までに合格すること

【研修の進め方】
1. 個人ワークとして、事前に製品マニュアルを読み込む
2. グループワークをオンラインで実施。
3. 不明点・疑問点を無くす
4. お互いの学習方法を伝える
5. 相互テストを行う
6. 各パートでテストを実施する
7. 他のグループと総合得点の対抗戦にする

最終的に「社内テストを個人で受ける」という仕立てにし、一回目のテストで全員合格を目指したそうです。

教室型研修よりも良くなった点に関しては、「互いの学習方法を伝える」という部分で、「教え合う」姿勢が生まれ、「よりよく学ぶには?」と探求する姿勢も強化されたそうです。

3)オンライン研修の品質を補う・強化するためのツールのご紹介

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最後に、オンライン研修の品質を補う・強化するためのツールのご紹介をします。

まず大前提として、研修で学んだことを現場でどのように生かしていくのか、具体的に落とし込むプロセスが重要だということを理解しておいてください。

そのためには、経験学習といわれる学習方法の習慣化が効果的です。経験学習とは、実際の経験を通し、それを省察(内省)することで、気付きが生まれ、行動の品質が高まるという考え方です。
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経験学習のプロセス・・・

【(具体的な)経験】
物事を直接もしくは間接的に、経験する

【振り返り(省察・内省)】
具体的な経験を振り返り、また、他者の観点を踏まえた上で、自分の考えや行動などを深く振り返る

【気付き(概念化・教訓)】
内省をもとに、次回から自分自身の行動を変え、良い状況を生み出すための方法を考える

【行動(実践・新たな状況への適応)】
教訓を基に、新たな状況に適応し経験に繋げる

ぜひ、振り返り(省察・内省)を、新入社員育成の中に仕組みとして取り入れ、経験学習を習慣づけていってください。

経験学習を促し、オンライン研修の品質を補う・強化するツール

日報(週報)の活用

経験学習の習慣化が重要だということは前述しました。
日報・週報を行うことで、その経験学習のサイクルを回すことが可能です。

日報・週報は、「学習効果を上げ、成長を促す」、「モチベーションをフォローし、エンゲージメントを高める」など、効果が高い施策なので、丁寧に扱っていくといいでしょう。

また「KPT」を取り入れることで、内省は強化されます。

また可能であれば、下記二点を推奨します。

• 同期の日報も見られる環境を創ること
他者の日報を通して、自身の振り返り・気付きにもつながります

• トレーナー(人事担当者)からのフィードバックをすること
フィードバックを行うことで、経験学習の「振り返り」の強化だけではなく、「気付き・行動」も強化されます

1on1(面談)の活用

新入社員との1on1(面談)の機会を持つことも重要です。

その際、下記3点を意識して対話を行うといいでしょう。

1,研修の理解度や、活用度はどうか?
2, 研修で学んだことを、より活かしていくにはどうしたらいいか?
3,研修で学んだことができていない阻害要因は何か?
また、阻害要因を乗り越えていくにはどうしたらいいか?

1on1を行う際には「答えを与えるのではなく共に考えていく部分」と、「社会人・会社の先輩として、新入社員の考え方や姿勢を正していく部分」のバランスを取っていくことが必要です。

間違っても、新入社員に迎合することや、一方的にネガティブ・フィードバックをする説教部屋のようにならないことが必要です。

常に、「新入社員の成長が促進されるにはどうしたらいいか」を考えていくとよいでしょう。

# 「テレワークで高まる育成担当者(上司・トレーナー)の重要性。人事は何をすべき?」にて、具体的な育成方法を書いていますので、こちらも参考にしてください。

また1on1に関して、気を付けて欲しいことは、扱い方やデザインを間違えるとネガティブな影響を与えることがあるということです。とてもパワフルなツールであるがゆえ、より注意が必要です。

バトンメールの活用

当社では、多くの階層でバトンメールという手法を活用しています。

バトンメールとは…
「受講生同士で順番に、学び・気づき・発見などを、他の受講生・上司・人事に、送ります。そのため常に受講生の学習意欲や振り返りを刺激される方法」です。

例えば、1週間に一度、下記のようなメールを同期に送ります。来週のバトンメールを送ってほしい他の同期に渡します。
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自身にバトンメールが来る可能性があるので、メールは必ず確認します。
仕組みとして、学びが継続化されます。
これは、人事の負担も少なく実施できる手法です。
# バトンメールが止まっているときは、人事からフォローが必要です

パルスサーベイの活用

パルスサーベイとは社員の状態を把握するツールの一つです。簡単な質問を短期スパンで繰り返し回答し、継続的にその数値の推移をはかります。

効果としては、下記があります。

• 繰り返し回答するため質問事項への意識を高められます
• 回答者の状態を短期スパンで把握できます
• 回答者の状態が可視化されます
• 状態・課題が顕在化され、施策を考えやすくなります

新入社員に研修の学びのポイントと連動したパルスサーベイを行うことで、振り返り(省察・内省)を促すことができ、人事・上司側も新社員の状態を把握できるため、フォローを行いやすくなります。

アーティエンスでは、新入社員向けのパルスサーベイサービス「Growth」を提供しています。興味がある方は、ぜひ下記より資料をダウンロードしてください。

・ 【パルスサーベイ】Growth 説明資料
こちらからダウンロードできます

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