2020/10/21作成ー
2020年度 新入社員育成は、コロナ禍により多くの混乱が起きました。
「入社式・研修オンライン化」、「テレワークでのOJT」、「テレワークでの実務経験の減少」など現在でも多くの課題は存在しています。
withコロナにおける研修や人材育成のあり方・組織課題について、当社も様々な相談を受けています。
例えば、以下のような課題が挙がりました。
改めてコロナ禍で何が起きていたのか、変化の背景から紐解きながら、解決策を探っていきましょう。
目次
コロナ禍により、私たちの取り巻く世界は大きく変わりました。
その変化は、新入社員育成においても、大きな影響を与えました。
具体的には・・・
これらは、新入社員自身にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。
2021年度の新入社員育成を考えるためにも、まずは課題・背景を整理し、その課題をどのように解決していくかを考えていく必要があります。
「オンライン研修の品質を上げる」、「研修レポートや日報を充実させる」、「1on1の機会を増やす」など、個別具体的な手法に振り回されるのではなく、「自組織は、どの課題を解決していくか」を考えることによって、素晴らしい企画(デザイン)ができると私たちは捉えています。
まずは、「新入社員にどのような行動があり、背景があったか」を紐解いていきたいと思います。
人事の皆さまへのインタビューを通して、下記のような傾向がみられることが分かりました。
# 11月以降は、人事の皆さまとの対話からの仮説です
気になる様子・背景をみて、いかがでしたか。
改めて振り返ってみると環境変化による影響の大きさを感じます。
これらの気になる様子に対して、人事の皆さんはどのように対応をしていったのでしょうか。
「学生から社会人への意識変革が難しい」という課題に対しては、下記の話をお聞きしました。
緊急事態宣言の直前に起きたメーカー様の事例です。
新入社員Aさんは、「熱っぽい」ということで、コロナ禍でできた会社の新しいルールに従い、体調不良でお休みになりました。
研修中に、同期のグループラインにAさんからメッセージが入りました。
「ゲームやってますー。研修どう?」
人事担当者は、新入社員の報連相で知ることになりますが、「緊張感の無さ」に唖然とします。
「普通なら、研修を受けられずに、焦るのではないか」と。そして、Aさんに対して、厳しいフィードバックをしました。
しかし、すぐに緊急事態宣言がでたため、新入社員はオンライン研修を自宅で受けることになります。
「愛情をもってフィードバックをしているが、どれだけ新入社員に響いたのかわからない」
という話をお聞きしました。
他にも、「”このまま仕事しないで、お金をもらっていたい”という発言を聞いた(大手IT企業様)」、「オンライン研修のグループワーク中にラインで雑談し、くすくす笑っている様子があった(専門商社様)」などの話もお聞きしました。
これらの状況もあり、人事の方からは
「どうしたら学生から社会人への意識変革を促せるのか?」
という相談も多くありました。
次に、「ビジネススキル・専門スキルの習得に時間がかかる」という課題に対しては、下記のお話をお聞きしました。
Web コンテンツ開発制作している会社様でのお話です。
この企業の新入社員研修は、数時間の入社式以外は、自宅でのオンライン研修でした。
コロナ禍にあわせ、自己学習でも学びが深まるように、研修プログラムにカスタマイズしたそうですが、適切なフィードバックができないというお話でした。
「自宅作業では、どこで困っているかわからないし、プロセスへの適切なフィードバックができない。共有フォルダに入っているアウトプットで見るしかない」ということでした。
また、作業途中での軌道修正もできず、想定外のアウトプットになっていることもあるとか…。その原因を新入社員に聞いても、要領が得ないことも多いようです。
一方、新入社員自身も成長度合いへの不安は大きいようで、新入社員からの反応で困ったことがあるという話をお聞きしました。
「受講生のスキル習得度合いが見えない」、「新入社員もスキルを習得している実感がない」
という状況が生まれています。
最後に「モチベーションフォローが難しい」という課題に対しては、下記のお話をお聞きしました
6月配属後にメーカー様からお聞きしたお話です。
「配属になりましたが、テレワーク中心なので、上司や先輩とコミュニケーションが全く取れません。職場になじめる気がしないのですが・・・。」という相談を、新入社員から受けたそうです。
1on1をこまめに行ってもらうように、現場の上司には促したそうです。
また新入社員に対しても、「何かあれば人事にも相談してほしい」と伝えたそうですが、この状況に対して限界を感じるというお話でした。
他にも、「地方採用の新入社員で、東京には友人・知り合いもいない状況…メンタルが心配 (出版社様)」、「”相談できる人がいなくて限界です”と泣きながら相談があった(メーカー様)」などの話を聞きました。
テレワークが進み、想像以上に新入社員の状況・状態はつかみづらくなっています。
また、新入社員側は「気軽に相談できる上司・先輩を持てない」状況におちいっているようです。
多くの企業様がコロナ禍で起きた課題に対して、何とか乗り越えようとしていました。
ただし、あくまで緊急対応となり、本質的な課題解決には至らなかったようです。
2020年度の経験を無駄にせず、with コロナ禍における新入社員育成を考えていく必要があります。
「オンライン研修の品質を上げる」、「研修レポートや日報を充実させる」、「1on1の機会を増やす」などHOWから考えても、上手くいかないことは、今年の振り返りからも理解できます。
それでは、「with コロナ禍における新入社員育成」とは、どうすればいいのでしょうか?
アーティエンスは新入社員の「セルフマネジメント力の強化」が重要だと考えています。
新入社員が成長し成果を出すためには、日々の仕事や研修での【周囲からの評価・フィードバック】があり、それらが【日々の仕事への意欲】につながります。意欲の高まりにより【生産性】があがり、【成果】がでるというサイクル(例年の成長サイクルの図参照)がありました。
そして、生産性をさらに高める働きかけとして【業務遂行力】を養う機会(OJT・研修)を取り入れていました。
そして、このサイクルを回すことで、新入社員育成で重要視される
への対応が可能になっていました。
しかし、withコロナによる働き方・環境の変化により、このサイクルは機能しづらくなってきました。
特に、【周囲からの評価・フィードバック】は、物理的な距離もができることにより、質も量も低下しています。
機能しないポイントは、下記図のA~Dです。
では、これからはどのような成長サイクルを描いていく必要があるのでしょうか。
アーティエンスでは新たに、3つの働きかけを行い、成長サイクルをまわしていく必要があると考えています。
業務遂行力を促していく点は例年と変わりませんが、“巻き込み力”、“意義付け力”、“成長力” を新しく抑えていくことが重要です。
私たちは、上記サイクルを踏まえて、下記のように構造化しました。
これからは、「セルフマネジメント力を高める新入社員育成が重要」という結論にいたりました。
With コロナの新入社員育成は、今まで以上に課題を捉えて背景を明確にし、アプローチしていくことが重要です。
今年の振り返りを通して、私たちは、“セルフマネジメント力強化”こそが、素晴らしい新入社員育成が行える肝だと考えます。
新入社員育成だけではありませんが、人材開発・組織開発は企画(デザイン)が重要です。
デザインを行い、その後具体的な方法を考えていくことが必要です。
ここまで抑えた上で、具体的な方法を考えていきます。
具体的な方法については、今後執筆予定の「オンライン?リアル?withコロナにおける2021年の新入社員研修とは」で、ご紹介していきたいと思います。
オンライン?リアル?withコロナにおける2021年の新入社員研修とは ~オンライン研修の効果を高めていくために~
オンライン?リアル?withコロナにおける2021年の新入社員研修とは(12月1週目掲載予定)
具体的な方法をすぐに知りたいという方は、下記セミナーやサービス資料もございますので、お気軽にお問い合わせください。