研修・セミナーレポート

「共創の探求ワークショップ」 全体ダイアログレコード

本レポートは、2018年12月7日に実施された「共創の探求ワークショップ」にて、最後に実施された「ダイアログ」の様相をお伝えするものです。  

「ダイアログ」とは簡単に言うと「対話」という意味です。 
また「ダイアログ」は、会議やディスカッションのように「何か決めなくてはいけない。良し悪しをジャッジする」というものではなく、特定のテーマについて「探求」していく思考・行動を指します。   

組織・チームにおけるチームビルディング、部下育成について関心・課題感を持たれている方には、参考になる内容も多く含まれているかもしれません。  

是非ご覧ください。

    

Phase1
自分の「認知」をどう捉えるか?

自分自身の「認知」を深く探求していくっていうことを研修の間に消化しきれなくて、後々よく考えてみたいなと思っています。

▲共創の探求ワークショップ内で扱う、「認知の状態」の氷山モデル 
自身も無意識でいることが多い領域を「(自身の)認知の状態」としてワークショップ内では扱いました

どんなところに消化不良がありましたか。
仕事や生き方の価値観のところまでは普段から考えられているのかなと思っていますが、「認知」というのはもうちょっと深いところにあるのかなーと思いました。 
「認知」の捉え方も言葉の定義づけがまだ自分の中で出来ていないのでもやもやしていて。「認知」とはなんぞやというところが、探求したほうがいいかと思いました。
ジョハリの窓がありますが、それでいうと「認知」は自分が知らないところが多いのかなと思いました。そこをちゃんと理解する必要があるのかなと。 
他人は見えているけど自分は見えていないとか、他人も自分も見えていないとか。自分を客観的に振り返って、そこから行動や結果を考えると、仕事の成果も一層出るのかなと思いました。

ジョハリの窓

コミュニケーションによる自己の公開とコミュニケーションの円滑な進め方を考えるために提案された考え方です。自己には「公開されている自己」「隠されている自己」「自分は知らないが他人は知っている自己」「誰にも知られていない自己」もあると考えられています。

普段から自分のことをいろんな人に聞いてみるのも大事なのかなと思いました。 
自分の場合は、普段から何か考える時に他の人だったら、こう考えるじゃないんかな、と想像して動くようにしています
そういう行動に行きついた背景を教えてくれますか?
脳科学の本って医学的なものから神経系の本までありますが、そこで言われているのは、人間が脳を使っているのは2%くらいで、ほとんどが統計に基づいて判断しているらしいんですね。 
自分が普段思っていることも、自分の価値観で判断しているかもしれないので、自分が思いつかないところについて考えてみたいと思ってやっています。

    

Phase2
「認知」を探求する方法とは?

研修の中に出てきた、「家の中と会社の中では自分の役割が違っている」というのが、私が仕事をしている中で考えたいキーワードだなと思っています。 
人事でも人の肩叩きをしたい人なんていなくて、やらなくちゃいけなくてやっていることもあるし。役割でやっていること、社風でやっていることもあるなと思いました。そんな中で、どうなると良い組織になるかなと考えていました。
個人的な理想を言うと、私は普段個々人が持っているものを、もっと出せるような会社の組織になればいいなと思いました。
その通りだなと思います。 
私の会社ではチームで一週間に一度は業務以外のことを話していて、上司のパパの一面とか、家族が具合悪くて最近機嫌が悪いとか、そういう話をするだけでも、会社の役割って本当に“ただの役割”なんだな、とストンと理解が落ちたところがありました。 
また、自分の良い兆候、悪い兆候を振り返るために一週間ごとにメモをしていて、常に自分がどういう状態かを視覚化して認知することを心がけています。 
人から自分のことを聞くことも大切ですが、自分としてどういう状態かを振り返るのも大事だなと思っています。
周りから自分がどう見えるか聞いてみたり、自分で改めて振り返って言語化するということが、より「認知」を深めるのかもしれませんね。
振り返りの時期が一週間に一回は無理だとしても、定期的に行うのは大事ですね。 
例えば、新入社員は大学生から社会人になる時ですし、新入社員に対してこれまでの人生で環境が変わった瞬間のモチベーションや浮き沈みの変化を振り返って掘り下げながら、こういう時にどうするのがいいかというのを話しながら将来のプロセスを構築するようなことを行っていくこともありかなと思いました。

    

Phase3
「主体性」は必ずしも必要でなくてもよい?

私は新人教育を担当していたのですが、1年目は3泊4日で新人を一人前に作りがあげるのが主眼だったのですが、2年目は「主体性」を身に着けてもらうために長い期間をかけてやりました。 
「主体性」をどう持ってもらうのかというのがテーマです。 
もともと「主体性」を持っていなくても持つことができるという前提でやっていますが、どうやってそういう人材を育てるのかというところで、日々考えています。
「主体性」はどういう風に育むといいですかね。また、どうして「主体性」が必要だと思いますか。
「主体性」を育ませるには普段から研修生に課題を主体的に考えてもらう必要があると思っていて、日常的に考えさせる研修にしています。
研修には「受動的主体性」というのがあってですね。笑 
本当の「主体性」とは何かを考えていった方がよさそうですね。 
今の子たちは良い子が多くて、これをやってと言われたことは一生懸命やるんですね。笑 
例えば、周りや上司の目があるとやるけど、ないとやらないという場合、「主体性」とはなんなのかを考えた方がいいですね。

受動的主体性

主体的に動いているように見える一方で、ある程度環境が整えられた状態での行動であり「受け身」の主体性となっている状態です。

なんで「主体性」が必要なのかというのを彼らに気づいてもらうようにした方がいいですかね。
「主体性」ってなんですかね。
信念の部分があると思うんですよね。「主体性」がないとい踏ん張れなくて逃げ出す子になってしまう。踏ん張れるようになるには「主体性」を育まないと、会社人として大きな損失に繋がると思うんですよね。
例えば、ある社内会議に若手を入れて、議論させる場を設定したことがあります。議論できるように、若手にはちゃんと準備させたのですが、そこで伸びたこと委縮した子がいたんですよね。社内プレゼンを与えられた場合だと発揮できるけど、社外プレゼンだとできないとか、もあって。 
それは「主体性」が育まれたのか、どこかで心が折れたのか、悩ましいところですが。そこら辺も含めて「主体性」をできるようにするにはどうしたら…と今調査しています。
僕が思う「主体性」は、今の現状を見たうえで何が問題なのかあるべき姿と現状のギャップを見出して、問題提起をして、誰が何を行うのかアクションを考えることが自分で出来て、必要があれば周りを巻き込んでいく、というのが「主体的」な働きかなと思っています。 
例えば合意形成を取っていく時に、利害関係を見ながら覚悟を決めて進めていくのがリーダーシップなのかなと位置づけとして考えています。
うちの会社では、日々いろんな問題がその場でおきてその場で解決しなくちゃいけないことがあるんですよね。パートも社員も日々起きる問題を自分の事として捉えて解決していってほしいと考えていて。そのために日々起きることに対して責任をパート・社員の隔たりなく一人一人に作っていて、誰もがそれぞれの問題に対処できるようにしています。
多分、「主体性」を持っていない時の働き方は、自発的な行動って全く生まれないかなと思っています。 
私自身ずっと受け身で働いていた時があって、その時は上司から与えられた仕事に対してずっと愚痴を言っていて… 
それに対して上司からは「じゃあどうすればいいと思う?」と何度も言われました。 
今までは与えられたことに対してただ愚痴を言っていただけなんですが、そんな質問を聞かされ続けると、「本当に、どうすればいいんだろうって」だんだん当事者意識を持つようになってきて、自発的にこうしたらいいと思うようになりました。そしたらだんだん仕事が楽しくなってきて!笑 
今は仕事量は増えたけど楽しくて、自発的にいろいろと自分から情報を取りに行くようになりました。
うちの会社は年間900人程採用するんですが、全員が「主体性」を持つのは無理だよね、という話を内部でしてました。「主体性」って必ずみんな必要なのかって思うんですよね。 
特に自分の業界ならではかもしれませんが、チームの中の役割をちゃんとこなしてくれる人も必要で、「主体性」って全員に持たせるって無理じゃない? 会社としての役割分担として捉えていいんじゃないか?と思っています。
私も採用していたのでわかります。 
リーダーとして今後生かす人、フォローできる人として生かす人等、分けて採用や研修していました。基本的には経済産業省が基準として作った社会人基礎力を育てるようにして、そこにプラスしてそれぞれの役割を生かせるような形にしていましたね。「主体性」は必要だと思いますが、度合いは異なるよね、と思っていました。
そう考えるとその人に合わせた「主体性」のレベルに対してフィードバックをしてあげないといけないなと思ってるんですよね。他の企業の人事の方と話しますが、ただ単に「主体性」が必要・不必要という観点だけで正しいのかな?と思っています。
会社によって違うんじゃないですかね。 
うちはみんな営業をやるので、プレゼンを人前でできるとか人前にでても恥ずかしくない社会人であるとか、それができないとろくな管理職にならないという価値観なので、「主体性」がすごく大きく見られています。
なので、そもそもの「主体性」の定義って難しくないですかね、と思いました。笑

    

    

Phase4
なぜ「主体性」は必要なのか?

「主体性」って本当に持たなくちゃいけないのか、またなぜ「主体性」を持ってもらいたいのか、というところを掘り下げてみても良いかもしれませんね。 
その時にうちの会社はこうだからと言ってしまうとそこで探求が終わってしまうので、「主体性」ってなんで必要なのかをより広義に考えてみましょうか。
私の会社では2:6:2の法則があります。「主体性」を研修で育むのは無理ですが、既に上位の2割は主体性を持っているので彼らをうまく活用することで、他の社員に影響を与えていろんなところで「主体性」を育むのがいいかなと思っています。 
また、うちは研修後にすぐに客先に派遣に出されるので、いつまでも自分たちの手元にいる子達じゃないんですよね。なので、派遣先で「主体性」がないと自分たちで考えながら相手の意図を汲み取って動いてもらわないと厳しいというのがありますね。

2:6:2の法則

2:6:2の法則とは「働きアリの法則」とも呼ばれ、組織内において「上から2割の者が全体の数字の大部分を担っており、6割は普通、下の2割はあまり働かない」と言われています。

なぜ「主体性」が必要かというところで社会情勢を考えた時に、日本は少子高齢化社会で労働人口が減少していて、10年前にあった仕事が今は半分しかなくて、しかもAIが台頭してきて私たちが今やっている仕事が今後も続いているかもわからなくて不透明な時代になってきています。 
AIにいつかは能力は取って代わられちゃいますが、だからこそ今AIに出来ない仕事を自社や他社のそれぞれの人が「主体性」を持ってやることが今後を生きる上で必要なんじゃないのかなと思いました。
今後の未来を見据えて、世の中のことを考えて、また組織の未来まで考えての話ですね。
正直会社が終身で面倒を見れるわけじゃないので、「主体性」を持ってやっていかないと。パラサイトされると、会社も個人も終わってしまうなと思いますね。 
うちの業界は店舗営業が今後は減ってきて、無店舗が増えていくと言われています。例えば、「主体性」がない人は、その後他の現場に移動できなくなっちゃうと思うんですよね。配置転換してもどこでもやっていけるようにしないと、そこから動けないと給料が下がるとかになっちゃうなと思いました。
先行き不透明な世の中なので、ある変化が起きるとそれに対応できなくなっちゃうんですよね。どんな変化があっても対応できるように土台の根っこの部分を作ってあげるのが先輩の役割なのかなと思っています。
ちょっとアンチテーゼのような疑問をあえて投げかけますが、そこまで考えてあげる必要はなんだと思いますか?
ミレニアル世代が会社を辞める一番の理由が、「自分が成長実感を感じられない」と思っているらしくて。 
彼らは今後80年間働く世代だと思うと、辞めたとしてもまた会社に帰ってくる可能性が高い世代だと思うんですよね。そう思うと、育てる必要があると思います。
「主体性」ってそれぞれの職種や会社で求めるものが違うので定義づけは異なると思います。一方でそもそも「主体性」が必要かどうかと考えると、必要だと思います。創意工夫とか、自分で仕事に取り組まないと仕事が広がらない。 
でも、例えば人を巻き込む力とか、それは「主体性」の要素が異なると思うんですよね。「主体性」の要素は職種や会社によって定義づけしたらいいんじゃないですかね。
今日のお話を聞いていて、どういう仕事においても「主体性」は必要なんじゃないかなということが見えてきましたね。今目の前にある課題に対処することだけでなく、そもそも今後日本や世界の働き方を考えた時、またその人の幸せを考えた時にも必要なのかなと思いました。 
最後にみなさんには新たな問いを持って帰ってほしいと思います。 
みなさんはどういう思いで「主体性」を伝えたいと思いますか? 
自分のチームや新入社員等に対して、どういう思いで「主体性」について伝えたいと思うのか考えて頂けるとより深いところまで理解が広がるかと思いました。

    

 
 
以上(ダイアログ参加メンバー 8名 50分間)
 
 

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