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OJTを実施しても、手応えが感じられない…その理由と対策は?

  • 育成・OJT

コラム :部下育成・OJTについて


「社員の育成」を実践する際に、多くの企業でその中心に置くのが「OJT」(On-the-Job Training)です。  

業務に携わりながら、上司・先輩からの指導やその際に得られる経験をもとに、社員が業務スキルやスタンスを高めていくOJTを、「実施していない」という企業は殆どいないでしょう。  

アーティエンスが毎年実施する「新入社員 秋の意識調査アンケート」では、新入社員自身の成長要因として「上司・先輩からの丁寧な指導」を挙げる方が圧倒的に多く、このことからもいかに多くの企業でOJTの行為が浸透されているかが伺えます。

    

参考:「入社して半年が経ち、あなた自身は何によって成長できたと思いますか」アンケート結果

これだけ浸透しているOJTですが、一方で組織の現場では以下のような声も、最近多く挙がるようになりました。

  


「指導する人材が不足している」 
「OJTを担当するトレーナーによって品質が大きく変わってしまう」 
「育成しても、新人がすぐに辞めてしまう」 
「OJTのトレーニングを行う時間を持てない」 

アーティエンスが企業の人事・育成担当の方々とお話をさせていただく際も、これら課題を聴くことは年々増えてきているように感じています。なぜ、このような傾向が顕れるようになったのでしょうか。

    

1)OJTを実施しても、手応えが感じられない…その理由とは?

なぜ、OJTがうまく行かないケースが増えてきているのか。──その理由は、大きく以下の3点が挙げられます。

  

「トレーナー側の育成・指導スキル」の課題 
市場や組織の変化への対応レベルの高まり、またそれに伴う業務の複雑化に伴い、トレーナーは育成・指導の行為に対して以前よりも高いスキルが求められるようになってきている  

「業務と育成の【時間軸】のギャップ」の課題 
現在多くの事業・業務において短期的な成果・成長が求められる傾向が強まっているが、反面人材育成は中長期的な視点・時間軸が求められており、その時間軸のギャップを埋めるのが年々難しくなってきている  

「学んだ技術・経験の半恒久的な効果の低減」の課題 
終身雇用制の崩壊、組織内の異動やジョブローテーション活性等に伴い、若手社員は今学んでいる技術・スキルが「将来的に(ずっと)役立つ」という認識を持ちにくく、それらがOJTにおける学びの姿勢にも影響を与えている  

上記3つの理由に共通していることは、「以前からすでにあった」課題というよりも「ここ数年における、労働環境や労働条件の変化」から生じた課題だという点です。  

つまり、OJTがうまく行かないという背景には、「現代社会の働き方において、従来のOJTの手法が上手くハマらなくなってきている」といった状況があると言えるでしょう。  

ですが一方では、冒頭で紹介した通り「上司・先輩からの丁寧な指導」を自身の一番の成長理由と考える人は、現在も多くいらっしゃいます。  

かたや「OJTがうまく行かない」という声があり、もう片方では「OJTによって自分は成長できた」という声がある。──ここは、「OJT」というその行為・考え方についてもう少し丁寧に紐解いていく必要がありそうです。  

そこで、続いてはOJTの全容をより把握しやすくするために、「OJTのメリット・デメリット」について見ていきましょう。

    

2)OJTのメリットとデメリット

OJTのメリット

はじめに、OJTのメリットについて見ていきましょう。特に押さえておきたいポイントは、以下の3点です。

  


低コストで現場への対応力が早く身につく 
トレーナー(指導者)も成長できる 
社員同士の人間関係やチームビルディングの構築に役立つ 

一つ目の「低コストで現場への対応力が早く身につく」について、OJTを行う理由としてこの点を挙げる人は非常に多いでしょう。  

専門的な技術や、その業務に携わる際のものの考え方について、OJTの「経験しながら学ぶ」スタイルは、速度感を持っての習得が可能となります。  

二つ目の「トレーナー(指導者)も成長できる」については、一度でも新人や後輩の育成を担当された方でしたらよくご存じのことでしょう。「教える」という行為は、同時にその人にとって最大の学びに繋がります。つまり、OJTを実施する効果は新人・後輩だけでなくトレーナー・育成側にも顕れるということですね。  

そして三つ目の「社員同士の人間関係やチームビルディングの構築に役立つ」について。  

新人や後輩が「頼りがいのあるチームメンバー」として活躍するかどうかは、その前段にあるOJTにかかっているといっても過言ではありません。  

また、OJT期間を共に過ごす新人・若手とトレーナー(指導者)の間には強力な信頼関係が育まれることが少なくありません。その関係性は、今後のチームワーク・チームビルディングの構築に大きく役立てられることでしょう。

    

OJTのデメリット

続いては、OJTのデメリットについても見ていきます。 
以下に挙げた「OJTのデメリット」3点について、前述の「OJTのメリット」と対比しながら確認していかれると良いでしょう。

  


トレーナー(育成者)の業務負担が大きくなる 
体系的な指導がしづらい 
OJTだけで、その人に必要なスキル・スタンスすべてが得られるとは限らない 

「OJTのデメリットとは何か」の問いに対して、最も多くの方から挙がってくるのが上記3点の1つ目、「トレーナー(育成者)の業務負担が大きくなる」点です。  

日常業務や自身の数値目標を維持したまま、OJTの指導役にも立っているトレーナー(育成者)は少なくありません。トレーナー(育成者)側の業務負担が大きくなれば、当然日々の業務パフォーマンスは下がりますし、部下育成の行為自体もままならなくなってしまうケースもあるでしょう。  

また、OJTは「業務の経験と共に学ぶ」形を取りますが、その業務経験はイレギュラーな事柄もふんだんに含まれます。つまり、体系的な指導というよりかは、「その時その場に沿った指導」に寄らざるを得なくなることも少なくありません。  

更には、トレーナー(指導者)に携わる上司や先輩社員は、「育成のプロ」とは限りません。トレーナー(指導者)の育成行為自体も、トライ&エラーを重ねながら行われるというのが実情でしょう。  

そして、それら状況が相まって、OJTの指導が、いわば「トレーナー(育成者)と新人・部下の間のブラックボックス」状態になってしまうことも多いのです。  

それでも、結果的に新人・部下がしっかり成長できれば良いのですが、OJTだけでそれが実現できるとは限りません。 
例えば、新人・部下に限らずその組織・チームで新しい技術や考え方を学ぶ必要が生じた際、かつそれらをトレーナー(育成者)がまだ知りえていなかった場合、OJTの仕組み(だけ)で解決することは不可能でしょう。  

つまり、OJTは一般に「以前から培われた知識・経験が役立つ領域」では発揮されやすいのですが、「不確実性の高い領域(上司・先輩にとっても「わからないこと」「知らないこと」が生まれやすい流動性のある分野)」ではその効用が発揮されにくいのです。

    

3)OJTのデメリットをカバーし、メリットを最大限活性する為に

ここまで、OJTのメリット・デメリットについて説明しました。  

続いては、「それらOJTのメリット・デメリットを踏まえたうえで、そのうえでOJTの効用を最大限高めていく為にどうすれば良いか」について、お話していきたいと思います。

    

OJTのデメリットをカバーし、メリットを最大限活性する為の3つのポイント


OJTを「育成のすべて」としないこと 
中長期的に取り組める「仕組み」を用意すること 
新人・部下とトレーナー(育成者)が「ともにいる時間」、そして「対話」の時間を多く持つこと 

それぞれ、順を追って見ていきましょう。

    

OJTを「育成のすべて」としないこと

冒頭で、「多くの企業が、社員の育成を実践する際に『OJT』を中心に据えている」とお話しました。 
ですが、ここまでの内容でお伝えした通り、「OJTを行えば育成が必ずうまく行く」とは限りません。  

つまり、OJTを「育成のすべて」とせずに、OJT以外の育成の仕組みも活性させていくべきなのです。  

OJT以外の仕組みで特に意識しておきたいのが、Off-JT(Off-the-Job Training)と、そして比較的新しい概念として注目を集めているOCT(On-the-Chance-Training)です。

    

Off-JT(Off-the-Job Training)とは

Off-JT(Off-the-Job Training)とは、業務を離れてのトレーニング──研修や自己啓発(自己学習)が含まれます。  

研修は業務に必要なスキル・スタンスを体系的に学べ、更には日々の業務の振り返り(内省)の機会としても有効です。また、自己啓発(自己学習)は新たな知識・情報を得る機会となり、日々の業務で得た気づきや見解を更に深めたり広げていくことに役立てられるでしょう。

    

OCT(On-the-Chance-Training)とは

OCT(On-the-Chance-Training)とは、「新しいチャレンジの機会を経て学ぶこと」です。  

いわば、OJTやOff-JTで得た学びを「実践」する場を提供するということですね。 
ここで言う「新しいチャレンジ」とは、トレーナーや上司が「すでに知っている」ことや「持っている答え」を実行させることではなく、まだ明確な答えのない領域に向けて行動することを指します。  

そこで得られる経験は、当事者(新人・部下)の貴重な経験になるだけでなく、組織・チームにとっての新たな知見にも繋がっていくことでしょう。そして、それは当事者たちの大きな「やりがい」「意義」にも発展されやすくなります。

    

多くの企業が取っている「OJTを育成の中心とする」仕組みは間違いではありませんが、ポイントは「OJTを育成のすべてとしない」ことです。  

OJTと併せて、上記のOff-JTとOCTとで育成体制をうまく組み込むことにより、対象者の成長や成果を高めていくだけでなく、やりがいや、チーム力や組織力の促進も活性していくことでしょう。

    

中長期的に取り組める「仕組み」を用意すること

前にも述べましたが、育成は「長期的な観点」をもって臨んでいくものです。  

例えば、ひとりの新入社員のOJT期間については(業界や業務内容にも拠りますが)半年~1年の期間をもって接していくのが望ましいでしょう。 
そして、一人の社員の育成はOJT期間を過ぎた後も継続します。それら中長期的な期間において、現場のトレーナー(育成者)だけで担うのはさすがに無理が強いでしょう。  

要は、育成は現場スタッフだけでなく、組織・チームとして関わっていくべきなのです。例えば育成の目標設定から育成スケジュール、そして日々の振り返りを行う定期的な面談──。これらアクションを組織・チーム単位で、かつ中長期的な視点をもって行っていける「仕組み」が、育成に求められます。

    

新人・部下とトレーナー(育成者)が「ともにいる時間」、そして「対話」の時間を多く持つこと

「OJTのデメリットをカバーし、メリットを最大限活性する」為のポイントとして最後に挙げるのは、「新人・部下とトレーナー(育成者)が『ともにいる時間』、そして『対話』の時間を多く持つ」ことです。  

近年では「リモートワーク」はじめ、メンバー同士場所を離れた状態でのチーム活動も盛んになってきています。ですが、少なくともOJTにおける育成においては、トレーナー(育成者)と新人・後輩は「同じ場をともする」ことが欠かせないでしょう。  

なぜなら、トレーナー(育成者)は、新人・後輩を観ている(観察する)時間を多く持てば持てるほど、その人に合った適切な指導やフィードバックができるようになるからです。  

つまり、「同じ場をともにする」ことは、「経過する時間」ではなく「蓄積される時間」になりうるのです。 
その蓄積された時間は、OJTを行う際の「前向きなエネルギー」になっていくことでしょう。  

そして、トレーナー(育成者)は、新人・後輩との「対話」の機会を多く持つこと。 
対話は、話し合うテーマについての思考・見解を深めるだけではなく、互いの相互理解・信頼関係を高めていくことにも繋がります。  

また、新人・後輩が持つ考えや新たな気付きは、必ずしも先輩社員の「後追い」とは限りません。そこには、私たちのまだ知りえなかった視点やものの考え方も多分に含まれているものです。それらにきちんと光を充てていくことで、トレーナー(指導者)の成長にも繋がっていくことでしょう。

    

まとめ) OJTの効果を高めていく為に

ここまでお読みになられて、いかがでしたでしょうか。  

現在、トレーナー(育成者)の立場となっている方々は、「OJTはやっぱり難しい」「自分一人では、(組織やチームの協力がないと)なかなか進められない」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。  

そう感じられた方は、まずは前章で紹介した「(新人・後輩と)ともに過ごす時間」を多く取ることから始めてみることをお薦めします。「そんなことはとうにやっている」という方は、続いて「対話の機会をもつこと」、更には「Off-JTやOCTの機会を提供すること」を意識されると良いでしょう。  

また、人事部門・育成体制の企画運用をされている方は、OJTだけでなく、Off-JT、そしてOCTを含めての中長期的な育成プランについて、一度検討されると良いかもしれません。 
もし、「具体的なプラン出しについて相談したい」という場合は、是非以下までお問い合わせください。  

皆様の日々の業務において、この記事の内容が少しでもお役立てできることを、心より願っております。

    


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