- [ コラム ]
【事例あり】受け身姿勢を打破し、共創意識を育てる巻き込み力研修
- 「うちの若手社員は、周囲を巻き込む力が弱い」「何でもかんでも一人で抱え込んでしまう。もっと巻き込み力があれば…」「言われたことしかしない。御用聞きになる。巻き込み力を養ってほしい」このようなお話を、人事・経営者の方や現場管理職の方々からよく
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本内容は、2025年6月19日に開催された「仕事と自己成長をつなぐ研修」の公開講座研修レポートです。受講内容や、受講前と後の変化などをレポートとしてまとめていますので、ぜひご覧ください。
目次
新入社員と組織との関係性を高め、リアリティショックの軽減を図ることを目的としています。「日々の仕事の積み重ね」が自身の目指すキャリアや成果へとつながることを理解し、社会人として今感じている「ギャップ」を埋めていきます。
今活躍している既存社員も、これまでの仕事においては課題や困難があったことを理解します。また、活躍することでより多くの価値発揮ができることを理解します。
成功や成長のためには、今目の前の仕事をしっかりとやり抜く必要があることを理解します。目の前の仕事の捉え方を変えてきます。
入社前に抱いていた理想と、現実とのギャップ(仕事内容・既存社員の様子・他者からの評価・人間関係)について整理し、乗り越えるためのプランを考えます。
研修の始めと終わりに、「今日の研修で期待すること」や、「気づき・感想」などを話す時間を設けています。研修の初めと終わりの中で出てきたコメントから、変化を感じることができます。
・配属されたんですが、結構大変なことが多いなって感じ…
・研修期間ということもあると思うけど今は楽しくて充実している
・配属先が気になる…。勉強する時間がほしいなと思う
・いつも遠くまで通っているので、今日はゆとりを持って用意できて嬉しい気分
・同期と久しぶりに会えて嬉しい。みんながどんな仕事をしているのか気になる
・自分が期待していたことと、現実にネガティブな差があった時、どう向き合っていくかで、自分が期待するものを得られるかどうかに繋がるという見方に変わった
・自分が歩んでいく道だからこそ、望む結果までの辛さや壁に諦めずに向き合いたい
・仕事と自己成長をつなげるために自らアクションをおこす重要性を改めて理解できた。具体的な行動指針をだせたので、仕事に活かしたい。
・言われたからやるのではなく自分から積極的に動くことのできる人になりたい
・仕事をしている時の感情を把握することの大切さを学んだ。感情を客観的に理解することで自分の仕事に対する解像度が上がり、成果に繋がると思った
研修の事前ワークとして、自社の若手社員の先輩に対してインタビューを行っていただきました。その中で得られた気づきや、言葉にしづらいモヤモヤ、不安などを、グループで率直に共有していただきました。
▼対話の中で出てきたコメント
・自分がすごいと思っている先輩も、最初は緊張していたと聞いて安心した
・自分で考えて、先輩を信用しすぎずに仕事をすることも大事かもしれないなと思った
・自分なりの仕事の進め方を早く見つけたい
・一人で進めて解決しがちなので、アドバイスを聞いたほうがいいかなって思った
・先輩のようになれるのか不安でしかない
対話を通じて、お互いの悩みに共感したり、自分にはなかった視点に気づいたりすることができていました。
当社の新入社員研修では、新入社員のインサイドアウト(新入社員の内側からの変容)を促し、研修に主体的に取り組んでもらうためのきっかけとしてワールドカフェを行います。
※ワールド・カフェとは、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、少人数に分かれたテーブルで自由な対話を行う対話手法の一つです。
ワールド・カフェでは、社会人になってからの約2ヶ月をテーマに、嬉しかったこと・モヤモヤしていること・取り組んだこと・取り組めなかったこと…等、様々な切り口で振り返り、対話を重ねていきました。
▼ワールド・カフェの様子
▼アウトプットの一部
▼ワールド・カフェの中で出てきたコメントの一部
・新入社員のうちは、仕事の成果よりコミュニケーションが大事なのかもしれない。成果は少しずつでいいのかも
・人間関係の問題は一番難しいけれど、一番重要だと感じる
・入社前に想像していた働き方とのギャップにまだ慣れない
・「ミスの連絡かも」と思うと、チャットの通知音が怖く感じてしまう
・報連相のタイミングが難しくて戸惑う
・中間層の社員がいないため、気軽に相談できる相手がいない
・自分で自分の機嫌を取ることも大切にしたい
・説得力のある話し方を身につけなければと思った
・配属されてからのほうが、仕事が楽しいと感じている
・環境や人間関係によって、自分のパフォーマンスが変わる。どう適応していくかが課題
・「仕事を楽しむにはどうしたらいいか」を考えたい
・報連相や日々のコミュニケーションの大切さに気づいた。それが上司との信頼関係にもつながると思う
ワールド・カフェを通じて、受講生たちは自身の悩みや違和感を言語化し、お互いに共感し合うことで、「コミュニケーションの大切さ」や「自分らしい働き方への模索」など、内側からの変化の兆しをつかんでいました。
事前講義では、「リアリティショック」について理解を深めました。
リアリティショックとは、理想と現実のギャップに衝撃を受けることを指します。たとえば、自分が思い描いていた仕事のイメージと、実際の仕事内容や人間関係にズレがあると、不安感や喪失感、さらには諦めの気持ちを抱いてしまうことがあります。
一般的にはリアリティショックは4種類に分類されますが、アーティエンスでは「ワークライフバランス」も重要な要素と捉え、以下の5種類として整理しています。
※仕事と自己成長をつなぐ研修テキストより抜粋
5種類について解説したうえで、自分自身が今どのようなリアリティショックを感じているのか、丁寧に振り返っていきました。その後、全体で対話を行っていきました。
▼本ワークの中で出てきたコメント
・通勤時間は学生時代と同じくらいなので問題ないと思っていたが、今は激混みで座れず、想像以上にしんどいと感じた
・独自性を求められる一方で、ルールや規定書に縛られ、自由に発揮できないことに違和感がある
・自分のやりたいことをやることが、人生の充実感やワークライフバランスにつながると気づき、自分にとっての優先順位が見えた
・思ったより心配しすぎなくても大丈夫だったと感じた
・他者と話す中で、自分が重要だと思っていたことが必ずしもそうではないかもしれないと気づき、認知が広がった
ワールド・カフェを通じて、受講生たちは日々の違和感や気づきを言葉にし合う中で、自分の価値観や優先順位を見つめ直し、他者の視点から視野を広げるきっかけを得ていました。
ケーススタディを通じてリアリティショックを客観的に捉える力を養うワークを行いました。
また、新入社員のうちから知っておきたいキャリアの考え方として、東京経済大学コミュニケーション学部准教授小山 健太氏が提唱するスパイラル型キャリア論をご紹介しました。
スパイラル型キャリア論では、リアリティショックを経験した際に、他者とのコミュニケーションを通じて自分の役割認識や価値観を変容させていくという、柔軟で発展的なキャリアのあり方が示されています。
その後、受講者全体で今までの内容に対する気づきや発見、もやもやなどを対話しました。
▼本ワークの中で出てきたコメント
・頑張ろうとしてもうまくいかず、つい消極的対応になってしまいそう。そこからどうやって抜け出せばいいのか悩んでいる
・消極的に言われたことをこなすのも、必ずしも悪いことではないと思う。でも、そればかりだと人生がつまらなくなる気がする
・今の状況を型にはめて客観的に見れたのは良かった。営業部に入れて嬉しかったはずなのに、気づけば今、消極的適応になってしまっていた。どうやったら今の状態から積極的適応に移れるのかを考えたい。そのために今お世話になっているメンターだけでなく、他の人にも話を聞いてみたいなと思った
・消極的適応と積極的適応では、将来選べる選択肢の幅が変わってくると思う
・壁にぶつかったとき、みんながどう行動しているのかをもっと聞いてみたい
・壁にぶつかったときは、余裕がない時だと思うので、まず余裕を作ることが必要だと思う。忙しい中でも、業務を効率的に進めて少しでも余白をつくり、そのうえで周りに相談しながら、「頑張りたい」という思いを伝えて巻き込んでいくといいのではないか
受講生たちは自分の今の状態を客観的に見つめ直し、「どうすれば前向きに適応できるか」を考え始めていました。周囲との対話を通じて、自ら変化のきっかけをつかもうとする姿勢が見え始めています。
ここまでのワークを踏まえ、受講生それぞれが「今、自分が深めたいテーマや課題」について考え、対話をさらに深めていくためにOST(※)の手法を使って、対話をさらに深めていきました。
※今回のOSTは、本来のベーシックなやり方ではなく簡易版で実施しています。
OSTとは数人から数百人全員が一堂に会して話し合い、人々のコミットメントを引き出し、主体的な話し合いを通して垣根を超えた問題解決への取り組みを促すファシリテーションのプロセスで、ハリソン・オーエン(Harrison Owen)氏が1985年に提唱しました。
最終的には8グループに分かれて、アウトプットが作成されました。グループごとに発表してもらった上で、問いを投げてさらなる探求を促しています。
【講師コメント・問い】
考えてもらったことを実行に移していくことで、上司との関係性も深まり、きっと素晴らしいアウトプットにつながっていくと思いました。
そしてさらに信頼関係を築くフェーズに進むためには、上司が「この人に頼りたい」と感じる存在になることが大切です。
より対等なパートナーとして関係を築いていくためには、どんな関わり方ができると良いのか――そこに目を向けてみると、新たな行動のヒントが見えてくるかもしれません。
【講師コメント・問い】
具体的で実行しやすい内容になっていると思いました。
人はお互いに関わることで、良い影響も悪い影響も受け合います。その相互作用は一対一にとどまらず、周囲にも波のように広がっていきます。
だからこそ、周囲への影響にも少し意識を向けてみることで、自分自身の成長のスピードや質も大きく変わってくるはずです。
【講師コメント・問い】
仲間をつくる最初の一歩は、とても大切なことです。
ポジティブな気持ちで「仲良くなりたい」と思える相手との関係づくりはもちろんですが、ネガティブな感情を抱いている人と、どう関係性を築いていくかについても、少し考えてみてもらえると良いと思います。
また、自分が仲良くなりたいと思っていても、相手から拒絶されることもあるかもしれません。そうした可能性についても視野に入れておくことで、より柔軟で豊かな人間関係が築けると思います。
【講師コメント・問い】
「ありたい姿」があまりにも高すぎると、かえって落ち込みやすくなってしまうこともあるので、今の自分より“ちょっと先”の110%くらいを目指すのはちょうどいいですね。
「現在の自分」と「ありたい姿」との間に生まれるギャップが、成長や行動への前向きなエネルギーを生み出しやすいです。
人が成長するのは、夢中で没頭しているとき、あるいは修羅場に立たされたときです。
だからこそ、修羅場のような状況に直面したときに、自分がどう適応していくかを日頃から考えておくことが、より深い成長につながっていくと思います。
【講師コメント・問い】
「真面目に働くこと」と「お金を得ること」は確かにつながっていますが、それだけではなく、もっといろいろな意味や価値ともつながっているのではないかと思います。
だからこそ、ただ頑張るだけではなく、しんどくなるタイミングがあることも前提にしながら、自分にとって無理のないスタイルを模索していくことが大切です。そうすることで、働き方の幅が広がり、自分らしく働くヒントが見えてくるのではないかと思います。
【講師コメント・問い】
ワークライフバランスは「バランス」と言われる通り、実はとても繊細で崩れやすいものです。そのバランスが崩れてしまうのは、どんなときでしょうか?
例えば、仕事が立て込んでプライベートの時間が取れなくなったり、逆に私生活の悩みが仕事に影響したり――そんなときに崩れがちです。
だからこそ、自分にとってのバランスがどこにあるのか、そして崩れそうになったときにどう対応するかを考えておくと、より健やかに働き続けるヒントになるはずです。
【講師コメント・問い】
「Do(何をするか)」で考えることは、とても素晴らしい視点です。そのDoを見つけるヒントとして、モチベーションの源泉についてご紹介します。
モチベーションの源泉は主に以下の5つがあると言われており、人によってその割合は異なります。
1、欲求(安定や報酬)
2、達成(目標を成し遂げること)
3、没頭(夢中になれること)
4、人間関係(信頼やつながり)
5、意義(意味や社会への貢献)
自分はどの要素に強く動かされているのか――その“割合”を考えてみることで、自然とDoが見つかりやすくなるかもしれません。
さらに、成人発達理論では「Be(どう在りたいか)」と「Do(何をするか)」の両方を意識することが重要だとされています。
この2つを分けて考えることで、自分の行動がより具体的に、そして納得感を持って選び取れるようになっていきます。
◆テーマ:マイナスをプラスに
※口頭発表
だからこそ、前向きに意味づける前に、一度「マイナスを味わい尽くす」ことが大切だと言われています。「マイナスを味わい尽くす」とは、どういうことなのか?を考えてみてもらうと、前向きな意味づけがしやすくなるかもしれません。
アーティエンスの「仕事と自己成長をつなぐ研修」では、新入社員の皆さんが入社後に直面するリアリティショック(理想と現実のギャップ)を客観的に捉え、今の仕事と将来のキャリアをどう結びつけていくかをじっくりと考えていただきました。
仕事は人生のすべてではありませんが、どう捉え、どう向き合うかによって、人生そのものの充実度や方向性は大きく変わります。そして皆さんの「あり方」は、周囲や自身の人生に大きな影響を与えるものです。
大切なのは、会社をうまく活用しながら、しっかりと貢献すること。一方通行ではなく、双方向の関係性を築くことが、自分らしい成長にもつながります。
キャリアは思い描いた通りにいかないこともあります。だからこそ、「今、自分はどうありたいか」を柔軟に見つめ直し、その時々の状況に応じて、自分の“ありたい姿”を調整していく力が大切です。そうした積み重ねが、やがて皆さんが本当に求めている姿に近づく道になります。
ぜひ、定期的に振り返りを行い、自分自身の「あり方」を問い直す時間を大切にしていってください。
※本研修のご案内資料は、下記よりダウンロードいただけます。研修の詳細について詳しく説明しておりますので、ぜひダウンロードください。
今後も、新入社員がその時期によって持つ悩みに即した研修を提供していますので、よければご利用くださいませ。新入社員を対象とした公開講座スケジュールはこちらから確認いただけます。