【例文&テンプレ付】どんな研修を受けたいか?本音を引き出すアンケート

「社員の声を拾いたいのに、本音がまったく見えてこない…」
「“普通”“役に立った”ばかりで、結局何が必要か分からない」
「自由記述は空欄ばかりで手がかりがない」

――そんな“もやもやアンケート”に、心当たりのある方も多いのではないでしょうか?

実際、アンケートは一歩間違えると“形だけの儀式”になり、研修企画の方向性をかえって見失わせてしまうことがあります。

しかしその原因の多くは、「実施そのもの」ではなく、設問のつくり方や伝え方の工夫が足りていないことにあります。

本コラムでは、「どんな研修を受けたいかアンケート」の設計ステップと、対象者別の具体的な設問例をご紹介します。
さらに、ありがちな失敗パターンを3つに整理し、“意味あるアンケート”に変えるための改善ポイントもあわせて解説します。

本来、アンケートは、現場のリアルな声と人事の意図をつなぐ、最もシンプルで強力なツールです。
「なんとなく聞くアンケート」から脱却し、現場・社員・経営、すべての納得を得られる研修企画を目指しましょう。

執筆者プロフィール
山下 絢加
2013年にアーティエンスに入社。組織開発・人材育成のコンサルタントとして、大手企業から中小企業まで、幅広く研修プログラムの企画・開発・運営を実施。現在は主にマーケティングプランニングを担当。
X:@yama_atc youtube:中小企業の人材育成・組織変革 専門チャンネル

専門性:新入社員若手社員組織開発・組織変革

1)「どんな研修を受けたいかアンケート」設計の基本ステップ

現場の声を的確に拾い上げ、戦略的に研修企画へとつなげていくためのアンケート設計ステップを5段階で解説します。

ステップ1:目的の明確化(なぜ聞くのか)
ステップ2:対象の設定(誰に聞くのか)
ステップ3:設問の作成(何を聞くのか)
ステップ4:実施と回収(どう届けるか)
ステップ5:分析と活用(どう活かすか)

ステップ1:目的の明確化(なぜ聞くのか)

アンケートの目的は、「社員の声を見える化し、それを会社の戦略とつなぐこと」です。

研修は単なる“学びの場”ではなく、事業成長を支える戦略的な投資です。そのためには、社員一人ひとりの課題や成長意欲を、経営視点と接続させる必要があります。その起点となるのが、目的を意識したアンケートです。

たとえば「ミドル層のマネジメント強化」が戦略課題だとします。その場合、「部下との関わりで難しさを感じることは?」というような設問を通じて、社員自身のリアルな声を拾うことで、戦略に沿ったテーマを構築できます。

アンケートの目的は「情報収集」ではなく、「戦略と現場をつなぐ設計ツール」として使うことと捉えることで、研修は“意味ある投資”へと変わります。

ステップ2:対象の設定(誰に聞くのか)

アンケートの効果を最大化するためには、「誰に聞くのか」を明確にし、対象ごとに目的を分けて設計することが重要です。

対象を曖昧にしたまま実施すると、得られた情報が漠然としすぎて、具体的な研修テーマや施策に落とし込みづらくなります。
社員全体に一斉配布する場合でも、「どの視点の意見が欲しいのか」を明確にしておくことで、設問設計にもブレがなくなります。

たとえば、研修の目的が「若手社員の定着」だとしても、聞く相手によって得られる視点が異なります。若手社員本人に聞けば“本音や悩み”が、上司に聞けば“期待や評価視点”が得られます。このように、誰に何を聞くかは、目的に応じて設計しなければなりません。

このように、研修の目的に応じて誰に聞くべきかを判断することで、設計が的確になり、より“現場に刺さる研修”が実現できます。

ステップ3:設問の作成(何を聞くのか)

良いアンケートは「何を聞くか」で決まります。目的に直結する情報を引き出すために、設問の設計は慎重に行いましょう。

曖昧な設問や「なんとなくの要望」を集めるだけの質問では、得られる回答も抽象的で、研修企画に活かすのが難しくなります。また、選択式ばかりだと意図が読めず、自由記述ばかりでは集計や分析に手間がかかります。
目的に沿って「何を知りたいか」を言語化し、それに最適な形式(選択 or 記述)を選ぶことが重要です。

たとえば「社員の自律的な成長意欲を知りたい」場合、次のようなバランスが効果的です。

選択式:「今後1年間で身につけたいスキルを選んでください(複数選択可)」
自由記述:「今の業務で“もっと上手くできるようになりたい”と感じることはありますか?」

このように、“選ぶ”設問で全体傾向を把握し、“書く”設問で個別の背景や本音を引き出す設計が効果的です。

設問設計では「問いの意図」と「回答の形式」をセットで考えましょう。聞く内容が整理されていれば、アンケートは“情報収集”にとどまらず、“気づきを促す対話の場”になります。

ステップ4:実施と回収(どう届けるか)

アンケートは設計と同じくらい、「どのように届け、どう回収するか」が重要です。丁寧な運用設計によって、回答率と回答の質は大きく変わります

よくある失敗の一つが、「とりあえずメールで一斉送信」→「期限直前までほとんど回答なし」という流れです。これは、“なぜ聞くのか”が伝わっておらず、現場にとっての意味が感じられていないからです。
目的や背景が共有されないまま配信されると、義務感だけで形式的に答えるものになってしまい、活用しづらい内容になりがちです。

アンケートの最適な実施タイミングは、研修企画の初期段階です。
まだテーマや内容を固めきっていない時期であれば、集めた声を素直に設計へ反映しやすく、結果として“現場に刺さる研修”へとつながるためです。

ただし、タイミングが早すぎても遅すぎても効果は半減してしまいます。

そこでおすすめなのが、仮のテーマや方向性をある程度もった状態でアンケートを実施することです。

たとえば「マネジメント強化」「若手のエンゲージメント向上」など、ざっくりとしたテーマを提示した上で、「その中でもどこに課題を感じるか?」を尋ねると、回答者もイメージしやすくなり、内容のある声を引き出すことができます。

このように“たたき台を出してから対話する”スタンスが、より深い意見を得るためのポイントです。

次に回収率を高める5つの工夫を紹介します。

回収率を高める工夫①:メッセージを伝える

アンケートを実施の意図や、心理的ハードルを下げる言葉を伝えることで、回答しやすくなります。

冒頭に一言メッセージ
「このアンケートは、みなさんの声をもとに“本当に役立つ研修”を作るためのものです」など、目的と意義を伝える。

上司からの一言添え
「部下の成長につながる大事な機会なので、ぜひ本音で書いてください」といったメッセージで心理的ハードルを下げる。

回答時間の目安を明示
「3分程度で終わります」と明示すると、取りかかる心理的負担を軽減できます。

回収率を高める工夫②:ツールを使い分ける

PCが主流の職場ならGoogleフォーム紙やスマホ中心の現場職ならExcelやQR付き紙面など、回答しやすい手段を選びましょう。

回収率を高める工夫③:適切な設問量に収める

アンケート回答時間の目安は「3〜5分以内」です。
アンケートを実施する際は、回答時間が短すぎても長すぎても離脱の原因になります。

設問数で言えば、5〜7問程度が目安となります。
うち3〜4問を選択式にし、2〜3問に自由記述を入れると、バランス良く「全体傾向」と「個別の声」を収集できます。

回収率を高める工夫④:適切な回答期間を設ける

アンケートの回答期間は、原則として「1週間程度」が最も効果的です。

これは、業務の繁閑や対象者の勤務形態を考慮しつつも、回答率と回答内容の質のバランスを保つためにちょうど良い期間とされています。

期間が短すぎると、回答の機会を逃す人が出やすくなります。特に、出張やシフト勤務がある職場では、3日以内では回答が難しいケースも少なくありません。

反対に、長すぎると“あとで答えよう”と後回しにされやすく、回答率が下がったり、締切間際に集中して内容が薄くなるといった事態も起こりがちです。

したがって、基本は1週間、状況に応じて最短で3日・最長で10日以内で調整するのが現実的です。

回収率を高める工夫⑤:配布後にフォローする

アンケートの効果を最大化するには、「配布後のフォローアップ」も重要です。
以下のように、実施期間中に3ステップのリマインドを設けると回答率が安定しやすくなります。

初日(配布時)
「アンケートの目的」「所要時間(3〜5分程度)」「回答期限」をしっかり伝え、安心感と納得感を持ってもらうことが大切です。

中間日(3〜4日目)
進捗が見えない期間に「まだの方はご協力をお願いします」と一言フォローを入れると、回答の後押しになります。

締切前日〜当日
「明日が締切です!」「皆さまの声をもとに研修を企画します」など、意義を再度伝えるとともに、ラストスパートを促しましょう。

そのまま使える!具体的な社内案内メール文はこちら>

「聞く側の都合」でなく、「答える側の環境と気持ち」に配慮して実施することで、一方通行になりがちな研修を、現場とつながる取り組みに変えることができます。

ステップ5:分析と活用(どう活かすか)

アンケートは「取って終わり」ではなく、結果をどう読み取り、研修企画に落とし込むかが最大の勝負どころです。

せっかく集めた声も、“傾向を眺めて終わり”では意味がありません。回答をどう整理・分類し、自社の戦略や現場の課題とどうつなぐかによって、研修の質も、社内からの評価も大きく変わります。

たとえば、自由記述の回答を読んで「コミュニケーション力をもっと高めたい」という声が複数あったとします。それを単に「希望あり」とまとめるだけでは不十分です。

・誰が言っているか(職種・階層)
・どんな背景や状況があるか(困っている状況)
・何を“望んで”いるのか(スキル?態度?関係性?)

こうした要素を整理することで、「若手層に必要な伝える力」「中堅層に必要な巻き込み力」など、より具体的な研修テーマに変換できます。あわせて、上司の声から「どんな実践行動を期待しているか」も抽出すれば、研修後のフォロー設計にもつながります。

アンケート結果を“答え”として扱うのではなく、“手がかり”として読み解くことが、現場に刺さる研修設計の決め手です。そのプロセスを丁寧に行えば、経営層にも納得される「戦略的研修計画」が形になります。


誰に・何を・どう聞き・どう届け・どう活かすかの判断が、研修の質と現場での定着を大きく左右します。

2)対象者別|アンケート設問例と活用のヒント

設問設計のポイントと、現場で使える設問例を対象者別に紹介します。

2-1. 社員全員向けアンケート

全社員向けのアンケートは、組織全体の傾向や空気感を把握するために有効です。

社員一人ひとりの関心や成長意欲の傾向を把握しておくことで、「全社的に支援すべき育成テーマ」や「部門別の温度差」などが見えてきます
戦略的な投資対象を見極めるうえでも、全体傾向の可視化は欠かせません。

【設問例】

・今後1年間で強化したいスキル・知識を教えてください(選択式:複数選択可)

・日常業務の中で「もっとできるようになりたい」と感じる場面はありますか?(自由記述)

・学び直し(リスキリング)に対する興味・関心はどの程度ありますか?(選択式:5段階評価)

・過去の社内研修で「特に役立った」と感じたテーマがあれば教えてください(自由記述)

・会社から提供される研修に対する期待度を教えてください(選択式:高い/普通/低い)

「全体の声」を可視化することで、組織として何に注力すべきかの方針が見え、戦略的な研修設計の出発点になります。

2-2. 受講者本人向けアンケート(部署・階層別)

研修を受ける“本人のリアルな声”を聞くことで、より当事者意識のある企画が可能になります。

受講者本人にとって、自分の業務やキャリアと結びついていない研修は「やらされ感」になりがちです。一方で、自分の課題や関心が反映されていると感じられれば、研修への前向きな参加と実践につながります。
そのためには、課題や希望を言語化しやすい設問設計が欠かせません。

【設問例】

・最近「もっと上手くやれたら」と感じた仕事や場面を教えてください(自由記述)

・この1年で特に力を入れたいテーマを選んでください(選択式:複数選択可)

・あなたが感じている「今後の成長のための壁」は何ですか?(自由記述)

・今後のキャリアを考える上で、不安に思っていることを教えてください(自由記述)

・自分の強みをもっと活かせそうと感じる業務・テーマがあれば教えてください(自由記述)

本人の言葉で引き出した“内側のニーズ”こそが、自発的な学びと実践を生み出す起点になります。

2-3. 受講者の上司(現場の管理職)向けアンケート

上司へのアンケートは、研修を「現場と連動した育成のサイクル」にするための鍵です。

研修で学んだことが実践され、定着するには、上司の理解とサポートが欠かせないためです。
上司が「何を期待しているか」「どこにギャップを感じているか」を把握することで、研修が現場の課題とリンクしやすくなり、実効性が高まります
また、上司が育成の方向性を明確にすることで、研修後の1on1やOJTにも自然に活かせるようになります。

【設問例】

・部下に対して「もっと強化してほしい」と感じている力やスキルを教えてください(自由記述)

・最近の部下育成で感じている課題を教えてください(選択式:複数選択可)

・自部門で特に強化したい育成テーマは何ですか?(自由記述)

・過去の研修で「現場で活かせた」と感じたものがあれば教えてください(自由記述)

・研修後にどのような行動変化があれば“効果があった”と感じますか?(自由記述)

上司の声を拾い上げることで、研修は単なる“人事主導のイベント”から、現場と協働で育てる“組織的な育成の仕組み”へと進化します。


対象者が異なれば、研修に対する視点や期待もまったく異なります。
それぞれの立場の声を丁寧にすくい上げることで、研修は「人事が与えるもの」から「組織全体で育てる場」へと進化します。

3)よくある失敗と、“意味あるアンケート”に変える工夫

アンケートは、やり方次第で“形だけの儀式”にもなれば、研修設計の核心的なツールにもなります。重要なのは、現場の信頼を得られる設計と運用を行うことです。

よくある失敗例3つと、その対処法をお伝えします。

よくある失敗①:「やっても意味がない」と思われて回答してくれない

せっかくアンケートを実施しても、「内容が企画に反映されていない」「結果の共有がない」と、社員側に伝わると、次回以降の協力姿勢が一気に薄れます。

「どうせ形だけでしょ」と思われてしまえば、回答も本音から遠ざかり、実用性のあるデータは集まりません。

解決策は、「声がちゃんと届いている」と実感してもらうための共有やフィードバックを丁寧に行うことです。

一人ひとりの意見すべてに応えることは難しくても、「聞いて終わりではない」姿勢を示すことが信頼につながります。

そのための具体的な方法は以下の通りです。

●回答結果を簡潔に社内共有する
全体傾向を数行でまとめ、「特に多かった意見」としてコメントを抜粋するなど

●「いただいた声をもとに◯◯研修を企画しました」など、反映の見える化を行う
声が施策につながったことが伝わると、次回以降の参加意欲も高まります

●拾いきれなかった声も「今後の参考にする」と伝える
すべては反映できないことを正直に伝えたうえで、今後への意志を示すと誠実さが伝わります

そのまま使える!アンケート結果共有の社内報テンプレートはこちら>

このように、「聞いた後にどう伝えるか」までがアンケートの一部と捉えることが大切です。

よくある失敗②:社員の本音が出てこない

アンケートを実施しても、「建前の回答しか集まらない」「自由記述が空欄ばかり」といった悩みはよくあります。

これは、社員が「何をどう答えたらよいのか分からない」「変なことを書いたら評価に影響するのでは」と感じてしまい、安心して本音を出せる設計になっていないことが原因です。

曖昧で抽象的な設問や、回答への不安を与えるような雰囲気では、社員は「無難な回答」で済ませようとし、本当の課題や期待は見えてきません。

解決策は、社員が“自分の言葉で語りたくなる”ような設問設計と、心理的安全性を整えることです。

「本音を聞きたい」と言う前に、本音が引き出せる環境や問い方を整えることが、アンケートの価値を大きく左右します。

そのための具体的な方法は以下の通りです。

●設問の意図を明確にする
「今の業務で“もっと上手くできたらいいのに”と思う場面はありますか?」など、日々の仕事にひもづいた質問は、想起しやすく、書きやすくなります。

●前向きな問い方に変える
「今後どんな力を伸ばしたいですか?」など否定的なニュアンスを避けることで、安心してポジティブな気持ちで回答しやすくなります。

●自由記述には“語れる余白”を用意する
「たとえば◯◯に困っている、△△をもっと学びたい」など、完全に空白の欄より、軽いガイドを添えることで、回答のハードルが下がります。

●「正解がない」というメッセージを添える
「自由に、率直なお考えをお聞かせください。内容に正解・不正解はありません」などの一文で、不安を取り除きます。

●匿名性を担保する(可能な範囲で)
「このアンケートは個別の評価には一切使用しません」と明記することで、安心感が生まれます。

このように、“本音で答えたくなる空気と仕掛け”をつくることこそが、意味あるアンケートの設計ポイントです。

よくある失敗③:アンケートを回収して終わりで活かしきれない

アンケートを実施して回収したものの、「集計したまま保留」「読み取れたけれど具体策に落とし込めない」といった状態で止まってしまうことは少なくありません。

これは、回答をどのように読み取り、どう研修テーマや企画に結びつけるかの整理軸がないことが原因です。

自由記述の内容をただ並べるだけ、選択肢の比率をグラフにするだけでは、“研修にどう活かすか”が見えず、アンケートの価値が発揮されません。

解決策は、アンケートを「点のデータ」ではなく「意味ある手がかり」として読み解く視点と方法を持つことです。

整理・分析のプロセスまでを設計に含めておくことが実効性のある研修づくりに不可欠です。そのための具体的な方法は以下の通りです。

●テーマ別・階層別に傾向を整理する
たとえば「伝える力を強化したい」という声でも、若手が求めるのは“説明の分かりやすさ”、中堅では“巻き込み力”、管理職では“影響力”と、階層によって意味合いが異なります。
「誰が」「どのような文脈で」答えたかを読み取ることが大切です。

そのまま使える!傾向整理シート(サンプル)はこちら>


●自由記述を“単語”でなく“背景”で読む
たとえば「プレゼンが苦手」の回答に対して、それは資料作成?話し方?緊張?など背景を想像し、可能であれば本人や上司の意見と照らして文脈を補います。
回答そのものを“問い返す視点”が分析のヒントになります。


●優先順位を可視化する
「声が多いテーマ」だけでなく、「事業戦略と合致するか」「現場で実行しやすいか」などの観点を加えて選定すると、数あるニーズから実行可能な企画に絞り込めます。


●アウトプットを「研修テーマ案」にまで落とし込む
例:

  • 傾向:「コミュニケーション力強化」

  • 整理:「中堅層 → チーム巻き込み力/若手 → 自信を持って話す力」

  • テーマ案:「相手を動かす“伝え方”研修」「若手向け:自分の考えを伝えるトレーニング」
    ここまで落とし込んでこそ、アンケートの声が“企画”として活きてきます。


●本人の声と上司の声を突き合わせて見る
本人と上司の両者にアンケートをとっている場合は、それぞれの回答を統合してみましょう。たとえば、本人が「もっと指導経験を積みたい」と書いていて、上司が「後輩への関わりに不安がある」と回答していれば、育成スキルを強化する研修の必要性が高いと判断できます。
“両者の接点”が明確になったテーマは、優先度も高く、現場との合意も取りやすくなります。

現場のリアルな声を、“経営と育成をつなぐ設計材料”として扱えるようになると、研修の企画力は確実に深まっていきます。


アンケートは、ただ配って答えてもらうだけでは意味がありません。
大切なのは、本音を引き出す設計と、答えてくれた声をきちんと受け止め、活かし切る運用です。

・「意味がある」と感じてもらえる共有やフィードバックを丁寧に行うこと
・本音を引き出せる設問と心理的安全性を整えること
・回答を“企画につなげるヒント”として読み解く視点を持つこと

この3つを意識するだけで、アンケートは現場と信頼関係を築き、実効性のある研修を形づくるための強力なツールになります。

4)まとめ|戦略的研修設計のご相談はアーティエンスへ

どんな研修を受けたいかのアンケートは、ただ“聞くため”のものではありません。
社員の声を正しく引き出し、現場の期待や経営の意図と丁寧に結びつけていくものが、本当に意味のあるアンケートです。

本記事では、
・アンケート設計の基本5ステップ
・対象者別の設問例と活用のヒント
・よくある失敗と“活かす設計”への改善策 を体系的にご紹介しました。

少しの工夫で、アンケートは現場との対話を深める入口に変わり、研修の納得度・実効性を大きく高めることができます。

「どうせ回答されない」「どうせ使えない」と感じていた方こそ、今こそ設計を見直すチャンスです。

アーティエンスでは、こうした人事部と現場をつなぐ仕組みづくりや、アンケートの設計・集計支援から、研修テーマの立案、ファシリテーションまでトータルでご支援しています

もしこの記事を読んで、
「うちの研修設計も一度プロに相談してみたい」
「自社に合ったアンケート設計を一緒に考えてほしい」そう感じられた方は、ぜひお気軽にご相談ください

「なんとなく聞くアンケート」から脱却し、現場・社員・経営、すべての納得を得られる研修企画を目指しましょう。