- [ コラム ]
【事例あり】受け身姿勢を打破し、共創意識を育てる巻き込み力研修
- 「うちの若手社員は、周囲を巻き込む力が弱い」「何でもかんでも一人で抱え込んでしまう。もっと巻き込み力があれば…」「言われたことしかしない。御用聞きになる。巻き込み力を養ってほしい」このようなお話を、人事・経営者の方や現場管理職の方々からよく
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本内容は、2025年5月15日に開催した「巻き込み力向上研修」の公開講座研修レポートです。
受講内容や、受講前と後の変化をまとめています。
目次
周囲に主体的に働きかける意識とスキルを習得し、受け身姿勢からの脱却を目的としています。
本研修では【上司役講師への報連相/お客様役講師への商談】というロールプレイング形式のワークを通じて、双方に主体的に働きかけ、巻き込んでいく意識とスキルを習得します。
シミュレーションワークを通じて、相手目線を意識したコミュニケーションが、巻き込み力発揮の土台となる信頼感の醸成に繋がることを理解します。
自身の主体的な働きかけが、自身の成長・成果に繋がることを理解し、周囲を巻き込む手法を実践的に習得します。
仲間からのフィードバックやワークの経験を基に、自分の特性を理解し、現場へのアクションに繋げます。
1. イントロダクション
2. 商談シミュレーション|顧客と上司の信頼を得て、新サービスを受注せよ!
3. 全体発表、顧客役講師・上司役講師からのフィードバック
4. 明日への一歩/振り返り
研修の始めと終わりに、「今日の研修で期待すること」や、「気づき・感想」などを話す時間を設けています。
研修の初めと終わりの中で出てきたコメントから、変化を感じることができます。
・自分で何事もやってしまい、巻き込むのが苦手なので、巻き込み方を学べたらと思う
・今までは自分が上の立場になることが多くて、自分が指示をして引っ張っていくタイプだった。みんなで協力しながら進めていけるようにしたい
・初対面の人をどう巻き込めばいいのかを学びたい
・タスクを振られてやる、という受け身になっている。能動的に動けるようになりたい
・会社の人数が少ないため、上司に色々教えてもらいながら日々業務を送っている。今後どうすれば自分から巻き込めるようになるのかを学びたい
・コミットと情報把握が大事だということを学んだ。情報把握の部分で分かっていないまま進めてしまうことがあったので、気を付けたい。
・分からないことは素直に聞くことが重要
・期待、満足の上に感動がある。それを理解した上でお客様、上司へのアプローチを考えないといけないなと思いました。
・自分たちのサービスを売ることに意識がいってしまって、顧客視点に立てていないことに気が付いた
・社員だけでなく、レビューをもらう上司や商談をするお客様ともっと共創していくことが大切
・自分が必要だと思う情報は自分から取りに行き、ヒアリングもれや認識の齟齬がないように心がけることが大切だと感じた
研修開始時には、「自分ひとりでやってしまう」「巻き込むのが苦手」「受け身になっている」といった、自分の行動スタイルに対する課題意識が多く見られました。
一方、研修終了時のコメントでは、「顧客理解の難しさ」や「ヒアリングの奥深さ」「完成度が低くても対話のきっかけにできること」など、具体的な行動シーンやコミュニケーションの工夫に対する気づきが現れています。
研修を通して、「自分のスタンスを変えたい」という抽象的な目標から、「どのように巻き込み、対話を深めていくか」という具体的な行動レベルでの学びや気づきへと変化が見られています。
まず、周りを巻き込むために必要な共創についてお伝えしました。
アーティエンスが定義する共創とは、以下のような状態を指します。
共創を強めていくためには、自分の視点や価値観だけにとどまらず、他者の枠組みを受け入れながら視野を広げていく意識が不可欠です。
そのイメージを表したのが、以下の図です。
※当社、巻き込み力研修テキストより抜粋
単なる協力や分担ではなく、異なる価値観や視点を尊重し合いながら、共通の目的に向かって創り出していくためには、まず自分自身の枠を認識し、それを広げていこうとする意識が出発点となります。
このワークでは、チームで新サービスの提案書を作成し、顧客からの受注を目指す商談シミュレーションを行いました。
上司役と顧客役、それぞれに講師が入り、「提案 → 報連相 → 修正 → 再提案」という実際の業務に近いプロセスを複数回繰り返す構成となっています。
受講者は、ただ提案を伝えるだけでなく、上司や顧客の期待を超え、「満足」や「感動」を引き出すような関係構築を目指しました。
※上司役の講師への報告の様子
※クライアント役の講師への訪問の様子
途中段階では、上司役の講師から「受講者の皆さんが非常に具体的に深く考え、素晴らしい動きを見せてくれている」との所感がありました。
一方で、グループ内の発言量に差がある場面もありました。上司やクライアントだけでなく、チームメンバー同士でも巻き込む関わり方ができると、より豊かな共創につながります。その点については、午後の取り組みで意識してもらうようお伝えしました。
※アウトプット制作の様子
※アウトプット発表の様子
限られた時間の中で、より良いアウトプットを目指して、受講者全員が主体的に取り組む姿が印象的でした。
最終的な結果として、クライアントが選んだ優勝グループはAグループとなりました。
<クライアント役の講師からのコメント>
提案において、押さえるべきポイントをしっかりと捉えており、Big Why(なぜそれをやるのか)という観点からも考えられていた点が印象的でした。
また、顧客の動きや他の施策との連携を意識しながら提案がなされており、具体的なスケジュールも提示されていました。
一方で、チームとしての初動にやや時間がかかっていたため、今後はスタートのスピードも意識していけるとより良くなると感じました。
<上司役の講師からのコメント>
最後まで粘り強く取り組む姿勢が見られました。
相談時には、上司が用意していなかった新たな具体策を自主的に提案してくれるなど、主体的な動きが多く見られました。
より良い提案を生み出そうという姿勢が強く、チームでの創意工夫が感じられる内容でした。
他のグループのスローガン、アウトプット、講師からのコメントも紹介します。
<クライアント役の講師からのコメント>
他施策との連動や、ペルソナの引き出し方が非常に優れており、提案全体としての構成力が光っていました。
一方で、ストーリー展開の部分にはやや物足りなさを感じました。
また、企業アカウントについては「不要」と伝えていたにもかかわらず盛り込まれていた点について、情報整理と確認の精度に課題があると感じました。
さらに、チーム内でのコミットメントに差があり、全体としての熱量や一体感をもう一段階高めてほしかったというのが率直な印象です。
<上司役の講師からのコメント>
上司への相談にあたって、要件をしっかりと整理したうえでまとめて報告してくれたため、非常に安心感があり、「応援したい」と感じる動きでした。
ただし、序盤はとても良い流れで進んでいたにもかかわらず、終盤にかけて勢いが落ちた印象があり、少し勿体なさを感じました。提案を最後まで磨き切る粘りが加わると、さらに高い完成度が目指せると感じます。
<クライアント役の講師からのコメント>
スタートダッシュが良く、序盤から安心感のある取り組みが印象的でした。
また、数字を盛り込んだ提案になっており、説得力と現実性のある内容だった点も素晴らしかったです。
チーム全体のコミットメントも高く、情報の把握や整理が丁寧に行われていたことから、確実にチームとしての成長を感じました。
一方で、「ストーリー仕立てにしてほしい」という要望に十分応えきれておらず、その点は今後の改善ポイントとして期待しています。
<上司役の講師からのコメント>
「一緒に働きたい」と思えるような主体性と安心感がありました。
ワークの進め方についても、タスクを丁寧に分解しながら全体の流れをすり合わせてくれたことで、プロジェクトをリードする視点を感じました。
また、報連相の場には6人全員で来てくれるなど、チーム全体での共創姿勢が強く伝わってきたことも印象的でした。
<クライアント役の講師からのコメント>
提案において、SNS(X)だけでなくセミナーとの連動まで考慮されていた点が非常に良かったです。
全体としてよくまとまっていましたが、もしストーリー性が加わっていれば、さらに印象に残る提案になったと思います。
また、厳しめのフィードバックをした際にも、素直に受け止め、それを糧に成長しようとする姿勢が見られたのが印象的でした。そうした態度や変化は、しっかりと見られていることを意識していただければと思います。
<上司役の講師からのコメント>
課題やリスクなどのbadニュース”も隠さず上司に報告してくれたことは、信頼の土台を築くうえでとても重要な姿勢でした。
また、相談の際には仮案を自ら提示してくれたため、具体的なアドバイスがしやすく、非常にスムーズに連携できました。
上司との関係性を主体的に築こうとする姿勢が感じられ、好印象でした。
<クライアント役の講師からのコメント>
クライアントの想いや意図をしっかり受け取り、それをもとにコンセプトを構築してくれた点がとても嬉しく、心に残りました。
一方で、提案内容がやや抽象的だったため、もう少しイメージが湧くような具体的な施策があると、さらに説得力が増したと思います。
また、作業の進め方については、メンバー同士がより協力し合いながら進められていれば、チームとしての力がより引き出せたのではないかと感じました。
<上司役の講師からのコメント>
全体を通して、お客様に真摯に向き合おうとする姿勢が強く感じられました。
クライアントが大切にしている価値観を、自分たちの提案の中で何とか表現しようと努力していた点も印象的でした。
その上で、それを具体的な施策に落とし込むための知識や経験があれば、より質の高い提案につながったと思います。
また、「ここが困っています」と課題を明確に整理したうえで上司に相談してくれたため、的確なアドバイスがしやすく、建設的なやりとりができました。
<クライアント役の講師からのコメント>
初動が早く、スムーズに取りかかれていた点が印象的でした。
中盤、アウトプットがやや停滞する場面もありましたが、各フェーズごとのゴールを明確にし、終盤でしっかり巻き返した姿勢は素晴らしかったです。
ただし、PDCAの不足について途中で指摘をしていたにもかかわらず、改善されなかった点は少し残念でした。
それでも、全体を通して高いコミットメントを持って取り組んでいたことは伝わってきました。
<上司役の講師からのコメント>
アウトプットに含まれていたキャッチコピーが非常に良く、印象に残りました。
また、報連相の際にはクライアントに確認すべき質問事項を整理して伝えてくれた点が、非常に丁寧でよかったです。
一方で、上司に対する質問がやや抽象的だったため、具体的なアドバイスをしづらく感じました。
クライアントとの認識をもう少し丁寧にすり合わせた上で、上司にも具体的な課題や確認点を提示できると、より良い連携ができたのではないかと思います。
<クライアント役の講師からのコメント>
提案に含まれていた仮説はまだ粗削りな部分もありましたが、仮説を立てよう、考え抜こうとする姿勢はしっかり伝わってきました。
チーム全体での一体感や協働の雰囲気がもう少し感じられると、提案の厚みや完成度にもつながったのではないかと感じました。
<上司役の講師からのコメント>
報連相については、グループとして頑張って取り組もうとする姿勢が見られましたが、メンバーごとの積極性や関わり方にやや個人差が見られました。
ただ、何度もレビューに足を運び、内容のすり合わせを丁寧に重ねてくれた点は非常に良かったです。
惜しかった点としては、やりとりが「Yes/No」で終わってしまい、ディスカッションにまで発展しなかったことが挙げられます。
上司を巻き込む意識をもう一段階高めることで、より深い議論や共創につながると思います。
今回のシミュレーションでは、どのグループからも、クライアントの想いに寄り添おうとする真摯な姿勢が感じられました。コンセプトに価値観を反映させたり、数字やスケジュールを用いて提案に説得力を持たせようとする工夫も印象的でした。
また、上司への報連相やクライアントへの提案など、実践に近い動きを通じてワーク中にも目に見える成長があり、自分を少しずつ変えていこうとする姿勢を感じられました。
今回の研修を見ていて、全体的にヒアリングが丁寧で、相手の意図をくみ取ろうとする姿勢が伝わってきました。こうした姿勢は、社会人としても、チームメンバーとしても非常に大切な力であり、今後さまざまな場面で大いに役立っていくはずです。
一方で、ほんの少しでもいいので、「自分を変えてみよう」という意識を持ってもらえると、これからの成長がさらに広がっていくように感じました。
仕事は、自分の思い通りに進まないことのほうが多いものです。そんな中でも、「自分が変えられることは何か?」と自らに問い、実際に行動してみることが、変化の第一歩につながります。
巻き込み力を身につけることは、成果を出すためだけでなく、自分のやりたい仕事に近づくための大きな力になります。
実績や信頼がまだ十分でないうちは、やりたいことを任される場面は限られるかもしれません。だからこそ、「今、自分にできることを丁寧にやる」「今日学んだことを一つでも実践する」といった小さな積み重ねが、やがて未来のチャンスを引き寄せてくれると思います。
これから踏み出す一歩一歩が、皆さん自身の未来を少しずつ形づくっていくことを、心から願っています。
※本研修の内容及び新入社員研修のご案内資料は、下記よりダウンロードいただけます。
研修の詳細について詳しく説明しておりますので、ぜひダウンロードください。
6月以降も、新入社員がその時期によって持つ悩みに即した研修を提供していますので、よければご利用くださいませ。
新入社員を対象とした公開講座スケジュールはこちらから確認いただけます。