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【事例あり】「データ分析研修」で社内の意思決定力を高め効果に繋げる
「データ分析研修を行いたい」
「どの程度の難易度の研修を、誰に受けさせたらいいか分からない」
「データ分析研修を行いたいが、良し悪しが分からない」
こうした問題意識を持つ経営者や人事の方が、本コラムにたどり着いたことと思います。
データ分析研修は「意思決定の質を上げること」ができる、非常に強力な研修です。意思決定の質が上がれば、経営判断・現場判断もよりよくなり事業も組織も成長します。
本コラムは、パートナー企業であるVITAL DESIGN社の監修のもと、
・データ分析研修で得られる効果
・【目的別】データ分析研修の課題解決事例
・【Q&A集】データ分析研修実施の際によくある質問
をお伝えします。
最後までお読みいただくと、あなたの会社で「どのようなデータ分析研修を実施すればいいか」が分かります。自組織に最適な「データ分析研修」を実施し、自組織の意思決定の質を上げていきましょう。
株式会社 VITAL DESIGN
人事データ分析、人的資本経営コンサルティング事業を展開。サーベイを起点に、最先端の解析手法を組み合わせ、日々の仕事が「面白くなる」仕組みを設計し、結果が出るまで伴走支援している。
目次
1. データ分析研修の種類と内容
データ分析研修は受講対象者のデータリテラシーによって、受講内容を変えましょう。画一的な研修では、研修効果を発揮することができません。
世の中のデータ分析研修は一般的に入門編・基礎編・応用編の3種類があります。
それぞれ説明していきます
※ 当社パートナー企業であるVITAL DESIGN社のテキストを抜粋してお伝えしていきます。
1-1. 入門編:データ分析を学ぶ第一歩
データリテラシーがほぼない方は、入門編を学ぶといいでしょう。データ分析を学ぶことで、感覚や経験だけに頼らず、論理的で納得感のある意思決定ができるようになります。特に初心者の方にとって、統計の基本を学ぶことは、ビジネスや日常の意思決定の精度を向上させる重要なスキルになります。
データ分析の基本は、以下のようなプロセスで進められます。
(出典)VITAL DESIGN社のテキストより抜粋
上記プロセスをふまえ、統計基礎をエクセルの分析ツールを用いて学ぶことが多いです。
VITAL DESIGN社の研修プログラムの例では、下記内容をワークを通して具体的に学びます。
・統計分析の基礎知識(平均・中央値・最頻値・分散・標準偏差・四分位範囲など)
・クロス集計分析による組織課題や、重要課題となる設問の特定
・推移の把握や経営陣へのインプットに向けた結果の可視化(棒グラフ・折れ線グラフ・相関行列など)
初心者でもデータ分析を学ぶことで、数値の意味を正しく理解し、業務や日常生活の中でより合理的な意思決定ができるようになります。
(出典)VITAL DESIGN社のテキストより抜粋
1-2. 基礎編:データ分析の実践的なアプローチ
入門編の受講後、もしくは統計分析について基礎的な知識がある方は、基礎編を学ぶといいでしょう。データ分析を実際どのように活用するのかを学ぶことができます。
特にデータ分析において重要なのは「仮説思考」です。やみくもにデータを見るのではなく、「この要因が結果に影響を与えているのではないか?」という仮説を立て、検証する形で分析することが求められます。
VITAL DESIGN社の研修プログラムでは、下記内容をワークを通して具体的に学んでいきます。
・分析手法(クロス集計、T検定:分散分析(ANOVA))
(出典)VITAL DESIGN社のテキストより抜粋
統計の基本を理解し、適切な手法を選び、データを適切に処理することで、実務に活かせるデータ分析が可能になります。これらの基礎をしっかり身につけることで、データを活用したビジネスの意思決定がより正確で効果的なものになるでしょう。
1-3. 応用編:高度なデータ分析と実践
応用編は、データサイエンティストを目指す方が学ぶといいでしょう。アンケートの設計もふくめたデータ収集・分析デザインから多変量解析と言われる高度な分析方法を身に付けます。
応用編では、より高度なデータ分析を習得していきます。具体的には、
・回帰分析/重回帰分析
・決定木
・因子分析
などを学ぶことが多いです。
これらの分析を具体的なデータを用いて行い、その上でどのような意思決定をしていくかを学んできます。応用レベルの分析スキルを習得することで、より高度なビジネス意思決定を可能にし、競争優位性を高めることができます。
2. データ分析研修の効果は「“なんとなく”から脱却し、納得感ある施策実行を可能にする」こと
データ分析研修で得られる効果は、「“なんとなく”から脱却し、納得感ある施策実行を可能にする」ことです。
多くの組織では、経験や直感に頼った意思決定が未だによく見られます。
しかし、それでは納得感のある施策は生まれません。データ分析研修を通じて得られる最大の効果は、「なんとなくこう思う」から、「データが示すからこうする」へと変わることです。
例えば、データを活用することで、施策の正当性を論理的に説明できるようになります。
マーケティング:広告の効果を数値化し、最もROIが高い施策を特定する
製造業:不良品発生率の要因をデータ分析で明らかにし、品質改善を進める
財務:顧客の信用スコアを数値で評価し、リスクの少ない融資判断を行う
このように、データを活用すれば、「なぜその判断をしたのか?」を明確に説明できるようになります。
データ分析研修の最終的な成果は、データに基づいた意思決定が組織の標準となることです。
個々のスキル向上だけでなく、組織全体がデータドリブンな文化にシフトすることで、より合理的で持続可能な成長が可能になります。「なんとなく」ではなく、「データが示す正しい選択」を実行できる企業こそ、これからの時代を勝ち抜く組織です。
3. 【目的別】データ分析研修の課題解決事例
3-1. 入門編:クロス集計による組織課題の特定と施策実施で離職者が0名へ
実施概要
1)実施内容
研修に参加した人事部員Aは、エンゲージメントサーベイのデータをうまく施策に繋げられないことに課題感を感じ、データ分析研修の入門編に参加しました。
研修の中で「課題はどこにあるのか」を特定する分析方法を学び、実際の研修のワークショップで分析を行いました。
そして、離職が多いコーポレート部門の組織課題の特定と、離職意向が高まる原因を分析しました。組織毎にスコアを見ると、B課とD課のスコアが著しく低いことが判明し、更にその課では、課員の「権限を持つ実感」の設問が特に低いことが分かりました。
人事部員は、「サーベイを活用し、組織課題解決に貢献できるかもしれない。」と期待感が溢れ出し、早速アクションを起こしました。
2)研修後のアクション
B課とD課の、課員の「権限を持つ実感」が特に低いことは判明したものの、課長へ直接結果をフィードバックすると抵抗感を持たれる可能性がありました。
そのため、2課の上司である部長にデータを見せて相談しました。部長の第一声は「とても納得感がある。」でした。
両課長とも、非常に几帳面で、責任感も強く、真面目な性格でした。真面目であることは良いことですが、「プレイヤーからマネージャーに役割が変わった際に、自身と同じクオリティを部下に求め、ミスを許さない管理型のマネジメントになっている」と部長が話し始めました。
部長から進め方を相談された人事部員Aは、人材育成責任者を交えたミーティングを設定しました。部長と人事部員A、人材育成責任者と協議の結果、両課長にはコーチングスキル研修の受講と、課員との四半期1 on 1を実施することにしました。
部長から二名の課長へ「現状のスコアは課題感があるが、成長する良い機会であり、あなたなら出来る。この研修を受けてほしい。」と伝え、コーチングスキル研修と、課長と部下の四半期1 on 1が始まりました。
4)結果
部下のミスを徹底的に責めていた両課長は、少しずつ寛容になり始めました。
1 on 1では、業務の進捗や行動の管理ではなく、今行っているチャレンジや自律性を促すコーチングを行い、社員のモチベーション・信頼関係の向上に努めたました。
結果、1年後には「権限を持つ実感」のスコアが大幅に上昇しました。それに伴い「上司への信頼」も向上しました。そして、その間の離職者は4名から0名になりました。
3-2. 基礎編:回帰分析・相関分析による販売予測と在庫管理で損失が大幅低減
実施概要
1)実施内容
本企業は、店舗で婦人向けの洋服を販売するアパレル会社でした。顧客情報システムやスマホアプリの導入などで、膨大な購買データが蓄積されはじめていました。
しかし、そのデータを上手く活用できず、経営戦略である「商売の進化」を実現できないことで、競合にジワジワと売上シェアを奪われ始めていました。
そこで、営業社員15名がデータ分析研修(基礎編)を受講しました。もともと独学で入門編レベルの知識があった社員達でしたので、理解度も高く、商売に直結する様々な分析手法を学びました。
研修修了間際の購買データを活用するワークショップでは、自然と「こんなことも出来るのでは?」「この手法を使ったら面白いのでは?」と、自発的な提案がたくさん出始めました。
基礎編は、参加者自身がエクセルで深い分析ができるようになるため、現場での自発的な分析サイクルが回り始める予兆が生まれました。
2)研修後のアクション
流行のサイクルが早い業界のため、過剰在庫は売れ残りによる損失を招き、利益率が悪化します。一方、売り切れは機会損失を招きます。適正な在庫数の管理が、会社の利益率における重要な要素でした。
そこで、研修で学んだ「回帰分析」を活用し、過去データから「予測販売数」を算出しました。また、在庫が発生しそうな場合は、販売促進に「相関分析」を活用しました。相関分析では「何が一緒に売れているか」が分かるので、在庫が売れ残りそうな商品があれば、セット販売などで在庫を減らす取り組みをしました。
3)結果
回帰分析では、販売数の予測値よりも、やや多い在庫を持つことで、売り切れによる機会損失を4千万円から1千万円まで減少しました。
また、相関分析では、顧客の80%が一度の購入でブラウスとスカートを一緒に購入していることが分かりました。スカートは気温や天候で販売数が上下しやすいこともあり、スカートの在庫が余りそうな場合は、ブラウスとのセット販売戦略を仕掛け、売れ残りによる損失を5千万円から2千万円まで減少することに成功しました。
3-3. 応用編:多変量解析による経営課題の特定により、エンゲージメントスコア・離職者数が改善
実施概要
1)実施内容
この会社は、業績は好調で報酬も増加していました。
しかし、人手不足で現場が疲弊していました。業績に上がるにつれて、ストレスチェックのスコア悪化、メンタル疾患を発症する社員の増加、パワハラに関する内部告発数の増加が目立つようになりました。
また、多忙により、経営陣と社員とのコミュニケーションが不足し、経営への信頼関係にも悪影響が出始めていました。
こうした状況をふまえ、人事部と経営企画部が共同で研修(応用編)に参加し、エンゲージメント・ストレスチェック・業績関連データの統合と、全社課題の可視化を試みました。
最先端の分析手法を学ぶと同時に、ワークショップでは「統計知識が無い経営陣にも伝わる資料」に落とし込む必要性にも意見を出し合いました。
講師と共に深層心理を分析して分かったことは、「人員の逼迫感」よりも「経営陣が業績ばかり気にしていて現場社員を軽視しているのではないか」という不信感が影響していることが分かりました。この不信感が、エンゲージメントに40%の影響を与えている主要因だったのです。
この結果は、研修参加者にとっての「風土改革の糸口」になり、両部連携での組織風土改革が始まったのです。
2)研修後のアクション
事実を正確に伝えるために、講師も伴走して、各データの因果関係の分析を行っていきました。そして、人事部と経営企画部で組織を越えたタスクフォースを形成し、何度も協議して「経営陣にも伝わる平易な言葉と図」を作成しました。
業績が向上し始めて以降、初めて経営陣に「耳の痛いフィードバック」を報告するため、現場では躊躇する声も上がっていました。しかし、組織崩壊を阻止したいという使命感が、現場社員の気持ちを突き動かしました。
3)結果
経営陣に報告をすると
「業績が向上して処遇も良くなっているのに、今の経営になんの文句があるのだ。現場の意見ばかり聞いていたら会社が崩壊するぞ!」
と突き返されました。
積み上げた分析や資料が一蹴され、タスクフォースメンバーは心が折れかけ、途方にくれていました。
しかし、その一週間後、経営陣から「もう一度話を聞きたい」と呼び出しがあり、同じ資料で対話をすることになりました。
緊張感のある会議は、社長の「かなりショックな情報だった。」という一言で始まりました。続けて「時間をかけてゆっくりと振り返ると、株価や業績の向上に神経を集中し過ぎていた事実は否めない。自分の経営スタイルをどうしていくべきかを議論したい。」と、内省的な対話を求めていました。
改めて経営陣と参加メンバーはデータを見つめなおしました。データは各設問の関係値を表したものなので、全ての答えを教えてくれる万能薬ではありません。ただ、一つ一つの設問の繋がりを反芻し、社員の感情に想いを馳せることで、データだけでは見えない「心の痛み」が見えてきました。
エンゲージメントのスコアに強い影響があり、点数が低い設問は「人員の確保」「自分が尊重されている実感」「経営陣への信頼」でした。この3つの項目を紡ぎ合わせ、内省的なダイアログをする中で、社長がこう言いました。
「正直、エンゲージメントが低い社員の気持ちは全く共感できなかった。しかし、昔、重要プロジェクトのリーダーに抜擢された際に、当時の役員から丁寧に期待を説明してもらったことで、会社からの愛情を感じ、貢献意欲が高まったことを思い出した。もしかしたら、業績向上で現場の人手が逼迫する中、対策を講じない経営陣に対して、『頑張っているのに後回しにされている不安』を感じていて、配慮されている実感が低下しているのかもしれない。」
この仮説を基に施策を決定しました。それは、「社員を後回しにしていないこと」を社長の言葉と、人事施策で伝えるという極めてシンプルなものでした。
そして、全社集会での社長メッセージの頻度を増やし、人事部拡大による採用強化が決定されました。
1年後、経営陣への信頼は大幅に回復し、エンゲージメントスコアが飛躍的に向上しました。社員のエンゲージメントスコアも前年比18%高まり、離職者数も80名/年から55名/年まで減少することができました。
4. 【Q&A集】データ分析研修実施の際によくある質問
よくある質問に対して、回答していきます。
Q1. データ分析研修を学ぶことで、どんなことができますか?
データ分析研修を受講すると、データを活用した論理的な意思決定ができるようになります。受講生は下記を作成可能になります。
・経営陣に提言するための分析レポート
・部署内での施策考察のためのレポート
・データ分析に基づくコンサルティング
「戦略から現場の推進」の意思決定や、クライアントへのコンサルティングの質向上にもつながります。
Q2. パソコンの準備は必要ですか?
基本的にパソコンは必要です。特ExcelやSPSSなどを使用することが多く、実際にデータを操作しながら学ぶため、PCの使用が推奨されます。
Q3. 統計の知識が全くないですが、問題ありませんか?
入門編は問題ありません。ただし、基礎編や応用編に関しては、入門編程度の知識が必要になります。
Q4. 具体的にどのような業種や部署が学ぶといいですか?
データ分析は、あらゆる業種や職種で活用できるスキルですが、特に以下の分野では重要性が高まっています。
人事:従業員のエンゲージメントや離職率の分析
マーケティング:顧客データを分析し、ターゲット戦略を最適化
製造業:品質管理や生産性向上のためのデータ分析
財務:リスク評価や顧客の信用スコアリング
データを活用して業務改善や意思決定を強化したいと考えている部門であれば、どの職種でも学ぶ価値があります。
5.まとめ
本コラムでは、下記の内容をお伝えしました。
・データ分析研修で得られる効果
・【目的別】データ分析研修の課題解決事例
・【Q&A集】データ分析研修実施の際によくある質問
最後までお読みいただき、あなたの会社でどのような「データ分析研修を実施すればいいか」が理解できたはずです。
自組織にとって最適な「データ分析研修」を導入し、自組織の課題を解決していきましょう。
本コラムでご紹介したデータ分析研修を提供しておりますので、ご興味があればぜひアーティエンスまでご連絡ください。貴社にあわせた内容にて、ご提案いたします。