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【事例付き】新入社員研修の内容例!成功のカギを深掘り解説
- 社会人としての土台を築き、活躍人材へと育成するための最初のステップである新入社員研修。本コラムでは、新入社員研修で取り入れるべき内容例や効果を高めるためのカギ、そして事例を詳しく紹介します。本コラムを参考に新入社員研修の内容を選定し、新入社
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躾は必要!でもどうすれば?今の新入社員に伝わる指導法
多様性や個性が尊重される時代、新入社員への指導に悩む方が増えています。
「厳しく指導すれば離職されるかもしれない」「文句を言われそうで、社会人としてのルールを伝えられない」——そんな声も珍しくありません。しかし、組織で働く以上、守るべきルールや必要な躾は避けられません。
ただ、躾け方については、時代や価値観の変化に対応した新しいアプローチが求められるのは事実です。
本コラムでは、今の時代に合った新入社員への躾の考え方と、新入社員への躾を効果的に育成する方法を具体的に解説します。
適切な躾を行うことで、新入社員が組織での役割を理解し、組織としての一体感を持ちながら仕事を行えるようにしましょう。
目次
1)「上からの押しつけ」は逆効果。今の新入社員への躾は「納得感」が鍵
現代は、守るべきルールに込められた意図を説明し、納得感を与えることが重要です。「なぜそのルールを守る必要があるのか」「その背景や意図は何か」に納得できると、新入社員は指導内容を自分ごととして受け止め、自発的に行動できるようになります。
以前は守るべきルールを上から提示し、指導によって守らせる方法も効果がありました。しかし現在は、以下の理由から難しい状況となっています。
●上からの統制が難しい社会環境
昔は上司からの厳しい指摘やフィードバックによって、躾を行うことができました。しかし現在は、上司側がパワハラや部下の休職・離職を恐れ、厳しい指摘が行いづらい状況になっています。
外部からの厳しいアプローチによって、躾けることが難しい状況になっている今、本人自身が自らの動機によって、ルールを守っていく必要性が高まっています。
●恐怖によるモチベーション低下
恐怖を用いた指導は一時的な効果しかなく、長期的にはモチベーションの低下や心理的負担を引き起こします。特に最近の新入社員は、叱られる経験が少ない人も多いため、恐怖を与えると立ち直れず、休職や離職に繋がるリスクがあります。
新入社員の確保に苦戦している今、新入社員の離職を防ぐためにも、恐怖ではなく納得感を与える指導が必要です。
●多様な価値観を持つ人材の増加
現代では、個人の価値観や働き方への意識が多様化しています。「こうすべきだ」という一方的な押し付けでは、個人の価値観が尊重されていないと感じられ、不満や離職に繋がる可能性があります。
そのため、新入社員の価値観を尊重しながら、社会や組織としてのルールを守る必要性を納得感を持って伝えることが必要です。
このような理由から新入社員に対して躾を無理強いすることは避けるべきです。
躾を無理強いすることで、新入社員の主体性を損なわせ、心理的安全性も低下します。また、離職率も増加し、組織の持続的な成長を妨げる要因となりかねません。
無理強いは新入社員に多くの弊害をもたらし、結果的に組織全体にも悪影響を及ぼします。
かつては、大声を出させたり、滝行を行わせたり、名刺を100枚集めるような体当たり型の躾も存在しました。しかし、これらの方法は時代に合わず、むしろ、「理不尽」「非効率」といったネガティブな印象を抱かせ、組織への不信感を生む可能性があります。
今の時代・価値観に合わせた新入社員の躾を行うために、恐怖や強制ではなく納得を重視し、ルールの意図や背景を丁寧に説明することが大切です。 その結果、新入社員は主体性を持ってルールを守り、成長する姿勢を身につけられます。
なお、必要に応じて、躾の内容を見直すことも重要です。
「昔からの慣習だから」「組織の決まりだから」といった理由で形骸化したルールはないでしょうか?
提示するルールが本当に必要で、明確な意図があるのかを確認しましょう。もし説明が難しい場合、そのルールや躾が不要である可能性があります。
時代に合わないルールは見直し、新しい価値観に沿った躾を取り入れることで、組織全体の風通しを良くし、新入社員も納得感を持ちながら働ける環境を整えましょう。
2)【実践】新入社員への躾。効果的な育成方法を具体的に解説
新入社員への躾を効果的に育成する方法として、
・新入社員研修で躾の意図やメリットを伝える方法
・現場で躾の習慣化を促進する方法
をお伝えします。
新入社員研修で躾の意図やメリットを伝える方法 | 「問い」によって躾をすべき理由を見つける |
---|---|
他者の立場になり、重要性を理解する | |
良い例と悪い例を客観的に見てみる | |
現場で躾の習慣化を促進する方法 | こまめなフィードバックで行動を調整・促進する |
既存社員から躾の意図や意味を、実体験を交えて伝える |
新入社員研修で躾の意図やメリットを伝える方法
新入社員研修で躾の意図やメリットを伝えるために、以下の方法を取り入れることが効果的です。
・「問い」によって躾をすべき理由を見つける
・他者の立場になり、重要性を理解する
・良い例と悪い例を客観的に見てみる
これらの具体的な取り入れ方も含めてお伝えします。
「問い」によって躾をすべき理由を見つける
新入社員研修で、新入社員自身がルールやマナーの背景にある理由を問いによって考える機会を設け、納得感を得られるようにします。単にルールを押し付けられるよりも、理由を自分で考え納得することで、ルールを主体的に守る動機が生まれるためです。
具体的な方法として、アーティエンスの新入社員研修ではワールド・カフェを取り入れています。
ワールド・カフェとは、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、少人数に分かれたテーブルで自由な対話を行う対話手法の一つです。このプロセスを通じて、新入社員はルールやマナーの本質やその必要性に気づきます。自ら答えを導き出すことで、「やらされている」ではなく「必要だからやる」という主体的な意識が芽生えます。
例えば、当社のビジネスマナー研修では、研修の初めにワールド・カフェを取り入れ、次の3つの問いを出して考えてもらいます。
問い
・round1 社会人にとって、組織人にとって、素晴らしいマナーとは何だろう?
・round2 素晴らしいマナーを身につけながらも、自分らしさを大切にするにはどうしたらいいのだろう?
・round3 素晴らしいマナーができ、自分らしさを大切にすると、私たちにどのような影響が起きるだろう?
これらの問いについて対話を進めることで、新入社員は、ルールやマナーを単なる義務として捉えるのではなく、その意図や価値を自ら理解していきます。
この納得感は意識の変容を生み出し、研修後の現場でも「やらされている」から「自分で実践する」という姿勢へと変化します。
単なる指示ではなく、自発的な気づきを促す場を設けることで、新入社員がルールやマナーの意図やメリットを深く理解し、厳しい指導をしなくても自ら行動に移せる状態になります。
他者の立場になり、重要性を理解する
新入社員研修で他者の立場を体験してもらうことで、躾を守ることの重要性や、守らない場合の影響を深く理解できるようにします。
他者の視点に立つと、自分の行動が周囲に与える影響を実感しやすくなり、ルールを守ることが職場全体の協力関係に繋がることが理解しやすいです。
例えばアーティエンスの関係性構築力研修では、話を聞くときの態度を考えるワークを実施しています。
1回目は目を見ず、反応もしないで話を聞いてもらい、
2回目は目を見て、頷きながら話を聞いてもらいます。
これらを比較することで、新入社員はどのような態度で話を聞くのが良いのかを体験を通して理解します。
実際に体験すると、反応されないと理解してもらえているかわからないし、信頼できないように感じ、「話を聞くときは目を見ましょう」と言われる以上に、行動の重要性を実感できます。
このように、新入社員研修で他者の立場を体験してもらうことは、自分からの視点では理解できなかった躾の重要性や意義を深く理解し、自発的に行動を変えるための効果的なアプローチとなります。
良い例と悪い例を客観的に見てみる
良い例と悪い例を客観的に見て、ルールやマナーの必要性に気づけるようにする方法もあります。抽象的な説明だけでは理解が難しい場合でも、具体的な例を示すことで、新入社員が行動を見直しやすくなります。
例えばアーティエンスの上司との協働体感研修では、上司からのフィードバックを受ける部下の態度が異なる2パターンの動画を見て、自分が上司だったらどう思うかを考えてもらうワークを取り入れています。
上司からのフィードバックをしっかり聞く部下と聞かない部下を客観的に見ると、以下のようなコメントが出てきます。
「普通に失礼じゃない?」
「こんな態度されるとムカつくよね」
「話の聞く態度が悪い部下は可愛がってもらえなさそう」
このような気づきを得ることで、自身のフィードバックの受け取り方を自ら見直し、よりよくするきっかけとなります。
悪い例を客観的に見る機会があると、こんな風にはなりたくないという意識が強くなり、新入社員自ら良い言動を心掛けようと動けるようになります。
新入社員研修で躾の意図やメリットを伝えるためには、以上のような機会を取り入れることが効果的です。
現場で躾の習慣化を促進する方法
現場で躾の習慣化を促進するためには、以下の方法を取り入れることが効果的です。
・こまめなフィードバックで行動を調整・促進する
・既存社員から躾の意図や意味を、実体験を交えて伝える
これらの具体的な取り入れ方も含めてお伝えします。
こまめなフィードバックで行動を調整・促進する
現場で躾の習慣化を促進するためには、こまめなフィードバックが欠かせません。
新入社員は行動の良し悪しを自覚しづらいことが多いため、フィードバックを通じて「どの行動が良いのか」を具体的に理解する必要があります。また、こまめにフィードバックを受けることで、「評価されている」という実感が得られ、モチベーション向上にもつながります。
例えば、定期的な報連相を促したいときは、次のようなフィードバックを行います。
●ポジティブフィードバック例(新入社員が予定通りに報告をしてくれた場合)
「今日の報告、とても分かりやすかったよ!特に、進捗だけでなく次の課題も一緒に共有してくれたのが助かったよ。引き続きこの調子でお願いね!」
「毎週欠かさず連絡をしてくれているのはすごく頼もしいよ。報連相があると、こちらも進捗状況が把握しやすくて本当に助かっています。」
●ネガティブフィードバック例(報告が抜けていて進捗状況が不明瞭だった場合)
「先週のプロジェクトの進捗について、こちらから確認するまで報告がなかったのが少し残念だったんだけど、報告をしなくてもいいかなと思ってたのか、報告できなかったのか、どんな感じだった?報告をもらえると、スムーズにサポートもできるから、次回からは定期的に教えてくれると助かるんだけど、報告のタイミング決めておく?」
「最近、相談や報告が少なくなっているように感じるんだけど、何か壁にぶつかっているのかな?こちらとしても、連絡をもらえると早めにフォローしやすいから、定期的に状況を共有してもらえると嬉しいんだけど、どうだろう?」
ポジティブフィードバックは、できるだけ具体的に伝え、新入社員の言動がどんなに良い影響を与えたのかを伝えましょう。その上で次も続けられるような前向きな一言を添えると、より定着を促せます。
ネガティブフィードバックは、いきなり注意をするのではなく、言動の背景を確認してから指導を行う流れを意識しましょう。指導の観点がズレて納得ではなく不満をもたらす可能性があるためです。指導の観点を決めたら、新入社員の言動を改善する理由を明確にし、自分やチームへの影響を伝え、実際に行動に移せる具体的な改善策を一緒に考えます。
なおフィードバックは、ポジティブフィードバック:ネガティブフィードバック=5:1のバランスを意識することをおすすめします。
この「5:1」の割合が推奨される理由は、心理学者ジョン・ゴットマン博士の研究で、「5回のポジティブな交流に対して1回のネガティブな交流」が、良好な人間関係や成長を促進することが分かっているためです。この比率を意識することで、新入社員の自信を失わせず、良い習慣の定着を促せます。
実務の中でこまめにフィードバックを行うことで、好ましくない言動を減らし、望ましい言動を促せます。これにより、組織が求める躾を自然に実践しやすくなります。
既存社員から躾の意図や意味を、実体験を交えて伝える
躾の意図や意味を新入社員研修だけでなく、現場で既存社員からも伝えてもらうと、躾の理解を深め、実践しやすくなります。
既存社員が実体験をもとに説明することで、新入社員は「やらされている感」ではなく、「実際に役立つもの」として受け入れやすくなります。また、具体的なエピソードや経験談を交えることで、納得感が生まれます。
例えば、新入社員がクライアントへの営業の際に雑な挨拶をしていたとしましょう。このときに既存社員が新入社員に対し、次のように伝えると、挨拶の必要性をリアルに感じられるでしょう。
「私は以前、挨拶じゃなくて営業の内容で契約が決まると思っていた。だから、挨拶はおろそかにしていたんだよね。でも、結果として取引先との信頼関係を築けずに大きな契約を白紙にしてしまったことがあるんだ。
挨拶って正直どうでもいいことだと思っていたけど、挨拶の印象で信頼関係が築けるかが変わるし、営業の内容を聞くスタンスも変わるんだって思った。あなたも営業を受ける側になってみるとわかると思うよ。洋服屋さんとかレストランとかで感じることもあるんじゃない?
あなたが丁寧な挨拶をすることで、先方から信頼感を持ってもらえて、お互いにより良い仕事が行えるようになるかなと思うんだけど、あなたにとって挨拶をすることってどんな意味があると思う?」
このように具体的な事例を交えて説明することで、新入社員は「挨拶が重要なのはこういう理由なんだ」と納得し、行動に移しやすくなります。
既存社員が躾がなっていないと感じた場面で、具体的な事例とともに意図や意味を伝えることで、新入社員は行動に納得感を持ち、より自然に習慣化できます。
現場で躾の習慣化を促進するために、上記のような方法を取り入れることが効果的です。
3)新入社員に効果的な躾を行う研修はアーティエンスにおまかせ
本コラムでは、今の時代に合った新入社員への躾の考え方と、効果的な躾の進め方を具体的に解説しました。
今の時代・価値観に合わせた新入社員の躾を行うために、恐怖や強制ではなく納得を重視し、ルールの意図や背景を丁寧に説明することが大切です。 その結果、新入社員は主体性を持ってルールを守り、成長する姿勢を身につけられます。
また、必要に応じて、躾の内容を見直すことも重要です。時代に合わないルールは見直し、新しい価値観に沿った躾を取り入れることで、組織全体の風通しを良くし、新入社員も納得感を持ちながら働ける環境を整えましょう。
新入社員への躾を効果的に育成する方法として、以下の3つの方法をお伝えしました。
新入社員研修で躾の意図やメリットを伝える方法 | 「問い」によって躾をすべき理由を見つける |
---|---|
他者の立場になり、重要性を理解する | |
良い例と悪い例を客観的に見てみる | |
現場で躾の習慣化を促進する方法 | こまめなフィードバックで行動を調整・促進する |
既存社員から躾の意図や意味を、実体験を交えて伝える |
現場で躾の習慣化を促進するために、上記のような方法を取り入れることが効果的です。
アーティエンスの新入社員研修では、
・「問い」によって躾をすべき理由を見つける
・他者の立場になり、重要性を理解する
・良い例と悪い例を客観的に見てみる
これらの方法を取り入れて、強制や恐怖を与えずに新入社員が自ら行動できる状態を目指しています。
新入社員の躾に課題感をお持ちの方は、ぜひ当社の新入社員研修をご活用ください。お問い合わせいただくと、貴社の状況にあった研修内容をご提案いたします。
適切な躾を行うことで、新入社員が組織での役割を理解し、組織としての一体感を持ちながら仕事を行えるようにしましょう。