2023/3/28作成ー
今の新入社員は、何がモチベーションになっているのか…
今の新入社員のモチベーションが低下しているような気がするが、原因が分からない…
今の新入社員のモチベーションを高めるために、組織としてできることってあるの!?
このようなお悩みをお持ちの方も多くいらっしゃるかと思います。 新入社員のモチベーションは、新入社員自身の成長、そして組織の成長に大きな影響を与えます。
新入社員のモチベーションが低い状態が続くと、次のようなことが起きやすくなります。
このようなことが起こることは、誰も望みません。そのため、新入社員のモチベーションを高い状態で維持できるような支援をすることが必要になります。
ただ、新入社員が常にモチベーションを高い状態を維持し続けることは難しいです。多くの場合、新入社員のモチベーションには波があります。特にモチベーションが下がりやすいのは、配属後と、任される仕事が増え始める入社から9ヶ月目くらいのタイミングです。 (引用)新入社員の配属後の定着促進とモチベーションの維持 | サービス | 人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ
新入社員のモチベーションが下がるタイミングは訪れるため、その際に何が原因なのか、その原因に対してどのような解決策があるのかを知っておくことが大切です。
そこで今回は、今の新入社員のモチベーションを保つ7つの要素、今の新入社員のモチベーションを下げてしまう9つの要素、そして、今の新入社員のモチベーションを保つための施策を5つお伝えします。今回の記事を見ることで、モチベーションの波を下げすぎないように維持できるようになり、新入社員の成長をより加速することができるようになります。
今の新入社員のモチベーションになるものは、大きく7つあります。
なぜ、これらが新入社員のモチベーションを高めるのか、それぞれ詳しくお伝えします。
仲間との協力は、新入社員のモチベーションにポジティブな影響を与えます。仲間と協力することで、社内で良い人間関係を築くことができるためです。これによって、職場で孤独を感じることが少なくなり、ストレスや不安を軽減することができます。
例えば、仲間と一緒にプレゼンテーションの準備をしたり、イベントの準備をするなかで、同じ困難を乗り越え、助け合い、達成感を得る経験をします。そうすると、仲間意識が生まれ、仲間のためにも仕事を頑張ろうというモチベーションが生まれます。
特に新入社員は、メンバーと一緒に仕事を行う中で、仲間として受け入れてもらえる感覚や、メンバーの一員となっている感覚を得ることができます。
そのため、仲間と協力しあって仕事を行っているという実感は、新入社員のモチベーションに良い影響を与えます。
自分の特徴を活かした仕事内容を行えると、モチベーションを高く仕事をすることができます。ワクワク感が多く、ストレスを感じることが少なくなるためです。
例えば、人と会話をすることが好きな人が営業として相手の課題を聞きながら自社商品で解決する、という仕事ができると、成果も出しやすくなりますし、自分自身の満足感や達成感も感じやすくなります。
特に、新入社員は周りの人にサポートしてもらうことが多く、その分を早く成果として返せるようになりたいと思っている人が多いです。自分の特徴を活かして早い段階で成果を出せることは、周りの人にも喜んでもらえるということも相まってより、嬉しさを感じることができます。
そのため、自分の好きや得意を活かしてモチベーションを高く仕事ができると、結果的に成果も出せる、という良い循環を生み出すことができます。
達成感を得ることは、新入社員のモチベーションにポジティブな影響を与えます。仕事で目標を達成することで、自分自身の能力や価値を確認でき、自信を持つことができるためです。自己肯定感が高まることで、次の仕事に取り組む際にも自信を持って取り組めるようになり、モチベーションが上がります。
例えば、アポイントの契約が目標を達成したり、納期までに資料を完成させることができると、『できた!』という感覚や達成感を得ることができます。そうすると、仕事を楽しく感じたり、より難易度の高い課題にも挑戦したいという意欲が湧いてきやすくなります。ただし、目標を達成しても、達成感を得なければモチベーションは上がりません。本人が達成感を感じられるかが大切です。
新入社員は、プロジェクトを任せてもらえるとか、大きな売上をあげるなど大きな仕事を与えられるわけではありません。自分に与えられた目標を達成することで達成感を得られるように、先輩や上司のフィードバックやフォローが必要になります。「できた!」という達成感を得ることができると、モチベーションの向上に影響があります。
新入社員のモチベーションにポジティブな影響を与えるためには、経験を積むことも一つの要因となります。経験を積むことで、自分自身の能力やスキルが向上し、できることが増えていくためです。また、経験を積むことで、自分自身や業務について新たな発見があることがあります。そのような発見は、自分自身の成長や業務の面白さを感じることができます。
例えば、今まで出来なかったエクセルの関数ができるようになる、という人もいるかもしれません。また、議事録の作成が回数を重ねるごとに見やすく作成できるようになり、先輩からポジティブフィードバックをもらえた、という経験をするかもしれません。 このような経験をすると、自身の仕事や将来に希望を感じることができ、その結果モチベーションにも良い影響が作用します。
新入社員は、全ての仕事が初めてです。徐々に経験を積むことで、効率化できるようになったり、仕事の全体流れがわかるようになったり、できることが早い段階で増えていきます。経験してできるようになることが増えていくことは嬉しく、モチベーションにも良い影響を与えます。
成長実感を持つことは、新入社員のモチベーションを高めることに影響を与えます。自分自身の能力やスキルが向上したことで、成果が出ていることを実感することができるためです。
以前は難しかった業務や課題が解決できるようになると、嬉しさなどポジティブな感情が生まれ、モチベーションの向上にも影響します。また、成長していることを、他者から伝えてもらうこともモチベーションに影響します。
例えば、営業の際に、1ヶ月前までは即答することができなかった質問に対して応えられるようになり営業がスムーズに進むようになったと感じることができるかもしれません。クライアントの悩みに応えられる喜びを感じることで、自身が成長している実感も感じ、より良くしたいという思いが湧いてきます。
また、新入社員が自身で気がつくことが出来なかった箇所について、例えば、「以前より報連相の回数が増えて安心して仕事を任せられるよ」というような声を先輩からかけてもらうことで、自身の成長を感じることができます。このように成長を実感できることで、嬉しさや楽しさを感じ、モチベーションも高まりやすくなります。
成長予感を持つことも、新入社員のモチベーションを向上させるための要因の一つです。成長予感があると、今の業務と将来に繋がり意味のあるものとして認識できるためです。業務に対するやりがいを感じることができ、モチベーションが上がります。
例えば、先輩に憧れの人がいて、将来自分もあの先輩のように活躍することを予感できると、そのために頑張ろうとモチベーションを持つことができます。また、今の仕事が自分のありたい姿に繋がっていることがわかると、日々ありたい姿に近づけていることを実感しやすくなるため、前向きに仕事に取り組みやすくなります。
このように、自身の成長を予感することができると、自分が思い描いている姿に日々近づいている感覚を得られるため、今の仕事を頑張るモチベーションになります。
新入社員は気にかけてくれる人がいると、モチベーションを維持しやすくなります。安心感が生まれ、新入社員は自信を持って業務に取り組むことができるためです。
例えば、新入社員が手順がわからず困っているときに、先輩や上司が声を掛けてくれると、新入社員は助けてもらえる嬉しさと安心感を得ることができます。また、「〇〇ができるようになったね」などの声を掛けてもらうことも、過去から今まで自分の成長を気にかけてくれていたんだ、ということを感じることができます。
このようなことが起きると、自分に居場所がある感覚や、自分の成長を気にしてくれているという感覚を持てると安心できるため、モチベーションが下がりづらくなります。
このように、今までお伝えした下記の7つの要因
のように、自分に自信が持てたり、自分に成長を感じ、これからの自分に期待を持てていると、モチベーションを高く維持することができます。
Murayama,Matsumoto, Izuma, & Matsumoto, 2010の研究によると、「アンダーマイニング効果」といって、内発的動機付けに対して、外発的動機付けが与えられてしまうと、働く意欲は高まるどころが、逆に下がってしまうということが心理学的に明らかになっています。
また、別の研究事例においても、高額報酬の重圧が、かえって仕事のパフォーマンスを低下させてしまうということが分かっています。報酬をアップするよりも、経営者と従業員のコミュニケーションを密にする方が、モチベーションアップにつながるという結果もあります。
さらに今の新入社員は、給与や昇進などよりもやりがいや社会意義、人間関係などにやりがいを持つという調査結果も出ています。
このように、給与という外発的動機づけによる影響はモチベーションを高め続けることはできないのです。
新入社員のモチベーションを下げてしまうものは次の9つです。
なぜ、これらが新入社員のモチベーションを下げてしまうのか、それぞれ詳しくお伝えします。
職場での人間関係が良くないことは新入社員のモチベーションを下げます。職場の関係性が悪いと、周りの人々とのコミュニケーションがうまくいかず、仕事の連携がうまくいかなくなるためです。
例えば、配属先のメンバーがお互いに陰口を言い合っている様子を見てしまったら、新入社員は自分も陰口を言われているかもしれない、陰口を言っている人を信用することはできないなと感じます。 その結果、信頼できる人が配属先にいなくなり、この人と一緒に頑張ろうという気持ちが低下してしまいます。
特に新入社員は、一人で完結できる仕事はほとんどなく、必ず誰かに確認してもらったり教えてもらう必要があります。人との関わりを避けることのできないなかで、話しづらく、信頼できない人と接するのは苦痛になります。
このように、関係性が良くない状態は、新入社員のモチベーションを下げる原因となります。
仕事の内容が新入社員の特性とあっていない場合、モチベーションを下げます。仕事をやっていて楽しいとか、仕事ができる、という感覚を持ちづらいためです。
例えば、新しいアイディアを考えることが好きで、細かい作業は苦手という新入社員がいるとします。その人は、配属の結果、配送管理の仕事を行うことになりました。配送管理は、細かい確認が多くその人の特性として苦手な分野です。頑張って仕事をしているもののミスが多く、良い評価をされなくなるかもしれません。また、本人も楽しいとか、もっと頑張りたいという思いがなくなり、仕事に辛さしか感じられなくなってしまいます。
新入社員は、自分がどんな仕事が向いているのか、苦手なことは何かを自分で把握できていないことも多いです。そのため、たまたま依頼された仕事が自分が苦手なことだった、というだけかもしれませんが、そのことがきっかけで、自己肯定感が下がってしまう、ということもあります。
このように、仕事内容の相性が良くなく、自分の特性を活かすことができない場合は、新入社員のモチベーションを下げる原因になります。
達成感を感じられないことも新入社員のモチベーションを下げます。仕事に対して喜びを感じられる場面がないためです。
例えば、常に仕事が溜まっていて、一つの仕事が終わった感覚を持てないまま、次の仕事に取り組まなせればいけない状態では達成感を感じられません。また、人によっては1つのプロジェクトが完了するまで達成感を感じられない人もいます。こまめに達成感を感じられないとモチベーションが維持しにくいです。
新入社員は、大きな達成感を感じられる仕事を行える割合は少なく、特に初めのうちは先輩のサポートを行うことが多いです。そのため、小さなことで達成感を得られる状態にしておかないと、達成感を感じづらくなってしまいます。もし、一人で案件を獲得できないと達成感を感じられない、という人がいた場合、もしかしたらその人が達成感を感じられるのは入社から10ヶ月目かもしれません。そこまで耐えて達成できるのであればいいのですが、多くの人は、なかなか達成感を感じられないことにストレスや焦り、不安を感じて、モチベーションが低下してしまいやすいです。
このように、達成感を感じられない状態は、新入社員のモチベーションを下げる原因となります。
経験を積めているような感覚を持てないことも、新入社員のモチベーションを下げます。できることが増えている感じがせず、このまま、この職場にいていいのか不安になってくるためです。
ある企業の事例ですが、新入社員が、経験を詰めている感じがしないことが原因で退職をされてしまった、ということがありました。この方は、始めは企画部に配属されていましたが、6ヶ月がたったときに、総務部に異動になりました。移動になってから2ヶ月後に実施した研修の中で、次のようにお話されていました。「別の部署に入って知識は増えたと思いますが、その知識を使って実務を行えていないので、自分の身になっているのか不安です。入社してからできるようになっていることがない気がします。」と仰っていました。 そのようにお話しされていたことを、新入社員の人事の方にお伝えし、フォローをしていただきましたが、その後、この方は退職をするという判断をされました。
経験を積めていないという感覚は、不安の感情を生み出し、新入社員のモチベーションを低くさせてしまうのです。
成長実感がないことも、新入社員のモチベーションを下げます。成長している実感がないと、将来の不安を感じやすくなるためです。
例えば、新入社員が一人で営業に行くようになったが、数ヶ月経っても受注が取れない状態が続いている人が、受注が取れるようにならない、という理由で成長実感を持てない場合もあります。
特に新入社員は、日々の仕事を行うことに精一杯で、自分が成長していう実感を持つことができない方も多いです。日々、自身の成長している点に意識を向けないと、成長実感を感じられず、ふとしたときに今のままでいいのか不安になり、モチベーションに影響が出てしまいます。
成長実感を持てないことで、新入社員のモチベーション低下に影響することもあります。
成長予感がないことも、新入社員のモチベーションを下げる原因になります。これからの自分に期待を持てていないと、将来の不安を感じやすくなるためです。
特に、やりたい業務や部署がある新入社員が、希望の業務や部署に携わることができなかったときに起きやすいです。自分のありたい姿と実際に与えられた仕事の内容が異なっていて、このままでは自分のありたい姿に向かって成長することができないと感じてしまいます。
また、近くにいる先輩や上司に憧れを感じられず、「自分も将来こんな風になるのかな…。こんな姿になりたくないな…」と思うようなことから成長を予感できなくなることもあります。
このように、成長予感がないことで、今の仕事が意味ないものと思えてしまい、結果モチベーションが下がる原因になります。
過度な残業も、新入社員のモチベーションを下げる一つの要因です。自分のプライベートの時間がなくなることと、体力的な問題から、疲れが溜まりやすくなるためです。
Morita, M. (2018)の残業がモチベーションに与える影響についての研究によると、残業時間が増加するにつれて、モチベーションが低下することがわかりました、が見られました。また、仕事とプライベートのバランスが取れていない場合には、モチベーションの低下が顕著になり、仕事とプライベートのバランスが取れている場合には、モチベーションの低下が軽減されることが示されました。
また、株式会社ビズヒッツが、新卒1年未満で転職経験がある381名を対象に行ったアンケートの結果をまとめたところ、次のようなランキングとなりました。長時間労働・休日の不満が2位に入っています。 ※ 引用:新卒1年目の転職は厳しい?転職理由やタイミングを381人にアンケート調査
過度な残業は新入社員のモチベーションを低下させ、転職する理由にもなっていることがわかります。
通勤のストレスも、新入社員のモチベーションにネガティブな影響を与えます。満員電車のなかで苦しい思いをするということを考えると、仕事に行きたくなくなるためです。
ザイマックス不動産総合研究所が2019年に行った調査によると、通勤ストレスが高いと仕事の満足度も低く、通勤ストレスが低いグループほど仕事満足度が高い傾向がみられています。 ※ 引用:通勤ストレスがワーカーの満足度に与える影響 | ザイマックス総研の研究調査
また、ドイツの経済学者のブルーノ・フライ博士は、発表した論文(“Stress That Doesn’t Pay: The Commuting Paradox”, 2004)で、「1時間を超える長時間の通勤がもたらすストレスの高さは、年収が40%アップしないと割に合わない」と、発表しています。このように、通勤のストレスはモチベーションを低くすることに影響を及ぼします。
孤独感があることも新入社員のモチベーションを低下させる要因です。社員同士の交流が不足していると、新入社員は自分自身が浮いているように感じ、会社になじめないためです。
例えば、新入社員のなかで、配属後、何冊ものマニュアルを1日中読まされるだけで、他の社員から関心を持ってもらえていない、という状況があると、新入社員は自分が求められていないという居づらさを感じます。 この状態が続くと、モチベーションの低下に繋がります。
今までお伝えした、下記の9つの要因
のように、ストレスや不安があると、モチベーションが下がることがわかりました。
新入社員のモチベーションを保つための施策として、8つの方法が考えられます。
それぞれ詳しくお伝えします。
新入社員と周囲の人がチームとして意識でき、一緒により良くしあっていく関係性を作りましょう。
そのためには、お互いを理解しあうことが大切です。それぞれが持っている価値観がわかると、相手の言動の背景が理解でき、余計なストレスを感じにくくなります。また、お互いの性格や特徴を理解できていると、相手の得意なことや性格にあったことを役割とすることができます。
例えば、
などが挙げられます。
新入社員に対して何か伝えるときは、背景を伝えるようにしましょう。背景がわからないと相手の考えがいつまで経っても理解できず、お互いがストレスを感じてしまうようになるためです。また、最近の新入社員は、なぜそうするのかを理解できないと、意味がなく無駄な行動と認識し、意欲的になれないことも多いです。
例えば、「打ち合わせを行うときは、議事録を書いて」という指示だけでは、新入社員は何のために議事録をとる必要があるのかが理解できません。新入社員の頭の中としては、「打ち合わせに参加する人がそれぞれでメモをすればいいんじゃない?」と思っているかもしれません。このような認識では、議事録をとるという仕事について意欲的に行うことができません。
そのため、「関係者の共通に新規をすり合わせ、次の打ち合わせのときに、前の打ち合わせで話していたことを共有できるように」や「欠席者にも内容が共有できるように」とかなど、依頼する背景を伝えることを気をつけましょう。背景を伝えることで、「この人はこういう考えを持っている人なんだ」ということも理解することができます。
依頼する際の背景として、例えば「作業を効率化するために」という言葉が頻繁に使われていたら、この人は作業を効率的に進めたい人なんだな、ということが理解できます。また、「相手がパッとみて理解できるように」という言葉がよく使われると感じると、視覚的に相手が理解できることを大切にしていそうだな、と分かります。 上司や先輩がどのような考えを大切にしているかがわかると、コミュニケーションがスムーズになります。そしてその結果、お互いが仕事をやりやすくなり、関係性も築きやすくなります。
弊社では配属時、新入社員と既存社員が相互インタビューを行い、新入社員への歓迎度合いを高め、メンバーとの関係構築に繋げています。
相互インタビューは、お互いに大切にしている想いや背景を理解し合うことを目的としています。自己紹介シートを配る等の取り組みもあるかもしれませんが、直接コミュニケーションを取り合うことが重要なので、相互インタビューを推奨しています。
(参考:相互インタビューシート)
※弊社新入社員研修を導入いただいたお客様にオンボーディング支援ツールとしてお渡ししています。
定期的に1on1ミーティングを実施することを推奨します。定期的に1on1を行うことで、新入社員のちょっとした不安が解消され、関係構築にも繋がります。特に始めの1ヶ月間は、15分程度の時間でも毎日1on1を実施することを推奨します。新入社員が積極的に質問がしにくい時期のため、こまめなフォローが必要なことと、関係性構築のためです。
毎日1on1の時間を用意するのが難しいという方は、例えば、トレーナー1人で1on1を全て実施するのではなく、チームメンバーで持ち回りで実施する方法があります。持ち回りで行うと次のようなメリットが生まれます。
少しでも1対1でコミュニケーションと取れる機会を設けると、関係性を築きやすくなります。
新入社員に書いてもらっている日報に対してコメントをすることもコミュニケーションの一つです。新入社員はコメントをもらえるとみてくれていることに対して嬉しさを感じることができます。
良いコメントは、具体的で、ポジティブフィードバックもネガティブフィードバックもあることがポイントです。一方、悪いコメントは、抽象的で、本当に自分のことを気にかけてくれているのかがあまり伝わらない内容です。また、ネガティブフィードバックのみになっているのも良くありません。日報を提出することで、毎回ダメ出しを受けるとなると、新入社員の心持として提出する気がなくなってしまうためです。
(悪いコメント例)
・今日もお疲れ様でした!資料の制作、よかったです!
・今日のMTGの発言ですが、ちょっと内容が伝わりにくかったから、次からは結論から先にいうことを意識してみましょう!
日報に対してコメントを書くのが難しいと感じる場合は、日報のフォーマットが良くない場合があります。 心当たりのある方は、こちらの記事もご覧ください。
新入社員の日報を明日に活かして成長し続けるためのフォーマットを大公開
テレワークで仕事を行っている場合は、ビジネスチャットでのやりとりが多いかと思います。その際は、組織の文化に合わせた範囲で、スタンプなどのリアクションをすると、反応してくれていることに対して嬉しさを感じることができます。
必ず〇〇さんは反応をしてくれる、と新入社員が認識すると、チャットでの連絡がしやすくなってコミュニケーションが活性化する、ということに繋がります。このようにコミュニケーションの機会を意識して作り、お互いを理解し合うことで、良い関係性を作ることができます。
可能な限り、新入社員の特性を考えて配属や仕事内容を割り当てるようにしましょう。新入社員の特性にあった仕事ができると、成果がでやすくなり、そうなるとモチベーションを高く仕事をすることに繋がるためです。
※ 「新入社員の特性を考えた配属や仕事内容」が組織の戦略や状況において、難しい場合もあります。その場合は、新入社員に対して業務支援・精神支援ができる仕組みを作ることが重要です。
新入社員の特性を知ることが難しいと感じると思いますので、リーダーシップの発揮の仕方をもとにしたタイプをお伝えします。当社では、リーダーシップの研究を行う中で市場調査を行い、リーダーシップの発揮の仕方をもとに、新入社員を次の10のタイプに分けました。
この10タイプから自組織の新入社員はどれに当てはまるのかを考え、その特性に合わせた配属や仕事内容を行ってもらえるように調整してみましょう。
達成感を感じられるように、年間目標だけでなく細かい目標も作成しましょう。達成感を感じるまでに1年間かかるようなものだと、モチベーションの維持がしにくいためです。
1ヶ月単位までには細かく目標を設定し、その目標を達成していくと、1年後の目標も自然と達成できる状態にすると、達成感や自信を持ちながら仕事をすることができるため、モチベーションも維持しやすくなります。
また、今日やることを1日のはじめに書き出して、スケジュールを作成し、仕事を行う、という方法もお勧めです。毎日、やるべきことをやれたという達成感を感じやすくなります。
新入社員に細かく指示をしてその通りに作業をしてもらうのではなく、新入社員が適切な経験ができるような仕事内容を依頼しましょう。失敗しながらも経験を重ねて自分なりの仕事の仕方をできるようになります。
配属後1-3ヶ月目あたりは、新入社員にやってほしいことを細かく指示して、新入社員が迷わず作業を進められるようにするサポートが必要です。配属後4ヶ月以降あたりから、新入社員の成長ペースに合わせて、徐々に新入社員に考えてもらう余白を広げていきます。
例えば、接客を行うときに、伝える言葉が全てマニュアルで決まっていると新入社員が考える余白がないため、伝える内容の方向性だけ伝えて言葉は新入社員に考えてもらうようにするなどです。ただ、このときに相手に失礼な言葉ではないか気になるかと思うので、始めのうちは、新入社員と対話をしながら進めていくというやり方をおすすめします。
資料の作成をお願いするときは、資料の方向性や参考資料を渡して、一度自分なりに作成してもらう、と言うことを行ってみても良いと思います。しかし、その後、資料の納期まで確認するタイミングがないと、新入社員が良からぬ方向に作業を進めているときにフォローが大変になります。 そうならないためにも、「3時間後に一旦確認させて欲しい」「概要が作成できたら声かけて」などと伝えて、こまめに確認できるようにしましょう。小まめに確認できると、依頼者としても安心して作業を進めてもらうことができます。
人は指示されて動くだけでは、自分の頭で考えることをしないため経験も積めず成長ができません。新入社員の成長度合いに合わせて、新入社員に任せる幅を広げるようにしましょう。
成長していることを実感できる機会を作りましょう。新入社員は日々の仕事をこなすことで忙しく、自身の成長に気がついていないことも多いためです。
成長していることを実感できる機会としては、
などがあります。
上司や先輩の視点で成長していると感じたことがあれば都度フィードバックとして伝えるようにしましょう。新入社員は自身で自分の成長に気がついていないことが多いためです。また、ポジティブフィードバックをしてもらえると、純粋に嬉しく、より頑張ろうというモチベーションに繋がることもあります。
ポジティブフィードバックをする際は、できるだけ具体的な内容で、他社との比較をするような内容にならないように注意しましょう。
心にもないことや、誇張しても、新入社員には伝わりますので、ただ本心で伝えることがポイントです。
定期的に行う1on1で同じ問いを行い、その時の返答を記録しておくことで成長を見ることができます。
例えば、今まで報連相をするタイミングがわからないと言っていた新入社員が、報連相を相手にわかりやすく伝えるためにはどうしたらいいか、という話題になったとします。このこの場合、報連相のタイミングはわかったけど、伝え方が難しいという話に変化しているため、報連相に行く、という部分については成長しています。 1on1で扱うテーマなどから変化を感じ、そこにどのような成長があるのかを見つけて新入社員に伝えることができると、成長を実感することに繋がります。
研修のなかで、今までの振り返りをすることもできます。例えば、当社の1年目フォロー研修では、一度立ち止まって、自身の成長を感じ、自らが成長することで、組織の成長につながる一歩を踏み出すことを目的とした内容を実施しています。
研修のなかでは、ポジティブリフレクションといって、1年間をポジティブに振り返り、仲間からのポジティブフィードバックで、現場での変化を最大限に認知する機会を設けています。
このワークを行うことで、自身だけでは気がつくことのできなかった成長に気がつき、自分が思っているより成長できていたかもしれない、という感情になる方が多いです。日常の業務から離れて、しっかりと自身の成長を振り返る時間を取ることで、成長を実感することができ、今後の仕事へのモチベーションになっていきます。